日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(書棚)感想:橘公司『デート・ア・ライブ』

書名:デート・ア・ライブ -十香デッドエンド-
著者:橘公司
出版:富士見ファンタジア文庫(2011年)
分類:ライトノベル

精霊(かのじょ)は強大にして世界を殺す厄災。
そんな彼女を止める方法は……え? デートしてデレさせろ?


今回は前情報のコピーで「おう?」と目をつけていた橘公司氏のライトノベルです。
題名のネーミングも秀逸(Dead or Alive=生か死かをもじってあるんでしょうね)で、
普段ライトノベルを読む割合があまりない僕が久しぶりに熟考する間もなく目を引かれた
一冊であります。ちなみに同氏は他に『蒼穹のカルマ』シリーズを執筆中です。

大まかな粗筋は、精霊と呼ばれる存在(お約束というかその姿は美少女)がこの世界に現れ
る際に併発する“空間震”によって人々の生活が脅かされている日々。そんな中、主人公の
高校生・士道は期せずしてその発生の瞬間に立会ってしまい、更に自身の妹・琴里が精霊に
対抗すべく結成された組織<ラタトスク>の司令官だった……! というのが導入部分。
他にもAST(=Anti Spirit Team)という、謂わば精霊に対して『武力殲滅』の立場を取る
組織もあるのですが、対するラタトスクは逆に精霊と『対話』して穏便に解決しようとする
一見すると穏健派的な集団です。
しかし……まぁ、帯コピーに書いてある位の特徴なのですが、その方法というのが。
 精 霊(※見た目は美少女) と デ ー ト し て デ レ さ せ ろ !
という、何とも(゚Д゚)ハァ!? な作戦でして;
そして何故かその作戦の要──つまり精霊を口説く役目を士道が負う事になる訳です。
(ちなみにその何故? は本編を読んでお楽しみ下さい。ネタバレになっちゃうので……)
ぶっちゃけ「篭絡」なんですが、ASTのように武力殲滅しようにも相手は無双の力の持ち主
で まともに手傷一つ負わせる事もできない。そんな現状に加え、何より士道自身が彼女ら
が 「世界から否定される存在」であることを心苦しく思った事でこのデート用組織(?)は
本格的に始動することになります。

そうした設定、物語の流れ故にお話の多くが精霊(かのじょ)との“デート”の場面とそれ
に備えての“特訓”──ギャ○ゲー的シュミレーションに悶えつつトライするという、普通
はシュール過ぎる光景だったりもします。でも、正直僕は珍しいと思ったんですよね。過去
色々なライトノベルはありますが、こう「恋愛イベント」が中心になっている物語ってそう
多くはない──大抵はサブイベントみたいな扱いである──のではないでしょうか? 設定
からその部分に凝っているからとはいえ、やはりそこには斬新さを覚えました。
ラノベはしばしば『属性の配合次第で何とでもなる』みたいな言われ方をしますが、その作
業って実は結構難しいんですよ(一介の物書きとしての眼です^p^)
好きな要素をぶち込んでみてもカオスなだけだったり、既存のネタと被っていたりして綺麗
に物語として動いてくれることはそう容易じゃない。……これは僕自身の経験則からの推論
なのですが、むしろこういうネタ出しの作業は“積み上げて拡大”するより“大雑把な材料
から削いで整える”という減算的なメソッドの方が有効なんじゃないかと思うのです。
要は作者自身が御し切れないてんこ盛りだと、途中で挫折しちゃうって事で……orz

脱線した。話を戻しましょう。
大きなキャラクタ構図(モブキャラなどは除く)を見れば、精霊達と、主人公らラタトスク
(≒対話派)及びAST(≒殲滅派)という感じになるのでしょうか。
姿を見せる度に自分を殺しにくる人間らに狙われ続け、自身の生を疑う精霊の十香。
同情というか憐憫というか、成り行きでそんな彼女を口説く羽目になった士道。
そんな彼をサポート(弄る?)するラタトスクの面々(主にドSに豹変した琴里)。
あくまで厄災として排除しようとするAST──主にその一員であり、かつて精霊のそれによ
り両親を失くした憎しみ(?)で精霊を倒すことに拘るクラスメイトの少女・折紙。
本編はこの三者の矢印関係で紡がれていきます。
その構図が見えた時、もっとドロドロした描写があるのかな?と思ったのですけど、多少は
シリアスでしたがあまり血みどろ的でもなかったですね(自分の文章がアレなだけかorz)
「自分の意思で現れたり消えたりしている訳ではない」という精霊。
そして何故、士道にはそんな彼女らを止める力があるのか?
(まぁ、よくある主人公補正的チート性能の類なのだと予想していますが……)
その理由を知っているらしい琴里の伏線を匂わせる描写なども散見されました。
諸々の「?」がありましたが、これもまだ一巻目で続編になるにつれて明かされていくこと
となるのでしょう。……スマートさと脱・消化不良の両立って難しいね(´・ω・`)

ともあれ、中々楽しめた作品でした。文章も良好で個人的にアタリかなと思います。
既に続編巻も出ているようなのでこれはチェックですかね。
                      
                  ……でも空中艦内からの指令がギャ○ゲー風とかw;


<長月的評価>
文章:★★★☆☆(文章量はそう多くはなかったですが、読みやすかったように思います)
技巧:★★★☆☆(展開が滑らかで好感触でした。でも技巧的な捻りはあまり……?)
物語:★★★★☆(設定で惹かれたので評価高め。巻数を重ねればより深いお話になる?)

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  1. 2011/11/15(火) 00:45:00|
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

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