日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-Ⅶ〔88〕

「くうっ! 何という事だ……!」
 光の妖精國(アルヴヘイム)の中枢、屋内庭園に囲まれた会議場。
 外界の騒ぎとは一見隔絶され、対照的に見えるその広々とした席に、五人の老エルフ達が
集まっていた。この巨大な里を統べる長老達である。
 内一人がぎりっと杖を握り締めて怒っていた。残る四人も同じく激昂や、寡黙な不機嫌面
をそれぞれに浮かべている。
 先刻、里一帯に警報が鳴り響いた。防御結界に干渉した何者か──侵入者を知らせる鐘の
音だった。
 長らくこんな事はなかった。そもそも自分たち妖精族(エルフ)の一大拠点を、不用意に
刺激して敵に回そうと考える勢力が此処古界(パンゲア)の何処にいるというのか。
 なのに、現在進行形でそれは起きてしまった。森に紛れながら、犯人は逃走。しかも出動
した若い兵が二人ほど、彼らに怪我を負わせられたという。
「その者達の手当てを急げ、このような事で失わせてはならんぞ!」
「意識が戻れば、犯人の顔も覚えているだろうしな……。速やかに状況の整理を進めよ」
「他に被害はないのか? 一体何の為に……?」
 めいめいに腰掛けたまま、困惑している長老達。
 忙しなく報告に駆け込んでくる兵らにその都度指示を飛ばしながら、彼らは一様に渋面の
思案顔をしていた。何故? が多過ぎる。里が誕生してから数百──数千年。近隣の國々と
小競り合いこそあったが、この百年ほどは大きな事件もなく平和だったというのに……。
「目下確認中です。ただ現場の者達からの報告によると、侵入者はジーク・レノヴィンほか
二名だったと……」
『何っ!?』
 だからこそ、戸惑いながら言葉を継いだこの報告の兵に、長老達は一斉に目を遣ると丸く
していた。古界(パンゲア)でも仙界(レムリア)でもない。噂に聞く、地上の人間の名前
が出てきたからだ。
「レノヴィン……。確か地上で暴れているという、例の風雲児か」
「この二年、大人しいと思っていたが、また動き出した訳か」
「しかし何故、そんな地上の者達が此処へ……?」
「──天上(こちら)に来ているのですよ。彼と、クラン・ブルートバードが」
 そんな時である。眉根を顰め合う長老達の下へと、澄んだ一声が投げ掛けられた。ハッと
して彼らが視線を向けると、そこには庭園の入口からこちらへと歩いてくる一人の男──胴
着姿に羽織を引っ掛けた竜族(ドラグネス)男性の姿があった。
「ハザワール殿」
「お取り込み中失礼。ですが、どうやら里の外が騒がしいと聞きましてね」
 衣装もあり、何処となく独特な雰囲気。長老達からハザワールと呼ばれたこの人物は、あ
くまでフッと微笑を浮かべたままこの会議に同席を志願する。少なくとも敵ではない──よ
ほど信頼されているのか、長老達も立ち合っていた兵らも、特に反対などはしなかった。寧
ろ恐縮し、どうぞと席を勧めてさえいる。
「クラン・ブルートバード……」
「ええ。レノヴィンと、彼らと言えば特務軍です。つまり天上(こちら)に来た理由は十二
聖ゆかりの聖浄器でしょう」
「むう……」
「そういう事か。統務院め。地上だけでは飽き足らず、我らが地まで蹂躙するつもりか」
「少なくとも、彼らが与かり知らぬという事はないでしょうね。それに、ハルト・ユーティ
リアはかつてのレノヴィンが盟友の一人。私の掴んだ情報では、レノヴィン達は既に彼に接
触し、身を寄せているようです」
「何……だと?」
「おのれ、ユーティリアめ。やはり碌な事にならなかった……!」
 ハザワール氏──胴着羽織の竜族(ドラグネス)は、そう続けざまに独自に手に入れたと
いう彼らについての動静を伝えた。長老達が一様に悔しさに歯を食い縛り、怒りに身を震わ
せる。ハルト・ユーティリアとその妻サラ。二年前、この里からの離脱と独立を宣言し、長
年の秩序を掻き乱した者……。
「今回の侵入も、おそらく聖浄器──“弓姫”アゼル・メルエットの足跡を辿る為のもので
しょう。大方、目的を果たす為の陽動……。当時の史料は今何処にありますか?」
「む……? 史料? アゼルについての、ですか」
「何処にやりましたかのう。何せ先々代の頃のものですから……。旧書庫だったかの?」
 故に、次の言葉で彼が問うてきた内容に、長老達は数拍怪訝になった。
 アゼルにまつわる史料──それがレノヴィン達の狙い? あのかつての裏切り者を調べて
何になるのだろう? 事実ハザワール殿に訊かれるまですっかり忘れていた。おそらく随分
と埃を被っている筈だが……。
 長老の一人が、そちら方面の担当である別の長老についっと視線を遣って確認を取った。
コクリとこの長老は頷き、まだ控えていた兵とこの胴着羽織の彼を見返す。
「念の為、場所を移しておくことを勧めます。また狙ってくるかもしれませんから」
「……そうじゃな。すぐに係の者に伝令を」
 はっ! 控えていた兵が頷き、駆け出してその場を後にして行った。長老達自身は、裏切
り者の文献の一つや二つぐらいと思いはしたが、実際その為に里の平和が掻き乱されたので
ある。若き兵士が傷付いたのである。やはり開明派(れんちゅう)は信用ならない。改めて
警戒を強める必要があるだろう。
「ユーティリアもだが、やはり外の人間は信用できんな」
「全くだ。このままでは済ますまい。追跡はどうなっている? 例の若い兵と交戦した後、
逃げてしまったそうだが……」
「ああ。急ぎ、追跡要員を増やすとしよう。地の利は我々の側にある。事前に逃走経路を確
保してでもいない限り、そう遠くへは行けない筈だが……」
「くっ……。やはりユーティリアか、レノヴィンまで引き込むとはな……。やはり災いの芽
は早々に摘んでおくべきだった……」
「ご心配なく」
 口々に不信と、苛立ちを露わにする長老達。
 だがそんな面々に、胴着羽織の彼は言った。変わらず静かな笑みを浮かべてそっと胸元に
手を当ててみせる。
「既に私の部下達が、動いてくれておりますので」
 その表情(かお)に何処か不穏な、一抹の影を差しながら。


 Tale-88.鳴り止まぬ軍靴(あしおと)

 街の出入口すぐの林に差し掛かったイセルナ達は、フッと殺気を感じて振り返った。
 反射的に剣を抜き、同時にオーラを込める。飛んできたのは複数の矢だった。こちらにも
オーラが込められ、強化されているのが視える。見氣でこれを見、だんっと踏み込みながら
左右に剣閃を振って弾き飛ばす。カイトと同伴のエルフ達が、数拍遅れて慌てて戦闘体勢に
入った。拳や剣、弓。イセルナ達は誰からともなく、頭上の木々──矢の飛んできた方向を
見上げる。
『……』
 はたして樹上の枝々には、口元を覆面で隠した十数名の人影があった。
 それぞれが剣を抜き、矢を番えて武装している。色白で尖がり耳──妖精族(エルフ)で
ある事は間違いない。
「思ったより早かったわね。こっちにいる間は、まだかと思っていたけれど」
 数拍の沈黙、睨み合い。
 だが最初に口を開いたのはイセルナだった。カイトや同伴のエルフ達がちらっとこの彼女
を見遣って少し戸惑っている。樹上の覆面集団も、スッと静かに眉根を寄せていた。
「……警告する。お前達が出した依頼を取り下げろ。さもなくば」
「それは貴方達次第よ、守人さん? 私達に協力してくれるというのなら、すぐにでも依頼
はキャンセルさせて貰うわ」
 全ては“守人”達を誘き出す為の作戦だった。先刻、ギルドを出た後に説明された時は、
カイトも何て食えない女(ひと)だと思ったものだが、事実目論みはドンピシャであったよ
うだ。リーダー格と思しき女性は、深く眉間に皺を刻むとあからさまに舌打ちをする。
「ふん。抜かせ」
「でも実際、こうして出て来てくれたじゃない?」
「ばっ──ふざけるな!」
「お前達が余計なことをしてくれたせいだろうが!」
 あくまで計画通り、交渉の第一段階に入っただけと振る舞うイセルナと、その姿勢に怒り
を隠さない“守人”達。
「……やはり地上の奴らは信用ならない。これ以上、嗅ぎ回られては困るのよ!」
「ちょっ……。落ち着けって! お前らも妖精族(どうほう)だろう? 確かにテーブルに
引っ張り出したのは強引だったかもしれんが、話だけでも聞いてくれよ!」
 リーダー格の女性と、左右の部下達が改めて武器を構える。番えた矢を引き絞る。
 カイトは慌てて仲裁に入ろうとした。同じ妖精族(エルフ)なら、事情を話せば無駄な衝
突くらいは回避できると思ったのだ。
「お前らも知ってるだろう? “結社”のこと。奴らに対抗する為に、アゼルの聖浄器の力
が必要なんだ!」
「知った事か。だからと言って、お前達に彼女の遺産をおいそれと渡す謂われは無い」
「信用できない点に変わりはない。大体、お前達が悪用しないという保証が何処にある?」
「いや、結社(やつら)と一緒に──」
「そもそも、里の者が人間の味方などしている時点でおかしい」
「違ぇよ!? 俺は霧の妖精國(ニブルヘイム)の住民だ。光の妖精國(アルヴヘイム)の
爺どもとは寧ろ敵対してるんだって!」
「霧の(ニブル)……」
「ああ、最近出来たという分派か」
「関係ないわね。どちらにせよ、私達一族を迫害した者達の末裔に違いはないのだし」
 だが彼女達に、元より聞く耳はなかったようだ。“結社”の脅威にも同族のよしみにも靡
くことなく、ただ頑なな警戒心と敵意を向けてくる。
「……。あのなあ……」
 思わずカイトはガシガシと髪を掻き毟った。──分からず屋め。思わず口を衝いて出そう
になるその一言を押し込め、ちらっと横目で小さく肩を竦めてみせるイセルナを見る。
「私達の存在を探ろうとするお前達を──排除する!」
 そのリーダー格の女性の一言で、覆面の戦士達が動き出した。第二射の群れがこちらに向
かって飛んでくる。イセルナはオーラを纏わせた剣で叩き落し、カイト達はめいめいに飛び
退いてこれをかわした。同時に頭上から、剣を握った戦士達が襲い掛かってくる。
「でやあああーッ!!」
 落下の勢いを利用し、空中から回転しながらククリの二刀流で斬りかかって来るエルフの
男性。イセルナは仕方ないといった風にきゅっと唇と結ぶと、これを真下真正面から受け止
めていた。彼の大柄の身体もあってミシリと足元の地面が凹みを作る。
 二射目から三射目。樹上からは更に、オーラを纏った矢が飛んで来る。
 ちっ……。カイトは舌打ちをしながら全身にオーラを練り、そしてこれを自身の拳に集中
させた。大きく揺らぐ塊のようなオーラが飛んで来る矢とぶち当たる。
「何──!?」
 するとどうだろう。戦士達が放った矢は、次々とまるで石のように固められて、ゴトンと
次々に落ちていったではないか。驚くその隙を縫って、更に随伴のエルフ達が援護射撃で矢
を相殺し、数を減らしてゆく。
「これは……色装か?」
「おうよ。操作型《岩》の色装。俺に触れたオーラは全部、固まりになって力を失う」
 イセルナが滑らすように剣を振り抜き、このククリ使いのエルフを弾き返した。カイトが
驚く戦士達の眼下を猛烈に駆け抜けてゆく。ちらっとそれを視界の端に捉えていた所へ、霞
むような鋭い冷気の刃がこのククリ使いの顔面ギリギリを掠める。
「ほら、駄目じゃない。余所見なんてしてちゃあ」
 テオ──! 頭上のリーダー格の女性が、他の戦士達と共に矢を射ながら叫んでいた。慌
てて距離を取り直し、もう一度回転を加えて斬りかかる彼を援護するように、彼女は叫ぶ。
「マギリ!」
 ドゴンッと、木々に迫るカイトやイセルナを、突如地面から現れた巨体が遮った。
 岩巨人(ゴーレム)だった。リーダー格の彼女の一声で、樹上に待機していたローブ姿の
小柄な男性術師が魔導を使ったらしい。
 大きく拳を振り上げ、ゴーレムが二人に襲い掛かる。カイトは思わず膝を畳んで急ブレー
キを掛けようとしたが、一方でイセルナは寧ろより強く地面を蹴っていた。跳び上がりなが
らブルートの冷気を身に纏い、真正面からこれを受ける。
『──なっ?!』
 砕いていた。次の瞬間、蒼鎧態──パワー型の精霊融合に姿を変えたイセルナは、半月状
の刃を振り抜いてこのゴーレムを粉砕、直後にこの破片を踏み台にして蒼翼態──スピード
型に切り替えると、一挙にリーダー格の女性の下へ肉薄したのだった。
 慌てて矢を番える彼女。だがそれよりも速く、イセルナの刃はつうっと彼女の喉元へと突
きつけられる。
「ミシェル!」「くっ!」
『隊長!』
「……チェックメイトよ」
 一瞬でついた勝負。だが大将の首を捉えられた戦士達も、そこで更なる抵抗を試みるほど
感情的に過ぎはしない。ゆっくりとリーダー格の彼女──ミシェルが弓と矢を握ったまま、
両手を挙げた。降参のポーズだ。テオやマギリ、ククリ使いとゴーレム使いを筆頭とした彼
女の部下達も、これを見て次々と戦意を喪失する。
「……殺せ」
「嫌よ。貴女達は魔獣じゃないし、私達はあくまでアゼルの聖浄器を探しているだけ」
 その為には、貴女達“守人”と接触しなければならない──。ぎりっと覚悟を決めて言い
放った彼女の一言を、イセルナはあっさり断った。寧ろ苦笑いさえして、サッと剣を収めて
ブルートとの融合も解いてしまう。まるで牙を抜かれてしまったようだった。ミシェルや慌
てて駆け寄って来たテオ・マギリ達、カイトらも樹上と眼下それぞれの位置で二人のやり取
りを息を呑んで見守っている。
「……本当に、それだけだというの?」
「ええ。貴女達と意味もなく事を構えるつもりなんてない。そんな時間を喰っている暇なん
てないもの。“結社”の目的は“大盟約(コード)”の消滅──その為に奴らも強力な魔導
具である聖浄器を狙っているわ。その企みを防ぐ為にも、貴女達の、アゼルの聖浄器を守り
たいの」
 消滅?! そして次の瞬間、イセルナがやや矢継ぎ早に説いた内容に驚いたカイト達だっ
たが、最後のワンフレーズがミシェル達を迷わせたようだ。
「……。私、は……」
 聖浄器を守る。
 それは彼女ら一族が、アゼルよる託された遺志にも適う……。
「──?」
 ちょうど、そんな最中だった。
 懐に入れてあったイセルナの携行端末が、着信音を鳴らしたのは。


「……う、ん?」
 電源を挿し直されたかのように、ブツンと途絶えていた意識が戻ってきた。
 異常という正常、正常という異常。一瞬今ここに自分がいる事すら疑わしくなって抗おう
とする衝動に駆られるが、そんな脳裏とは裏腹に身体の自由は利かない。
 ぼうっとする。ジークはまだ五感に粗いノイズが掛かったまま、ゆっくりと数度映る視界
を瞬きながら目を開いた。
「っ!? ジーク!」
「お、おい。大丈夫か? 俺達が分かるか?」
「うわあああん! よかった、よかったです……!」
「もう、心配したんだから。このまま目が覚めないんじゃないかと……」
「……?」
 すると開眼一番、視界に映ったのは心配そうに自分を覗き込んでいるシフォンら仲間達の
姿だった。目を覚ましたのに気付いて慌てて身を乗り出し、或いは何故かおっかなびっくり
で、心配過ぎて涙したり、ぷくっと膨れっ面を見せてきたり。
「やあ。ようやくお目覚めだね」
「マスター、オ身体ニ異常ハアリマセンカ? 違和感ガアレバ、スグニスキャン致シマス」
「……いや、大丈夫だ。まだ少しぼうっとするが、問題ねえ。あの感覚も消えてるし……」
 眼鏡の奥で静かに安堵しているように見えるハロルドと、茜色のランプを瞬かせて恐る恐
るといった様子で気に掛けてくれるオズ。
 ジークは数拍黙っていたが、ふるふると首を横に振って応えた。ガチャリと手元に目を遣
ると封印術式の刻まれた手錠が嵌められており、辺りを見渡せば見覚えのある──確かルフ
グラン号の奥間にある留置室の中のようだ。徐々に途絶えていた記憶が蘇ってくる。
 そうだ。自分はシフォンやリカルドさん達と一緒に、例の作戦の為にアルヴの里を突っ突
きに行って、それで──。
「……あれから、どうなった?」
「結論から言うと、限りなく失敗に近いね。僕とリカルドさんとでダウンさせた君を回収し
て戻って来たけれど、状況はかなり面倒な事になってる」
「覚えてねぇか? お前、向こうの兵士を二人斬っちまったんだぜ? まぁあの後シフォン
が機転を利かせて、懐の金菫で治療はしたから、死にはしてないだろうけどな」
 ……そうか。ジークは多くは語らず、ただ心なしか沈んだ声で自身の手元を見ていた。
 ずしりと両手首に嵌められた枷の重み。おぼろげに歪められた記憶でも、それがどんな悪
手となってしまったかぐらいは想像できる。
「私達が転送リングで戻って来て、大体三大刻(ディクロ)ほどになる。ハルトさん達もこ
ちらに来ているよ。交代で君を看ていて──ああ、ちょうど戻って来たね」
「っ、ジーク君!」
「目が覚めたのね?」
「よかったあ。一時はどうなる事かと……」
 ちょうどそんな時、席を外していたハルトやサラ、ニルブ側の面々と、レジーナやエリウ
ッドら技師組の面々が合流してきた。曰く、今後の事を踏まえて彼らの分の転送リングを作
ろうとしていたらしい。魔力(マナ)のサンプル採取を済ませて戻って来てみれば……だ。
「……すみません。俺、とんでもない事を……」
「そう自分を責めることはないよ。ハロルドさん達から大よその話は聞いた。“結社”から
の介入のようだね」
「ええ。あの時突然、誰かに自分の真ん中を鷲掴みにされたみたいになって、それで身体が
勝手に動いて……」
 重く手枷を揺らしつつ、ジークはギリッと唇を噛んだ。レナやシフォン、オズなどが辛そ
うにこれを見ている。ハロルドとエリウッドがちらりと互いに顔を見合わせた。エリウッド
が頷いて、懐から小さな鍵を取り出す。
「とりあえず、錠を外そう。正気を取り戻したままその扱いというのもね?」
 ガコンと半円を繋いだ形になって、手枷が床に落ちた。ジークがぎゅっぎゅっと両手を握
ったり開いたりして感覚を確かめ、異常がない事を確認する。頷いて、ハロルド以下仲間達
も頷き返した。念の為にと繋いでおいたが、どうやら今はもう操られてはいないらしい。
「相手の自由を奪う……操作型の能力ね」
「ええ。シフォンとリカルドの話を合わせても間違いないでしょう。完全に、こちらの動き
を把握した上で逆手に取られてしまった格好ですね」
「……」
 そうしてサラとハロルド、仲間達のやり取りを聞いていたジーク。
 ハルトが許してくれても、やはり自責の念に苛まれたのだろう。それまで寝かされ、腰を
下ろしていた固いベッドから降りると、一人部屋を出て行こうとする。
「ちょ、ちょっとジーク!」
「何処に行くんですか? 駄目ですよ。まだ病み上がりなのに……」
「そんなこと、言ってる場合かよ。とにかく謝りに行かねえと。俺の意思じゃなかったとは
いえ、向こうの人間を斬っちまったことは事実なんだぞ?」
 しかしそんな彼の無茶を、仲間達が許す筈もなかった。離せっ! 慌てたクレアやレナ、
シフォン達も加わりこれを押し留め、部屋の中がにわかに騒がしくなる。
「……止めておいた方がいい。今君が彼らの前に出向くことは、悪手も悪手だ」
 決定打は、やはりハロルドだった。案の定、焦りと責任感で突っ走ろうとするジークに、
彼は眼鏡のブリッジをそっと押さえながら言う。
「今でこそ、君への洗脳は白菊で断ち切ってある。だが今外に出れば、いつまた敵の術中に
嵌るか分からない。シフォンが視たそうだ。正気を失っていた時、君の全身にどす黒いオー
ラが絡み付いていたとね」
「……? でもそれは、今はもう無いんだろ? なら──」
「ああ。違うんだ、ジーク。あれはあくまで対症療法なんだよ。確かにあの時、僕は白菊の
反魔導(アンチスペル)で効力を掻き消したけど、おそらく敵の能力はまだ健在だ。もしま
たあの黒いオーラに取り憑かれたら、君はまた……」
 当の本人はちょうど正気を失っていたのだから無理もない。ジークは最初、友の言ってい
ることが解らなかった。一度やられた技に、二度も油断はしないというのに。
「シフォンの言う通りだ。私達は実際まだ、敵の姿を見ていないんだよ。なのに君は操られ
てしまった。つまり相手は操作型の中でも特異な──遠隔操作に長けた能力を持っていると
いうことになる」
「遠……隔……?」
「ううん? でも……」
「そこまでオーラを延ばすというのは、難しいのでは?」
「そうだね。これはジークがまだ眠っていた間、皆で集まった時に話した内容の繰り返しに
なるのだけど……。おそらく敵は、既にジーク君に狙いを定める“条件”をクリアしている
と考えられる。他の操作型のように自身のオーラを介して相手に干渉する点では同じなのだ
ろうけど、やり方が異なるんだ。こちらが視認できないほどの、遠距離からの発動を可能に
する為には、それ相応のリスクが伴う。ちょうど私達には、その心当たりもある。覚えてい
ないかい? 古都(ケルン・アーク)で、私達は“結社”の刺客に襲われただろう?」
「あっ……」
 ジーク本人の為に、改めて説明してくれるハロルド。
 そういえば……。ここ数日の記憶から、ジークは思い出していた。確かにあの時、街を出
る寸前で影士族(シーカー)の信徒達と戦ったっけ。空間の狭間に潜り込むなんていう厄介
な魔導具を使ってきて、少し手こずってしまったが……。
「もしあの接触が私達を倒す為ではなく、あくまでその能力者の“条件”を満たす為だとす
れば合点がゆく。初めからこうする心算だったんだろう。あの時、ジーク君を始め、何人か
が負傷した。状況から察するに、相手の色装の正体についてはもう目星はつけている」
『……』
 眼鏡の奥を静かに光らせ、やや俯き加減になっていた顔を、ハロルドは一度上げた。
 ごくり。ジークや周りの仲間達が思わず息を呑む。敵が端から自分達を陥れる為に、あん
な中途半端な刺客を寄越した狡猾さも然る事ながら、それを見抜いた彼の分析眼もまたそら
恐ろしい。
「もし私の見立てが間違っていなければ、ジーク君。もしこのまま君がアルヴ側の者達の前
に出れば、敵はきっとまた君を操ってくるだろう。そうなれば彼らと私達──いや、アルヴ
とニブルの関係は、今度こそ修復不可能になってしまう」
 ジーク達がハッとなった。ハロルドが敢えて、アルヴ対ニブルの構図を持ち出してきた点
も大きい。つまりはそういう事なのだ。結社(やつら)はこの策により、実質自分達を下手
に動けなくした──足止めさせようとしている。
「……。じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
「ただでさえ、アルヴ側(むこう)はこっちに良い感情を持ってなさそうだしなあ」
「ふむ……。しかし妙だね? 何故そこまで迂遠な方法を取ってまで、ジーク君達を封じ込
めようとしたのか……?」
 ガシガシとジークが頭を掻き毟る。リカルドが大きくため息をつき、エリウッドが口元に
手を当てながらも、更にその先へと意識を向けようとしている。
 他の仲間達も総じて同じだった。ハロルドが放った一言により、ようやく自分達が置かれ
た状況の真の拙さを知る所となったのだから。
「参ったね。これは一旦、作戦は中止せざるを得ないか」
「デスガ、ソレデハ聖浄器ノ行方ガ……」
 ちょうど、そんな時だった。一同あれやこれやと思い悩んでいた最中、カツンカツンと部
屋の外からこちらへと足早に近付いて来る靴音が聞こえて来る。
「遅くなってごめんなさい。話は聞いたわよ? ジークが──あ、良かった。目が覚めたの
ね? ……皆して、どうしたの?」
 イセルナだった。案内役だろう、数人の技師達も一緒だ。
 加えてジーク達の目を奪ったのは、彼女に引き連れられた見知らぬエルフ達。
 ミシェルにテオ、マギリら“守人”の戦士達だった。どういう経緯か、彼女らもまた見慣
れぬ船内に戸惑いながら、深く眉間に皺を寄せている。

 所変わって、大都バベルロート、統務院本部議事堂。
 この日場内は普段以上にざわついていた。現地に出席した議員達は勿論、中空の通信──
ホログラム画面越しの各国の王達がそれぞれに、怪訝と戸惑いの気色を隠し切れずに互いの
顔を見合わせている。
 理由は他でもない。今日開かれた会議と、その現在進行形の緊急事態が故だ。
 この日、統務院(かれら)は公開査問会を開いていた。先日の黒い破片──ハーケン王子
の死に繋がると思われる魔銀(ミスリル)の製造・流通ルートが判明したのだ。
 その過程で挙がったのは──メイヴァン商会。東方・レスズ都市連合の一翼を担う有力な
豪商である。今日はその会長・モーゼスを呼んで詳しい話を訊く手筈になっていたのだが、
予定の時刻を大幅に過ぎても、彼は一向に姿を現さなかったのである。
『おい、どうなってる?』
『召喚状は確かに出したんだろう?』
「この正念場になって遅刻なんて……。いや……」
「まさか、な。だとしても自白しているようなものだぞ……?」
 半刻から一刻。更に時間ばかりが徒に過ぎてゆく。
 王や議員達の心証は、徐々に苛立ちから確信めいたものに変わっていた。まさか呼ばれた
事に気付いていない訳ではないだろう。故意に姿を見せていないのだ。それはつまり、彼が
クロである事を示す何よりの証であって……。
『……モーゼスめ。ずっと私達を騙していたのか』
 レスズの長、ウォルター議長がギリッと歯を噛み締めながら呟いている。見れば今日この
査問会の場には、他にもちらほらと欠席している議員や王達がいる。今悠長に確認している
暇はないが、記憶にある限り彼らは皆どちらかというと保守的で、一連の戦い自体に対して
も消極的な姿勢であった者達だった。
 議場が、会議の場がざわめいていた。この状況でどう動くべきか、先陣を切って目立とう
とするのを躊躇っていた者が殆どだった。
 カチリ。時計の針がまた数小刻(スィクロ)余分な時間を刻む。
 戸惑いざわめき続ける面々を窘めるように、今回の議長役の議員が小さく首を横に振って
から手元の木槌を叩いた。カァンと、円筒状にだだっ広い場内に乾いた音が鳴り響く。
「どうやら、これ以上待ってみても無駄なようです。……宜しいでしょうか? 皆さん」
 議員達、そして王達がそれぞれに深く、言葉少なく頷いていた。ハウゼンやファルケン、
ウォルターやロゼ──四大盟主の面々もその例に漏れず、或いは苦虫を噛み潰したような表
情をしている。
『……敵前逃亡、ですか』
『悪手ではあるが、他に方法はなかっただろうからな。或いは私達がこうして集まっている
間に、次の一手を打とうとしているのか……』
 ロゼが嘆息をつき、ハウゼンがそれでも尚、落ち着いて思考を重ねている。
 ある意味で息子の仇だろうに──彼女や他の議員達はこの老練の王を横目に見遣っていた
が、当の本人はあくまで王としての責務を最後まで優先する腹積もりであるらしい。
『状況的に爺さんの言う通りだと思うぜ? こっちでとっ捕まえてるグノアが口を割った。
この二年の間に、ヘイト──“痕の魔人(メア)”が保守同盟(リストン)と繋がってる事
が判った。あのガキの性格からして、対等な関係なんぞではないだろう。大方連中に持ち上
げられてるか、或いはとっくに手駒にして飼い慣らしてるか……』
 更にファルケンが、そうふいっと出し惜しむ様子もなく面々に伝える。
 ざわっと、別の意味で場がざわめいた。点と点が繋がった。ハーケン王子が豹変した現場
には、ヘイトがいた。少なくとも事件の起こるずっと前から、彼は王子を言葉巧みに誘導し
て支配下に置いていたと考えられる。
「ではやはり、黒幕は彼と……保守同盟(リストン)?」
『そう見て間違いねえだろうな。元々反俺達って点で、奴らには共通点がある』
 議員の一人が確認するように問い、画面の向こうのファルケンは頷いていた。一同の少な
からずがごくりと喉を鳴らす。
 かねてより保守同盟(リストン)は世界の流れに逆行し、時には“結社”のテロリズムを
讃えたこともあった。前科だけでも十二分にクロだ。面々が渋い表情(かお)をする。欠け
た席らを見遣る。まさか、ここまで侵食されているとは……。
『……決まりだな』
 ぽつり。深く吐き出すようにハウゼンが言う。ファルケンもロゼも、ウォルターも、出席
した王や議員達も一様に小さくコクリと頷く。

 当人ら不在のまま、この日有罪が確定した。
 欠けた席、メイヴァン商会──彼らが仇敵(リストン)だ。


 一切の光を許さない、無明の闇だ。
 “常夜殿”の地下礼拝堂、ステラは一人この生還者なしの開かずの間へと挑んでいた。
 ミザリーによって封印を解かれた扉を潜った瞬間、闇の中から風が吹いて、蝋燭の灯りを
消し飛ばす。試しに魔導で灯りを点そうとしてみたが、やはり何か見えない力によって一抹
の輝きですらここでは通用しない。
(……大丈夫。見えないだけで、果てが無い訳じゃないんだから)
 ミザリーの話では、図面上礼拝堂はさほど広くはないらしい。歩いていれば、何処かで端
にぶち当たる筈なのだ。
 なのに……何故だろう? 手探りで暗闇の中を歩いても、一向にそれらしい感触にエンカ
ウントしない。後方で見守っていた筈の仲間達の気配も、すっかり感じられなくなってしま
った。それにこうして歩いている、自分の足と地面の感覚さえ、先ほどから徐々に遠退いて
きているような。
「……」
 じわりじわりと、ステラはようやくこの開かずの間の真の恐ろしさを理解し始めていた。
 分からない。延々と続いているのに、全く進んでいる気がしない。いや、本当に自分は脚
を動かしているのだろうか? 感覚がどんどん失われてゆく──疑わしくなってゆく。一体
礼拝堂に足を踏み入れてから、どれだけの時間が経ったのだろう?
 本当に自分は、ここに居るのだろうか?
 実はもう、自分はとっく倒れていて……。
「っ……!」
 しかしステラは、それでもぐぐっと歯を食い縛って踏ん張った。下半身も、指先や胸元、
或いは顔面の在る感触すら消えていって自身も無くなってしまいそうな不安に苛まれながら
も、その行為で辛うじてまだ自分が生きていることを確認する。
 なるほど、これが今まで生還者ゼロの理由か。五感を奪われ、何もかもが暗闇に溶かされ
てなくなってしまいそうな恐怖。ゴールに辿り着けないまま、膨れ上がってゆく不安と己へ
の疑わしさに心を折られ、遂には文字通り行き倒れる……。
(駄目、よ。皆と約束したんだもの。絶対に聖浄器を見つけて、持って帰るんだって……)
 異変は、そんな時だった。
 自身を呑み込もうとする闇に必死に抗い、瞳を赤く──魔人(メア)の高揚が全身を支配
し始めたその時、ステラの耳に突然幾つもの声が聞こえてきたのだった。

『おやおや、また命知らずが来たみたいだね』
『ふふ、お馬鹿さん。此処がどんな場所か、知らない訳でもないでしょうに』
『……侵入者。怖いもの知らず』
『何だてめぇ? 他人の縄張りに土足で入り込んで来やがって。死にてぇのかゴラァ!?』

 老若男女、誰とも判別のつかない声達だった。
 落ち着いていたり、寡黙だったり、喧嘩腰だったり。様々な者達の声がステラの脳内に直
接語り掛けてくるようだ。思わず耳を塞ごうとする。だがそもそも、掌の感覚はもう既にお
ぼろげに消えかかっていて、試みは全て失敗して意識のど真ん中──自身が在る所そのもの
へと直接ぶつかってくるかのようだ。
「な、何……? 突然、あちこちから……」
『それはこっちの台詞だ馬鹿野郎。勝手に入り込んでくるんじゃねえ! 出てゆけ、さっさ
と死にさらせ!』
『まあまあ。そうカッカせずに。どのみちこの子もまた消滅する(きえる)んだからさ』
『そうよお? ほら、いい子だから大人しくしなさい? 余計な事は考えないで、私達に全
てを委ねればいいの』
『……眠ればいい。瞳を閉じて。そうすれば、もう何も心配する事なんてない……』
 激しい罵倒や、優しく語り掛けるような諭し。
 ぐわんぐわんと、ステラの頭の中に次々と声が入り込んで来ていた。思わず足を止める。
いや、そもそもさっきまでちゃんと歩いていたのかも怪しい。感覚は失せて、ただ頭の中で
ゆっくりと両耳を塞いで蹲るイメージ。ばくばく、と心臓の鼓動だけが嫌に自分の中心へ響
いてくるな錯覚に陥る。
「何……。何なの……?」
『いいんだよ。そんなに無理をしないで』
『思い出して? これまで旅の間、貴女はずっと罵倒され、嫌われてきたでしょう?』
『それでも君は、世界を救いたいと思うのかい? こんな“世界の為”に』
『誰も、求めてなんかいない。誰も、君に強制するつもりなんてなかった』
『よく考えてみろよ。本当に救う価値なんてあるのか? おめぇが最初に手を挙げた、ただ
それだけで都合がいいと、面倒を全部ぶん投げてくるような無責任な奴らの為になんてよ』
『そもそも、貴女が正しいなんて保障、何処にもないのよ?』
『止めろ。止めちまえ。奴らに尽くさなきゃならない義理なんて、ねぇだろうが』
「五月蝿い! 五月蝿い五月蝿い五月蝿い! 何なの!? いきなり何だっていうの!?」
 思わずステラは声を荒げた。真っ暗で何も見えない闇の中を、姿なき声らに向かって怒鳴
り散らす。
 五月蝿い……。紅い眼が血走っていた。この昂りが辛うじて自分が自分であることを証明
してくれる。何なの? 分かったような口を……。
 そんなの、ずっと前から解ってる。でも皆が、ジークが戦ってる。あいつが戦っている限
り、諦めない限り、私も諦めない。諦めたくない。あいつの、力になりたい……。
『おいおい。“世界の為”にはどうした? 個人にダウングレードか? はは、結局は自己
満足の偽善野郎かよ!』
『……嘘つき』
『醜いね。それは結局、一方的に自分の正しさを正当化しているだけじゃないかい?』
 しかし、謎の声達は辛辣だった。考えが筒抜けのようだった。寧ろ抗うステラを嘲笑うか
のように、まるでスイッチを入れたかのように次々と本質を抉る罵声が飛ぶ。
『苦しい言い訳ね。一体結社(かれら)と、何が違うの?』
『殺し合うだけだ。その点で君達は何も変わらない』
『そうさ。敵なんてのは、てめぇが認定する限りいくらでも出てくるぞ?』
『……何が正しいの? その人の為に、より多くの“敵”を倒したって、君に何が与えられ
るっていうの?』
「うっ……五月蝿い、五月蝿い五月蝿い五月蝿い! 一体何なのよ!? あんた達は誰なの
よ!? さっきから文句ばっかり……。こそこそ隠れてないで出て来なさいよ!」
 故に、ステラはただ罵倒し返す事しかできなかった。冷静に受け止めれば、すぐにでも全
てが崩れ去ってしまうようで。自らが否定する言葉を紡いでしまうようで。
 身体中の感触が失われている。
 だがそれでも、ステラはぶんっと手を振って闇の中に向かって叫んでいた。無遠慮に、土
足で他人の心に踏み込んできたのはどっちだ。何も、何一つ私の事を知らないで……。
「分かったような口を利くな! 私は、ジークに救われたから──」
『知ってる。だから言ってる』
『なあ、いい加減に認めろよ?』
『君は絶対に──彼の“一番”にはなれない』

「──兄さんが、エルフ兵を!?」
 その日の何講目かの後、アルスはリンファからそんな報告を受けた。
 思わず放った声が大きくなる。慌てて、アルスは彼女にしいっと窘められた。
「お静かに。まだ公に出ていない情報です」
「あ、はい。すみません……」
 幸い講義棟のロビーでも隅の方にいたことで、あまり他人に聞かれずには済んだようだ。
通りがかりの学院生らが何人か、ちらちらと目を遣ってきたが、もう皇子(アルス)の存在
だけではすっかり驚かなくなっている。
 彼女の話によると、イセルナ達北回りチームが光の妖精國(アルヴヘイム)への接触を試
みようとしていた最中、エルフ兵に見つかったジークが咄嗟に彼らを斬ってしまったのだと
いう。しかもその時、彼は何者かに操られてそのような暴挙に出たらしい。ハロルドの見立
てでは、遠隔操作に長けた色装(のうりょく)の持ち主ではないかというが……。
「それで、兄さんは無事なの? 相手の人達は?」
「はい。ジーク様は居合わせたシフォンとリカルドさんが回収、そのままルフグラン号へ転
移したそうです。相手のエルフ兵達も、シフォンが金菫を拝借して治療を施したので、命に
別状はないかと」
「……そっか」
 肝心な質問にはすぐ答えが返ってきて、アルスは安堵する。
 だがそんな気持ちも一瞬の事だった。胸奥に──その思考回路に目まぐるしく去来するの
は、その遠い天上で起きてしまった事件がもたらす影響である。
「詳しくはジーク様が目を覚まされるのを待ってからになりますが、ハロルド達も正直どう
したものかと参っているようです。こちらには、ただ早い内に知らせておくべきだと」
「うん……」
 真っ先に浮かんだのは、アルヴ側の動きである。
 話に聞いている霧の妖精國(ニブルヘイム)──ハルト達が作った開明派の隠れ里は、長
らく最大の版図と保守的な秩序を維持してきた光の妖精國(アルヴヘイム)にとってその存
在さえ気に食わない目の上のたんこぶだ。自分達の秩序からはみ出した“裏切り者”を、彼
らは何とか潰したいと思っている筈だ。
 そんな、ある種一方的な対立関係が続く中で、今回の事件が知られればどうなるか? 兄
達が、そのニブルに身を寄せている──共犯だと知られればどうなるか?
 少なくともアルヴ側にとっては、ニブルを攻め立てる絶好のカードを手に入れたと考える
だろう。同胞を傷付けられた大義もある。もし隠れ里の場所がバレれてしまえば、そのまま
武力衝突にもなりかねない。兄達も、アゼルの聖浄器を探す所ではなくなってしまう。
(……これも、結社(やつら)の策略だっていうのかな?)
 リンファからの話によれば、一度兄達は古都(ケルン・アーク)で“結社”の刺客と戦っ
ているのだという。奴らの、今までの手回しの早さからして、今回も逸早くこちらの天上層
への突入を把握していてもおかしくはない。
(でも分からないな。何故兄さん達を直接じゃなく、二つの里を対立させるように? 一体
何のメリットが……?)

「……何なんだ? ここは」
「どこもかしこも機械だらけだ。樹も草も一つもない……」
「恐ろしい。やっぱり人間どもは恐ろしい……」
 イセルナに連れられて船内にやって来たミシェル達は、そうぶつぶつと恨みがましさと未
知なる光景への恐怖で震えていた。リーダーたる彼女はともかく、残りの部下達に至っては
完全に借りてきた猫のような状態になってしまっている。
「団長、そいつらは?」
「例の“守人”の皆さんよ。そっちは大変だったみたいだけど、こっちは思いの外早い段階
で上手くいってね」
 ベッドの上に戻されたジークの問いに、イセルナが答えた。軽くウインクして何でもない
という風に茶目っ気を。ただ、一緒についてきたカイトや同伴のエルフ達は小さく苦笑を浮
かべており、彼女達の方も一筋縄ではいかなかったであろうことが窺える。
「そうか。ならほぼ、私達の側の作戦は無駄足になったという訳か……」
「ま、まあそう落ち込みなさんなって。確かに連れて来はしたが、知ってるのか教えてくれ
るのかはこれからなんだしよ?」
「……おい。一体何を話しているのか知らないが、此処は何処なんだ?」
「森にこんな場所は無い。お前達、一体どんな魔導を使ったんだ?」
「ああ、そうだったわね」
「ここは飛行艇ルフグラン号。僕達クラン・ブルートバードの母船さ」
「ひこう、てい……?」
「あー、そもそも天上(うえ)の連中には馴染みが薄いんだっけか。船の中だ。まぁ今は訳
あってダンさん達の──魔界(パンデモニム)の方に泊めてあるんだがよ」
『──?!』
 だが、その一言がいけなかった。どうやらピンと来ない様子にミシェル達に、シフォンや
リカルドがそう答えた瞬間、彼女らは慌てて廊下の窓際へと走っていたのだった。駆け寄っ
て、小窓の外から見える薄暗く殺風景な地底世界の様子を見て……絶句する。
「魔界(パンデモニム)……? 下界だと?」
「うおああああああッ?! 道理で、道理で精霊達の声がああ!」
「くそっ、くそっ、騙したなあああーッ!?」
「……説得して連れて来たんじゃなかったのかよ」
「あはは。いやあ、その前に君が大変な事になったって聞いたから……」
 カイトがぽりぽりと頬を掻いて苦笑(わら)う。どうやら自分達のトラブルについて連絡
を受け、そのまま転送リングを使って飛んで来たらしい。彼女らは、結果その転移に巻き込
まれた格好な訳か。
「それで? ジークは無事だったみたいだけど、向こうで一体何があったっていうの?」
 しかし一方で、そんな中イセルナは急くように──早く詳しい状況を把握しようとジーク
達にアルヴでの経緯を求めた。ミシェル達が「むうっ」と憎々しいような膨れっ面を向けて
くるが、構わず一同は改めて話して聞かせる。
 アゼルにまつわる史料を持ち出す為、アルヴ側の結界をわざと刺激して警戒時の配置を確
かめようとしていたこと。それ自体には成功したが、撤退の途中、運悪く自分達を見つけて
しまったエルフ兵を、何者かの能力で操られたジークが斬ってしまったこと。リカルドの異
相結界とシフォンの機転──咄嗟に拝借した白菊と金菫で敵の能力を解き、負傷した彼らの
手当てをしてからこちらに逃げ来たこと……。
「な、何だって!?」
「貴方達、何て無茶な事を……!」
 当然ながら、ミシェル達もまた驚いていた。普段全く接点がないとはいえ、アルヴが彼女
ら妖精族(エルフ)最大の勢力であることは重々知っている。そこに結果として──いや、
作戦それ自体が喧嘩を売るようなものだと、驚き青褪めていた。
「……拙いわね」
「ああ。もし私達とニブルの繋がりがバレれば、アルヴにとってはハルトさん達を攻撃する
絶好の口実になるからね。だからといって、今私達が両者の矢面に立つのも難しい。ジーク
君だけではなく私達も、もしかすれば敵の能力の発動条件を満たしてしまっている可能性が
ある。そうなれば事態は余計に拗れるだろう。結社(やつら)に、見事に身動きを封じられ
てしまったという訳だ」
 そうした説明を一通り聞き、早くもイセルナは事の本質を理解していた。周りのカイト達
にも分かるよう、ハロルドが三度そう口にする。
 カイトが、同伴のエルフ達が目を見開いて自分達の首長──ハルトを見ていた。しかし彼
もまたどうしようもないと、ふるふると静かに首を横に振るだけだ。
「先ずはジーク君を操った術者を見つけ出し、倒す。そうでなければ迂闊には動けない」
「でしょうね。でも、姿一つ見せないままだった訳だから……」
「だああ! 勝手に話を進めるな! 少なくとも俺達には関係ないぞ。ないぞ……うん」
「そ、そうだ。俺達はただ巻き込まれただけだからな……」
「それよりも早く、私達を帰しなさい。アゼルの聖浄器については話し合うけれど、そっち
の斬った斬られたには関わりがないもの」
「まあ、そりゃそうだけど……」
「デスガ、ココハ既ニルフグラン号ノ内部デス。戻ロウニモ、基本的ニ転移ガ可能ナ場所ハ
予メ『陣』ヲ敷設シタ地点ノミデスカラ……」
「天上(もより)となると、霧の妖精國(ニブルヘイム)ですよね」
「直接船を降りようにも、ここは魔界(パンデモニム)だしなあ……」
『……』
 クレアがオズが、レナがジークが互いに顔を見合わせて確認するように言う。
 ミシェル達は暫く黙っていた。ポクポクと、聞こえない筈の音が鳴り、次の瞬間はたっと
彼女らは頭を抱える。
「う……うわあああああッ!?」
「いや、無理! 無理だって! 地底から天上までどれだけ離れてるっていうのさ!?」
「だからって今霧の妖精國(ニブルヘイム)を経由しようとしても、アルヴの連中に睨まれ
るかもしれないし……」
「うーん。もし君達の里に結界がなければ、直接送ることはできるけど」
『う、うわああああああッ!?』
 一応と、エリウッドが苦笑いを浮かべながら提案してみる。
 だがミシェル達は頭を抱えていた。確かにそれならこれ以上こいつらの揉め事に関わらな
くて済むかもしれないが、隠れ里の場所がバレる。そもそも街でイセルナ・カートンらを襲
撃したのは、存在を臭わすこと自体を含めて、その憂いを消し去る為だったというのに。
「ど、どどど、どうすれば?」
「わ、私に訊かないでよ! まさか帰り道が限定されてるなんて思いもしなかったもの!」
 もうっ、全部あんたのせいよ! 目にぐるぐると渦を巻き、遂にはミシェルが甲高い声を
上げながらイセルナに突っ掛かった。元はと言えばあんた達がその魔導具で巻き込んできた
から……! 胸倉を掴んで揺さ振られるが、イセルナもジーク達もただばつが悪く苦笑し、
平謝りする事しかできない。
「ど、どうどう……」
「とっ、とりあえず落ち着いて下さい。ねっ?」
「ハ、ハロルドさーん、船長ー!」
「団長! た、大変です! アルヴ側に動きが!」
 ちょうど、そんな時だったのである。部屋の外、廊下の向こうからバタバタと複数の団員
達が慌てた様子で転がり込んで来たのは。

「……戻って、来ないな」
「ああ」
 夜もすっかり更け、一体今は何刻頃になっているのだろう?
 “常夜殿”地下礼拝堂前。ずらりと縦向こう側へと延びる回廊の一角に陣取って、グノー
シュとクロムはじっとステラの帰りを待っていた。
 どんな不測の事態が起きても大丈夫なように、ダン達南回りチームの面々が夜通し交代で
見張りにつき、回廊のあちこちにはミザリーの寄越してくれた妖魔族(ディモート)の兵士
達が機械槍を片手に巡回している。
 点々と灯された蝋燭が何とも心許ない。毛布を敷いたものの、夜更けの地下は冷え、口を
衝いて出る言葉はどれも弱音に近いものばかりだ。
 グノーシュが途中、何度も礼拝堂の中を肩越しに覗き込み、呟く。
 対照的にクロムはそうして振り向く事もなく、ただじっと薄く目を瞑って座禅の姿勢を取
り続けていた。
「……大丈夫かな? ステラ。あれから何回か交代してるし、結構時間も経ってる筈なんだ
が、何も反応が無いとなると……」
 礼拝堂の入口は開かれたままになっている。なのにその向こう、奥へと続く空間は一切こ
ちらからは窺い知る事ができない。物音一つ聞こえない。この回廊の点々と灯る蝋燭達が可
愛く見えるほどの深い闇だ。
 彼女はそんな中へ、たった一人で消えて行ったのだ。中は迷うほど広くはないと聞いてい
た筈なのに、まだ戻って来ないのはどうしてか? ……弥が上にも、心配になる。
「なあ。やっぱ俺達も何人かついて行った方がよかったんじゃあ……?」
「……行ってどうする? 中は秘葬典(ムスペル)自身が張り巡らせた空間結界だ。此処か
らでも明らかに異質な闇が広がっていると分かる。十人で挑もうが百人で挑もうが、五感が
満足に機能するとは思えんな。ミイラ取りがミイラになるのが関の山だろう。全容が明らか
でなく、対策も練れない中で大人数が突っ込んでも、被害は拡大する一方だ」
「そりゃあ、そうだけどよお」
 だからって、何も“死んだもの”みたいな言い方する事はねぇじゃねえか……。
 あくまで冷静に瞑想を続けているクロムに、グノーシュはぐぬぬと表情を歪ませていた。
 理屈は確かにそうで、任せろと言った仲間の意思を自分達は尊重したいが、一方で心配に
なるこの気持ちだって同じものだろうに。
「ステラを信じろ。彼女が、私達が待ってくれていると疑わなかったように、私達も彼女が
秘葬典(ムスペル)を手に入れて戻って来ることを信じて待て」
「……ああ」
「それに、どちらにせよ常人には扱い切れぬ代物だ。孤独にだけさえ、させないでやってく
れればいい」
「……」
 静かに呟くクロム。グノーシュはそんな彼を──仲間の横顔を、じっと見つめていた。回
廊の石柱に背を預けて、ぼうっと視線を巡回するディモート兵らに向ける。
(そういう言い方は止せよ。お前だって独りにゃさせねえって。ったく、お前もステラも、
ジークも何でそうやって真っ先に自分をかなぐり捨てるかねえ……?)
 まさに、そんな時だった。ぼうっと不安でもどかしい夜を過ごしていた二人の視界の向こ
うに、次の瞬間、突如として黒衣の一団が空間転移してきた(あらわれた)のである。
「っ!? あれは……!」
「“結社”か。やはり邪魔を……」
 二人は反射的に飛び起きる。剣を抜き、拳を構えて礼拝堂の入口を守るように立つ。
 黒衣のオートマタ兵と、数体の狂化霊装(ヴェルセーク)。
 何より彼らを率いていたのは、三人の男女だった。その纏う強大なオーラは、間違いなく
魔人(メア)──使徒達であろう。
「うーん。やっぱ微妙に座標がズレたなあ」
「仕方ないさ。どうしても封印の力がこちらにも干渉するからね」
「問題ありません。残る障害は、斬り捨てればいいのですから」
 サングラスをかけた虎系獣人族(ビースト・レイス)の男と小柄で色白、何処かダウナー
な印象を受ける人族(ヒューネス)の少年。赤い太刀を下げた線目な女傑族(アマゾネス)
の女剣士だった。
 突如として何もない空間に現れた彼らに、ディモート兵らが驚いていた。ある者は驚愕の
あまり身を硬くし、急ぎ襲撃を知らせに走った者がいたかと思えば、果敢にもこの侵入者達
に挑みかかる者もいる。
 だがこの三人は、そんな迎撃行為などまるで歯牙にも掛けぬといった様子で軽く裏拳や剣
の鞘で殴り飛ばすと、世間話でもするかのようにこちらへ歩いて来る。
「ジヴォルフ! ダン達を!」
「お前達は……ガウルにフォウ、イブキか。此処は通さん」
「うん? おお。誰かと思えば裏切り者のクロムじゃねえか」
「本当にブルートバードの駒になったんですね……。嘆かわしい」
「ちょうどいいわ。貴方を始末すれば、私達地底組の株も上がるというもの」
 グノーシュが自身の持ち霊達の一部にそう命令し、クロムが全身にオーラを滾らせる。現
れた三人の使徒──ガウル達は、最初こそ軽く目を見開いたが動じる様子はない。寧ろ好都
合だとでも言わんばかりに戦闘体勢に入る。
「やはり秘葬典(ムスペル)を奪いに来たか」
「おうよ。お前も知ってると思うが、あれは特殊な部類だろ? あの手の聖浄器なら、扉さ
え開いちまえば魔人(おれ)達でも比較的安全に回収できる」
「グノ、クロム!」
「“結社”だって? こんな所まで入り込んで──えっ?」
 そんな時だった。ジヴォルフやディモート兵らの知らせを受けて上階から飛び込んで来た
ダン達がこの対峙に加わる。サフレやミアも勿論一緒だ。しかし次の瞬間、軍勢を率いる大
将達の姿を見て、二人は思わず目を見開く。
「……貴方達、魔都(ラグナオーツ)の……」
「? ガウル、イブキ。知り合いですか?」
「うん? ああ。そういや名乗ってなかったなあ」
「問題ありません。そもそも、訊かれていませんから」
 ダン達が合流し、両者が礼拝堂前の回廊を挟んで対峙していた。一旦は強襲を受けて体勢
を崩したディモート兵らも、同じく一行と共に駆け下りてきたミザリーら“常夜殿”の幹部
達によって指揮を執り直され、その援護をすべく左右斜めに展開して一斉に槍を向ける。

 時を前後して、地上の統務院は正式に保守同盟(リストン)の討伐を決議した。かねてよ
り指摘されていた“結社”との親和性を危惧し、何よりもハーケン王子の死の真相究明と、
その仇を取るという大義名分の為、軍勢が動き出す。

「──これは、我らが愛する秩序への宣戦布告である! 我々は、かの秩序を乱す裏切り者
らを罰さなければならん! 全ての同胞らに示さなければならん! 若き同胞を手に掛けた
奴らの罪を、その滅びによって贖わせなければならん!」
 そして事態はとめどなく動いていた。光の妖精國(アルヴヘイム)では、五人の長老達と
将軍らの指揮の下、大規模な遠征軍が編制されようとしていた。ずらりと里の大広場に集結
したエルフ兵達に向かって、鬼気迫る声音で彼らは叫ぶ。
「霧の妖精國(ニブルヘイム)を探せ! 今日こそ、あの忌々しい異端者どもの巣窟を滅ぼ
すのだ!」
 それはアルヴ側にとって、待ちに待っていた口実であったのだろう。かねてより里の古老
達は“裏切り者”らを野放しにしておきたくなかった。自分達の“秩序”から離反した者達
を叩きのめしたかった。

 地上で、天上で、地底で鳴り響く戦いの足音。
 それは未だに、二国同時クーデターのショックから癒え切っていない世界に、再び重苦し
い不穏を与えるには充分だった。

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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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