日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-Ⅶ〔90〕

 それは、ジーク達の出立直前に起きた。
 歓迎から動揺へ、動揺から警戒へ。森の中の霧の妖精國(ニブルヘイム)は、今は一見落
ち着き直したかのようにも見える。
「た、大変です!」
 突然、ミハエルら数人のエルフ達がジーク達のいる部屋へ駆け込んできた。何事かとめい
めいが振り返る。彼らは肩で息をし、酷く慌てているようだ。只事ではない。
「? 一体、どうしたんだ?」
「それが……」
「里の周りに、変な煙が……」
 荷物もそこそこに、ジーク達は部屋を飛び出し、里の中に出た。見れば遠く森のあちこち
から、赤い煙が何本も立ち上っている。
「……これって、まさか」
「狼煙、だろうね」
 それらは、ぐるりと里を取り囲むように確認できた。数拍ジーク達は唖然とこれを見上げ
ていたが、程なくしてその意味と──迫るであろう危機を悟る。
「ま、拙いぞ」
「おい、人を集めろ! 急いで消すんだ!」
 ミハエルら里のエルフ達にも、既に気付き始めていた者がいたのだろう。周りでは赤い狼
煙に向かって森の中へと駆け込んで行く面々の姿があった。一つ、また一つとゆっくり煙が
揉み消されて霧散してゆく。
 だが一方で、ジーク達も彼らも、既に遅いのではないかという予感に苛まれ始めていた。
 少なくとも自然発生するようなものではない。つまりこれは、明らかにアルヴ側の……。
『──っ!?』
 ちょうどそんな時だった。息を呑み、赤い狼煙を見上げたまま固まっていた一行の耳に、
突如として轟音が響く。今度は大きな土煙が上がっていた。あれは……広場の方か。
 即座に目配せをし合って、ジーク達は駆け出した。狼煙の処理は既に散っている里の者達
に任せておけばよいだろう。
 嫌な予感がする。同時に、自分達の判断は“遅かった”のかと悔やむ。
 腰に差した刀を鳴らし、土と石畳を踏む込む靴音が重なる。
「くっ……!」
 広場には、ハルトやカイト、里の戦士達が集まっていた。
 相対しているのは巨大な岩人形の使い魔──ゴーレム。加えてその周りで、武器を抜いて
立ち塞がるように布陣しているのは……口元に覆面をしたエルフ達。
「ハルトさん。あれって……」
「! ジーク君。ああ、そうだよ。どうやら僕らはまんまと嵌められたらしい」
「お前らは下がってな……って言いたい所だが、すまん。手を貸してくれ。このままあいつ
らを進ませちまったら、避難させてる皆を守り切れねえ」
 当然。ジークらは頷いてめいめいに得物を抜いた。今更関わり合いになってはいないと繕
った所で、向こう側にはもうバラされている可能性が高い。ならば、少しでも早く──この
“守人”達を捕らえて無力化すべきだろう。
「マギリっ!!」
 そして、この場にもう一団駆けつける者達がいた。ミシェルだ。テオや他の“守人”達を
引き連れて、まるで鬼のような形相で仲間だった筈の者を睨み、叫ぶ。
 互いに顔を見合わせるでもなく、一同は横一列に並んだ。目の前、里の出入口を塞ぐよう
に展開しているのは、岩のゴーレムを操る、同じ“守人”の戦士が一人だ。彼は彼女の声に
応えるでもなく、じっと暗い熱に浮かされたかのようにこちらを睨んでいる。
『……』
 テオと共に彼女を補佐していた術師のエルフ、マギリ。
 どうやらこの騒動は、他ならぬ彼と、彼に従う一部の“守人”達によって引き起こされた
ものらしかった。


 Tale-90.秘匿せしもの等の叛乱

 地下礼拝堂前の戦いから一夜明けて。
 ダン達南回りチームは、改めてミザリーと“常夜殿”の応接間にて面会していた。
 例の如く彼女の周りには側近達が目を光らせている。ダン達も、既に支度を終えた旅荷を
足元に置いている。
「秘葬典(ムスペル)に鎧戦斧(ヴァシリコフ)、風霊槍(コウア)──今ここには三つも
聖浄器があるのね」
「ああ」
 ステラの胸元に、ダンの腕とサフレの指に。
 かつて伝承でのみ語られてきた宝物が、一同の目の前にはあった。聖浄器。太古の昔、魔
導解放運動の末に造られた、魔性を討つ為の特別な武具達。そしてその製造には、選りすぐ
りの強い魔力を持つ者達の魂が核として使われた──。
「思えば長かったな。皇国(トナン)の内乱を皮切りに、僕達は散々結社(やつら)と戦う
羽目になったけれど……」
「だな。しかしまだまだ気は抜けねえよ。全部揃えても、寧ろスタートだ」
 特にゴルガニア戦役末期、志士十二聖が用いたそれは、数ある中でも一際強い力を宿して
いたという。ダンら南回りチーム、そしてイセルナら北回りチーム。これまで自分達は特務
軍の一員として各地の十二聖ゆかりの聖浄器を集めて回ってきた。そしてそんな旅路も、今
や佳境に入ろうとしていた。
「クリシェンヌの聖教典(エルヴィレーナ)、リュノーの天瞳珠(ゼクスフィア)、レイア
の氷霊剣(ハクア)と風霊槍(コウア)、ベオグの鎧戦斧(ヴァシリコフ)、そんでもって
今回の秘葬典(ムスペル)……」
「告紫斬華と願望剣(ディムスカリバー)は連中に渡ってるから、今の所五勝二敗か」
「これでイセルナさん達の回収が無事済めば、七勝ですね」
「そう上手くいきゃあいいんだがな。アゼルはともかく、その後はヨーハンの爺さんにもう
一回話をつけに行くんだろう? わざわざ俺達を翠風の町(セレナス)まで行かせた事を考
えりゃあ、本人はあまり封印を解きたくないみたいな感じだが……」
「かつて自分が使って、その力を知っているが故、なのかもしれないな。確かにこれだけの
力が一ヶ所に集まるというのは、裏を返せば大きなリスクでもある」
 指折り数えて。
 グノーシュに続いて、サフレやリュカ、ダンがそれぞれにごちた。現状ではこちらが優勢
に進んでいることに気を良くする一方、不安材料が行く手に山積している事実も否めない。
ことクロムは元“結社”の一員であった分、敵の巻き返しを強く警戒しているようだ。自分
達の下に集った聖浄器(ちから)は、そうなるほど一挙に奪われる危険性を孕むし、何より
暴走した際には歯止めが利かなくなる。
「だけど、このまま各地に放置しておけば、いずれ奴らに奪われてしまっていた筈よ。いず
れ決着をつける時の為にも、これほど大きな戦力はないわ」
「……まあな」
 暫くそんな一行の思案をミザリーは観ていたが、基本的に回収の旅を後押しする方針には
変わりない。自分達の支配領域からの“厄介払い”という性格もあるのだろうが、彼女自身
が大都で実際に“結社”と対峙し、その頑ななまでの悪意を知っているからこそという面も
ある。
「そうなると、ええと、残りは……」
「イグリットにテュバル、あとユヴァンの聖浄器だな。まぁユヴァンのに関しては、以前に
魔導学司(アカデミア)の連中から行方知れずと聞かされてる訳だし、実質二つか」
「じゃあ私達は、そっちを探しに行けばいいのね」
「……ミザリーさん。何か知っていることはありませんか?」
「そうね。今色々記憶を引っ張り返しているのだけど、そのメンバーについては……」
 マルタからダンへ、ステラからミアへ。
 どしりと対座して訊ねられたミザリーであったが、眉間に皺を寄せて考え込むばかりで、
どうやら該当するような情報を持ち合わせてはいないらしい。
「うーん……。流石にそうトントン拍子にはいかないかあ」
「そうね。そもそも当時の解放戦争に、地底層(こちら)が関わったというケースはあまり
多くない筈だもの」
「でしょうね。当時はまだ、完全に帝国の版図という訳ではありませんでしたから」
「天上も、アゼルやヨーハンはレアケースという訳か……」
 だがそんな時である。暫くめいめいに唸り、黙り込んでいた一同の中にあって、ミザリー
の傍に控えていた側近の一人・老執事風のディモートがはたっと進み出てきたのだ。
 主の意思を汲み取ったのか、或いは単に少しでも早く自分達の領地から出て行って欲しか
ったのか……その真意は定かではなかったが、彼は表面上あくまで客人たるダン達に、丁重
な所作を見せながら言う。
「恐れながら。私は昔“巨侠”テュバルが“器界(マルクトゥム)”の鉱山で用心棒をして
いたという話を聞いた事があります」
「!? テュバルが?」
「器界(マルクトゥム)っつーと……」
「この魔界(パンデモニム)と並ぶ、地底層三界の一つよ。冒険者なら聞いた事があるかも
しれないけど、世界でも屈指の、豊富な鉱資源に恵まれた土地なの。だからか、昔から一攫
千金を狙う血の気の多い連中が多くてね……。今も宿現族(イマジン)を中心としたファミ
リーが幾つも縄張りを作って張り合ってるわ」
 もう一つの幻界(アストラゥム)は──ほぼリリザの国ね。
 するとミザリーが驚くダン達に補足をしてくれた。帝国時代から、その資源が故に地上の
勢力からも狙われ続けた荒くれ者の地。そこでしか採れない貴重な鉱石も少なからず存在し
ているのだという。
「可能性は……無くもないわね。テュバルは十二聖屈指の侠客。あそこは戦後かなり混乱し
ただろうし、助けを求められて渡ったという筋書きは否定できない」
「爺さん。それ、間違いないんだな?」
「おそらくは。ただ如何せん、私が若い頃に聞いた噂話ですから……」
「いや、取っ掛かりがついただけでも充分だ。行くだけでも行ってみよう。はっきりとした
情報がない以上、とにかく先ずは足で稼ぐしかないだろう」
「……そうだな」
 グノーシュが音頭を取る形で、一同が頷く。
 目的地は決まった。敵は今こうしている間にも残りの在り処を探している筈だ。少しでも
手掛かりが欲しい。時間は待ってくれない。
「今の内に、探れる所は探っておいた方がいいだろうしな。地上も天上も、すっかりきな臭
くなってやがる事だし」
 先日こちらにも入った報道では、地上では統務院が保守同盟(リストン)を討つべく大規
模な軍を動かしたという。どうやら先のアトス、ハーケン王子を死に追い遣った元凶が彼ら
と繋がっているらしい。
 加えて天上──イセルナ達のその後も心配だった。新聞ではまだ事細かな情報が出回って
いないが、あちらもあちらで戦いの気配がある。こちらも何時までも呑気に歩き回れるとは
限らないのだ。
「保守同盟(リストン)ねえ。結社(れんちゅう)が噛んでたとはいえ、皇国(トナン)の
内乱でも邪魔立てしてくれたもんな」
「ええ。ヘイトも厄介な味方をつけたものだわ。でも、決戦前に仲間割れなんて……」
「……二年前、ギルニロックで既にその兆候はあったろう? 昔からあいつは、私怨に囚わ
れ過ぎる所があった。私が非難する資格はないが」
「クロム……」
 リュカの不安に、クロムはやはり淡々と述べていた。それでも心なし小さく眉間に皺が寄
っているのは、使徒時代の個人的な仲の悪さか。ダンが鞄に突っ込んでいた新聞をもう一度
取り出して眺める。導信網(マギネット)のリアルタイムの情報では、統務院と彼らの戦い
に、他ならぬ“結社”もが乱入してきたらしい。
「……こっちはあいつらを迎え撃つのでも必死だったってのに。舐められてるのかねえ」
「どうかな。踏み絵、なのかもしれん」
 うん? ダンが頭に疑問符を浮かべている。クロムはちらっとこちらを見もせずに、床の
一点を見つめたまま押し黙っていた。

『──僕には、彼らを率いているボスが、まるで自ら悪役を演じているように思えてならな
いんです』

 この二年の束の間で仮初の安寧の中で、レノヴィンの弟・アルスにこっそりと告げられた
言葉。彼は気付いていたのだ。聡い子だなと思う。自分は明確な返答を投げ返せなかった。
実際に確証がなかったからではない。今でも自分は、あの人の抱いていた本当の“願い”を
真正面から否定する気にはなれない……。
「……行こう。グノの言った通り、じっとしてちゃあ始まらねえ。一旦船に戻るぞ。その前
にイセルナ達の状況も確認しておきたい」
 そうして、ダンがすっくと立ち上がって言った。皆を、南回りチームの面々を見下ろし、
めいめいから首肯を得る。
 ミザリー達も頷いていた。次なる目的地への旅が、始まろうとしていた。

「あんた、自分が一体何をしたか分かってるの!?」
 里の広場に、ミシェルの怒声が響く。
 慌てて駆けつけたジーク達が目の当たりにしたのは、里の外周を囲むように立ち上る赤い
狼煙と、広場で皆を逃さぬように立ち塞がる裏切り者──マギリ達の姿だった。
 召喚された岩巨人(ゴーレム)と、彼に従う覆面のエルフ戦士達。
 ハルトやカイト、得物を抜いたジーク達と、ミシェルら残る“守人”の面々。
 事態はおよそ、最悪の向きへと流れようとしている。十中八九、あの赤い狼煙を上げたの
はマギリ達で、その目的はこの隠れ里の位置を知らせる為だろう。誰に? 勿論、アルヴ側
に。始めから彼は向こうと通じていたのだ。本性を隠し、目的を果たすその時まで……。
「煙があんなに高く……。アルヴはもう、ここの位置を特定したかもしれない。軍勢が攻め
てくるわ。戦争になる。いくらこいつらがご先祖様を追い出した者達の末裔で、快く思わな
いからって……。自分から潰してやろうなんて、間違ってる!」
「五月蝿い、五月蝿い! もう沢山なんだよっ! ご先祖様ご先祖様って、馬鹿の一つ覚え
みたいにさあ! 何で何代も前の奴の安請け合いに、俺達が付き合わされなくっちゃならな
いんだよ!? もう沢山だ! 俺達を縛るだけの過去なんか……断ち切ってやる!」
 だがミシェルの叱責に、寧ろマギリは激昂を返していた。先日までの大人しそうな外見と
は打って変わり、その表情(かお)は鬱積した強い憎しみが溢れ出している。
「さっさと無くなっちまえばいいんだ。アゼルの弓なんか、さっさと渡しちまえばよかった
んだよ。そうすれば俺達は解放される。こんな生活と、おさらばできるんだ……」
 マギリ……。元相棒のテオや、他の“守人”達が思わず唇を結んでいた。ミシェルはそれ
でもリーダーとしての責任感からか、同情をみせる素振りはなかった。みせる訳にはいかな
かったのだろう。
 ジーク達も、キッとこの刺客を見据えている。
 予感がしていた。彼のような心の隙間に、付け込むようなやり方……。
「お前達を、アルヴに売る。そして奴らが来るまでお前達を足止めすれば、あいつは俺達の
願いを叶えてくれると言った! ここは通さないぞ、レノヴィン。ミシェルにお前達の動き
を逸早く伝えたのもその為だ。ニブルと繋がってるお前達なら、いずれここに案内してくれ
る筈だからな」
「……なるほどな。改めてしてやられたって訳だ」
 だがよ。ジークは静かに怒っている。腰の太刀に手を伸ばし、抜き放って叫ぶ。
「それとハルトさん達を巻き込むこととは、筋合いが違うだろうが!!」
 はたしてそれが、激突の合図となった。ミシェルが悔しさに歯を食い縛り、マギリが憎し
みを蓄えた眼でザッと片手を振る。岩巨人(ゴーレム)が動き出した。同時に彼側に与した
“守人”達が左右から地面を蹴り、一同を捕らえるべく襲い掛かる。
「抜けさせるな! 何としても食い止めろ!」
 一瞬の、同胞としての躊躇い。だが続いてカイトが、里の戦士達に号令を放った。
 おおおおおおおッ!! マギリ一派と彼らの刃が、矢が交錯する。大きな足音を立てて、
ゴーレムがその混戦の中へ拳を振るおうとする。
「ちっ! させ──」
 ジークは止めようとした。ぐっと両脚を踏ん張って地面を蹴ろうとしていた。
 なのに……身体が動かない。ずしりと妙に手の中の紅梅が重く感じて、思わず太刀を握る
自身の手に目を遣る。
 残像(イメージ)が過ぎった。封印術式の手枷が、まだ自分に嵌っているのが視えた。あ
の時斬ってしまった若いエルフ達の姿がダブって視えた。じわりと静かに目が丸くなる。
 いいのか? ここで俺が戦って。さっきマギリの口にした“あいつ”ってのは、あの時自
分を操った張本人かもしれないのに……。
「ヌンッ!!」
 だがそんな一瞬の迷いで生まれた隙を、仲間達がフォローしていた。
 オズとカイトである。振り下ろされようとしたゴーレムの拳を、二人が回り込んで正面か
ら打ち返していた。ずしりと、相手の重量に押されて足元が凹む。
「大丈夫デスカ!? マスター、オ気ヲ確カニ!」
「お前は下がってろ! またいつ例の能力を使われるか分かんねえぞ!」
 ぐぐっと全身のバネを使って、二人がこの巨体を弾き返す。茜色のランプ眼とカイトの荒
っぽいが確かな心遣いに、ジークはきゅっと唇を結んでいた。握ったままの紅梅がまだ上手
く震えない。悪ぃ……。小さく呟きながら、そっと柄を握り締める。
「マギリぃぃ!!」
 同胞という数拍の躊躇いこそあったが、ミシェルら残る“守人”らは共に彼を止めること
に決めたようだ。彼女を先頭に、一斉に番えた矢と跳び上がって翻る剣撃が襲い掛かる。
「させるもんかッ!」
 しかしその直前、マギリはゴーレム以外にも新たに魔導具を取り出した。黒金色の指輪を
左の中指に嵌め、同時発動する。
「なっ……?!」
 するとどうだろう。彼が呼び出し、操っていた岩巨人(ゴーレム)が、瞬く間に全身鋼の
身体になったではないか。オーラを纏った矢も、斬撃も、通らずに跳ね返された。逆に次の
瞬間目を赤く光らせたゴーレムが薙ぎ払った腕に、面々が吹き飛ばされる。
「な、何だありゃあ……?」
「鋼身法(アイアンコート)の魔導具のようだね。並みの攻撃ではビクともしないよ?」
 少なからずダメージを受け、或いは空中で体勢を整えて大きく退却したミシェルら達に、
この術式発動を観ていたハロルドが言った。イセルナを含めた仲間達も、このマギリ一派と
の戦いに加勢している。クレアとレナ、シフォンは後衛に回り、負傷したり逃げ遅れた者達
への避難誘導を行っている。
「面倒だな……。大方、後ろ盾になった奴の入れ知恵なんだろうが……」
「砲撃デ吹キ飛バシマショウカ?」
「いや、それは拙い。マギリどころか周りの皆も巻き込んじまう」
「ええ。後ろの本人を叩くのが一番なんでしょうけど……」
 ビクともしない。分かっていても銃撃などの攻撃を加える。のっしりのしりと迫る鋼鉄と
なった巨体を、カイトやイセルナ達がじっと見上げている。
「──皆、下がれ!」
 そんな時である。背後からハルトの張り上げた声と、轟と練り上がったオーラを感じた。
 へっ? ジークやミシェル達はその姿を確認する為にワンテンポ遅れたが、カイトらはま
るで条件反射のように大きく跳び退く。
「グレイ……トルネードっ!!」
 その空いた隙間を縫うかのようだった。直後、粗い灰色の竜巻が激しく渦巻きながらこの
ゴーレムに直撃する。
 凄まじい風圧、局所的なオーラの奔流だった。思わずジーク達もカイト、ミシェルらも、
両腕で顔面を守りつつ、その場に吹き飛ばされぬよう踏ん張るので精一杯だった。
「くっ……! 風の魔導か!? だが、そんなもの──」
 それはマギリ達も同じだった。両腕で庇を作って踏ん張りつつ、この程度の攻撃では強化
されたこの鋼巨人(アイアンゴーレム)は倒せないとほくそ笑む。
「っ?!」
 だが、その直後だったのである。マギリは竜巻の最中、自身の指に嵌めた魔導具達が出力
を弱めていることに気付いた。いや、弱まっているだけではない。まるで何かに妨害されて
力を出し切れず、遂には完全に沈黙してしまう。
「ま、魔導具が……。まさか、これは」
「ああ」
 局所的な竜巻がスゥゥッと消える。そこに残り、漂っていたのは粗い灰色をしたオーラの
粒子だった。マギリ達──に加えてジークや味方の側もその大量の粒子に塗れていた。
 まさかと慌てて、マギリが自身の全身を検める。
 そこには確かに“灰を被った”ようなのゴーレム召喚と、鋼鉄化の魔導具が含まれていた
のである。
「これが僕の《灰》の色装さ。自らのオーラを、魔力(マナ)の伝導を妨げる特殊な塵状に
変化させる。こんな感じでね」
 濛々と彼の発散するオーラが、静かなグラデーションを経ながら《灰》に変わっていた。
マギリやその一派の使っていた魔導具や錬氣が、文字通り一斉に灰を被って動かなくなる。
「けほっ、けほっ……。相変わらずえげつないなあ。兄貴の能力は」
「族長ー! 使うんなら使うってちゃんと言って下さいよー!」
「えー? 言っただろー? 下がれーって……」
 元からその能力を知っているカイトが、里のエルフ達が、それでも巻き添えで灰塗れにな
ったのを不服としてぶー垂れていた。当のハルトが苦笑いを零している。
「……なるほど。こいつは強力だ」
「うん。でもパパのこれって、敵味方関係なく黙らせちゃうから、あまりごちゃごちゃした
戦いでは使い辛いんだけどね……」
 そしてその直後だった。それまで鋼鉄の身体と化し、猛威を振るっていたゴーレムが、元
の岩の身体に戻って尚且つ完全に動きを停止してしまったのである。ずずんと崩れるように
膝を折りながら、その場で倒れてゆく。
 これをイセルナ達が見逃す筈はなかった。次の瞬間、彼女の剣閃とリカルドの体術が巨体
を真っ二つにし、懐に飛び込んだマギリの腹に一撃を叩き込み、彼を大きく背後の木の幹に
まで吹き飛ばしたのだった。
「がっ──?! お……おのれ、おのれ──ッ!?」
 チェックメイトだった。咽ながら起き上がろうとしたマギリの喉元に、ジークの剣先が突
き付けられていた。気付けば彼と、その仲間達は一様にこれを取り囲み、言葉なく強い警戒
の眼差しで見下ろしている。
「……お前の負けだ。色々と、吐いて貰うぜ?」

 かくしてジーク達はマギリらを捕らえ、里の周りの狼煙も手分けして全て消し終えた。
 だが一旦ああも派手に立ち上ってしまった以上、アルヴ側が──そもそも目的がそれなの
だから、見逃している筈はないだろう。本を正せば、自分達が連れて来たのだ。ジーク達
はどうしても罪の意識を抱かずにはいられない。このままではまた、迷惑を掛けてしまう。
「──後は僕達に任せておいてくれ。君達は、予定通り出発を」
「っ!? でも……」
 にも拘わらず、報告を受けて集まった里の皆を代表してハルトは言った。思わずジークは
戸惑う。半分は解っているけれど、それではまるで、見捨てるかのようで……。
「そもそも既に、アルヴ側に口実は与えてしまっているんだ。後は遅いか早いかの違いでし
かないよ。こちらも防衛の準備は進めさせている。君達まで巻き込む訳にはいかない」
「伯父さん……」
「パパ……」
 クレアと、シフォン君を頼む。そうそっと優しく付け加えられて、当の二人がめいめいに
表情を硬くしたり、涙ぐんでいた。ハロルドが眼鏡の奥を光らせている。そんな養父をレナ
が心配そうに見上げている。リカルドが、愕然としたジークやオズの肩をポンと叩き、イセ
ルナがじっと何かを考え込んでいる。いつの間にか、肩にはブルートも一緒だ。
「でしたら、せめて里の皆さんをルフグラン号に避難させては……?」
「気持ちはありがたいけれど、遠慮しておくよ。急げば間に合うかもしれない。だけど、そ
れでは君達に負担が掛かる。それに、外界の助けはこの“内戦”を“戦争”に変えてしまう
だろう。君ならその意味は……分かるだろう?」
 半ば駄目元だったのもしれない。更にイセルナのそんな申し出に、ハルトらは努めて微笑
みを向けながら断った。確かに避難には成功するかもしれないが、もしジークら地上の人間
達介入の事実が明るみに出れば、この一連の諍いはより大きく拗れてしまう筈だ。少なくと
も開拓絡みで地上人を嫌っている天上層の人々の多くは、アルヴ側により正当な“大義”を
見出すだろう。
「……口実ニサレウル、トイウ訳デスカ」
「そういうこった。まぁ例の刃傷沙汰だって、向こうの誰かが仕組んだんだろうけどよ」
「ここは僕達が皆で築いてきた里だから。できれば捨てたくはないんだ。それに、君達が来
ようが来まいが、いつかこんな時が来てしまう気はしていたから……」
 にこり。ハルトと、集まった里の面々は微笑(わら)っていた。
 元より彼らは、光の妖精國(アルヴヘイム)という既存の巨大なコミュニティに馴染めな
かったり、反発した者達だ。それ故にこの数年でようやく果たせた独立は彼等の理想そのも
のでもある。それがたとえ、差し伸べられる手を撥ね退けるような行いになろうとも。
「彼らと──アルヴの守旧派と和解できず、結局独立という形を取らざるを得なかった時点
で、こうなる事は予想できていた。そもそも里から独立、という行い自体、長老達にとって
は裏切り行為だったろうからね」
『……』
 気に食わない。ぶっ潰してやる。
 そんな敵意が向けられると分かっていながら、いや、既にあの場所で向けられていたから
こそ、逃げ出す他なかったのか。少なくとも相手に、話し合いに応じる余地が無かったので
あれば。
 ジーク達はじっと押し黙っていた。ぎゅっと唇を結び、ハルト達の、今日までに至る全て
の日々と労苦を想像する。
「里を作る時から、備えはしてきた。防衛(まも)ってみせるさ。だからお前らは、振り向
かずに先ず目的を果たして来い」
「“結社”の狙いがアルヴを介して貴方達を足止めすることなら……尚の事進まなくちゃ。
今ならまだ間に合うわ。遠隔操作の術者を倒して、アゼルの弓を手に入れて? それがきっ
と、ミシェルちゃん達の解放にも繋がると思うの」
『……』
「サラ夫人……」
 カイトががしりと片手で己の拳を受け止め、サラがあくまで微笑を絶やさずにそうジーク
達の背中を押した。ミシェルやテオ、一行に同行する残る“守人”達が泣き出しそうになり
ながらも必死に堪えている。マギリ達は結局口を割らなかった。よほどその黒幕が恐ろしい
のか、或いはまだ自分の務めが及第点に届いていたと信じているのか。
「仕方が、ありませんね」
 そうして、先ず最初に動いたのはハロルドだった。重苦しく呟きながら一人先に踵を返す
と、ゆっくりと部屋を後にしようとする。ジークやシフォン、クレアらはまだ後ろめたさに
渋面を崩せないでいた。通り過ぎるクランの御意見番に、イセルナは言葉なく横目を遣って
黙っている。そんなジーク達の肩を、ハロルドが通り際、ぽんと軽く叩くと呟いた。
「作戦変更だ。二手を作ろう」


 地上が保守同盟(リストン)討伐に大きく舵を切ったその日、膨大な災いと、思わぬ第三
者が姿をみせた。
 “結社”の軍勢である。保守同盟(リストン)もといヘイトがワーテル島を始め、世界中
に放った黒い瘴気の異形達を、その兵火力をもって次々に焼き払い出したのだった。
「……“結社”が?」
 通信の向こう、王達の声にヒュウガらが眉根を寄せる。
 ちょうど、そんな時だったのだ。彼らの頭上──ワーテル島の上空に、赤と紫の光球が降
りて来たのは。
『──』
 眩さと気配に思わず空を仰いで、討伐の最前線、現場に立つヒュウガらが目を丸くする。
 間違いない。大都で相見えたのと同じ者達だ。“教主”と呼ばれる組織の大ボスと、使徒
ルギス、フェニリア、セシル、バトナスにフェイアン、エクリレーヌ。
 更に今回は“教主”の紫色の光球と並ぶように、赤い光球が浮かんでいる。
 ヒュウガ達はじっと目を凝らした。するとその中から、光をサッと撥ね退けるように姿を
現したのは、不敵な笑みをみせる重鎧の男──。
『元使徒、ヘイトよ。聞こえるか?』
 厄介な連中が割り込んできやがった……。ヒュウガら地上の討伐軍は一斉に身構えたが、
そんなこちらの臨戦態勢などまるで眼中に無いかのように、次の瞬間“教主”が第一声を放
った。光球のみで表情の類は分からない。だがその声は確実に、島の中心部──黒瘴気の渦
の只中にいるであろうヘイトに向けられている。
『一度は逃がしてしまったとはいえ、随分と勝手な真似をしてくれたな? もうお前を野放
しにはできん。お前達を抹殺する。お前の望みは、我らが大命と共存しない。もうこれ以上
お前達のような第三勢力の存在を許す訳にはいかぬ』
 まだ中心部に到達できていない、地上からの様子しか見えないヒュウガ達には、そんな彼
らからの宣戦布告に、当のヘイトがどんな反応をしているかは窺えない。ただ少なくとも、
黒瘴気の渦が大きく戦慄いていることからも、彼が強く怒り──反発しているのだろうとい
うことぐらいは想像できた。
(……それにしても、妙な言い草だな。まるで自分達だけが、世界と戦うんだとでも言いた
いかのような……)
 一同が唖然とし、困惑している中でヒュウガは内心そう一抹の違和感を抱いていた。形式
上“仲間割れ”には違いないのだろうが、その本質は何処か別の所にあるような気がする。
「今更……。まだこの僕に、立ちはだかるつもりか!!」
 地上、ワーテル島の中心部から、無数の黒瘴気の触手が一斉に“結社”達に向かって襲い
掛かった。それをルギスが、フェニリアとフェイアン姉弟の魔導が相殺し、更に絨毯爆撃さ
ながらの反撃が叩き込まれる。
 一瞬にして、場は燃え上がる炎熱地獄の様相を呈していた。使徒達だけでなく、引き連れ
られた飛行型魔獣らの攻撃、そこに乗っていた者達の降下・強襲が加わる。
「くっ……! 舐めるなよ。もうあの頃の僕と同じだと思うな!」
 ヴォオオオオッ!! 中枢で、ヘイトが自身の両手から伸ばした魔力(マナ)の糸束をが
しりと引き寄せる。周囲に展開していた操精器が、激しく出力させられて振動する。大量の
黒瘴気が次々と供給され、彼を包んだその異形は瞬く間に巨大化した。それまでただ蠢いて
いただけの渦から頭一つ二つも抜け出し、上空に浮かぶ“教主”達に向かって爆音のような
咆哮を上げる。
『ぬぅっ……!』
『な、何て力だ。もし、あれが一国を狙って攻めて来たら……』
 そんな一部始終を映像越しに見ていた王達も、その想像以上の禍々しさとエネルギーに戦
慄している。だが当の、現地でこれを見上げていたヒュウガら三兄妹は、もっと別の事を考
えていた。
「おいおい……。こっちガン無視で仲間割れかよ」
「でもあいつらが分裂してたのって、今に始まった事じゃないんじゃない?」
「将軍。今がチャンスでは? 双方が手負いになれば、一挙にこちらが討ち取る事も……」
『む。そ、そうだな。このまま潰し合ってくれるのなら、こちらとしても都合が良い』
「……」
 変幻自在な瘴気の鎧を纏ったヘイトと、地上に降りた使徒達が炎の海と化した中心部で激
しくぶつかり合う。
 常人には、目で追うことすら困難な高レベルの戦闘だった。火花が散り、魔導が飛び、或
いは瘴気の鎧がすれ違いざまに削られども、すぐさまその傍から再生して鋭い反撃が繰り出
される。
『ふむ……。思ったより粘るものだな。“武帝”殿、頼めるだろうか?』
「ああ、任せろ。元よりその為の布陣だろ?」
 だが状況が一変したのは、そう“教主”の要請を受けて、重鎧の男がこの交戦に加わって
からだった。スゥッと浮遊を切って地上に降り、ばさりとマント翻す。ルギスら使徒達が肩
越しにこれを見て一旦大きく飛び退くと、彼はニッと嗤いながら放ったのである。
『──!?』
 轟。次の瞬間、何か凄まじい風圧が辺りを駆け抜けた。目には見えない。だがこの場に居
合わせた者達にははっきりと、その力の強大さは否応なく感じられた。ヘイトの纏う瘴気が
風圧ごと引き剥がされ、更に外周にいたヒュウガら討伐軍の兵士達が、次々に苦しそうに膝
をついたり、或いは白目を剥いて倒れていったのである。
「……な、何だ?」
「か、身体が言う事を聞かな……」
「お、おい! しっかりしろ!」
「何がどうなってるんだ? 直接攻撃されてもないのに、ごっそりやられたぞ!」
「……ヒュウ兄。これって」
「ああ、間違いない。皆、気を付けろ! 奴は例の“獅子王(グラムベル)”が苦戦させら
れた男だ!」
 手柄を、大義名分を取られると焦った王達に尻を叩かれ、自分達もと残る瘴気を掃いなが
ら進軍を再開していたのが拙かった。所々で燻っている瘴気の泥、燃え盛る火の海が見えて
きたその時、ヒュウガら討伐軍の面々もまた、この重鎧の男の放った気迫の餌食になってい
たのである。
(……報告にあった通りだ。《覇》の色装。ファルケン王と同じ、だが彼のそれとは比べ物
にならないほどの威力……)
 数回、そうして重鎧の男は己の覇気を放ち、迫り来る大量の黒瘴気を吹き飛ばしていた。
 はたしてそれはヘイトの力を削ぎ、襲い掛かる手勢達を葬る事となる。鎧が剥がれ、彼の
本体が露わになった所をルギス達は見逃さず、遂に放たれた魔導が次々とヘイトの身体を貫
いたのだった。
「ぐっ、があ……ッ」
 深々と突き刺さった炎槍、氷刃、或いは鉄槍。ヘイトの身体からは大量の血が流れ、口か
らも押し出されて吐かれ、その身はあっという間にボロボロになる。
「……何でだよ。お前らだって、この世界をリセットしたかったんじゃないのかよ!?」

 時は二年前、ギルニロックでの裏切りにまで遡る。
 ヘイトは『私情を優先させた』として、内密に指令を受けていたセシルにより、一旦退却
せざるを得ないほどの重症を負った。当然彼(と彼女)は追撃を加えてきたが、偶然にもそ
の場に居合わせたウゲツの介入により、生まれたその隙を掻い潜って脱出──即席の空間転
移に成功した。
 それでも暫くは、怪我で満足に動けなかった。
 文字通りの這う這うの体。幾ら瘴気に耐性のある魔人(メア)でも、オーラ自体をそれに
変えた一撃で刺し貫かれれば無事では済まない。ヘイトは屈辱と、怒りに燃えながらも必死
に生き延びようとしていた。転移した遠い山中で、生死の境を彷徨っていた。
 そして、偶然そこで出会ったのが──とある一人の商人だったのである。
 彼はその日、開発中の鉱山を視察する為に、部下達と共に訪れていたのだった。そこで重
症を負ったヘイトを見つけ、半ば咄嗟に彼を搬送・治療を行わせたのである。
 理由はもう一つあった。実は彼は、保守同盟(リストン)のメンバーだったのだ。
 やがて目を覚ましたヘイトに、彼は言った。「嗚呼、選ばれし者よ!」彼らメンバーにと
って魔人(メア)とは、この世界の穢れを一身に引き受ける聖者──崇拝の対象だったから
だ。半ば成り行きではあったが、ヘイトはこれ幸いと暫くの間、彼の庇護下に収まることに
したのである。
 保守同盟(リストン)とは、現在の世界の流れに抵抗する人間達が集まった勢力だ。
 彼らの思想は概して反開拓。際限なく肥大化してゆく今のシステムは、格差と貧困、何よ
り争いを撒き散らすばかりだとその悪性を説く。故に目指すのは単一化されない世界、かつ
ての古き良き時代──程よく隔たれた世界への回帰である。
 ヘイトは、故にこの一大勢力に目をつけた。隠れ蓑として使えると判断したのだ。
 正直な所、彼らの理想自体に興味はなかった。だが勝手に自分を崇拝し、信頼してくるの
が便利だと思っただけだ。
 “結社”は「大命」を成そうとしている。それは大きく括れば彼らと根っこを同じくする
筈だ。なのに奴らはいつも回りくどい。“大盟約(コード)”を破壊すれば、即ち世界の歪
みは正される。在るべき世界を取り戻すというスローガンは達成できる筈なのに。たとえそ
の結果“人が滅んで”しまっても、世界の崩壊というより大きな災いは回避できる。いや、
寧ろヘイト自身はそれ望んでいた。そんな大義名分があると知ったからこそ、彼は“結社”
からの勧誘に応じたのだから。
 ……ならば、自分が果たそう。“大盟約(コード)”を破壊して、このクソッタレな世界
に自分こそが復讐するんだ。
 その為には力が必要だった。従順な駒、頭数が要る。“大盟約(コード)”の本体へと続
く摂理宮の中枢に攻め込むには、充分過ぎるくらいの戦力を用意しなければならない。幸い
此処には、自分を盲信する体のいい駒達がわんさかと集まっているではないか。
 そうだ。とにかく今は耐えよう。
 耐え忍んで、反撃の為の力を蓄えるのだ……。

「──はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
 なのに二年越しに、彼は再び窮地に追い遣られようとしていた。切欠はハーケンがボロを
出してしまった事に遡るが、これまで地道に集めてきた力を、他ならぬ“教主”達が大挙し
て潰しにやって来たのである。
 辺り一面火の海となったワーテル島の中心部。ヘイトはあちこちが剥がれた黒瘴気の鎧に
身を包み、幾多もの魔導に身体を刺し貫かれながら、激しく肩で息をしていた。この形勢逆
転を作った重鎧の男──“武帝”を先頭に、かつての使徒(どうほう)達が今まさに自分に
向かって刃を向けてきている。
「……そろそろ諦めたらどうだ? もう、お前に勝ち目はない」
「五月、蝿い……。まだだ。まだ僕は、負けていない……!」
 ちょうどヒュウガ達も、こちらへの攻撃の手が薄まり止んだ隙を縫って彼らの下へと近付
こうとしていた。漁夫の利を狙う為である。尤も当のヒュウガ達本人らは、王達がけしかけ
るように、そう易々と彼らを一挙に討ち取れるとは思っていなかったが。
「……もっとだ。もっと力を、この身に!!」
 そんな時だったのである。古巣の者達に加え、ヒュウガら討伐軍が迫って来るのを見て、
ヘイトはだんっと強く両手で地面を叩いた。直後にわかに激しい地響きが辺り一帯に鳴り始
める。
『っ!?』
 一瞬の出来事だった。彼を中心として、文字通り大地が割れた。膨大なエネルギーが彼の
下へと集まりながら大地を抉り、巨大な黒い刃となって四方八方から迫る。
 重鎧の男や使徒達、ヒュウガらも思わず、咄嗟に危険を感じて飛び退いた。目の前で瞬く
間に大地が破壊されてゆく。ワーテル島が、本来の形を失ってゆく。
「ははははは! あははははははッ!!」
 黒い刃のように集まった大量の瘴気は、はたしてぐるんと円を描くようにヘイトと彼らを
隔てて繋がったのだった。即ちその光景は、ワーテル島の中心部とその他を綺麗に切り取っ
った、黒い巨大な防壁のよう。突然切り離された一同は、あまりの出来事に驚愕のまま言葉
を失っていた。
「いいぞ、いいぞいいぞ! 素晴らしいエネルギーだ。これなら、世界の全てをぶち壊す事
だってできる……!」
 また、世界各地に現れた黒瘴気の異形達が、この収束する流れに吸い込まれるようにして
呑まれていった。これらを焼き払いに来た“結社”の軍勢も、各地で防衛に死力を尽くして
いた各国の軍も、突然の事態に呆然と立ち尽くすことしかできない。
「……ワーテル島が」
 ぽつり。グレンが目を大きく見開いて呟いている。その言葉の通り、ワーテル島は、ヘイ
トが黒瘴気を集める中心部を残してゆっくりと浮遊し始めたのだ。周りの大地を切り離して
轟々と、やがて今度は少しずつ“下”へと降りてゆく。

 回収された各地の黒い異形達を、そのエネルギーに換えて。支える無数の触手として。
 その日ワーテル島は、霊海(くも)の中に沈んだ。


「そういう訳で、次は器界(マルクトゥム)に行く。船を動かす準備をしておいてくれ」
 一旦転送リングでルフグラン号に戻ったダン達は、そう一通り報告をした後でレジーナや
団員達に指示を出した。魔都(ラグナオーツ)から“常夜殿”に至る道中、地下礼拝堂前の
戦いで秘葬典(ムスペル)を無事回収したことも勿論報告済みだ。
 了解。エリウッドが頷いて技師らに目配せをし、彼らが作業の為に散ってゆく。その後ろ
姿を眺めながら、ダン達はようやく一息をつく事ができたのだった。
「器界(マルクトゥム)かあ。どんどん地下に潜ってゆくなあ」
「? そうなのか。魔界(こっち)とあっちって、位置的に水平じゃねえの?」
 団員達もその辺りは同様で。ダン達が戻って来たからこそ安堵していて。
 操縦室のテーブルを囲みながら、一同は暫し茶を飲みながら休憩していた。併せてダン達
も、留守の間のあれこれが気になっている。
「それで? ジーク達は今どうしてる? 地上はどうなった? ちらっと聞いた話じゃあ向
こうも随分ごたごたに巻き込まれているみてぇだが……」
「うん。そうだね。イセルナさん達からの伝言も踏まえて、話しておかないと」
 皆を代表してエリウッドが質問に答えてくれた。今自分達に関係するもので大きな動きは
次の二つだ。
 一つは、ワーテル島の戦い。先日統務院が保守同盟(リストン)をハーケン王子を謀った
主犯と断定して大規模な軍を動員、東方南端にある同島を舞台に激しい戦闘になっていると
いう。戦況は当初からその黒幕、ヘイトにより混乱続き。同島だけでなく、世界各地に彼の
手によると思われる瘴気の異形達の出現報告が相次いでいるそうだ。
 そしてもう一つが、ジーク達の動き。ハルトが里長を務める霧の妖精國(ニブルヘイム)
に『陣』を敷いた後は、アゼルの聖浄器を目指して情報集めを進行。鍵となる“守人”達と
の接触にも成功したのだが……。
「問題は、その途中でジークがアルヴのエルフ兵を斬っちまったって事なんスよ。ハロルド
さんの見立てだと、そういう遠隔操作の能力者の仕業だって話ですけど……」
「なもんで、アルヴは今、ここぞとばかりにニブルを攻め落とそうと兵を起こしてるって話
です。元々から二つの里──というかアルヴの側が一方的に目の敵にしてて、仲は悪かった
みたいなんですけどね」
「ジーク本人は大分自分を責めてましたが、ハロルドさんや団長の判断で、今はニブルを出
て、その能力者を追ってます。先ずはそいつを何とかしないと、いつまた同じ事件が起こさ
れるか分からないですからねえ」
「……なるほど。大体の事情は分かった」
「新聞は、アルヴ側の肩を持つ感じで書かれていたけど……。やっぱり誤解だった」
 ダンが一通りの話を聞いてコクコクと頷いている。その横で、ミアが淡々とその事実が表
沙汰になっているものとは違っている──より複雑なのだと安堵したように、ステラやマル
タ達と頷き合っている。
 十中八九、刃傷沙汰が口実にされたのだろう。となると、やはりこの件にも“結社”が絡
んでいるのだろうか? 少なくともタイミングが良過ぎる。予めこちらの動きやら何やらを
把握していない限り、こんな先回りをしたような手は打てない筈だ。
「まあ、話の通りハロルドが“手を打ってある”って言ってるんなら、俺達が慌てて加勢す
るのは下策か」
 状況が拙いのは向こうの面子も解っている筈だ。その上で、何よりも先ずニブルから離れ
ることを選んだ。……事を大きくさせない為だろう。地上育ちの自分達には未だイマイチ解
せぬ感覚だが、外界の人間が加担することで拗れるという方程式は、以前“青龍公”の案内
で天上に上った際に口酸っぱく聞かされた。
「じゃあ、俺達は先ず、自分達のすべきことを優先すりゃいいって訳か」
「ああ」
 ジーク達もそれが解っていて、ハルト達の申し出を受け入れた筈だ。盟友の子供達だから
巻き込めないというのなら、こちらだって世代を越えた“仲間”だ。それでも片方の思いだ
けを通さなかったのは、ひとえにそれがお互いにとって現状の最善手であったからに他なら
ない。
 一通り話し合った後で、ダン達は改めてこちらはこちらで聖浄器の回収を進める──終わ
らせようという結論に至った。仲間を信じよう。それでも念の為、団員達にはいつでも飛ん
で行けるように準備を怠らぬよう、指示を出しておいた。
「出発しよう。器界(マルクトゥム)に向かって潜行してくれ」
 目指すは一路“巨侠”デュバルが戦後滞在していたという地底層三界が一つ、鉱山と荒く
れ者達の地・器界(マルクトゥム)。彼の足跡を追うべく、先ずはとにかく情報を集めなけ
ればならない。
(……決戦に備えての回収任務なのに、遅かったかね? 少なくとも地上の方は、ハーケン
王子の弔い戦ってとこなんだろうが。どうも全部を救うってのは難しい……)
 だがちょうど、そんな時だったのである。
 停泊から飛行し始め、ゆっくりと霊海の中へと潜り始めていたルフグラン号が、突如とし
て激しい揺れに襲われた。思わずダン達もその衝撃によろめき、手近なものに掴まって踏ん
張りながら、何事かと慌てて辺りを見渡している。
「な、何!?」
「おい、どうした! 何があった!?」
 船内に、アラーム音と回転する赤い照明が鳴り響く。どうやらただの潜行による揺れでは
なさそうだ。操舵するレジーナやエリウッド、技師組にダンが叫ぶ。
「た、大変です!」
「攻撃よ! 船が攻撃を受けてる! これは……魔獣の群れ!?」
 激しい揺れに耐えながら、二人は操縦桿を握っていた。レジーナが、船体と周辺を映す外
部カメラの映像を確認すると驚きの声を上げる。
 そこには……大群を成してルフグラン号に迫る、飛行系魔獣達の姿があった。

 アルスの新しい自室をお披露目して以来、彼とその学友達は、ほぼ毎日のようにこの部屋
に集まっていた。
 その日の講義を終えてから、それぞれに転送リングで船内へ飛ぶ。部屋奥の書庫に保管し
てある、賢者(リュノー)が遺した大量の文献を手分けして解読する。
 しかし、そんなルーティンが出来上がったからといって、作業自体が捗ったかと言えば必
ずしもそうではない。寧ろ膨大な文献の山は、遅々として減る気配はなかった。ただでさえ
部屋に持ち込める量は全体の一部でしかないがために、体感的な徒労感は、一介の学生達に
はどうしても重過ぎた。
 何よりも……これといった進展がない。
 とにかくアルス達は片っ端から文献を検めていったが、書き記されている内容はどれも断
片的な記録ばかり。大よそは解放戦争前後のものであったが、その時系列はてんでバラバラ
だったのである。
 何故リュノーは、こんな一貫性のない書物を大量に遺したのだろう? 地下に使い魔達を
置いてまで厳重に保管し、人目に触れぬようにしてきたのだろう? そこが依然として分か
らなかった。アルス達はただ連日悶々と、この果ての見えない闘いを続けていたのである。
「──うあ~……。も、もう駄目だぁぁ~……」
 ぐてんと、集中力を切らしたフィデロがテーブルに突っ伏す。この日も解読作業は行われ
ていた。だが相も変わらず進展らしい進展がないため、場の空気はいつしかピリピリとした
ものに変わっていた。口からぽわ~っと魂の出るような彼の嘆きに、苛々っとシンシアが眉
間に皺を寄せて苦言を投げる。
「ちょっと、だらけないでくださいます? 口に出したら余計に疲れるでしょう!?」
「まぁ、元々こういう作業には向いてないからねえ。エイルフィードさんも、一々キレてい
たら無駄に消耗するだけだよ? 平常心平常心……」
「き、キレてなんかいませんわ!? ただ、いつ私達の知りたい内容が書かれたものが出て
くるか分からないから……」
 それでも、幼馴染兼腐れ縁という奴か。彼女と斜め向かいのルイスが、そうあくまでのほ
ほんとした様子で宥めていた。或いは彼自身、そう言い聞かせることで場とめいめいの気持
を維持しようとしていたのかもしれない。
 ぶつぶつと、シンシアが再び手元の文献に向き直っている。頭上にはカルヴァーキスが顕
現したまま退屈そうに浮かんでおり、お付きコンビのゲドとキースも、門外漢故に部屋の入
口でぼんやりと今日の作業の終わりを待っている。
「……」
 右手には不機嫌なシンシア、左手にはぐったりと疲れてしまったフィデロ。
 アルスはそんな友人達の些細な言い合いにも、内心敏感に反応してしまっていた。手元の
文献でそっと口元を隠し、こんな途方もない作業に付き合わせてしまった事を申し訳なく思
っている。
「そりゃあそうかもしれねえがよお……。それは一体いつ来るんだよ? これでもう何週間
目だ? 正直キリねぇぞ。ぼちぼち試験の方も日程が出るし、ここいらで一旦休憩ってこと
にした方がいいんじゃね?」
「うーん。それは確かにねえ。先生達にも、学業に支障が出ない範囲でって釘を刺されてい
る訳だし……」
「だからって……。状況は、そう悠長に待ってはくれませんわよ? この前だって統務院が
保守同盟(リストン)を攻撃するって話が出た所じゃありませんの」
 そうなのだ。自分達がこうしている間にも、世界の情勢は一つまた一つ大きく変わろうと
している。地上では統務院による保守同盟(リストン)討伐──事実上のハーケン王子の死
に対する報復。天上ではアルヴとニルブ、二つの妖精族(エルフ)の里が、不慮の衝突を切
欠に、内戦寸前にまで緊張を高めている。加えてクランの皆から聞く限り、その切欠となっ
た事件には、兄の失態が大きく関わっているらしい。
 ……正直アルスは気が気でなかった。ハロルドから、当の兄から実際にあった一部始終を
聞き、敵の罠に嵌っただけだと知ってほっと胸を撫で下ろしこそしたが、それでも実際に兄
が現地のエルフ兵を斬ってしまった事実には変わりない。その後兄らは自分達を嵌めた術者
を探すべく再び古界(パンゲア)に戻って行ったが……はたして見つかるのだろうか? こ
の拗れてしまった状況を打破する事はできるのだろうか?
 心が、痛かった。胸の奥がキリキリと締め付けられてひび割れそうだった。
 もしかしてなくても、自分達の努力は間に合わなかったのか? どだい調べ直す文献の量
が膨大だと分かっていたにせよ、何処かで「何とかなる」と悠長に構え過ぎてしまっていた
のではないか?
 現実に人が殺し合い、巻き込まれているのに……。
 アルスは何もできない自分を酷く悔いていた。自分の無力さを幾度となく呪った。
 彼女の言う通りだ。時間は、世界の人々は待ってくれない。こうしている間にも“結社”
は勿論、争いの渦に呑まれ、関係する国々が様々な思惑で動く。その駆け引きの末に、また
一つ新たな災いが生まれる。巻き込まれるのは、いつだってただ普通に暮らしたいと願うだ
けの人々だ。……本当に間に合うのだろうか? これなら自分でも力になれると思って引き
受けた解読作業なのに、少しずつそれさえも疑い始めている自分がいる……。
「はあ……。疲れた」
 だが、ちょうどそんな時だったのである。くてんとテーブルに突っ伏したままの──文献
の上に頬を押し当ててうとうとし始めるフィデロの、その些細な一言が、そんなアルス達の
停滞を払う切欠になったのである。
「ほーらあ、顔を押し付けない。ルイスにも言われたでしょ? ここにある文献は全部が全
部、歴史的に貴重なものばかりだって。あんたのよだれなんか付いたらどうするのよ?」
「分かってるよー。でもなあ……大体汚したら償い切れないっつったって、元からあちこち
汚れてるじゃんかー。別にちょっとぐらい分かんないんじゃねーの? ほら、ここにもぽち
っと赤い点が──」
「!? フィデロ君。それ、本当?」
「ん……? ああ。言っとくが俺じゃねえかんな? 開いた時にはもう付いてて……」
 ふよふよと移動してきて、そう小言を放つエトナ。そんな彼女にぶつくさと文句を垂れる
フィデロに、アルスは次の瞬間、弾かれたように迫った。最初は彼も、周りの皆も怪訝な様
子でこれを見ていたが、当のアルスはまるで大量のスイッチがオンになったのかのように、
彼の示してきたこの手元の資料をぶん取って目を通し始める。
「……アルス?」
「ど、どうしたんだよ? 俺、何か拙い事でも言ったか?」
「……ううん。そうじゃないよ、そうじゃないんだ……。嗚呼、そうか、そういう事だった
んだ! 凄いよフィデロ君! やっと分かった! 君のお陰で、謎が解けたよ!」
 それは即ち、アルスの興奮。
 名指しされたフィデロは勿論の事、場の面々が頭に大きな疑問符を浮かべながらこちらを
覗き込んでいた。テーブルの上から次々にアルスが手に取り、確認しているのは、各文献内
に書き込まれた二つのキーポイント。リュノーの手記と思われる文章内には赤点が、大書庫
内に保管されていた文献の文章内には青い点がそれぞれ散見されている。
「まさか、こんな仕掛けになっていたなんて……。皆、これまで見てきた手記をもう一度拾
い直してくれる? 読まなくていい。これみたいに赤い点がついている箇所を見つけて、そ
の章の年月日を抜き出して欲しいんだ」
『……??』
 だから最初、シンシア達は彼が何を言っているか分からなかった。
 もう一度手記を? また拾い直すって? それは酷く徒労のように思えたが、何かを見つ
けたかのように興奮しているアルスの──彼の明晰さを知っているからこそ、一同は次の瞬
間には互いに顔を見合わせて、大きく頷くと動き出した。
「ふふっ。何だかアルス、スイッチが入ったみたいだね?」
 アルスの指示を受けて、一同はリュノーの手記──隠し部屋の中にあった分の文献を一か
ら見直し、その本文内に点在する赤い点をリストアップする作業に入った。すると確かに彼
の言う通り、そこには次々と特定の記号や数字に付いている箇所が見つかったではないか。
 そして時系列順に、この赤点が示す記号と数字の組み合わせを並べ直す。参照するのは、
一連の解読作業の前にアルノーから預かっていた大書庫内の整理番号一覧の写しだ。アルス
は赤点の示す各記号と数字の組み合わせに対応する文献を──手記とは別の、大書庫内に保
管されていた側の文献を一冊また一冊と検めてゆく。
 その中には、特定の文字を示すように青い点がぽつぽつと付けられていた。アルスがこれ
までの解読作業の中で、気付いて何処か不審に思いながらも、結局その意味する所が分から
ずスルーしていたものである。
 後は、その作業の繰り返しだった。手記から整理番号を探し、その記号と数字の組み合わ
せに宛がわれた、大書庫側の文献内に付けられた青い点を拾ってゆく。
 そうして次々に、この青点が示す文字をメモ上に書き出してみると……現れたのである。
 大書庫の史料と隠し部屋の手記、二つの空間と大量の書物というダミーの中に隠された、
時を越えて語り掛けてくる“賢者”からのメッセージが。
『私の名は、リュノー・マルセイユ』
『この一節が見つかったということは、世界は既に未曾有の危機に瀕しているだろう』

スポンサーサイト



  1. 2017/12/05(火) 18:00:00|
  2. ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<(雑記)マウント・ザ・アラウンド | ホーム | (企画)週刊三題「タメライミライ」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://higurasisouann.blog27.fc2.com/tb.php/936-73ecebcb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止します。

訪問者累計

最新記事

最新発言

検索窓

月別履歴

07 | 2020/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

分類/索引

【案内板】 (2)
【小説:短編】 (20)
本の蟲 (1)
硝子野不動産店 (1)
夏の日の幻影 (1)
四番線の彼女 (1)
夢視の宿 (1)
線を曳く町 (1)
炬燵の神様 (1)
三者三盗噺 (1)
色眼鏡 (1)
奴らは攻城戦師 (1)
詰め替える (1)
同じ籠の狢 (1)
二十年後の遺言 (1)
轍の先 (1)
水に流せば (1)
真夜中の御二柱 (1)
いつか見た夢 (1)
神様達の初詣 (1)
白い花束 (1)
丸の代償 (1)
【小説:長編】 (205)
Amethyst League (6)
アンティーク・ノート (3)
ユウキのヒカリ (5)
NIGHT GUNNERS (5)
レディ・ルーン-Bonds of RU'MEL- (6)
ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle- (116)
死に損いのデッドレス (5)
Dear SORCERY (4)
サハラ・セレクタブル (55)
【企画処】 (510)
週刊三題 (500)
その他参加物 (10)
【資料庫】 (2)
【落書帳】 (2)
【詩歌帳】 (9)
【雑記帳】 (419)
【読書棚】 (32)
【遊戯倉】 (25)
path. (4)
decide: (3)
ユー録FW(凍結中) (17)

記事録

交友関係

このブログをリンクに追加する

(RSSリンク)

(QRコード)

QR

Tweets by long_month