日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(書棚)感想:おかゆまさき『森口織人の陰陽道』

書名:森口織人の陰陽道
著者:おかゆまさき
出版:電撃文庫(2008~2010年)
分類:ライトノベル

転校生・森口君が出会ったのは、色んな秘密を抱えたお嬢様。
沢山のドタバタとちょっぴりシリアスな、彼の奮闘の日々が始まる──。


今回は読了感想を書き始めてから最初の「ライトノベル」系の感想になります。
書名は冒頭の通り。ちなみに1巻から(完結と思われる)4巻までのまとめ感想です。
著者であるおかゆ氏は、知っている人は知っている『撲殺天使ドクロちゃん』の作者でもあ
るライトノベル作家さんです。基本的にコメディ畑の方……と僕は認識しています。自身、
この分野の小説を知った初期に聞き知った作家さんの内の一人でしたので。

大まかな粗筋は……うん、何と言えばいいのだろう?
ボーイミーツガール系と言えばそうだし(主人公である森口君とヒロインの初雪お嬢様との
出会いが何せプロローグ部分ですからねぇ)、題名の「陰陽道」の通り霊能者というキャラ
付けによってお話が進んでいるので能力者モノとも言える。
でも、やっぱり全体的にコメディ調かなと思います。それだけという訳でもありませんが。
森口君が転校初日に出会ったお嬢様、初雪。
実は彼女は「陰陽師」であり「過大な妄想」が「触れた相手に漏れてしまう体質」だったり
(普段はそれを防止する為の手袋をつけているのですが、何故か森口君には効いていないと
いうある意味のお約束パターン)して……。
期せずしてそんな彼女の秘密や「妖怪」の存在を知ってしまい巻き込まれつつも、やがて彼
は自身も同じ力を持って(その体質故に内気な)彼女の傍にいたいと願うようになります。
でもそんな小さな願いに加え、やがて彼自身にも大きな秘密が(以下ネタバレにつき省略)

ドクロちゃんでもそうでしたが、おかゆ氏の小説というのは“突き抜けたキャラ”で以って
勝負するタイプなような気がします。文章の毛色とでもいうのでしょうか。
いわゆる「萌え」的な属性はライトノベルの必須要素ではあるのですが、僕自身が性格も文
章も硬い所為か、あまりそればかりを全面に出されても……という思いはあります。
しかし完全にそればかりに頼っているとも言えなくて。
たとえば作中における「妖怪」の位置づけ。
彼らは本文中では『具現化した災害』といった理屈付けで表現されています。こういう点は
僕も「おぉ?」と思いましたね。
実際、民俗学的な見地からすれば古来「妖怪」と呼ばれるに至った者らはその起源を辿れば
“何かよく分からない現象”を説明する為の結果である場合が多いのですよね。
今日でこそ科学が進歩して色んな“分からない現象”にメスが入っていますが、昔の人々に
とっては、時に荒ぶり、時に味方もしてくれる自然現象とはまさに「妖怪」として畏怖する
対象であったのでしょう。
そしてそうした先人の想像力は科学で持って否定されても、僕ら創作人のネタ元になってく
れているのですから、あながち捨てたものではないのですよねぇ(^o^)ホクホク
(おかゆ氏もそういう引用としてモチーフにした……のかな?)

全体を通してコメディ調。でも中盤──森口君が初雪お嬢様(への好意と共に)の傍にいた
いと願い、陰陽師として修行を積んで実らせる頃からお話は少しずつ真面目になっていくよ
うに思いました(そんな時でもボケとツッコミは忘れられていないのですけどw;)。
巻数を追うごとに増えていった登場妖怪(退治後は森口君らの軍門に下っています)は勿論
のこと、それまで一見ギャグ要因でしかなかった森口一家。さ~っと読んでいる内は笑いの
駒にさえ思っていたのですが、甘かった。ちゃんと彼らの行動は随所において伏線になって
いたのだと気付くと「嗚呼、やっぱりプロの方の文章なんだな……」と虚を突かれた思いが
したものです(正直舐めて掛かってすみませんでしたm(_ _;)m
先述の通り、基本的に僕個人は硬めガッツリの文章が好みなのであまりラノベラノベとした
文体は得意ではないのですが、こうしたお話の中の緩急のつけ方などは是非とも吸収したい
なぁと思いました。

尚、どうやらこの森口君のお話は「~の帝王学」という別シリーズ(巻頭部分から察するに
お互いにパラレル的な物語であるらしい?)もあるようです。機会があれば併せて読んでみ
るといいかもしれませんね。

……。やっぱり僕の文章はラノベ向けじゃないのかなぁorz(←文体のギャップに身悶え中

<長月的評価>
文章:★★☆☆☆(比較的軽い故。論理描写をもっと詰めて欲しかった? 分量は少なめ)
技巧:★★★☆☆(緩急のつけ方・伏線などは参考になりました。でも文章作法……;)
物語:★★★☆☆(全体的にコメディ調。でもそれだけじゃない部分もあり愉しめました)

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  1. 2011/11/09(水) 20:00:00|
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

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