日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(企画)週刊三題「サバイブ」

──これから毎週、小説を書こうぜ?

毎週一回、ツイッタの「診断メーカー」で出たお題で小説を書いてみるという
自己鍛錬、 それがこの『週刊三題』であります。
さてさて。紡がれる文章は良分か悪文か、或いは怪文か?
とある物書きの拙文晒し、此処に在り。

【今週のお題:動物、少年、役立たず】


「ちょっと、また拾って来たの!?」
 その日息子が帰ってきた時も、母はあからさまに嫌そうな表情(かお)をしていた。
 線目の上に乗っかった眉を下げて、康太はしょんぼりとする。もう何度も繰り返された反
応であったし、そのつもりだったのだが、やはり露骨に嫌悪を向けられると心は萎える。
 康太の腕には、薄汚れた仔猫が抱かれていた。帰宅途中、一匹捨てられているのを見つけ
て拾って帰って来たのだ。
 なー? か細く鳴き、この仔猫がちょこんとこちらを見上げてくる。康太はちらっとこれ
を見て苦笑し、優しくその頭を撫でてやった。
「僕が、面倒見るから……」
 飼ってもいい? そう切り出した康太の一言は、やはりというべきか母の反射的な不機嫌
に一蹴されていた。振り返る事もせず、ただ台所で洗い物をしながら、肩越しにこちらを睨
むように見つめ返して一言。
「勝手にしなさい。全く、やっと去年一匹いなくなったと思ったら……」
「……」
 いつもの事。
 康太は努めてこれを肯定と受け止め、踵を返した。とにかく先ずはこの仔を綺麗に洗って
あげなければ。廊下を通って風呂場へと向かい、給湯器のスイッチをオン。ぬるま湯を出し
ながら手際よく棚にしまっておいた動物用シャンプーを取り出し、泡立てた中にゆっくりと
仔猫を浸す。
「よ~し、よし。いい子だねえ……」
 足先から胴体、頭、尻尾へと。
 まだ警戒しているから怖いのか、それとも拾われた事で安堵しているのか。基本水を嫌う
筈なのに幸い、あまり激しい抵抗はなかった。時々優しく声を掛けてやりながら、念入りに
汚れを落とす。一体この子は、どれだけの間野晒しに遭っていたのだろう?
 一通り洗い終わったらしっかりとタオルで拭い、気持ち遠めからドライヤーを。
 先程までべたっとしていた体毛がふんわりしてきた。綺麗になった、この瞬間が地味に気
持ちよかったりする。軽くブラッシングもしてやり、結局小一時間はゆうにかけてこの新し
い家族を迎える準備を整えた。
「マロ~、ちくわ~。ただいま~」
 そしてこの仔猫を再び抱えて、自室へ。元々はちゃんと二階に部屋があったのだが、こう
して路頭に迷った犬猫達を助けるようになってから、追い出された。今は母屋の外、車庫に
併設された元倉庫を改装した部屋で寝泊りしている。
 要するに体のよい隔離だ。最初は哀しかったが、そのつもりのない両親とこの子達を一緒
にさせるのは不安だった。ならばと今は、これが最善の選択だったのだろうと思うようにし
ている。
 自室に入ると、尻尾を振って二匹の犬と猫が擦り寄ってきた。どちらもかつて、康太が捨
てられている所を見つけ、拾ってきたペット達だ。黒毛に目元だけが白い犬の方がマロ、全
体的に薄茶色の雑種猫の方がちくわだ。
 最初、二匹は見知らぬ者──この仔猫が入ってきた事にピクッと身を強張らせていたが、
程なくしてすぐに警戒を解いた。「大丈夫だよ」「新しい子だよ」康太がそう二匹に微笑ん
で語りかけたのが届いているのか、或いはこうして彼が迷える同胞を抱えて現れるのが今に
始まったことではないからか。
 くんくん。クロとちくわは屈んだ康太の周りを回りながら臭いを嗅ぎ、次いでそっと畳に
下ろされたこの仔猫をチェックするようにターゲットを移す。……暫く康太はその様子を見
ていた。だが二匹の方が殊更邪険にすることもせず、仔猫も従順な様子を見せたため、一先
ずトラブルにはならなかったようだ。「よろしくね」康太が呼び掛け、二匹が任されたとで
も言わんばかりに、尚もこの子猫をためつすがめつしている。
「ああ、そうだ。名前つけなきゃなあ。何がいいか……」
 そしてはたと思い出し、康太は思案し始めた。クロとちくわと、当の仔猫がふいっとその
顔を早くも仲良く一緒に見上げている。
「……うん。まるにしよう。まだ小さいけど、丸々大きく育ってくれるように」
 にこっと康太は笑った。クロとちくわと、当の仔猫──まるが変わらすこちらをじーっと
見つめている。
 なー? たっぷり間を置いてまるが鳴いた。
 気に入ってくれたかどうか。それはまだいまいち分からない。

「で、あるからして。この問題はここに先程の公式を代入すれば──」
 捨てられた動物達を放っておけない。
 だが人間としての、いち高校生としての康太は、あまり“できて”いる訳ではなかった。
 授業ではほぼ毎回と言っていいほどうとうと舟を漕いでいるし、成績も下から数えた方が
早い程度だ。運動神経もあまり良くなく、学内での友人も少ない。
「……」
 その全ては、まる達の世話の為に回っていると言っても過言ではなかった。
 幼い頃からしばしば捨て犬・捨て猫などを拾ってくる子供だった康太は、いつからか母か
らも父からも煙たがられ、その世話は全部自分で背負い込むことになった。当初、すぐに根
を上げるだろうと高を括っていた両親だったが、彼はその責任から逃げることはなかった。
 自室を離れ(倉庫)に移したのは勿論、餌代などの飼育にかかる費用は全て自前で賄って
きた。高校に上がってからは幾つかのバイトを掛け持ちし、帰って来るのが夜遅くなること
もしばしばだ。両親も叱るべきケースだったのだろうが、彼ら自身も毎日同じように仕事で
帰りは遅い。それに当にこの“変な”息子とは距離を取っていたし、諦めつつあった。
『またこんなギリギリの点数で……。あんた、本当にどうするの!?』
『いつまでもペットにばかり目を向けていないで、友達の一人でも作ったらどうだ? そん
なんじゃ、社会に出たって通用しないぞ?』
 にも拘わらず、口煩い時には口煩い。
 要するに我が子のステイタスが気になるのだろう。それは返って、自分達のステイタスに
も繋がるからだ。両親はしばしば康太の動物好きを“異常”とし、時には病院に放り込もう
とも考えていたようだ。
 だがそれをしてしまえば、近所や地域に勘付かれる。白い目で見られる。
 結局今の所、実際に康太が精神病院に入らされるといった経験はなかった。それ以前に偏
見があるのか、精神科に診せに行くことすらも恥じている気配がある。
(眠い……)
 気付けば、また授業が一コマ終わっていた。黒板にはもう大分意味の読み取れなくなって
久しい数式が汚い字で散らばり、ピリピリと神経質に予習と復習、幾つかの宿題を言い渡し
て踵を返す教師の後ろ姿がある。
 眠気に押し流されそうになりながら、康太はぼうっと数えていた。このチャイムは今日で
四回目だから、お昼か。購買で何を買おう? 今月も餌代が厳しいし、簡単な惣菜パン辺り
で済ませてしまえばいいか……。
「おーい、野久保~」
「止めとけって。どうせまた聞いてもいないだろ」
「別に教室で食わなくてもいいだろうが。行こうぜ?」
「……」
 途中、クラスメート達に呼びかけられたが、すぐにその同じ連れの一人が制止する。どう
やら席を貸してくれとか、誘おうとしたらしいが、結局全員で購買に向かったらしい。
 康太も、別にそれでよかった。特に親しくもなく接点もない面子と食べた所で、話題の一
つも提供できる気がしなかった。何より面倒臭かった。下手な配慮で苦笑いを向けてくるの
なら、いっそ完全に無視してくれた方がまだ気が楽だとさえ思う。
「ったく……。何なんだよ、あいつは」
「しーっ。放っておけよ、あんな奴」
「そうそう。付き合いクソ悪いし、動物にしか興味ねぇんだから」

 こんな日は、あの場所に行くに限る。
 康太は放課後、大きく寄り道をして独りとある公園に来ていた。決して大きくはないが、
植木も遊具も適度に手入れされていて、ゆったりとした時間が過ごせる。
「よいしょ、と……」
 既に子供達がボールを追って駆け回っている賑わいを遠くに、康太は一角のベンチに鞄を
置いて腰掛けた。
 するとどうだろう。植え込みや側溝の中から、何処からともなく猫や鳩達が現れ、飛んで
来たのだ。まるで彼が来るのを待っていたかのように。野良から首輪のついた飼い猫まで、
色んな種類がいる。
「はは。待ちくたびれた? 最近忙しかったからなあ……。あんまりないけど、要る?」
 集まってくる猫や鳥達に、康太は食べ残した惣菜パンを少し千切って撒いた。猫も鳥も分
け隔てなく、何処か嬉しそうにその不定期の餌(おやつ)を貪っている。
「……」
 フッと静かに、康太は微笑(わら)っていた。
 自分はこういった時間が好きだ。誰にも邪魔されず、ただ傍にいることを許してくれる、
懐いてくれるこの子達と一緒に過ごせる時間を。
 確かに自分は“変”なのかもしれない。伊達にもう分別のつく歳だ。自分が周りから浮い
ていることぐらいは分かっている。だけどもやはり、人よりも犬や猫、鳥達などと戯れ、語
らっている時の方がしっくりきてしまうのだ。
「ちょっと君」
 そんな時だった。それまでこの一時に没頭して気付かなかったが、いつの間にか制服姿の
警官が一人、こちらに近付いて来て立っていた。
 あ……。一瞬で康太は拙いと思った。向けられているその眼差しが明らかに敵意だ。見下
ろし煙たがり、その“変”を矯正しようと強制してくる人間の眼だ。
「君だね? この公園で勝手に餌付けをしている少年というのは。近所の住民から苦情が出
ているんだ。すぐに止めて、二度と近付かないで貰いたい。さもなくば──」
 ずい。皆までは言わなかったが、その後の言葉は容易に察することができた。
 ただこの警官当人はあくまで職務に忠実であって、その“告げ口”をした住民の意向に沿
おうという感じではなさそうだった。顔があからさまに面倒臭い、そう言っている。とりあ
えず苦情が来たので注意にしに来ました、という所なのだろう。こちらの言い分などを聞く
こともせず、ただ事務的に一方的な通告を投げ付けてくる。
「ちょいと待ちなさいな。お巡りさん」
 だが、ちょうどその直後、助け舟が来た。何処からか聞いていたのか、一人の細身の老人
がこちらに近付いて来ながら声を掛けてくる。
「ハカセ……」
 彼は、康太の知り合いだった。通称ハカセ。この公園の近所に住み、時々動物達の世話に
ついて助言をくれる心強い味方──元獣医の男性である。
「? 何ですか。彼の知り合いですか?」
「まぁ、知り合いと言えば知り合いだの。儂はこの近所に住んでおる者でな。この子がいつ
も辺りの野良達に優しくしてくれているものだから、ついお節介を焼いてしまってのう」
「そうでしたか。ですが無闇に野生動物に餌付けをすることは、ひいては動物達を人里に招
き入れてしまうことになります」
「分かっとるわい。そもそもこの子も、その辺は解っておる。最初に口酸っぱく教えたから
のう。お前さんには見えんか。この子達が、餌以上のものを見て集まってきておるのを」
 邪魔者が増えたと思ったのだろう。この若き警官は露骨に嫌な表情(かお)をした。それ
でも老人──ハカセは淡々と説き伏せ、ついっと康太の方を促す。
 はたして、彼の周りには野良猫や鳩達が憩いの場とするように集まっていた。中にはすっ
かり心を許し、膝の上に乗って眠ったり頭の上に留まっている者もいる。
 目を瞬き、警官は暫く次の言葉を出しあぐねていた。批判の材料が見つからないとでも言
うべきか。彼はじっと康太を、ハカセを交互に見遣って、やがてため息をつく。
「……止してくださいよ。こちらも仕事なんです」
「別にこの子をしょっ引かんでもええじゃろ。何ならその苦情を出したという者と話をつけ
て来てもええ。儂は有沢源次郎──とうに医院は畳んだが、元獣医じゃ。調べてくれればす
ぐに分かる。儂からも気をつけるように言うておくから、大目に見てはくれんかの?」
 獣医。その言葉に警官も少し身を強張らせたようだ。眉間に皺を寄せ、じっとこの新手の
老人(えんぐん)を見る。
「……まぁ、いいでしょう。特に実害が出ている訳でもないですから。ですがもし何かあっ
た時には、貴方にも責任が飛ぶことになりますよ?」
「ああ、構わん。この老いぼれで良ければ好きにすればよい」
 ちっ。この警官は、小さくほんの小さく舌打ちをしたような気がした。最後に捨て台詞を
残し、尚も引き下がらずに康太を守った彼を一度忌々しく睥睨すると、そのまま大きく嘆息
をつきつつ踵を返したのだった。
「大丈夫か?」
「は、はい。ありがとうございます。その……すみません」
「なぁに、謝る事じゃない。お前さんも災難じゃったのう。官憲とはいえ、あんな性悪に当
たってしもうて」
「……でも、勝手に餌付けをしていたのは本当です。あまり、ここにも来ない方がいいかも
しれませんね」
 姿が見えなくなって、康太とハカセは静かに安堵しつつも、決して晴れ晴れとした気持ち
にはならなかった。あくまで同じ動物に関わってきた者として味方してくれる彼に、申し訳
ないと思った。自宅で飼える数には限界があるからとはいえ、康太は自分の無力を感じずに
はいられない。
「そう言うてくれるな。餌さえやらねばいいんじゃろう? それに儂もお前さんと話をする
のは楽しみでな。まだ現役だった頃を思い出す。今じゃあお前さんみたいな人間は随分と珍
しくなってしまったしのう」
 ほほほ。杖を正面に立てて手を乗せたまま、ハカセは朗らかに笑う。
 だが康太は、そこで綺麗さっぱり慰められるほど単純でもなかった。猫や鳥達は相変わら
ず懐いてくれるが、そうなればそうなるほど、自分は“人間”としては見られなくなってゆ
くのだろうかと思う。
「どうじゃ? 暫くぶりに来たんじゃし、家で茶でも飲んでいかんか? 今日はもうここに
長居しては拙そうじゃしのう」
「……そう、ですね」
 親子以上に歳の離れた友人。数少ない理解者。
 目を細めて細めて笑うハカセに、康太はそっと乗っかる猫や鳥を下ろしてやりながら立ち
上がる。


 事件は、その翌朝に起きた。
 立て続けのバイトで泥のように眠っていた康太を叩き起こしたのは、眠気さえ彼方に吹き
飛ばす爆音だった。
 な、何!? 思わず飛び起き、辺りを見渡す。すると既に見慣れたいつもの部屋は大きく
傾いて散乱しており、遠くからけたたましいサイレンが聞こえる。
 着の身着のまま、康太はベッドから這い出た。すぐにクロとちくわ、まるの姿を探したが
見当たらない。へしゃげて空いた引き戸の隙間から逃げてしまったのだろうか?
「……一体、何が起きたんだ?」
 着の身着のまま、部屋の外に出る。
 そこにははたして、日常は消え去っていた。両親の寝泊りしていた筈の母屋は何か強烈な
圧力で押し潰されたかのようにぐしゃぐしゃに小さくなっており、気配の一つもない。見れ
ば近所一帯、この辺り一帯が全て同じような惨状になっている。
 康太は、当てもなく歩き始めた。
 まさかあの瓦礫を自力で持ち上げて両親を探せる筈もない。薄情だが、探した所でもう死
んでいるんじゃないかという考えが助けなくてはという考えよりも先に過ぎった。この期に
及んで親よりペットを──まる達を探そうとしている自分がいよいよおかしくなったかと思
えて唇を噛んだ。
 誰もいない。在るのはただへしゃげた大量の瓦礫と化した家屋と、所々で音もなく上がっ
ている黒い煙達。
 康太はゆっくりと、誰かの姿を求めて辺りを見渡しながら歩いていた。まだ夜明け近い空
気は冷たく、足が段々かじかんでくる。それでもじっとしてはいられずに、他人の姿を探し
求めた。
『──』
 ゆらり。そして、そんな時である。はたと何者かの影が康太の頭上に差した。
 ハッとなって、殆ど反射的に硬直し、しかしゆっくりと顔を上げる。そこには明らかに人
ではない巨体──獣に似た異形がじろりとこちらを見下ろしていた。
 全身を覆う体毛と、頭部の獣耳。しかしその目は三つもあり、口から覗く牙は鋸状に鋭く
並んでいる。更に人一人簡単に吹き飛ばせるほどの丸太のような腕が三対、六本もぶら下が
っているではないか。
「ぁ……」
 死んだ。康太は瞬間、そう思った。どうにかなる気がしないと思った。
 何なんだこいつ。疑問は脳内でしつこく赤色灯を鳴らしていたが、その答えを得る事さえ
無意味だと思った。得た所で、生身の人間が敵いっこないと悟らせるに充分だったからだ。
 なのに、この獣型の異形はじっとこちらを見ている。目を凝らして、何かを確認している
かのようにこちらを見ている。
 ごくりと、康太は思わず喉を鳴らした。次動いたら、殺される……。
『ナンダ。同胞(ナカマ)カ』
「えっ」
『コノ地域一帯ノ制圧ハ終ワッタゾ。母船(シップ)ニ戻レ。次ノ作戦指示ヲ待トウ』
 なのに、にも拘わらず、この異形はそう康太に告げると何もせずに踵を返した。思えば先
程目を凝らして顔を近づけていたのは、自分の匂いを嗅いでいたからなのか……?
「……助、かった……?」
 どさり。異形の姿が見えなくなって、康太は思わずその場に膝をついて崩れ落ちた。
 嗚呼、そうか。もしかしてあいつ、動物の匂いがするから仲間だと思って──。


「──んぅ?」
 だが世界は再び暗転する。やけにリアルな目の前の光景は一瞬にして消し飛び、瞼の裏に
だけそれを残しながら、彼を現実に引き戻した。
 目が覚めた時には、自室のベッドだった。何か人智を超えた攻撃を受けて破壊されたでも
ない、いつも通りの見慣れた元倉庫の離れ部屋。布団の上にはまるとちくわがいた。先輩後
輩といった感じで、ぺろぺろと康太の頬を舐めて起こそうとしている。枕元ではマロが、そ
れを見つめながら、ハッハッと息を吐きつつ尻尾を振っている。
「……。夢、か」
 そして康太は程なくして理解した。あれは自分の脳味噌が作り出した幻だ。ケモノな異星
人やら異世界人など現実にはいない。まして人類を滅ぼそうと、侵略してくるなんてことは
まず起こらない。
「今何時だ……? 六時前……」
 ペット達に起こされ、ヘッドボードの棚からスマホを取り出す。時間はまだ少し余裕があ
るが、寝直すにはもう中途半端な頃合だ。
「……起きるか」
 もそり。ペット達が見守る中、康太はまだ居座る寝惚け眼を擦ると布団から這い出た。

 都合のいい奇跡なんて起きない。
 日常は、続く。
                                      (了)

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  1. 2017/03/12(日) 00:00:00|
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自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
します。

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