日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)サハラ・セレクタブルⅡ〔25〕

 夜の路地裏に、怪しく蛾の怪人が浮かんでいた。ゆっくりと二対の羽根を揺らしながら、
心許ない月明かりの下で漂っている。
 そしてその表情は、明らかに焦っているように見えた。
 理由は眼下──自身をここまで追い詰めた刺客達の存在である。
「皆、一気に決めるよ!」
 そこには守護騎士(ヴァンガード)姿の睦月がいた。加えて冴島と國子、仁及び数名のリ
アナイザ隊士らと、それぞれが操るコンシェル達。総勢十数名。
 マントを翻してジークフリードが、ゆっくりと太刀を斜め上段に振りかぶって朧丸が、盾
を前面に槍を逆手に握り直してグレートデュークが、一斉に次の攻撃に備えた。その中央で
睦月はEXリアナイザを頬元に当て、コールする。
「チャージ!」
『PUT ON THE HOLDER』
 人気のない路地裏に響く電子音。空中の蛾の怪人──モス・アウターは直感的に危険だと
理解したらしい。大きく羽を広げて、大量の鱗粉を撒き散らす。
「おっと」
 だが無数の攻撃が襲い掛かる直前、仁のデュークが睦月達の前に飛び出した。その堅固な
盾でもってこれを防ぎ、激しい火花を散らせながらも無傷を確保する。
 加えてジークフリートも動いていた。その身体を流動する大量の水に変え、鱗粉攻撃ごと
モスに覆い被さる。ずぶ濡れになっていた。水圧に負けてどうっと地面に落ち、よろよろと
起き上がった時にはもう、勝負は決していた。
「どっ……せいッ!」
「はああッ、せいやーッ!!」
 デュークが投擲した、力を纏って輝く突撃槍(ランス)。朧丸からは紅い飛ぶ斬撃が放た
れ、睦月からは円錐状のエネルギーポインタと空中からの蹴りが飛ぶ。
 逃げる暇などなかった。モスは冴島のアシストを受けた、三人の必殺の一撃を次々ともろ
に食らった。槍で片腹を抉られた瞬間にもう片方を斬撃が、睦月の蹴りがグラついた全身を
駄目押しと言わんばかりに吹き飛ばす。
 蟲の鳴き声のような、断末魔の叫び声。
 睦月の蹴りを受けた直後、全身に瞬く間にひび割れをきたし、モスは爆発四散した。夜の
路地裏に一瞬大音量が響き、すぐに無かったかのように消え失せる。ストンと睦月はその場
に着地した。仁達もゆっくりと残心を解き、振り返った睦月に向かって屈託のないサムズア
ップや小さな頷きを。ここ数日の間、追っていたアウターをようやく退治する事ができた。
「やったな。これで奴の被害はなくなる」
「お疲れ様。見事なコンビネーションだったよ」
「あはは……。相変わらずオーバーキルばっかりですけどね」
『それくらいでいいんですよ。倒し損ねたらそれこそ、割を食うのは何の落ち度もない街の
人達なんですから』
『……そうだな。お前は少々、優し過ぎる』
 仁や冴島とハイタッチし、苦笑いを零し、睦月は呟いていた。守護騎士(ヴァンガード)
となってかれこれ三ヶ月が経とうとしているが、正直このアウターを斃す瞬間というものは
未だにいい気分にはなれない。
『ともかく、撤収だ。他人が来る前にそこを離れろ。不必要に目撃者を増やす義理はない』
 了解! インカム越しの司令室(コンソール)で、皆人がそう一同に指示を出す。最初の
呟きはすぐに脳裏から消えていったようだ。リセット──睦月が変身を解き、冴島や仁、國
子達もそれぞれのコンシェル達の召喚を解く。

『……』
 だがこの時、睦月達はまだ気付いていなかった。
 近くの物陰から、戦いの一部始終を覗き見ていたとある人物の存在に。


 Episode-25.Friends/弱過ぎた密命者

「他のアウターがいた!?」
 それは、モスを倒して一旦司令室(コンソール)に戻った夜のこと。
 また一つの事件を解決して束の間の休息を取っていた睦月達にとって、ふとパンドラから
告げられた情報は思わず身を乗り出してしまうには充分だった。
『はい。どうも途中から私達の戦いを見ていたみたいです。気付いて、マスター達にも知ら
せようとしたんですが、向こうがその瞬間に逃げてしまって……』
 充電中のデバイスの画面内でふよふよと浮かび、申し訳なさそうに語る電脳の少女。
 ぱちくりと目を瞬き、睦月らは誰からともなく互いの顔を見合わせていた。モスとの決着
に集中していたために気付けなかったが……。
「どんな奴か、見えたか?」
『いいえ。暗がりでしたし物陰だったので、人影くらいしか……』
「……拙いな。もしそいつが上級アウターと繋がっていれば、睦月の正体がバレてしまう恐
れがある」
「法川晶の一件の再来、ですね」
 当の睦月は驚きが勝る。だが一方で皆人や國子は、冷静にその情報から起こりうる事態を
予測していた。ごくりと息を飲む。彼らに遅れて、睦月も事の深刻さがじわじわと解るよう
で、胸元をぎゅっと掻き抱いた。
「ちっ。一段落ついた傍からまた敵かよ」
「しかしそれだと妙じゃないかい? 僕らを探る事が目的なら、もっと早くに姿を見せてい
てもおかしくはないのに。モスと戦ったのは何も今夜だけじゃない」
「偶々、じゃないんですか? 奴とそのアウターが組んでいたとは限らない訳ですし。別に
命令されて動いていたなら、今日今夜のタイミングでもおかしくはないんじゃ……?」
 うーん……。舌打ちする仁に、はたっと思考で立ち止まる冴島。睦月は胸元に手をやった
まま、自分でも判然としない内からそう意見していた。今の段階ではまだ、確定できる情報
が少な過ぎる。
「……少なくとも、警戒するに越した事はないだろうな。新しい刺客という可能性もある。
香月博士。一応、パンドラの映像ログからそのアウターの姿を抽出してみて貰えませんか?
誰か判別がつくだけでも大分やり易くなる筈です」
「ええ。そうね。やってみるわ」
 安堵は束の間、場の空気は改めてピリッとした緊張に包まれていた。推測で議論を続ける
ことは好ましくない。そう一旦区切るかのように皆人が言った。ちらっと同席する香月ら研
究部門の面々に一方で解析を頼み、睦月達に警戒を怠らぬよう周知徹底する。
『うーん。いっそもう一回出て来てくれればいいんですけどねえ。捕まえてしまえば今より
は安心ですし』
「捕まえればって……。向こうはこっちが気付いた途端に逃げたんでしょ? そんな慎重な
相手がそう簡単に隙を見せるかなあ」
 腕を組んで、ゆらーりと小首を傾げて、パンドラが言った。椅子に腰掛けたままの睦月が
そんな相棒の楽観論に苦笑いを零している。
「……いや、そうでもないと思うぞ」
「えっ?」
「俺に一つ、考えがある」

(──うぅん?)
 深いまどろみから、いつの間にか呼び起こされていた。瞼の裏に差し込んでくる朝の光が
眩しくて、睦月はゆっくりと、若干気だるさを感じながらも目を覚ました。
 自室のベッドの上。ぼんやりと上半身を起こして室内を見ている。引かれたカーテンから
漏れる光は陽が朝を告げるのに充分昇ったことを示している。ぼりぼりと髪を掻きながらヘ
ッドボードの目覚まし時計を見ると、そろそろ起きなければいけない時間だ。アラームが鳴
る時刻よりも少し早い程度だ。
(起きなきゃ……)
 まだ出るあくびを噛み殺しつつ制服に着替え、鞄を持って一階へ。この家には自分以外に
誰もいない。母は例の如く司令室(コンソール)で泊り込みの仕事をしているし、父に至っ
ては顔すら知らない。もう何年も続いてきた、事実上の一人暮らし。
 睦月は慣れた動線でトイレに向かい、顔を洗い、歯を磨いて台所に戻って来た。冷蔵庫か
ら作り置きしたおかずとジャーの中のご飯をよそって大小三人分の弁当箱に詰めてゆく。
『おはよう、むー君』
 ……しかし、内心これがもう“いつもの”朝と呼べなくなってどれくらい経ったのか。
 作業をしているとインターホンから幼馴染の片割れ、海沙の声がした。おはようと返して
合鍵で中に入ってくる足音を聞くと、睦月はついっと視線を戻して背中を向ける。
 とん。同じく制服姿の海沙。今日も楚々とした、控え目な性格の少女だ。
 幼馴染とお隣さんのよしみで、もうずっと朝は二人で弁当と朝食の用意を分担する時間を
共にしている。二言三言軽い言葉を交わしてから、彼女は早速エプロンを引っ張り出して制
服の上から引っ掛け、コンロの前に立った。こちらも慣れた様子でフライパンに薄く油を敷
いてからベーコンを乗せ、卵を割り、調理を始める。くるっと半身を返したもう片方の手で
トースターにパンを差し込むことも忘れない。
『……』
 だが、睦月にはある種の直感があった。彼女の息遣いがどうにもぎこちない。一見平穏を
保っているように見えるが、努めて心を荒げないよう自分を抑えているかのような──そん
な決まりの悪い沈黙が流れている。背中越しに感じる。
(今日も、か)
 バランでおにぎりとおかずを仕切り、ぽんぽんと三人分。
 睦月は心の中で、そうこの沈黙の日数をまたプラスワンしていた。彼女自身の性格もある
のだろうが、長い付き合いなのだ。醸し出す雰囲気で何となく違和感くらいは分かる。
 そうだ。分かっていた。彼女から感じるこのぎこちなさは、一種の余所余所しさは、自分
が怪しまれているから。守護騎士(ヴァンガード)のことを隠しているから。
 即ちそれは、翻って自分自身の負い目でもある。
 トレードの暴走を止めるべく新生電脳研の創部パーティーを、自分達は空中分解させた。
しかし二人は──少なくとも海沙は、あれから何も言ってこない。それが却って睦月の負い
目を刺激していた。……なまじ分かってしまう。彼女は、それでも自分を信じようとしてく
れているのだろうと。
「はい。朝ご飯できたよ」
「こっちも終わったよ。食べよっか」
 結局何も言い出せないまま、本心に迫れないまま今日も二人で朝食を囲む。こんがり狐色
に焼いたトーストとベーコンエッグ、ミルクと砂糖たっぷりのコーヒー。
 やはり海沙は、あの日の事を責めてくるようなことはしなかった。いつものように大人し
く控え目ながら、ふいっと気遣って雑談を振ってくることも忘れない。
「……むー君?」
「っ!? う、うん。何?」
「えっと……大丈夫? さっきから何だかぼーっとしてたみたいだけど」
「ああ、うん。平気平気。少し考え事をしてただけだよ」
「そう……。あまり無茶はしちゃ駄目だよ? その、三条君のお手伝いも程々にね?」
「あはは。ありがと。海沙も、あんまり無理しないでね? 昨夜も結構遅くまで起きてたみ
たいだし」
「……うん」
 朝食を済ませ、身支度も終えると早速登校だ。時間は余裕を持って出た方がいい。
 理由は言わずもがな、寝ぼすけの宙の為。案の定今朝も、こちらが家まで迎えに来た頃に
ようやく起きてきたくらいだ。寝癖だらけの髪で「ごめんねー」と苦笑(わら)いながら、
今日もおじさん・おばさんに急かされての支度を済ませる。
「よしっ。準備完了~」
 弁当を渡すと、目を輝かせて起床にスイッチが入るのもいつもの事。
 睦月と海沙、宙。幼馴染三人は今朝もかくして連れ立つと、学園へ向かって歩き出した。
「ねえねえ。昨日のサウステ観た?」
「うん。久しぶりだったよねえ、カエデさん」
 彼女達二人は少し前を歩き、昨夜の音楽番組の話をしている。どうやら最近まで産休を取
っていた女性歌手の復帰があったようだ。ああ、あの人か……。睦月は名前を聞いてようや
く記憶の中の顔と一致したが、正直あまり今関心はない。
「──」
 気になって仕方なかったからだ。海沙と、宙の一見してあの日の事を問い詰めてこない振
る舞いが。さりとて全く気にしていない筈はないだろう。実際セイバーの事件の折、自分達
を尾けてきていたのは判っているのだから。
 偶々か? いいや、違う。あれは間違いなく自分達を怪しんで裏を取ろうとした行動だ。
今朝こそこうして何時もの日常を過ごしているが、内心はきっと問い質したくて堪らない筈
なのだ。
(……もう、限界なのかもな)
 自分の正体を、対策チームの存在をホイホイと口外する訳にはいかない事は解っている。
 それでも、これでは一体何の為に戦っているのか? 睦月はここ最近分からなくなってき
ていた。元を辿れば自身の欲望──ここに居ていい証明の為の戦い。だがそれは、言い方を
変えればこの「日常」を守る為の戦いでもある。
 それがどうだ。今や何よりも安息だったこの一時が、密かな探り合いの空間にさえなって
しまってはいまいか? 二人の気持ちを、じりじりと磨耗させ続けてるでのはないか?
「……」
 自分が考えなしに“正義の味方”になったから、と言ってしまえばそれまでだけど。
 ここまで守りたいものと、守るべきものが両立しないだなんて。


 あの日、瀬古勇は爆風と土煙の中、現場から消えた。
 筧と由良は玄武台高校(ブダイ)に来ていた。事件からはもう一ヶ月はゆうに経っている
筈なのだが、崩壊した校舎の風景は痛々しい。犠牲になった生徒や教員達、解任された校長
など多くのものを失って、同校は今建て替え工事の真っ最中である。
「瀬古勇が現れたのは……ちょうどここから見て左奥。南西の方角だ」
「正門方面は自分達が固めていましたから、逃げるとすれば西半分のいずれかという事にな
りますね」
 玄武台(ブダイ)の敷地は、東西のラインに交差するように建っていた。当時筧ら当局の
面々が張り込んでいたことを考えると、瀬古勇の逃走ルートは街の西を突っ切るか、街の北
部に紛れるかのどちらかだと言ってよい。
 二人は改めて、この飛鳥崎を覆う不可解事件らを見つめ直すことにした。その糸口として
先ず目を付けたのが、彼らが実際に守護騎士(ヴァンガード)らしき人影を目撃したここ玄
武台高校だったのである。
 正門を潜ってすぐの所にぼうっと立ち、二人は互いに確認を取り合っていた。筧は記憶を
頼りに辺りの景色をつぶさに観察する。由良はデバイスで地図アプリを呼び出し、街全体と
の位置関係を整理する。
「おそらく奴は、西にルートを取ったと思う。あれから俺達が散々聞き込みをしたっていう
のに目撃者はなし。まるで消え失せたように姿を眩ませた。もし北側に逃げたなら駅と住宅
街が並んでる。誰も見ていないなんてのは不自然だ。だが西へ──街の郊外へ逃げたのなら
それにも説明がつく。初動の段階ではうちの管轄外だし、他の街へ身を隠すのにも好都合だ
からな」
「自分も同意見です。瀬古と彼の連れていた男は、校舎を狙った。動線を考えればまた来た
方向へ戻るというのは考え難い。校舎裏から街の西へ──裏路地などを抜けて人目を掻い潜
ったとみるべきでしょう」
 地図アプリから視線を外し、由良は旧校舎の奥へと目を遣った。筧も同じくそれに倣う。
玄武台(ブダイ)の裏手には住宅と、更にすぐ種々のテナントが入る雑居ビル群が広がって
いる。
「ちょうどあそこだ。さっき言った殺しの現場。不良達数人が首を切られて死んでるのが見
つかってる。検死の結果から死亡推定時刻はこっちの事件があった当日の日没後。確定とま
では言えねえが、瀬古が逃走途中に見つかって口封じってのは充分にありうる。それまでの
殺害方法と似通ってるしな」
「ええ。ただブダイとの関係がなかったことから、当初瀬古勇との繋がりは皆無だと結論付
けられました」
 補足するように由良が言う。……そうだな。しかし筧はじっと、校舎越しの街並みを見つ
め続けていた。言葉とは裏腹に、彼の中ではある種の確信があるようだ。長い付き合いだか
ら分かる。こういう時の兵(ひょう)さんは妙に鋭い。
「……」
 だがその一方で、この時由良は内心、別のことを考えていた。他ならぬ海沙と宙──自ら
が出会った重要参考人のことである。
 佐原睦月。彼女らは確かに林の下に訪れたという学園(コクガク)生をそう呼んだ。詳し
い話を聞けば、何と二人の幼馴染らしい。
 あの後、自分なりにこの少年についての情報を調べ上げた。苗字を聞いた時もぼやっと脳
裏に過ぎっていたのだが、まさかあのコンシェル研究の権威・佐原博士の息子だったとは。
それだけじゃない。彼女が現在、研究者として所属しているのは三条電機。そして彼女が配
属されていた第七研究所(ラボ)は原因不明の火災──表向きには電気系統の不具合によっ
て突然の閉鎖に遭っているときた。
 筧ほどではないが、ピンと何かが繋がってゆく心地を覚えた。
 同研究所(ラボ)の所在地はポートランド。そしてポートランドには、あのH&D社の東
アジア支社がある。閉鎖騒動があったのも今年の春先。彼女達の話す、睦月少年に変化が起
こり始めた時期とも一致する……。
(まさか、本当に……?)
 状況的には、限りなく黒に近いグレーだった。母親がコンシェル研究の第一人者であるの
なら、その系列の技術であるリアナイザを彼が知らないとは考え難い。あの日、メディカル
センターで目撃した守護騎士(ヴァンガード)と黒ローブの怪人。やはりその正体は、睦月
少年なのだろうか? 巷では正義のヒーローと言われながら、怪人とも手を組んで……。
 ギリッと密かに拳を握り締める。しかし今の由良は、怒りが勝っていた。
 そう、怒りだ。これまでの情報を総合するに、彼が守護騎士(ヴァンガード)となった経
緯には三条電機が絡んでいる可能性が高い。となれば、その事を実の母である博士が知らな
いとは思えないのだ。
 ……よりにもよって、実の息子を。
 由良の中の正義感がめらめらと燃える。まさか、分かっていて関わらせているのか。まだ
十六歳の少年に。自分は博士がどんな人物なのかまでは知らない。面識はない。だが一人の
刑事として、大人として、行き着いたその可能性に対して義憤(いか)らずにはいられなか
ったのだ。
「──?」
 ちょうど、そんな時である。ふと筧のデバイスに着信が入った。由良はその音でハッと我
に返り、彼の横顔を見遣ると、それまでの感情を慌てて押し殺す。幸い筧の方には気付かれ
ていないように見えた。何十分にも引き延ばされていたかのような数拍の間、じっとこの始
まりの現場を食い入るように見つめ直していたらしい。
「どうした?」
『ああ、兵さん。今何処だい? すぐに来てくれ。実は俺達も瀬古勇の足取りを追っていた
んだがよ……』
 電話の相手は、ノンキャリ組の同僚刑事だった。聞こえてくる物音などからして他にも数
人、一緒に街中へと捜査に出ていたらしい。
『奴のアジトを見つけた。西大場の廃ビルだ』

 いつもの一時。いつもの昼休み。
 だがそんな「日常」の一齣も、今や睦月達にとっては内心穏やかではない。いつものよう
に皆で学園内の中庭に集まり、新生電脳研のあれこれ以来同席するようになった仁も加え、
持ち寄った弁当を囲んで「いただきます」の合掌。
『……』
 しかし、いざ食事中になると明らかに話題が弾まなくなった。睦月や仁、誰かが居た堪れ
ないと何かしら軽く話を振ってみるも、海沙や宙の反応は単独で短い。皆人と國子に至って
は元々不必要に喋らない所があるため、基本的に様子を観察するような立場を貫いている。
(重い……)
(ああ。これってあれだよなあ。キレてますよ、だよなあ)
 もきゅもきゅ。弁当ないし惣菜パンを咀嚼しながらひそひそと。
 睦月は苦々しい様子で密かに眉を顰め、囁いている。隣に座る仁も同様だ。一見する限り
きちんと皆で揃って昼食を摂っている点は変わらないのだが、如何せん彼女ら幼馴染ズから
発せられる無言の圧力はじわじわとこちらの精神力を削ってゆく感じがする。
「んー、今日も美味しい♪」
「ありがと。でも、お礼ならむー君にね?」
 一見して穏やかに、物静かに。
 だがそう睦月の名前が出てちらっと二人が向けてくる視線は、間違いなく「探る」ような
それだ。ごくりと息を呑み、当の睦月はただぎこちなく苦笑いをするしかなかった。上っ面
の台詞など殆ど頭に入ってこず、思考はさっきからずっと彼女達の内心を量ろう量ろうとす
るばかりである。
 ……やはり、怪しまれている。
 そう感じているのは、どうやら皆人や國子も同じらしい。困ったように横目を遣った睦月
に、スッと目を細めて肯定のサインを出している。
 いっそ訊ねてきてくれ……。正直そう思うくらいだった。そもそもの原因が自分達にある
とはいえ、こうもあくまで平静を装ってこられると、ジクジクと罪悪感が刺激されてしまっ
て敵わない。
(心理戦、なのかなあ。僕達がずっとはぐらかしてきたから……)
 大方、宙が海沙を見かねて提案し出したのだろう。押して駄目なら引いてみる。そんな具
合にこちらが折れるのを待つと言った所か。或いはこれは様子見で、また自分達を問い詰め
る頃合を窺っているのかもしれない。
 どうしたものか。睦月はちらっと仁、皆人達と目配せをし合い、対応を請うた。彼女達が
探りを入れてきているのに無防備であっては拙い。とにかく、この妙な空気だけでも何とか
しないと……。
「え、えっとさ──」
「ねえ、知ってる? この前の万世通りの事件、セイバーって人が原因だったんだって」
 しかしである。睦月が話題を振って二人を逸らそうとした瞬間、宙が先に被せるように言
った。もぐもぐとご飯を咀嚼し、口の止まった睦月を一瞥して、気持ち一呼吸置いてから目
を瞬く海沙の隣で続ける。
「せいばー?」
「うん。あれだよ、いわゆる義賊。以前からネットでは有名でさー。自分のサイトに集まっ
た依頼を受けて色んな“悪人”を成敗して回ってた奴なのよ」
 睦月や仁は、思わずビクンと身を強張らせて悲鳴を上げそうになった。宙はあくまで本当
に知らなさそうな海沙に教える形で話しているが、この場所このタイミングで振ってくると
いうことは明らかにこちらへの揺さぶりである。
「……その人が、あの無差別テロを?」
「あー、違う違う。そっちの犯人は別物。セイバーはそいつと戦ってやっつけたんだって。
ぼやけてるけど画像も出回ってるよ。頭が二つの犬を真っ二つにしてるって奴でさー。あの
日のも、その後出たっていう残党も、そいつが倒したんだぞって記事」
 でもねえ……。宙はもきゅっと、一旦咀嚼する口と手を止めて言葉を区切った。ごくりと
睦月や仁が、そんな彼女達の様子を固唾を呑んで見守っている。
「どうも怪しいのよ。最初は守護騎士(ヴァンガード)だって言われてたのに、気付いたら
この記事で皆右へ倣えでセイバー叩き。加えて当の名乗ってた本人は誰かに殺されたってい
うじゃない。……おかしくない? 怪物を倒せるような自称ヒーローが、ポッと出のモブに
やられちゃうモン? っていうか、大体怪物って何よ」
「い、今更……。ソラちゃんも言ってたじゃない。飛鳥崎の都市伝説だって。先端技術の集
まる集積都市なんだから、私達の常識じゃあ考えられないものが生まれててもおかしくない
って」
「そうなんだけどねえ。何て言うか、萎えるっていうかさ? こう実際にリアルで人がばっ
たばった死ぬような事件が起きちゃうと、都市伝説として楽しむ所じゃなくない? もしか
したら悪の科学者が暴れてるー、なんてパターンなのかもしれないけど、そういう空想の世
界は、自分が安全圏にいるからこそできるものじゃん?」
 はあ。いつもと違って、宙の主張は妙に整然としていた。尤も、基本的に情に寄った思考
経路ではあったが。巷説にただ無邪気にロマンを感じていた頃の彼女からは想像もつかない
突っ込みだ。
「本当、どうなってんだか……。ねぇ睦月。パンドラと一緒にあちこち行ってるんなら何か
知らない?」
「えっ……? あ、ううん。さあ? そ、そもそも怪物なんて本当にいるのかなあ。何て」
 だからこそ、急に振られ意見を求められた睦月は正直大層慌てた。仁はサァッと青褪め、
皆人も深く眉間に皺を寄せている。
 ……やっぱり、勘付いてる。
 努めて苦笑いを返しながら、睦月は直感していた。宙は、宙と海沙はやはり自分達に疑い
の目を向けている。仁のいるこの場でパンドラの話を持ち出してきたことからも、とうに彼
もグルだとの目測を持っているようだ。
「そうだな。青野も今言ったが、この街は特殊だからな。何かが水面下で開発されていても
不思議じゃない。確かにこうも事件になるのは御免被るが……。だが基本、俺達には関係の
ないことだろう? 俺達市民にしてみれば、成果物さえ安全に受け取れればそれでいい」
「うーん。そんなものかねえ? っていうか、御曹司のあんたがそれを言う?」
 そんなキラーパスを、冷や汗ギリギリの所で捌いたのは皆人だった。相手の愚痴りを認め
つつも、その問題をさも大きくないかのように取り扱う。事実表面上は、宙もそう新たに突
っ込みを入れながら笑っていた。
「いや、三条が言うからこそ、なんだろ。もし本当にマジでやばいってんなら、とうに街の
お偉いさんらは逃げてるだろうしな」
「……皆人様はそのような方ではありません」
「あー、分かってるって。そ、そんな怖い顔しないでくれよお」
 主を非難されたと受け取ったのか、じとっと國子が睨み付けてくる。そんな視線に仁が堪
らずわたわたと両手をかざして弁明する。
 あはははは。睦月が、そして海沙が弁当を手に膝に笑っていた。内心睦月は、そんな仲間
達のフォローに感謝していた。半分は本当だし、半分は方便。二人のことを含めて、自分達
はこの街の人々を守る為に戦っている……。
「……」
 しかしその一方で、宙はふと皆が気付かぬ内に真顔に戻り、もきゅっと添え物のレタスを
齧っていた。ちらと横目で見遣った海沙も、苦笑いを残しながら、彼女の向けてきたその視
線の意味を理解している。

『あいつらがあたし達を思って、巻き込みたくないって理由で隠してるのは分かってる』
『うん。でも、私はちゃんと話して欲しい。仲間だもん。力になりたい』

 それはトレードの一件からセイバー、由良との出会いを経て、二人の間で内々に交わされ
たチャット内容。彼女達なりに配慮を重ね、吐き出し合ったお互いの素直な気持ちの記録。

『やっぱ、真正面からぶつかっても話してはくれないと思うな。あいつらスクラム組んでる
もん。それとなく訊いてみたって、今まで通りはぐらかされるだけだよ』
『うん……』

 ポン。左右からフキダシマークで二人の会話がログになってゆく。こっそり授業中、帰宅
後、自分達の部屋に戻ってからのやり取り。
 二人の思いは同じだった。仲間外れにして欲しくなかった。ただその意思表示が、互いの
性格故に対照的になりがちというだけだ。宙のアイコン──デフォルメされたMr.カノン
が、ついっと新しいメッセージを表示させる。

『攻め方を変えてみよっか。任せておいて』
『一対一に持ち込むの』


『準備はいいか?』
 それはその日の放課後のこと。一旦司令室(コンソール)で持ち込みの私服に着替えて、
睦月は街のとある路地裏までやって来ていた。先日モス・アウターと交戦したエリアの付近
である。日も暮れ始め、人気のないそこで睦月は一人立っている。
 インカム越しに司令室(コンソール)の皆人の声が聞こえた。同じく周囲の物陰には、冴
島以下リアナイザ隊の面々が息を殺して控えている。
「うん。僕はいつでもオッケーだけど……陰山さんと大江君は?」
『色々あって今回は席を外して貰っている。緊急の出動ではないからな』
 仲間達のスタンバイを確認しつつ、軽くインカムに指を当てて訊いてみる。
 そっか。親友からの答えに睦月は特に疑うことをしなかった。皆人がそう判断したのなら
それが合理的な判断なのだろう。何分、自分は情に流されやすいと自覚しているから……。
『では始めよう』
「うん。パンドラ。一応確認しておくけど、近くに他人は?」
『大丈夫です。こちらを知覚できる範囲に部外者の反応はありません』
 インカム越しと、デバイスの画面上から。睦月は直前パンドラに確認を取ってから、彼女
をデバイスごとEXリアナイザにセットした。浮かんだホログラム画面を操作し、正面に向
かって引き金をひく。
『SUMMON』
『HARD THE DIAMOND』
 銀色の光球から現れたのは、睦月のサポートコンシェルの内の一体だった。
 光沢のある、ずんぐりとした如何にも頑丈そうなボディ。両手には大きなハンマーを握っ
ている。ダイヤモンド・コンシェル──金属系シルバーカテゴリに属する一体だ。
 そして待ってくれている彼と向き合って、睦月は再びEXリアナイザを操作した。それは
何時もの戦いの合図で、銃口をぐっと自らの掌に押し当てる。
『TRACE』『READY』
『OPERATE THE PANDORA』
 サッと横向けに撃った光球が、ぐるんと頭上に旋回して睦月を守護騎士(ヴァンガード)
姿に変えた。ダイヤがぐっと腰を落として構え、睦月もEXリアナイザを頬元に握る。
 ──模擬戦。今回の作戦を一言で形容するなら、そう表現できるだろう。
 皆人の思いついた策はこうだ。件の、睦月達を覗いていたというアウターを捕まえるには
先ず向こうに出て来て貰わなければならない。だがこちらは相手の正体も何も知らないし、
一度気取られて逃げられた以上、次に何処に現れるかさえ分からない。
 ならば、誘き出してみようと考えた訳だ。もし向こうが睦月の正体を探る為に差し向けら
れたのだとすれば、守護騎士(ヴァンガード)──同胞にして同胞ではない気配を察知して
いる筈である。なのでサポートコンシェルを仮想敵とし、傍目からすれば彼が同胞と戦って
いるように見せかける。問題は、向こうが既に報告に移ってしまっているかもしれないとい
う可能性だが……。
「スラッシュ!」
『WEAPON CHANGE』
 頬元で武装をコールし、睦月は自身のサポートコンシェルに斬り掛かる──ふりをする。
 だがダイヤの防御は硬く、並みの攻撃ではびくともしない。バキンッと僅かな火花が散る
だけで、逆に睦月の方が押し返されてしまうほどだ。
 あくまで演技という事で、加減をしているというのもある。
 だがこのダイヤモンド・コンシェルの特性は硬質(ハード)──体表面を硬い防御膜で覆
うというもの。うっかり壊してしまわないようにという配慮からの人選だったが、これは思
った以上に難敵である。
(うーん。加減が難しいな……。でも、強い)
 睦月は内心、改めてこのサポートコンシェル達の強さを痛感していた。もし何十といる彼
らが敵に回っていたらどうなっていたことか。彼らが力を貸してくれるからこそ、自分達は
アウターという敵と渡り合う事ができる。
 守護騎士(ヴァンガード)姿の睦月もダイヤも、パワーとスピード、互いに決め手を欠く
戦いを続けていた。じりっと、内心件のアウターが現れるのを待っていた。
『マスター、アウターの反応をキャッチしました! ちょうど後ろの物陰です!』
 そんな時である。ようやく作戦は功を奏した。パンドラが探知圏内にアウターの出現を認
め、睦月に知らせてくる。パワードスーツの下で、司令室(コンソール)で、睦月達は眉間
に皺を寄せて顔を上げた。
「──そこだッ!」
『ARMS』
『BIND THE VINE』
 そして振り返りざま、睦月はホログラム画面から新しく武装を呼び出し、パンドラが教え
てくれた方向にむかってこれを放った。
 ヴァイン・コンシェル──相手を拘束する蔓を操る能力である。
 ぐんと物陰へと一直線に伸びていった草の戒めは、はたしてそこに隠れていた何者かを見
事捕らえたのだった。
「ぐえっ!?」
「よし、捉えた!」
「囲め! 絶対に逃がすなよっ!」
 同時に周りの物陰に潜んでいた冴島達が飛び出し、次々にコンシェル達を呼び出しながら
これに駆け寄ってゆく。
 完全に包囲された形だ。パンドラの探知からアウターであることは間違いない。
 じりっと、それでも警戒は怠らず。睦月達はこの二度(にたび)の覗き魔の正体を暴くべ
く、取り囲んだ先からゆっくりと手繰り寄せてゆく。
「痛でで……。な、何だこれ? 蔓……?」
『……』
 だが、物陰から引き摺り出されたのは、一人の少年だった。
 ぽてっと肥えた、いわゆるオタクっぽい少年。どうなってるんだ──? 睦月が、冴島達
がホログラム画面に出てきたパンドラに目を遣るが、コクと頷いている。アウターであるの
は間違いないと。という事は……人間態?
『こいつが犯人か』
『ええ。間違いないわ。解析した時、怪人態ではなかったから妙だとは思っていたけど』
 インカム越しに皆人と、香月らの声がする。先の映像ログから照らし合わせても同一犯と
みて間違いないようだ。睦月達はまじまじとこのオタク少年の姿を借りたアウターを見る。
拍子抜けだ。何というか、もっと悪意に満ちた刺客的な者を想像していたのに……。
「ま、待ってくれ!」 
 そんな時である。はたと次の瞬間、このアウターがいた物陰の更に奥──表通りに繋がる
側から慌てて転がり込んでくる者があった。彼は必死になってこのアウターの前に、睦月達
の前に出て両手を広げ、これを庇おうとする。
「こ、降参だ! 僕達に戦う意思はない。か、カガミンは、悪い奴じゃないんだ……!」
 故に睦月達一同は、その光景に思わず目を丸くする。
 何故なら彼は、この人間態のアウターと全く瓜二つの姿をした少年だったからである。

 時を前後して。
 その日のホームルームが終わった後、クラスの面々はそれぞれに教室を出て行ったり、残
って雑談に花を咲かせたりしていた。
(あっ……)
 勿論そんなクラスメート達の中には、睦月の姿もあった。
 鞄を手に、皆人と一緒に帰って行こうとする。その後ろ姿を見つけて海沙は思わず後を追
おうとした。引き止めようとした。
「どうかしましたか?」
 だがそんな二人の間に割り込むように現れたのは、國子だった。いつものように淡々と、
クールでスマートだが、実はそこまで冷徹ではないと知った新しい友達。
 えっと……。こちらには気付いていないのか、遠ざかってゆく睦月と皆人。海沙は妨害に
遭って慌てたが、一方で何となく解っていた。
 仕方がない。予定ではむー君にと思っていたけど、この際彼女でも……。
「陰山さん。お話があります」
 言って、彼女を連れて行った先は、現在は使われていない空き教室だった。外の、眼下の
グラウンドでは幾つかの運動部がウォームアップで走り込みを始めているし、遠くからは吹
奏楽部の音色が聞こえている。
「お願いです。正直に話して。むー君は、一体何をやっているの? どうして三条君のお家
から?」
 二人っきりになって、海沙は意を決して問うた。室外の音がとても遠く、別世界の出来事
のように感じられる。暫く彼女をじっと見つめて、國子は黙っていた。ついっと気持ち顎を
上げたかと思うと、今まで繰り返してきた答えが返ってくる。
「……パンドラ・コンシェルの運用テストですが」
「本当に? 確かに、パンドラちゃんは現実にいる子だよ? 最初はコンシェルだって信じ
られないくらい普通にお話できてびっくりしたけど、おばさまが作ったnならあり得なくは
ないって今では思ってる。……でもね? それでもそもそもおかしい事が多過ぎるんだよ」
 ふるふる。海沙は首を横に振って言った。そうじゃない。訊きたいのはそんな上っ面だけ
の事情じゃない。
「ソラちゃんを襲った誰かもそう。私を付け狙っていたっていう八代君もどうやって私達に
気付かれずにそんなことができたのか。身の回りだけじゃない。この街は、変だよ。不思議
な事件が多過ぎる。……ねえ、陰山さん。正直に答えて? 私の気のせいかもしれない。で
もこんなことになった一番の最初って、むー君が第七研究所(ラボ)の事故に巻き込まれた
時じゃないかな? あの時も大事を取って入院して、その後も何度か同じように……。第七
研究所(ラボ)はおばさまの勤めていた場所。そしてあそこを含めて系列のトップに立って
いるのは三条電機──三条君と陰山さん、貴女達のお家。これって本当に偶然なのかな?」
「……」
 國子は微動だにせず向かい合って立ち、その言葉を聞いていた。いつものようで、やはり
醸し出す雰囲気は違う。とても厳しくて──哀しい表情(かお)。
 海沙は一度大きく深呼吸した。ぎゅっと唇を結んで、思わず目に涙すら溜まる。
「お願い、本当のことを話して!」
 たとえ隠し続けている理由が、自分達を想ってのことであったとしても。

「──ねえ、大江っち」
 時を同じくして、宙は電脳研の部室にいた。いつものようにパソコンを開いてゲームをし
たり、ネットサーフィンをしている。彼女が口を開いたのは、他の部員達がトイレや通話で
席を立った、ちょうど彼女と仁が二人っきりになった瞬間のことだった。
「な、何さ?」
 ビクン。内心仁は身を強張らせて顔を上げていた。何となく予想出来たからだ。開口一番
聞こえてきた彼女の声色が、明らかにいつもの飄々としたそれとは違ったものだったから。
「いやね? あんた達、何かあたしや海沙に隠し事してるんじゃないかってさ」
 ビクン。ついっとそう流し目を遣られた時、仁は全身から冷や汗が湧き出す思いだった。
 やはりか……。昼休みの時もそうだったが、やはり仕掛けてきた。自分達を疑っているの
はもう間違いない。
「な、何を藪から棒に……。そういうの良くないぜ? ダチだろう?」
「だからこそ、よ。この際はっきりしておきたくてね。そもそもあんたや旧電脳研の面子が
あたし達とつるむようになったのって、海沙のストーカーの一件からじゃない? でも結局
犯人の八代は、実際どうやって海沙やあたし達に気付かれずにストーキングをしてたのか?
その肝心の所は判らずじまいなのよねえ。当の海沙があまり責めたくないって言うから最初
は引っ込めてたけどさ……。あたしが襲われた時もそうだし、何だかここ暫く身の回りでも
不可解な事件が増えてる気がするのよ。まるで、飛鳥崎の怪人伝説がじわじわと広がってる
みたいな……」
 つぅ。冷や汗か脂汗か、もう細かい所まで気にする余裕すらなかった。
 仁は内心焦りに焦っていた。それとなく話を逸らそうとしても、宙はがしりと受け止めて
再び俎上に乗せる。ネットのニューストピックをカチカチ表示させては戻しながら、彼女は
続いて“爆弾”を投下したのだ。
「……実はね。とある筋から、以前の爆弾魔の時、睦月が首を突っ込んでたっていう話を聞
いたのよ」
「ッ!? ……?!」
「まぁ結局らしいってだけで、詳しい情報まではなかったんだけどね。でも、何だかそれか
らずっと引っ掛かっててさあ……。ねぇ、大江っち。リアナイザって本当にVRで遊ぶ為だ
けの装置なのかな? 昼も皆っちが言ってたけどさ、この街は他にはない色んな技術が出て
来るじゃん? もしかしなくてもここ何年かの怪人騒ぎってのも、実はコンシェルをでっか
く映してみせたものとかじゃないかなーって」
「……推測だろ? 第一、そんな事して何になるんだよ?」
「寧ろあたしが聞きたいわよ。何かの実験なのかもしれないけど、笑って気楽に暮らせる環
境すら邪魔されちゃあねえ……。でもこの街に何があるのは事実よ。で、睦月はそんな街に
パンドラを連れてうろうろしてる。皆っちの会社から頼まれてる。これって本当に偶然なの
かなあ? あんたもあいつの友達なら、何か知ってるんじゃない?」
「……」
 最早平静を装うことすら難しくなっていた。再三と寄越される流し目。仁はもう強張った
表情(かお)のまま、ただ口を割らぬよう割らぬようにと自身を抑えるので精一杯だった。
 嗚呼、やっぱりやべぇよ。三条。
 一体何処から漏れた? 何で佐原の名前がそこで出てくる?
「ま、いいけどねえ。じゃあ質問を変えるけど、この前の創部パーティーの後、何処に行っ
てた? あたしや海沙が寝落ちしたのをいい事に、勝手にお開きにしちゃってさあ……。ま
さか例の万世通りの怪物を見に行ってたとかじゃないでしょうね? ネット民の目は誤魔化
せても、あたしの目は誤魔化せないよ」
 強張った表情(かお)のまま。まるで縛り付けられたかのような仁。
 だが一方で当の宙は、詰問を始めた途中からズキズキと自身を襲う頭痛に耐えていた。
 嗚呼、またこれだ。あたしが何か思い出そうとする度に疼いてくる。それも決まって睦月
や都市伝説絡みのことを引っ張り出そうとする時に限って。
 自分は、学園に入り込んできた不審者と睦月達のサボりがあった日から。
 海沙(しんゆう)は、例のストーカー事件の後から。
 互いに同じ原因不明の頭痛が起こるようになった。それが判ってから、これが単なる偶然
じゃないとの確信が強くなった。何かがおかしい。何かが起こってる。この街で、自分達の
大切な人達の間で、常識じゃ計り知れない何かが。
「……偶然じゃない。だとしたら出来過ぎてる。あたしはいい。でもね、海沙だけは特別な
んだよ。あたしはよくても、これ以上あの子を悲しませるなッ!!」
「っ──」
 最初はあくまでじわじわと、自分なりに理路整然として追い詰めて。
 だけど駄目だった。どんどん感情が勝っていって、同じようにそれ以上に、苦しんでいる
筈の親友の顔が頭に浮かんできて。
 許せなかった。睦月も、皆人も、國子も。何よりあいつのファンを公言していたお前らが
それに加担しているなんてどういう事だよ? 自分がストーカーに遭っても抑えて、心配を
してくれたあの子への裏切りじゃないのか。何で隠し続けていられるんだ……?
 宙が遂に叫ぶ。仁がその怒りの源泉をも見た気がして、言葉を失う。
 そうだ。俺達は海沙さんを騙している。それも全て、彼女の為だと思って。
 打ちひしがれる仁。
 ギリッと怒りと、強まる頭痛に歯を食い縛る宙は──。
「うっ?!」
 そんな、次の瞬間である。彼女は突然糸が切れたように倒れ込んだ。白目を剥いて気を失
ってしまったのだ。
 仁は慌てる。思わず立ち上がり、彼女の下へと駆け寄ってゆく。何事かと思った。だが今
この場、この状況で“助かった”と思ったのは事実だ。それはつまり──。
「……」
 國子だった。
 片手にデバイスを──司令室(コンソール)から権限の一部を委譲されたビートル・コン
シェルの制御プログラムを起動し、席を外していた残りのメンバー達と共に戻って来た國子
の姿が。


「これは……どういう事だ?」
 睦月達の前には、全く同じ姿形をした少年が二人いる。
 どうやら抵抗の意思はないらしい。彼らは共に、その場に正座をしてしゅんと項垂れてし
まっている。
『うーんとですね……。向かって左が人間態のアウター、右が本物の人間さんです』
「ややこしいな」
 人間社会に溶け込む為、アウターが召喚主などの姿をコピーすることはある。
 だが二人は、あまりにも似ていた。それこそ姿形から細かなあらゆる挙動まで。もしパン
ドラがいなければ、二人の区別はつかなかっただろう。
 因みに、囮の役割は済んだのでダイヤ・コンシェルにはデバイスに戻って貰った。
『さて……。詳しい話を聞かせて貰おうか。お前達は一体何者だ? 何が目的だ?』
 変身したままの睦月に冴島、隊士らのコンシェル達にずらりと取り囲まれた格好で、そう
通信越しに皆人がドスを利かせた声で言った。
 ひぃっ!? 面白いくらい滅茶苦茶にびびっている。
 全く同じ姿の少年二人は、全く同じ動作で竦み上がり、お互いに思わず涙目になって抱き
合っていた。どうも調子が狂う。少なくとも片方はアウターなのだから、もっとこう敵とし
ての威厳を出して貰わないとまるで一方的な恐喝だ。右側の少年──おそらくはコピー元の
人間はややあって、おずっと一度息を呑んでから答える。
「……額賀二見、十七歳。飛鳥崎西高校二年。こいつの、カガミンの相棒だ。あ、カガミン
っていうのはニックネームで──」
『そんな事までは訊いていない。目的は何だ? 彼の、俺達の正体を探る為か?』
「ち、違うよお! お、おいら達はただ、守護騎士(ヴァンガード)のデータを採って来い
って言われて……」
 話が脱線しそうだったので、ぴしゃりと皆人が問い直した。
 ひいっ!? と怯えた右側の少年──二見に代わって今度は左側の少年、カガミンと呼ば
れたアウターが答えた。声に出してようやく両者の違いが分かる。それでも目だけに頼って
いては相変わらずどちらがどちらか混同してしまいそうだ。
「データ?」
「あ、ああ。でもさ、おいらははっきり言って戦いは苦手だし、できる事ならしたくもない
んだよ。だけど蝕卓(ファミリー)からの命令は絶対だし、このままじゃ始末されるのを待
つだけで……」
「だ、だからさ。頼むよ。僕達を守ってくれないか? カガミンも僕も、そんな厄介事なん
て御免なんだよお。ただ二人でのんびり楽しく暮らしたいだけなんだよお……」
 あぐあぐ。この二人、二見とカガミンはそう何を思ったか次の瞬間懇願してくると、ずる
ずると二人して守護騎士(ヴァンガード)姿の睦月に縋りついてきたのだった。思わぬ相手
からのSOSに、当の睦月は勿論、冴島や皆人らも困惑する。
「……それはつまり、自由が欲しいってことだね? その“ファミリー”とかいう組織を裏
切る形になっても」
「うーん。参ったなあ」
「ああ。何だか調子が狂いっ放しだよ……」
「どうする? 皆人」
『……信用できないな。演技の可能性もある。今ここで戦う意思を見せなくとも、もし奴ら
のスパイだったらどうするんだ?』
 そんなあ! 二見とカガミン、そっくり同じ顔の二人が今度はEXリアナイザの通信越し
から聞こえる皆人に泣きついた。……正直言って鬱陶しい。捕らえるのが当初の目的ではあ
ったにせよ、こうも無抵抗の相手を始末しようとなると如何せん後味が悪い。
『少なくとも、今周りに仲間らしきアウターの反応はありません。生体反応は幾つか確認で
きますが、どれもこちらを知覚できるほどの圏内ではないです』
『うーむ……』
「ねえ。そういえばさっきデータを採るって言ってたけど、どうやって?」
「えっ? ああ」
「それはですね。おいらの能力にこんなのがありまして……」
 それでも最終的な判断・責任を持つのは司令たる皆人だ。現場で泣きつかれている睦月達
の心情とは裏腹に、彼はあくまで慎重姿勢を崩さなかった。
 なので、睦月は少し話題を変えてみることにした。もっと突っ込んだ情報集も兼ねて、先
程彼らが話していた目的について訊いてみる。
 左側の少年──カガミンがおもむろに立ち上がった。冴島らは一瞬身構えたが、相手に害
意は感じない。デジタル記号の光に包まれ、カガミンは本来の姿、怪人態に戻る。ひょろ長
いアンティークな木箱に顔と手足の付いたフォルムだった。本人の口調も合わさって何だか
ひょうきんに見える。
「実はこの身体、蓋になってまして、ここを開けると鏡になってるんです」
 ぱかり。そして彼は言うと自分の身体を横開きにしてみせた。確かに長箱型の胴に収まっ
ていたのは、姿見サイズはあろうかという大きな鏡。その正面には冴島の姿が映っていた。
睦月達がじーっとこれを見ていると、ふとカガミンはニヤリと笑う。
 するとどうだろう。冴島からおぼろげな像が彼の方へとスライドしていったかと思うと、
次の瞬間、その姿が冴島と瓜二つに変わったではないか。思わず睦月達は──通信越しの皆
人らも驚いた。身構え、今にも攻撃を繰り出そうとする。
「ちょちょ、タンマタンマ! ただ披露しただけだって! それに、姿形はコピーできても
元の相手が身につけてる能力とかまでは一緒にコピーはできないんだよお! 見掛け倒しな
んだよお! 自分で覚え直すしかないのー!」
 なのでわたわた、カガミンは慌てて両手を睦月達に向かってバタつかせていた。隣の二見
もコクコクと猛スピードで頷いてこれを止めようとしている。
『……なるほど。鏡面(ミラージュ)のアウターか』
「あー。だからカガミン……」
 互いに身構えと慌てを解き、その場に立ち直す。よほど怖かったのか、怪人態になったま
まのカガミンことミラージュ・アウターの目に涙マークが付いていた気がした。彼の能力を
実際に見て司令室(コンソール)の皆人達が納得し、睦月も苦笑いを隠せない。
「しかし何故、彼のデータを採れなどと?」
「分からねえ。ただ少し前に、プライドの使いが来てそう伝えてきたんだ。多分自分達にと
って厄介な敵のあんた達のことを細かく調べたかったんだと思うんだけど……」
『プライド? それはもしかして、上級アウターの一人か?』
「ああ。ラース、プライド、スロース、グリード、グラトニー、ラスト。そんでもって奴ら
の上に立つ、おいら達を作ったシンって人間を一纏めにして“蝕卓(ファミリー)”と呼ば
れてる。元々は七人分の席があるらしいんだけどな。でも今は一人空いてて、中にはそこに
収まろうと企んでる奴らもいるんだと」
 おいら達には縁のない話だけどなあ。皆人からの問いに、ミラージュはぎこちない苦笑い
をしながら答えていた。敵に情報を売っている自覚はあるのだろう。組織に言いなりになり
たくないという意思はあっても、彼らに対する恐怖までは克服できていない。
『なるほど……向こうの組織図が何となく判ってきたな。一応、交渉の前提条件として受け
取らせてもらう』
 とはいえ、皆人はまだ完全に信用している様子ではなかった。立場上、信用し切ってしま
うことはできないというのも大きいのだろう。少なくとも、彼らへの背信を証明する行為で
はあるのだが。
「どうするんだい? 司令」
「あんまり気は進まないけど、皆人が駄目っていうなら、まだここで──」
 ちょうど、そんな時だったのである。
 通信越しに大きな警告音が響き渡った。どうやら司令室(コンソール)側で何かしらの緊
急事態をキャッチしたらしい。回線に割り込み、職員の一人がこちらにも慌てた声色で報せ
てくる。
『アウターの反応を多数確認! そちらから北北西に約十二キロ──西大場方面です!』

 筧と由良が現場に到着した時には、日は既に暮れかけていた。
 場所は飛鳥崎西の郊外にぽつんと佇む廃ビル群。元々はマンションとして建設されたもの
だったらしいが、結局想定よりも入居者が確保できずに売り物件になってしまったという。
 ……というよりも、この西大場以北一帯が既に打ち捨てられたような場所だ。日夜開発と
集約が進む集積都市において、費用対効果などの観点から優先順位を後回しにされた地域は
ゆっくりと、そして確実に衰退していく。実際、現在ここに住んでいる者は以前からの住民
だけで、若者などは競うように中心街へと出て行ってしまった。街の影の部分が、ここには
在る。
「待ってましたよ。兵さん」
「すまん、遅くなった。……あれか?」
「ええ。B棟の五階です。住民が瀬古らしき人物の出入りを目撃していました」
 先に連絡をくれた、ノンキャリ組の同僚達と合流し、筧らは慎重にこの廃ビルの一角へと
侵入を試みる。事前に調べた行動パターンから、まだもう暫くは出掛けたままの筈だ。
「……こりゃあ酷ぇな」
 手入れも皆無になって、剥き出しのタイルになった五階フロアを歩く。
 痛んで壊れてしまったのか、部屋同士を結ぶ壁などは至る所で崩れ、風穴が空いていた。
窓ガラスも割れて吹き曝しになっており、お世辞にもしっかりと雨風を凌げる隠れ家とは言
えそうにない。
「カップ麺の空にコンビニ弁当……まだ新しいのもあるな」
 ゆっくりと各部屋──だったものを調べてゆき、筧らはやがて奥向かいの一室に着いた。
踏み込んでみると中には乱雑にゴミが散らばっており、眉間に皺を寄せながらも手に取って
確認すると、まだ比較的新しい飲み食いの痕跡を見つけることができた。
「間違いない。ここが瀬古の潜伏先だ」
「こんな所に隠れてやがったのか。確かに、郊外の廃棄区までは初動じゃ見てなかった」
 仲間の刑事達が、忌々しく呟いている。何よりも自分達の捜査の甘さを悔いていた。
 しかし……その一方で筧はただじっと黙って辺りを見渡していた。時折風に揺られて転が
る汚れた容器や空き缶を無視したまま、その視線はこの廃墟から見える外の景色に向けられ
ている。
「どうかしましたか、兵さん?」
「ん? ああ。これで確定したなと思ってな。……瀬古勇には支援者がいる。この隠れ家を
用意し、物資を与えていた。一介の素人、高校生単独でこんな逃亡生活を続けて尚且つ俺達
に見つからないとは考え難い」
 ドクン。ちらりと肩越しに見遣っただけで言い切った筧の言葉に、由良の心臓が鳴った。
 瀬古勇の支援者(なかま)。
 何故かこの時、由良の脳裏には以前筧が話していた“内通者”の件が過ぎっていて……。
「!? おい、誰かいるぞ!」
 だが、そんな時だった。はたと仲間の刑事達の一人がいつの間にか迫っていた気配に気付
き、一同に呼び掛ける。
 筧も由良も、そして残りの刑事達も一斉に振り返って身構えた。瀬古か? 相手が相手で
ある。懐に隠したホルスター、拳銃へと密かに手を掛ける。
『──ァァァ』
 しかしそこに現れたのは、一同が予想していた者とはまるで違っていた。
 瀬古勇じゃない。いや、そもそも一人じゃないし、人間ですらない。
 異形だった。片目だけを空けた鉄仮面で顔面を覆い、蛇腹の配管を胴に巻きつけた人型。
されど自分達人間と共通しているのはその二足歩行というだけで、ゆらゆらと身体を左右に
揺らしながら歩いてくる姿は差し詰め、ホラー映画に出てくるゾンビのようだ。
「なっ……何だありゃあ!?」
「知るかよ。こっちが聞きてぇよ」
 銃を抜いてはみたものの、同僚刑事達はすっかり気が動転していた。流石のプロも人外を
相手にした経験などない。
 ちっ。筧はそう悪態をつきながら、この階の奥、まるで深淵のような暗がりから湧いてく
るこの異形達を見ていた。やや斜め前方の由良も、同様に引き攣った表情で固まっている。
(……拙いな。これは)
 群れを成し、瀬古勇を追う筧達の前に現れた異形達。
 それは他ならぬ、電脳の量産型怪人──サーヴァント・アウターだった。

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  1. 2017/05/16(火) 18:00:00|
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自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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