日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)サハラ・セレクタブル〔13〕

 事件は既に起きていた。
 夜の飛鳥崎、沈んだ日の代わりに煌々と街のあちこちで輝くネオン。
 だがそんな人工の光達から零れ落ちるように、薄暗い路地裏の一角をふらふらとした足取
りで歩いている少年がいた。
 ……いや、歩いているのではない。必死に逃げようとしていたのだ。しかし胴や腕、頬、
あちこちに走った決して浅くない裂傷をいくつも負い、彼は朦朧とする意識の中、思うよう
に走ることさえできなくなっている。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
『……』
 荒くつく息。もつれて暗くて、あたかも永遠に続きそうに感じられる夜闇の路地裏。
 そんな彼の後ろを、静かに着実に追い掛けて歩いている者達がいた。
 一人はフードを目深に被った、同年代と思しき少年。もう一人はこの少年に付き従うよう
に歩を進める、見上げるほどの体躯をした大男だ。
 轍が出来ていた。二人の後ろには点々と、惨殺された何人かの別の少年達の亡骸がそのま
まの形で転がっている。胸を斬り裂かれ、或いは首を刎ねられ。夜闇色を背景にした彼らの
鮮血は不気味に静かに赤黒く映る。
「っ……!?」
 そうして、逃げ惑う少年の正面が行き止まりになった。慌ててブレーキをかけ、引き攣っ
た表情(かお)で背後に振り返り、しかし淡々と迫る二人にもう逃げ場がないと悟る。
「た、助けてくれ! なぁ、もう充分だろ? もうあんだけ殺せば充分だろ? なぁ!?」
 だから矢継ぎ早に口にしたのは、命乞いだった。
 プライド、命──優先順位(プライオリティ)が彼の中で激しく入れ替わり、必死にそれ
でも体裁を整えながら、何としてでも自分だけは助かりたいという本性。
「……」
 しかし程なくして追いつき、このすぐ対面に立ったフードの少年は黙していた。
 殺されてもう戻って来ないとはいえ、友人達を見捨ててでも助かろうとするその性根を侮
蔑しているのか、或いはそんな変わらぬ心根に怒りすら覚えているのか。
 ギロリ。どうやら真相は、後者のようだった。
 小さく顔を上げ、フードの下から微かに片目だけが覗く。……酷く冷たくて、静かな怒り
を湛えている眼だった。
 そんな反応を見て、話が通じないと悟ったのだろう。すると次の瞬間、追い詰められた少
年はギリッと歯を食い縛り、それまでの態度から一変して罵声を張り上げる。
「畜生! ふざけんな! 何で俺達が、こんな目に……!」
 フードの少年の後ろ、大男が動こうとしたが、他ならぬ彼がまだ動かない。そんな二人の
図るタイミングすら見据えられぬほど、冷静さを欠き始めたこの最後の少年は、言う。
「俺のせいじゃねえ! あいつは……自分でヤったんだろう? 俺のせいじゃねえよ。結局
弱ェ奴だったんだ。なら要らねぇだろ? 今は……そういう時代じゃねえか」
『……』
 逆ギレ、責任転嫁。少なくとも彼がその誰かを貶しているのは分かった。
 フードの少年が気持ち、一層の殺気を漂わせたように感じられた。暗い裏路地にフゥッと
冷たい夜風が吹く。後ろの大男は何も言わず、ただ大きな影の塊として佇んでいる。
「そうかもな。だが、問題はそこじゃない」
 はたして、フードの少年は言う。
 数拍置いた間。とうに予想はしていて、だけどその直情を呑み込む為に、一度は静かにな
らなくてはいけなかった数拍。
 サッと小さく片手を上げる。その合図で後ろの大男がガチャリと巨大な刃をこの少年に向
けて持ち上げた。ひっ……?! もう逃げられない行き止まりに背中をぐいと押し当て、彼
はまた恐怖でチビりそうな表情(かお)になる。
 屁理屈だ。最期の興奮だ。
 もう何度も何度も言い聞かせたこと。フードの少年はその片手をついっと下げ、まるで単
純作業のようにゴーサインを出す。
「──お前は、俺の仇(てき)だ」
 直後、一閃。
 背後頭上より放たれた大男の一撃が、この少年の首を鮮血と共に跳ね飛ばした。


 Episode-13.Justice/復讐鬼との邂逅

「次、スペース内ランニング五十周!」
「次、動体視力トレーニング連続五十セット! 失敗したら一からだぞ!」
「ひぃ、ひぃ……!」「む、無理……」
「お、俺達が鍛える意味あるんスか~!?」
 放課後の司令室(コンソール)。この日も睦月達は地下の秘密基地に集まり、アウターと
の戦いに備えながら時間を過ごしていた。
 先日新たにリアナイザ隊に加わった、仁たち元電脳研の面々が先輩隊士らによって今日も
みっちりとしごかれている。だだっ広い訓練用スペースを走らされたり、コンシェルと同期
した上で先輩達から次々と放たれる弾を避けさせられたり。
 睦月は守護騎士(ヴァンガード)に変身し、朧丸と同期した國子に組み稽古をつけて貰っ
ていた。ちらと視界の端に映る彼らのそんなさまに、ついフッと微笑ましくなってしまう。
「余所見とは……余裕ですね」
「おわっ!? はは。その、何だか嬉しくって……」
 大よそ“普通”ではないが、日常の光景であった。
 そうした彼らの様子を、司令室(コンソール)内のガラス窓から、皆人はそっと静かに見
守っていた。時折職員が書類を持ってきて、映像を見せてきて、随時報告を寄越してくる。
「……。ふぅ」
 そんな最中の事だった。一方自分のデスクに長く齧り付いていた香月は、ようやく一つの
とあるプログラムを完成させた所だった。
 忙しなく指を走らせていたキーボードからそっと手を放し、PCの画面に表示された無数
の文字・記号列に間違いがないかを改めて確認。一度ぐぐっと椅子の上で伸びをし、最後に
外付の小型ディスクにデータを焼き付ける操作を実行する。
 カリカリと書き込みの音がする。進捗を示す横棒のメーターが埋まっていく。
 司令室(コンソール)内で今日も忙しく働く職員達、研究者仲間、或いはホログラム画面
でライブされている隣の訓練用スペースで汗を流す息子達。
「……」
 香月は疲労感と達成感、一抹の安堵、そしてそれらを押し流すほどの不安な気持ちが自分
の中から滾々と湧いてくるのを感じていた。微笑を浮かべながらも、その表情は疲労も相ま
って少なからず影が差しているかのようにみえる。

『くっ……!』
 それは筧・由良の両名をこの司令室(コンソール)──隣の訓練用スペースに誘い出した
時のこと。文字通り全くの背後から“現れた”リアナイザ隊らにより、量産されたリモート
チップを撃ち込まれ、二人はそのまま確保される筈だった。
 しかし筧は寸前の所で直撃を免れ、隣でどうっと倒れてしまった由良を横目に確認しなが
ら、即座に二撃目を撃ち直そうとする隊士らに組み伏せられていく。
 香月は、司令室(コンソール)のガラス越しから、この眼下の作戦を見つめていた。横で
は皆人や萬波(しょちょう)らがこの抵抗に小さく眉根を寄せ、すぐさま押さえ込むよう通
信で指示を飛ばしたのも聞く。
『くそっ、離せ……!』
 筧が暴れている。しかし多勢に無勢ということも、一度はリモートチップが頭を掠めた影
響もあり、その身動きはやはり本来の程には及ばないようだ。程なくして彼もまたがっちり
と組み伏せられ、隊士らの調律リアナイザの銃口を向けられていた。ギリッと奥歯を噛み締
め、頭上のガラス窓越しに立っているこちらを睨み付けるようにして叫ぶ。
『おい、ドクター佐原!』
『!? 貴方、私のことを──』
『隣の相棒が色々と調べてくれてな。それよりてめぇ、一体自分が何をしているのか分かっ
てんのか!?』
 それは他ならぬ、自分に向けられた言葉。眼差し。
 香月は自分の顔を知られていることは勿論、少なからず驚いて眉根を寄せた。皆人達もち
らとこちらを一瞥し、しかしすぐにまた組み伏せられたままのこの筧を見下ろしている。
『あの子は……佐原睦月は、お前の息子だろうがっ! 母親のお前が、何危ない橋渡らせて
んだよッ!!』
『っ──』
 それは義憤。自分を睦月の実の母と知った上で、守護騎士(ヴァンガード)の正体を知ら
された上で、自身に迫る危険よりも先ず憤った感情であった。
 ぐらりと瞳が揺れる。とうに分かっていたことだった。覚悟したつもりのことだった。
 だけども香月はすぐに反論することも、応えることも出来ない。真っ直ぐな正論に、只々
ぎゅっと唇を結んで耐えることしかできなかった。
 銃声。直後パシュという小気味良い音と共に、今度こそリモートチップが筧の後頭部に撃
ち込まれた。彼はそのまま項垂れ、動かなくなる。努めて表情を変えない皆人の指示一つで
ずるずると、場の隊士らはこの二人を部屋の奥へと回収していく。
『……』
 胸が締め付けられる思いだった。母親は自分なのに、その務めを赤の他人から指摘され、
責められたのだ。
 でもどうすればいい?
 アウターの魔の手を止めなければ、いずれは……。

(──現状、対アウター用装甲(ヴァンガード)を扱えるのはあの子しかいない)
 カリカリとデータの書き込みが進む中、香月はじっと画面の前で俯き加減だった。
 分かっている。本当なら母親として、あの子にこんな役目を負わせるべきなんかじゃなか
った。負わせたくなかった。
 なのに、あの子は頑張っている。必死になってアウター達と戦ってくれている。
 常に危険と隣り合わせだ。だけど自分一人の私情を持ち出して止めさせてしまえば、この
街から近隣、或いはこの国の全てへ、アウターの被害は拡大する一方なのもまた事実だ。
「……」
 あの子の為に、自分が出来ることを。
 ただ心配なのは、守護騎士(ヴァンガード)として戦うようになって、彼が以前よりも直
情的になったように思える点だ。
『僕にしかできないことなら』
 やっぱりあの子は、健臣(ちちおや)の事を──。
「お? 遂に完成したんですね」
「……ええ」
 そんな時だった。ふと他の研究仲間らがこちらの作業に気付き、白衣を翻しながら画面を
覗き込んでくる。
 香月は声色を落としながらも頷いた。書き込みが終わり、外付けの小型ディスクを機材か
ら外して軽く検める。
「“リリースワクチン”。これで少しは、あの形態でのリスクも避けられる筈……」
 しかしその直後だったのだ。にわかに制御卓、飛鳥崎各地の監視映像をチェックしていた
職員達がざわめき始める。
 何かあったのか……? 目を遣った香月達の横を、職員の一人が慌てて皆人の下へと駆け
足で向かっていく。彼が報告を受け、制御卓の前へと戻ってきた。ざわざわと皆で画面群を
囲み、異変が見つかったその画面の一つを見上げる。
「昨夜のログです。ここ、このポイントの映像がロストしました。暗くてはっきりとは映っ
ていませんが、直前に怪しい二人組が記録されています」
 砂嵐(ロスト)していた映像の一つ。その地点の夜闇に紛れて、確かに不審な二人組が前
を通り過ぎていくのが確認できた。
 一人はフードを目深に被った少年らしき人影。
 もう一人はその後ろに付き従うように歩く、大柄な人影。
 直後、彼らはこちらの存在──監視カメラに気付いたようだった。刹那目にも留まらぬ何
かが迫り、そこから映像は完全にロストしてしまっている。
「……只者じゃないな」
「はい。それと現在確認中ですが、このポイント付近で昨夜、殺人事件が起きたとの情報も
上がってきています」
 ふむ……。皆人は口元に手を当てて考え始めた。職員達が香月達が、たまたま同席してい
たリアナイザ隊の一部もがじっと彼の指示を待っている。
「調べてみる価値はありそうだな……。睦月達を呼んでくれ。現場に向かわせる」

 時を前後して、飛鳥崎西の繁華街。
 朝方から始まった初動捜査は、辺りに茜色が降りていく頃には忙しなく撤収作業を済まさ
れようとしていた。
 街の喧騒から零れ落ちたように、フッと不気味に静かな路地裏。
 その一角に、点々とこびり付いた血痕。奥の行き止まりには壁を塗りたくるように飛び散
った血痕が今も残されている。
「……本当、惨いもんですね」
「ああ。こりゃ住民達にバレるのも時間の問題だぜ」
 行き交う捜査員、鑑識。
 そんな面々の中で筧と由良は気持ち距離を置いて佇み、仮として血痕を隠すように被せら
れていくブルーシートを見ていた。眉根を寄せ、こと由良においては明らかに顔色が悪くな
ってすらいる。

 最初、第一報が入って現場に駆けつけた時は、思わず目を疑ったものだ。
 惨殺の跡。そう表現する以外になかった。点々と、路地の奥へと向かう道筋には斬り殺さ
れた少年達の亡骸がそのままに放置され、突き当たりの壁には大量の血飛沫を吹き付けて首
を刎ねられた少年がまた一人。これまで数々の凶悪事件に挑んできた刑事達も、その少なか
らずが激しい嫌悪感に襲われ、或いは実際に吐いてしまったほどだ。
 現場を見て、一同は以前起こった不良達の抗争を思い出した。あれも随分と酷かった。
 だがあの一件は、犯人死亡という形で一応のけりがついた筈だが……。
『……なぁ。筧の奴、ここ暫く妙に大人しくないか?』
『ああ、それなら。何でも張ってたホシが外れたらしくて……』
 それでも現実、目の前に事件は横たわっている。事後処理も含め、面々は早速現場検証に
乗り出した。併行して残された手掛かりをやって来た鑑識が集めていく。そんな中でふと、
気持ち後ろにいる筧と由良を見遣りながら、他の刑事達がひそひそと囁く。
『……。こっちの事情も知らないで』
 おそらくわざと聞こえる程度の声量にしているのだろう。彼らの嫌味にむすっと、由良が
あからさまな不快感を浮かべていた。だが当の筧はそんな表情は微塵もみせず、或いはいつ
ものように何処吹く風なのか、じっと何かを考え込んでいるようだった。
 ──目が覚めた時、自分達は公園のベンチで寝ていた。
 いや、寝かされていたというのが正確な表現だろう。何者かに放置されたかのように。
 しかしいくら思い出そうとしても、前後の記憶がない。思い出そうとする度に頭の中に電
流のような痛みが走り、記憶の像すらまともに浮かんでこないのだ。
 確か自分達は、進坊の通り魔事件で入院し、そこから……。
『うーん……。結局何だったんでしょうね? 思い出そうにも思い出せないし、辿り直す暇
もないし』
 思い出せない。だが何もなかった訳ではない筈だ。
 自分だけではなく由良までが同じ症状。とてもただの偶然だとは思えなかった。
 それに……。筧は胸元から手帳を取り出し、捲った。普段から捜査に関してのメモを書き
留めている愛用の品だ。
 それが綺麗に破り取られていた。頁数までは覚えていないが、明らかに前後が抜けてしま
っている箇所がある。……証拠隠滅の為か。一体誰が?
『なぁ、由良。人の記憶を消せるようなドラッグってあるんだろうかな?』
『……? さあ、聞いたことありませんけど。今度麻取にでも訊いてみましょうか』
『ああ。そうしてくれ』
 正直言って、あまり期待はできないが。

「──何ていうか、どんどん物騒になっていく感じです。この前の不良達の抗争がまたぶり
返しでもしたんでしょうか?」
 進んでいく撤収作業。同僚の刑事達も少しずつ捌けていく。
 そんな中で由良はまだ眉を顰めて、湧き起こる不安を隠し切れずにごちた。だが対する筧
は酷く落ち着いていて、否定的だった。
「いや、まだそうと決めるには早い。大体あん時のホシは自滅した(やられた)だろ?」
 それに……。加えて彼は一旦言葉を切る。少し前を過ぎていく同僚達の一団をちらと見送
った後、また人気も物寂しくなっていく路地裏(げんば)を見つめながら言う。
「今回のホシは、あれとは全く逆のパターンだ」
「と、言いますと?」
「遺体(ホトケさん)を見たろ? どいつもこいつも確実に首を刎ねられて死んでた。首だ
けじゃない。手首や肺を一突き──あれは全部ギリギリまで相手を苦しめる為の殺り方だ。
血痕だってそうだ。どいつのも、首を刎ねた時にぶちまけたモンか、怪我をしながら逃げて
た時に落としたものに見える」
「……そうですね」
 ごくり。この相棒にして師匠の分析眼に、由良は改めて敬服していた。コクコクと頷き、
そしておずっと、彼の今抱えているであろう重苦しい仮説を聞き切ろうと身構える。
「つまり衝動的な犯行じゃねえ。計画的だ。裏を取らなきゃ確実なことは言えねえが、おそ
らくは怨恨だろう。それも、恐ろしい程に冷静に殺ってる」
 筧の、刑事としての眼が静かに光っていた。
 そんな彼をして、密かに身震いをし、強く警戒させるほどの予感が全身を襲っている。
「……気を付けろ。今回のホシは、ある意味一番敵に回しちゃいけねぇ手合いだ」

「こりゃまた、随分スッパリとやられたなあ」
 司令室(コンソール)より出動し、睦月や國子、仁達を含めたリアナイザ隊の面々は件の
ポイントである西区の繁華街へとやって来ていた。
 帰り道を行き始める人々の流れとは相反して、横切って、路地裏へと進む。
 そこには他の市内各地と同じように、密かに設置されていた監視カメラが一台、ものの見
事に切断されていた。仁があまりの切れ味っぷりにぼうっと呟いている。金属・機械の塊で
ある筈のこのカメラは勿論、軌道上に入ったからなのか、周囲のコンクリ壁の一部も同じよ
うに綺麗に切り落とされている。
「これって、やっぱり……」
「ええ。可能性は高いですね。常人の技でこのような切れ味と破壊力を発揮するのは不可能
でしょうから」
「でも、それを一瞬でやった訳ですよね?」
「どんな化け物だよ……」
 同じく切断されたカメラを見上げて、睦月がちらと問うてみる。國子らも同じことを考え
ていたようで、そう首肯するように答えていた。
「パンドラ。どう?」
『うーん、ちょっと厳しいですねえ。エネルギーの残留は確認できますが、質量が小さ過ぎ
てアウターの仕業かどうかまでは断定できません。せめて本人を目視できれば、互いを参照
した上で確認も取れるのですが……』
「……そっか」
 路地を一歩出た表通りでは、今日も何ら変わらない日暮れの日常が続いている。
 睦月達は誰からともなく、更に路地裏の向こう、狭い道を一本隔てたもう一ブロック先に
広がる風景を見ていた。職員の話にあった殺人事件の現場である。もう大方調べられた後な
のか、今は巡回する警官数名と立入禁止の非常線が張られている以外はガランとしてしまっ
ている。点々とアスファルトの地面や壁に掛けられたブルーシートが事件の痕跡か。やはり
発生から一晩が経っていることで、得られる情報は大分失われてしまったようだ。
(……うん?)
 そうして何となく、所在無く皆と共に立ち尽くしている時だった。
 睦月はふと、こちらと向こう側の間にある物陰から、こっそりと現場を覗いている人影が
あるの気付いた。國子達も程なくして気付いたらしい。制服姿の男子学生だ。おずおずと、
随分と怯えていながらも覗くを止めない。だがこちらには気付いておらず、ただ後ろ姿だけ
を見せている。
「誰だろう? わざわざこんな所にまで」
『学園(うち)の制服とは違うな。余所の生徒か……』
 仁の時の例がある。あまり突っ走って問い詰めるのもどうかと少し考えた。通信の向こう
で皆人も、口元に手を当てて思案している。
「──ッ!? ……!」
 するとどうだろう。一応警官が向こうにいる手前、接触せずにいた所、突然この男子学生
は全身を強張らせ、転がるように慌てて間道の中へと走り去ってしまったのだ。
 ……様子がおかしい。だが覗かれていた警官達はそれにも気付いていなかったようだ。
 睦月達はにわかに緊張した面持ちになり、互いの顔を見合わせた。「皆人」インカム越し
に呼び掛けられ、司令室(コンソール)の親友(とも)も頷く。
『追ってみよう。ともあれ先ずは手掛かりが欲しい』

 そうして睦月達は、狭い路地の更に奥へと進んでいく。
 しかし辺り一帯が入り組んでいることもあってか、肝心の男子学生の姿を見つけることは
できなかった。暫く手分けしてあちこちの路地裏を覗いてみたものの、元より人らしい他人
の姿は見当たらない。
「いないな……。見失ったか……」
「うーん。迷わずにもっと早く声を掛ければよかったかなぁ」
「……仕方ないでしょう。情報はまた集めるとして、一旦現場に──」
 だがその時だったのである。突如として辺りに甲高く、しかし確かに睦月達の耳に少年ら
しき者の悲鳴──断末魔の叫びが響いたのだ。
 言いかけて、ハッと一同が顔を上げる。嫌な予感が脳裏を過ぎる。
『マスター、現れました! アウターです! 北北西に二百七十メートル!』
 パンドラからの、國子達のデバイスにインストールされていた探知アプリからの警報が鳴
り始めていた。半ば反射的に、訓練された睦月達の身体が一斉にその方向へ走り出す。
 まさか本当に。間に合わなかったのか……。過ぎる思考よりも速く、ただ速く、戦闘体勢
になりながら路地裏を駆け抜ける。
「──ッ!?」
 そしてその先で、睦月達は目撃した(みた)。先刻の男子学生が首を刎ねられて真っ赤に
絶命し、くてんと崩れ落ちたその首から下の身体を、二人の人影が見下ろしている。
「……ほらみろ。気付かれてしまったではないか。やはり夜まで待つべきだったんだ」
「いや、そう悠長にはしていられない。どのみち俺達を追う人間は増える。時間の問題だ」
 短く刈り上げた髪の大男と、フードを目深に被った薄手のパーカーの少年。
 うっぷ……! 突然視界に焼きついたその惨状に、思わず仁や元電脳研の仲間、睦月まで
もが猛烈な吐き気を催して胸を、喉を抱えた。國子らリアナイザ隊の面々も、少なからず深
く眉間に皺を寄せながら身構えている。
 酷く冷静なように見えた。目の前の二人組は、十中八九今さっきこの少年を殺したという
のに、淡々とした眼でこちらに振り返り互いに呟き合っていた。しれっとフードの少年が反
論するのもそこそこに、大男の方が「まぁな」と言いつつ前に出る。
「ともかく……口封じをしなくては」
 はたして彼は、睦月達の前で変身してみせた。
 光るデジタル記号の群れがその身を包み、現した正体は牡牛を象った怪人。緑の鉄色を基
調にし、隆々とした体躯に部分鎧を着ている。
 ガチリ。そして身の丈もある戦斧を握り締め、大男は宣言通りゆっくりとこちらへ向かっ
て進み始めた。
「やっぱり……越境種(アウター)!」
「皆、奴を取り囲んで。数はこっちの方が上。一気に攻めます」
「おっしゃあ!」
「か、掛かって来いやぁぁ!!」
 國子の合図でリアナイザ隊、及び仁らがそれぞれの調律リアナイザをセットし、コンシェ
ル達を召喚する。
『TRACE』『READY』
「変身!」
『OPERATE THE PANDORA』
 睦月もそんな皆の中心でEXリアナイザを掲げた。デジタル記号の光輪と白い光球に包ま
れ、その身を電脳の騎士へと変貌させる。
「何……?」
「ほう? そうか。お前が噂の守護騎士(ヴァンガード)か」
『睦月、気を付けろ。そのアウター、リアナイザ無しに現出している。完全体だ』
 手ぶらで、パーカーのポケットに突っ込んだ中にはそれらしい物は見当たらない。
 一方で牡牛のアウターは、すぐに相手が何者かを理解したらしい。その赤い両目を静かに
光らせて、ぐぐっと戦斧を持ち上げる。
 インカム越しに皆人の鋭く警戒する声音が聞こえた。ほぼ無策の状態で敵にぶち当たって
しまったのは不安だが、ここでおいそれと見逃す訳にもいかない。
 暫く両者は睨み合っていた。いつもならリアナイザ隊に召喚主の確保を頼む所だが、今回
はもう既に意味を成さない。
「……ゆくぞ!」
 ぐっと踏み込む、牡牛のアウターの一言が合図となった。
 おぉぉッ!! 國子や仁、リアナイザ隊の面々が四方八方から襲い掛かる。睦月も真正面
から地面を蹴り、スラッシュモードの刃を振りかぶる。
 しかし……このアウターは、繰り出された幾つもの攻撃を瞬く間に捌くと、ことごとく反
撃の一発を与え続けたのだ。先陣を切った睦月の剣も斧の刃先で軽くいなし、次いで襲い掛
かってくるリアナイザ達の面々を次々に迎撃。その巨体に似合わぬ反応の速さと身のこなし
で戦斧を振り回し、斬り伏せて叩き飛ばす。
「あぎゃっ!?」「ぐひゃっ!?」
 仁たち元電脳研の隊士達も同じだった。千切っては投げ、千切っては投げ。彼らの操るコ
ンシェル達はどうどうっと路地の片隅に吹き飛ばされ、ダメージで震えている。睦月が彼ら
を助ける意味でも再三攻撃を仕掛けたが、これも同じく軽くいなされ、強烈な反撃を貰って
しまう。
「こ、こいつ……強い!」
 更にだ。フラフラになりながらも構える睦月達を目の前にして、この牡牛のアウターの身
にある変化が起こっていた。
 塞がっていったのである。ことごとく手痛く反撃されつつも、何とか数発を入れたその傷
が全て、ひとりでに治っていくではないか。
「嘘……だろ?」
「まさか、自己再生能力……?」
 驚愕する。そして相手もそれを否定しない。
 牡牛のアウターはガチリと、再び戦斧を握り締めて立っていた。周りを取り囲んで攻撃を
仕掛けた筈なのに、実際にはそのこちら側がダメージを受けて息を荒げている。
「大丈夫か?」
「問題ない。この程度なら直接の脅威ではないだろう。情報を漏らされれば別だが」
 ぶんと斧を振り上げる。つまりこの場から逃がすつもりはないという事だ。
「だったら……。パワーにはパワーだ!」
『ARMS』
『DRILL THE RHINO』
 仲間の一人に振り下ろされようとする刃。それを睦月は、咄嗟に呼び出した武装を纏いな
がら、庇うようにして割って入った。高速回転する左腕のドリル。戦斧の巨大な刃と、激し
く火花を散らしながら鍔迫り合いをする。ようやく押し止め、対抗することができる。
「ぬうっ……」
「一旦体勢を! 闇雲にぶつかったんじゃ駄目だ!」
 しかしその時間稼ぎは、長くは続かなかった。
 慌てて互いの肩を貸してやりながら退き、間合いを取り直す仲間達。一方で睦月は、徐々
に押し返され始めているように見えた。
 激しく軋み、散る火花。すると次の瞬間、とうとうアウターの斧が回転するドリルの溝を
捉え、そこからこの武装を真っ二つに叩き切ってしまったのである。
「ッ!? しまっ──」
 ぐらりとその反動で大きく体勢を崩す睦月。
 視界の寸前に、再び握る手を返し、振り上げられた戦斧が迫る。
「ぬ、あぁぁぁぁーッ!!」
 だがその一撃を、仁は半分ヤケクソになりながらもグレートデュークに割って入らせ、ギ
リギリの所で構えた大盾で防いでいた。
 されど威力までは殺し切れず、当の盾は横に真っ二つにされながら、彼は睦月と一緒にな
って吹き飛ばされた。ガラン。使い物にならなくなった盾が落ちる。傷んだアスファルトの
上に転がった睦月を抱え起こし、仁は言う。
「佐原、一旦逃げるぞ!」
「えっ? でも……」
「駄目だ。あんなチート野郎、まともにやって勝てる訳ねえ。このままじゃジリ貧だぞ!」
 この友に支えられながら、睦月は思わず周りを見た。彼ら元電脳研のメンバー達だけでは
ない。國子も、今や見知った顔の隊士達も、大打撃を受けたそれぞれのコンシェル達を従え
つつ、明らかに劣勢を強いられた苦痛のさまをみせている。
『俺も同感だ。不安材料はあるが、退け! 撤退するんだ!』
 インカム越しからも皆人が切迫した様子で叫んでいる。睦月はぐらぐらと立ち上がりつつ
身構えた。牡牛のアウターはじりじりと、得物を握り締めながら迫って来ている。
「……おいそれと逃がすと思うか?」
「逃がすんじゃねえ、逃げるんだよ……。伊達!」
 そして仁がフッと苦し紛れに不敵に笑い、仲間の一人を呼んだ。するとどうだろう。この
元電脳研のメンバーだった隊士は、眼鏡をキラリと光らせると、まだ余力を残していた自身
のコンシェル──蛸を思わせるコンシェルに口から大量の黒煙を吐き出させたのだ。
 即ち煙幕であった。入り組んでこそいるが、空間としては狭い辺り一帯にたちまちこの黒
煙は行き渡る。む……? 牡牛のアウターはその場に留まり、得物を庇に目を細めた。同じ
く後ろのフードの少年も小さく顔を上げ、しかし直後吐き出された黒煙の勢い(かぜ)に煽
られてその面貌を露わにしてしまう。
「……。逃げられたか」
 やがて晴れていった一面。
 だがその時にはもう、そこにはこのアウターと召喚主の少年を除き、誰もいなくなってい
たのである。


 翌日。学園での休み時間。
 制服姿の睦月と仁は、生徒達で賑わう廊下を歩いていた。しかしその表情は共に厳しく俯
きがちで、互いに話し掛けようとする余裕すらない。
『昨日の奴の身元が判った。やはり俺達とほぼ同年代だったよ』
 それは先刻、屋上でのこと。
 皆人は國子や睦月、仁ら対策チームの面々を集め、今回の一件で明らかになった情報を話
してくれた。昨日一晩がかりで司令室(コンソール)の職員達が奮闘してくれたらしい。
『名前は瀬古勇(せこいさむ)。玄武台高校の三年生だ』
『玄武台(ブダイ)、か……』
『西の、スポーツの強い学校ですね』
 昨夕のアウターから逃げる際、コンシェルの一体が放った煙幕に煽られ、フードの下が明
らかになった数秒が映像ログには残されていた。
 皆人が、自身のデバイスに転送しておいたそれを見せる。
 真っ直ぐに自身のアウターと、その向こうを見つめていた眼。
 大量の黒煙が邪魔をしていて見え難くこそあったが、その表情(かお)は酷く冷静であり
鋭利な刃物のようだった。睦月やパンドラが皆人が口にしたフレーズに反応している。
『ああ。あの時殺された生徒もあそこの制服を着ていた。例の現場の被害者達も、同じく玄
武台の生徒だったことが確認されている』
『それに、だ。俺達も俺達なりに調べたんだが……どうにもここ最近、ブダイにはきな臭い
噂が流れててな。ネットでもこれまで何人もブタイの生徒や教師が殺されたって書き込みが
残ってる。学内じゃ口封じか緘口令まで敷かれてるって話だ』
 更に仁が、手持ちのタブレットの画面をこちらに向けて続けた。そこには玄武台高校に関
するスレッドが立てられたBBS(電子掲示板)のページが映し出されており、既に百件近
い書き込みがされている。
『大江達が調べてくれたこの情報を元に、こちらでも裏付け作業を行っている最中だ。流石
にその全てが真実ではないだろうが、少なくとも同校の関係者が被害に遭ったという旨の情
報は今から一ヶ月ほど前まで遡ることができた』
『一ヶ月……』
 ごくり。睦月は思わず息を呑んだ。ちょうど自分が、巷で守護騎士(ヴァンガード)と呼
ばれ始めた頃だ。それとは無関係だが、あの頃の高揚を自責する。
 自分が“正義の味方”などと呼ばれ出したのとほぼ同じ時期に、こんな殺人鬼が生まれて
いたなんて……。
『皆、その瀬古さんって人が?』
『可能性は高い。共通点、状況証拠、様々な条件が現時点で一致している』
 それに……。皆人は言った。
 一旦数拍を置き、彼は気持ち声色を潜めるようにして場の睦月達に告げる。
『こちらも調査中だが、奴にはそこまでする動機がある』

「──?」
 互いに何も口を開けず、クラス教室の扉を開けた二人。
 すると教室内では、何故か海沙が一枚のプリントを片手にクラスメート達の間をわたわた
としていた。睦月が仁が、何をしているんだろう? と不思議がって眺めている。
「あ、あの……。ちょっと名前を貸してくれないかな? ぶ、部活を作ろうと思うの」
「部活ぅ?」
「作るって、どんな?」
「え、えっと。パソコン部……みたいな感じの」
 どうやら一人署名集めをしているらしい。だが多くのクラスメートは、彼女のおずおずと
した様子も手伝ってその頼みには否定的だった。
「あ~……悪い。俺もうサッカー部だから」
「私も。吹奏楽部」
「ていうかさぁ、何でパソコン? 青野さんってそっちの趣味あったっけ?」
「え? 何? マジかよ。へぇ、見た目によらねぇなあ」
「でもああいうのってオタクじゃん。すげーどうでもいい所に拘ったりとかさー」
「デバイスがあるのにね~? 何でだろ?」
「……」
 ははは! 少なからぬクラスメート達の、容赦ない反撃が待っていた。創部申請用の書類
を片手にしたまま、海沙がじっと俯き加減になって押し黙っている。
「っ! お前ら──」
 そのデバイスだって、色々なPCがあったからこそ生まれたんじゃないか。
 睦月は眉間に深く皺を寄せ、半ば反射的にこの幼馴染を庇おうとした。
 理解していたからだ。十中八九、彼女は電脳研を復活させようとしているのだと。仁たち
自身が決めたこととはいえ、自分のせいで解散までさせてしまったのだと、おそらくは己を
責めているのだろう。
 だがそんな睦月の肩を、他ならぬ仁が取っていた。少なからず目を見開いて振り返るこの
友に、彼はぎゅっと強く唇を結んだまま直立不動を保っている。
「くぉらァ! あたしの海沙に何しとるんじゃい!」
 そうしていると二人の代わりに、騒ぎを聞きつけた宙が飛び込んで来た。がるると番犬よ
ろしくこのクラスメート達を威嚇し、そのまま海沙をぐいぐいと教室の片隅へと引き剥がし
ていく。
「ちょっと……。何やってんのさ? まさかあいつらの為に? 自分をストーカーしてた奴
の肩を持とうっての?」
 それは真っ当な意見・質問の筈だった。
 なのに当の海沙はきゅっと口を噤んでいる。胸元に申請書類を掻き抱き、揺れる思いを何
とか言葉にしようと数秒、声にならない思いを絞り出そうとする。
「……確かに、怖かったよ。でも後から聞いたの。大江君が、自分が返り討ちに遭ってでも
八代君(はんにん)を止めようとしてくれたって。私を、助けてくれようとしてたって」
 彼女は言う。睦月と仁がどうしたものかと、近寄りつつも近寄り切れずにその訥々とした
言葉だけを聞いていた。
 自分も小説を書いているというマイノリティがあるのだろう。その実、広義では仁達とも
接点を持ちうるからこそ、彼女は何もしない訳にはいかなかったのだ。
「だから、その恩に応えたいの。解散まですることなかったんだよ。……それにね? 自分
の“好き”が許されないって、凄く辛いことじゃないかな?」
「……。海沙……」
 電脳研、或いは以前まで宙(しんゆう)が所属していた水泳部。
 おそらく前者、期せずして問われたその言葉に、宙は諌めようとしていた気持ちをそっと
剥ぎ取られたような心地がした。
 あんたは、優し過ぎる。
 だけどそんなあんただからこそ、あたしは──。
「うううっ……。や、やっぱ海沙さんは天使だぁぁ~……」
「お、大江君。そこまで泣かなくても……。でもまぁ、海沙はああいう子だよ」
 海沙の吐露に、仁は思わずボロボロと貰い泣きしていた。睦月も苦笑いを零しながらも、
しかしこんな幼馴染を持って嬉しいと思う。
「あ。帰って来たんだ? もう用事はいいの?」
「う、うん」
「そそ、それよりも。今、部活って……」
「うん。その、もし大江君達がよかったら、また部を作らない? やっぱり私のせいで全部
無しにしちゃうのは……勿体無いよ」
 聞かれていたのだと気付き、海沙がほうっと頬を赤くして申請用紙を胸元に掲げる。
 睦月と仁は互いの顔を見合わせた。力強く頷き、是非もないと言外に示す。
「そういう事なら。でも、部を作るのって何人くらい要るんだろう?」
「ああ、それなら──」
「同好会なら代表者を含めて十人、部なら二十人以上だ。顧問が必須か必須でないかも大き
な差だな」
 すると仁を遮る形で、背後からカツンと歩いてくる者達がいた。皆人と國子だ。振り向く
睦月達に皆人は淡々と説明し、クラスメート達の向けてくる視線を一瞥すると、また一歩進
み出て言う。
「俺達も名前を貸そう。毎回顔を出せる訳ではないだろうが……」
「えっ?」
「え? だって、皆──」
(落ち着け。これも計算の内だ。学内で堂々と集まれる場が作れれば、俺達の活動も幾分や
りやすくなるだろう。だから部外者は排除して創部する。それに万が一の時があっても、青
野や天ヶ洲の傍にいてやれるしな)
 言いかけてずいっと。引き寄せられて小声で真意を伝えられた睦月は、そのままコクコク
と頷いていた。
 幸い、海沙や宙には怪しまれていないようだった。仁が上手い具合に照れ隠しに、二人と
話し込んでいて注意を逸らしてくれている。
「まったく……。揃ってお人好しなんだから……」
 小言を吐きつつも、宙の表情(かお)はニコニコとしている。海沙から申請書類を渡して
貰い、早速自分の机からシャーペンを一本、出してきて名前を書き始める。
「あたしも付き合ってあげる。ちょうど部も辞めた所だしね」
「ああ、頼む。大江、お前は元メンバー達に声を掛けて来い。俺達が署名すれば、残りの面
子はすぐにでも揃うだろう?」
「あ、ああ……。すまん、恩に着る!」
 促されて、仁は駆け出すと教室を後にしていった。ぱぁっと明るんでいた。休み時間はも
う残り少ないのだが、まぁいい。
「……」
 良かった。自身も名前を書き連ね、睦月は静かに微笑(わら)っている。
 ちょっと驚いてしまったけど、皆人がゴーサインを出すのなら大丈夫だろう。宙も最初は
あんな事を言っていたけど、今じゃ大江君達とはいいゲーム仲間でもあるのだし。
(仲間、か……)
 しかし睦月はフッと思った。その過ぎった記憶に思わず影が差し、それまでの微笑ましく
浮かべていた表情がにわかに曇り始める。
 それは屋上で(あのとき)、皆人が自分達に告げた情報だった。
『一ヶ月ほど前の事だ。奴の弟が、自殺している』

「──あ、君。ちょっといいかな?」
「す、すみません……。急いでるので……」
 今日もまた日が暮れて街が茜色に染まろうとしている。
 夕刻、筧と由良は飛鳥崎西部の市立校・玄武台高校へとやって来ていた。正門近くで張り
込みを続け、出てきた帰宅途中の生徒に話を聞こうとする。
 だがその全員が全員、こちらの姿を見ると口を噤むように拒み、足早に立ち去ってしまう
状態が続いていた。もう何人目だろう? また逃げられて由良が流石にため息をつき、ふら
ふらとした足取りで物陰に待機していた筧の下に戻って来る。
「……駄目か?」
「ええ。これは確実に警戒されてますね。口封じ……でしょうか」
 同じく物陰に、隣に立った由良。その表情には多少なりともの徒労感が浮かんでいた。筧
はただじっと息を殺して立っている。気配、足音。先ほど覗いていた校門付近でも、出てく
る生徒達は皆、少なからず俯き加減で足早に通り過ぎていた。
 嘆息をつく。優しい日差しが、風が素っ気ないそれに変わっていくのを感じながら、筧は
やれやれと肩を竦めていた。
「全く、馬鹿な事をする。自分達が隠し事をしていると認めてるようなものじゃねぇか」
 先日からの、そして繁華街の一件で更に増えた犠牲者には共通点があった。その全員がこ
の玄武台高校の関係者──生徒は勿論、教師も含まれていたのだ。
 これだけ立て続けに起これば、何も無いなんてことはあり得ない。なのに肝心の学校側は
この始末だ。一課は現場が集中する西区繁華街を中心に人員を投入、更なる被害の抑止と情
報収集に当たっているが、根っこを叩かなければ事件は永遠に終わらない。
「……兵さん。やっぱり自分達も西織の“網”に加わってた方が良かったんじゃないですか
ね? また陰口叩かれてましたよ。懲りない奴だって」
「言わせとけ。自分で考えずに上の指示だけ聞いてる奴らならたかが知れてる」
「そうですけど……。でも、令状がないまま自分らでしょっ引くのは無理ですよ?」
 気遣ってくれているのだろう。由良は時折こちらを見遣り、そう何度か声を掛けてきてく
れていた。しかし当の筧は変わらず物陰に背を預け、そしてフッと小さく口元に笑みさえ浮
かべている。
 じっと待っているかのようだった。まるで何かを確信していて、それが来るのを。
「いや、これいいんだ」
「……?」
 由良の頭に疑問符が浮かんでいる。だが筧は気にしなかった。少なくとも自分を信じてつ
いて来てくれているだけでも充分ありがたい。
 相変わらず向かいの道を行く生徒達は辺りを警戒している。バレてはいないと思っている
のだろうか、見れば敷地の内側では教員達が何やらひそひそとこちらを見て話し合っている
のも確認できた。
 ……ぼちぼちか。
 この世に完全なんてものは存在しない。押さえ込めば押さえ込むほど、そこから溢れ出る
もの達は必ず膨れ上がるんだ……。
「あの」
 はたして、ちょうどそんな時だったのである。
 じっと物陰に隠れ、校門を見張っていた二人の横から、一人の女子生徒が近付いて来た。
 緑の鉄色を貴重としたその制服姿は間違いなく玄武台高校のもの。由良は突然現れたこの
少女に驚き、筧はちらりと、まるでこうなることが分かっていたかのように横目で彼女の姿
を見ている。
「あの、刑事さん……ですよね? お、お話したいことがありますっ」

 期せずして姿を見せた女子生徒を連れ、筧と由良は高校から少し離れた、人気のない寂れ
た公園へと場所を移していた。疎らな雑木林が辺りを囲んでいる。通りから彼女が直接見え
ないように二人は陣取り、酷く不安そうにしているこの証言者の言葉を待った。
「……その。刑事さん達はやっぱり、私達のことを疑っているんですよね?」
「君が言わんとしていることと、今俺達が知りたいことが同じならば、そうだな」
「話してくれるかな? 君はあの状況で敢えて僕らに話し掛けてきてくれた。よほどの覚悟
だと思う。絶対に無駄にはしない。約束する」
 神妙と努めて柔和と。二人は互いに顔を見合わせ、頷き合った。全てではないが、彼女に
これまでの事件の経過を話してやる。
 この一ヶ月近く、ここ西区を中心として連続している惨殺事件。その被害者と思われる者
の全てが、玄武台高校の生徒や教職員──関係者であるということ。
 やはり……。そうとでも言わんばかりに彼女は大きく目を見張っていた。両の瞳がぐらぐ
らと揺れ、今にも大粒の涙が溢れそうになっている。
「私、七波由香といいます。玄武台(ブダイ)の一年生です。野球部のマネージャー……見
習いをしています」
 この女子生徒・七波は先ずそう訥々と自己紹介から始めた。ゴムで短めのおさげを結わっ
た、素朴な印象の少女だ。もじもじ。不安が拭えないのか、その胸の前の手は先程からずっ
と繰り返し揉み弄られている。
「……知っているんだね?」
「はい。そうでなければ、私達全員に口止めなんてされません」
 由良の確認に頷く。そうして彼女は全てを語り始めた。
「一ヶ月ほど前になります。うちの部で、同じ一年の男の子が亡くなりました。後からこっ
そり聞いた話だと自殺だったそうです。名前は瀬古優(せこすぐる)君。入部した直後から
先輩達にいっぱいしごかれて──苛められていました。多分その所為であんな事になったん
だと思います」
 二人は言葉なく、しかし明らかな剣呑を含んでその証言を聞いた。筧は深く眉間に皺を寄
せ、由良は慌てて懐から手帳を取り出しメモを取る。
「この話は他の子にも広まっていて……部の中じゃもう殆どの子が知っていると思います。
でも先輩達も監督も、このことを必死に隠そうとしていました。何度もミーティングだと言
って、会議室の中で私達に口止めをしてきたんです。それだけじゃありません。先生達も揃
って瀬古君の自殺を認めようとはしませんでした。監督と一緒になって私達に『絶対に口外
するな。もし喋ったらどうなるか分かってるな?』って」
『……』
 由良が愕然と目を見開いている。筧はチッと、小さく舌打ちさえして耳を傾けていた。
 学校の──大人達の取りそうな選択である。これは間違いなく大事件、スキャンダルだ。
公に出てしまえば玄武台の名は地に堕ちるだろう。
 ……いや、だからこそ学校側は口封じに躍起になっているのだ。元より玄武台はスポーツ
で名を挙げてきたタイプの学校だ。その花形で自殺者が出たとなれば、負うダメージは相当
なものになる。部の存続だけではない、学校そのものが危機に陥るだろう。
 即ち関係者達は、迷わず面子を取ったのだ。たとえ子供一人、未来があった筈の若い命を
犠牲にするとしても。
「先輩達や、他の子まで言ってるんです。自分の所為じゃない、あいつが弱かったから悪い
んだって。最初は私も反論できませんでした。瀬古君とはクラスも別だし、部でも殆ど話し
たことなかったから……。でも、先生達が無理やりに自殺を隠すようになって、そうしたら
次から次に部員の皆や監督が死んだとか、行方知れずになったって聞くようになって……。
怖いんです……もしかしたら次は私かもしれない。絶対、これは私達や玄武台(ブダイ)へ
の復讐なんです。そうとしか考えられない。なのに学校はまだ絶対に話すな、訊かれても答
えるなって言ってばかりで……。おかしいですよ……。人が、死んでるのにっ……!」
『…………』
 最後の方はもう、七波は泣きじゃくりながら話していた。恐怖と自責の念がぐちゃぐちゃ
に入り混じり、まだ十六歳の少女の心をズタズタにしている。
 筧はじっと最後まで彼女の話を聞いていた。由良もやがてはメモを走らせていた手も止ま
り、必死に自身の中に沸き起こる義憤を抑えているように見える。
「だから、刑事さん達がこっちを見てるって聞いた時、これしかないって思いました。もう
黙ってるなんてできない。このままじゃ駄目だって……」
「……兵さん」
「ああ」
 由良が、もう辛抱ならないという様子で筧を見遣っていた。筧も短く頷き、そっと彼女の
背丈に合わせて屈み、もう一つ訊ねる。
「君の言う通りだ。守っていくべきは人だ、システムじゃない。だからこそこれ以上、被害
を出す訳にはいかない。重ねさせない」
 一連の事件の原因が、その瀬古の自殺にあることは分かった。
 彼女の言う通り動機は復讐だろう。では一体誰が? 二人は核心へと迫る。
「教えてくれ。君達を狙う可能性がある人間を知っているか? 家族や友人、どんな小さな
繋がりでもいい」
「……三年に瀬古君のお兄さんがいるそうです。私は全然面識ないですけど。でも他の子か
ら聞いた話じゃ、瀬古君が亡くなってすぐに行方不明になってるらしくて。学校にも、お家
にも全然来ていないって」
 筧と由良は再び互いの顔を見合わせた。その瞳に力が篭もる。彼女に向き直り、筧はぽん
とその頭を優しく撫でてやる。
「……ありがとよ。よく話してくれた。さあ、他の連中に気付かれない内に急いで帰りな。
そしてこれからは静かに、胸を張って生きるんだ」
 ぼうっと筧を見上げる七波。だがややあってその表情はスゥッと救われたかのような、赦
されたかのような泣き腫らした破顔となった。何度も何度も「ありがとうございますっ」と
頭を下げながら、小気味良く足元の砂を蹴り、駆け足で公園を後にして行ったのだった。
「見えてきましたね。事件の根っこが」
「ああ。おそらくこれで間違いないだろう」
 そんな彼女の姿を見えなくなるまで見送り、二人は呟いた。由良も正義感からかいつも以
上に気合いが入り、筧も暫くぶりに煙草を噴かせながら頭の中を整理する。

 繋がった。
 ホシが──見えた。


「結論から言うと、今のままではあの牡牛──タウロス・アウターには勝てないわ」
 捜査が始まってから五日目。司令室(コンソール)の睦月達一同は、そうはっきりと言い
切る香月ら、研究部門の面々を囲むようにして聞いていた。作戦会議である。改めて突きつ
けられた現実に、その表情は否が応にも厳しくなる。
「実体化(しんか)済みの完全体というだけじゃない。パワーも戦闘能力も高いけど、それ
より厄介なのはその自己修復能力よ」
 言って、香月はデスクのPC画面と宙に呼び出した数枚のホログラム映像を見せた。先日
の戦いで睦月達が束になって掛かり、やっと付ける事のできた数ヶ所の傷だ。
 部分鎧や腕に走った浅い傷、凹み、焦げ痕。
 しかし映像は、それらが程なくしてまるで逆再生をかけたかのように塞がっていくさまが
ズームされて映し出されていた。仁や國子、リアナイザ隊の面々が顔を顰める。あの時もま
さか再生能力まであるとは考えもしなかった。
「見ての通り、このアウターの自己修復は、おそらく予め決められた形状から逸脱すると発
動するタイプと考えられるわ。再生の始まりが傷口からなのがその証拠よ。それこそ全身を
一撃で粉微塵にでもしない限り、どれだけダメージを与えてもこいつを倒すのは不可能だと
言っていいわね」
「そ、そんなあ……」
「じゃ、じゃあどう足掻いても、俺達はあいつらを止められないってことですか……?」
「落ち着いて。今のままでは、と言ったでしょう? 解決策ならあるわ。傷口から再生が始
まるということは、逆に考えればその再生さえ邪魔すれば、奴の修復能力自体を封じ込める
ことができる筈なの」
 その為に……。仁ら元電脳研の隊士達を遮り、香月は視線を遣った。
 向けられた先はその息子・睦月。しかし、だからなのか、彼女は次の瞬間にはフッと眉を
寄せて唇を結び、正直あまり気の進まないという内心を垣間見せる。
「守護騎士(ヴァンガード)──対アウター用装甲システムには元々、設計段階から幾つか
の“強化換装”が用意されているの」
「強化?」
「換装……?」
「具体的には同一カテゴリのコンシェル達を七体、同時に換装(トレース)するの。赤の強
化換装ならレッドカテゴリの七体、青の強化換装ならブルーカテゴリの七体といった具合に
ね。そもそもサポートコンシェル達が幾つかのカテゴリに区分されていたのは、この機能を
前提にしているからなのよ。今回は赤の強化換装を使って貰うわ。強力な炎を操るあの形態
なら、奴の傷口を焼き爛れさせて、再生を阻害することができる筈よ」
 なるほど……。今まで知らされていなかった守護騎士(ヴァンガード)の秘密と、この数
日で彼女が考えついた作戦に、一同は驚きつつも頷いた。
 しかし当の香月の表情はやはり浮かない。すると当の睦月、実際の装着者にして息子が、
ややあってそんな母の理由に勘付き、ハッとなって唇をきゅっと結ぶ。
「……でも、これはとてもリスクの高い選択よ。この強化換装はコンシェルを七体同時に身
に宿すというもの。計算上は可能でも、実際は稼動テストの時点でまともな適合者すら現れ
なかった。そんな状態でこの力に手を出せば睦月、貴方に掛かる負荷はこれまでの比ではな
い筈よ。冴島君の三倍近い適合値を叩き出した貴方だったとしても、最悪の場合この力を制
御できずに暴走──無事では済まない可能性だってある」
 苦渋の選択であったのだ。理論上はOKを出した機能だが、場合によっては他ならぬ我が
子を生命の危険に曝すかもしれない。……確かに元より、いつ大事になるか分からない戦い
ではある。それでも彼女は、ギリギリまでこの機能を隠していた。彼女達側でこのシステム
をオフにし、出来ればもっと安全性を確保してから実用に持ち込みたかった。
「一応、もしもの時に備えて、強制解除用のプログラムを作ってはあるけど……」
 母と研究者の狭間で。
 彼女はそう付け加えながら睦月を、皆人らやリアナイザ隊の面々を見た。
 どうする? 決断を迫られていた。仲間達が自分を見てくる。睦月は数秒じっと母の顔を
見つめて真剣な面持ちをしていた。
「……でもその力あれば、瀬古さんを止められるんでしょう?」
 だが彼の、この稀有な少年の答えは寧ろ明白だった。真剣な面持ちから、フッと目の前の
研究者を母を安心させたいが為に溢す笑み。
 香月は、白衣を引っ掛けた研究部門の仲間達は、皆人は、そんな睦月を見つめてそれぞれ
に押し黙っていた。締め付けられる胸の奥と、後ろめたさと、同居する一抹の安堵と不安。
されど睦月の答えは変わらない。
「守護騎士(ヴァンガード)になれるのは僕だけだ。だったら……僕は逃げない。戦うよ。
いざとなったらその強化換装で、あいつを倒す」
 言い切った。意思ははっきりと示された。
 ならばもうあれこれと逡巡し続けてはならない。元よりこちらから持ちかけた話だ。
「……よし。なら準備を整え、早速出動してくれ。あれからも玄武台関係者の殺害は続いて
いる。これ以上、被害を拡大させる訳にはいかない」
『了解!』
 ばたばたと、皆人の合図で面々がそれぞれの持ち場に戻っていく。睦月も仁や元電脳研、
かねてよりの隊士達に囲まれ励まされ、司令室(コンソール)の外へと消えていく。
「國子ちゃん」
 そんな中で、國子はふと踵を返した直後に呼び止められた。香月からだった。
 彼女はこちらに歩み寄り、一枚の小型ディスクを差し出してくる。数日前、彼女によって
データを書き込まれていたものだ。
「これは……」
「リリースワクチン──さっき言った、守護騎士(ヴァンガード)の変身を強制解除する為
のプログラムよ。もしあの子が、睦月が力に呑まれたら、貴方がこれをリアナイザにセット
して撃ち込んで」
 じっと視線を落とす。数度目を瞬き、國子は暫く黙っていた。
 だがそんな母の想いを受け取ったのだろう。彼女はすっくと次の瞬間には面を上げ、この
ディスクを受け取ると折り目正しい敬礼で応えるのだった。
「了解しました。その時は、必ず」

 夜の西区繁華街を、睦月達は手分けをして巡回した。これまで発生した玄武台絡みの殺人
事件は、皆このエリアを中心としている。
 しかし……肝心のタウロスと瀬古の姿は、中々見つけることができなかった。
 今夜もまた、何処かで弟の仇を探し出しては殺しているかもしれない。しかしアウターの
性質上、たとえ人間に化けた完全体であってもある程度その近くにまで接近していなければ
こちらのコンシェル達も感知できない。
 もどかしかった。事件が起きてしまってからでは遅いのだ。
 夜の繁華街を互いに連絡を取り合いながら歩く。ネオンの明かりに照らされ、呑気に夜を
謳歌する人々が心なしか憎々しくさえ思えた。
「……駄目だ。全然見つからない」
『手分けしたって、広いですからねえ』
「だな。ネットの情報だけじゃ余分が多過ぎる。足で稼ぐしかねえよ」
 睦月とパンドラ、仁、國子と数名。
 出動から数時間が経ち、一同にも疲労が見え始めていた。今夜出なければ……中にはそん
な希望的観測を抱く者もいる。しかしそんな願いは望み薄だと考えてよかった。既に十七名
もの犯行を繰り返している以上、向こうも悠長に品定めをしている余裕はない筈だ。
「せめて、次に狙う人が分かれば……」
『難しいな。こちらも現在、まだ生存している部員や繋がりのある関係者達の動静を調べて
はいるが、何十人もいる彼らを一人一人捉えている余裕はないだろう』
「第一、こんな状況でホイホイ出歩く奴がまだいるかねぇ……?」
 司令室(コンソール)の通信越しから皆人が、夜闇とネオンの落差に目をしばしばさせな
がら仁が口を開く。
 二人の言い分には共に一理があった。しかし瀬古勇は、別働の班が確認した所、やはり今
も自宅には戻っていないらしい。
「……何でなのかな。こんなに人が、自分の学校の生徒や先生が死んでるのに、何でブダイ
は口封じばかりするんだろう? 学園(うち)だってそうだ。この前のストーカー事件だっ
て、結局内々で処理しようとしてるじゃないか」
『だからこそ、なのだろうな。彼らに自浄能力がない──悔い改めないからこそ、瀬古勇は
アウターという力に手を出してでも復讐に走った。弟の無念を晴らすべく、自分の全てを棄
ててでも』
「……うん」
 皆人は淡々と、努めて分析的だった。しかし一方で、睦月はだからこそ彼を止めなければ
ならないと強く思う。
 だってそうじゃないか。
 こんな事をしたって、誰一人として幸せにならない……。
『緊急、緊急! こちらチームイエロー!』
 だがちょうどそんな時だった。インカム越しの通信網から、激しく息を切らした別働隊の
報告が入ってきたのである。
『アウターの反応を感知! 南に約八十メートル、西織五丁目付近です!』
 にわかに一同に緊張が走った。互いに、誰からともなく顔を見合わせる。
 そして次の瞬間には、睦月達は一斉に駆け出していた。
 止める為に。
 この連鎖を、断ち切る為に。

「──ったく、どいつもこいつも……」
 ネオンの明かりと夜闇の黒が対を成す。
 この日、玄武台高校の教師・平本は一人西区で酒を飲んで帰る途中だった。
 大分酔いが回っているのか、ふらふらとした足取りで彼はネオンの明かりが遠い寂れた路
地を歩いている。彼は自殺した瀬古優のクラス担任でもあった。ぶつぶつと酒の勢いを借り
つつ、彼は一人延々と誰にともなく恨み節を呟き続けている。
「菅野も余計な面倒を持ち込んできやがって……。お前の部なんだからお前が尻拭いしろっ
てーの。ひっく。……こっちはそんな一人一人を見てる暇なんてねぇんだよ。相談だってな
かったし。どうしてくれんだ、こっちはまだ家のローンと子供の学費が残ってんだぞ……」
 担当していた生徒の一人が自殺したことによる、同校の危機。
 原因など早い段階から判っていた。だがそれを大っぴらに認めてしまえば、近隣郊外を問
わず風評被害は甚大なものになる。マスコミも嬉々として突き上げてくるだろう。だからこ
そ自分達は徹底的に事件を隠し、生徒達にも厳しく緘口令を敷いた。……少なくとも今この
段階で公になるのは拙いのだ。もっと、こちらの被害が抑えられるタイミングというものが
大人の世界にはある。
 ……なのにだ。ネット上には既に瀬古の自殺と一連の関係者の死に尾ひれが付き、玄武台
を口撃して愉しんでいる輩がゴロゴロといる。
 ふざけやがって。毎日自分達がどれだけ後始末に苦労してると思ってる? お陰で連日連
夜の残業だ。ただでさえガキ共を使える人間にするというミッション自体骨が折れるのに、
給料が割り増しになる所か下手すればゼロになりかねないのだ。こんなに馬鹿馬鹿しいこと
はない。
「ったく、勝手に死にやがって……」
 以来、まことしやかに噂されている。何でも瀬古の兄が弟の復讐の為、自分たち玄武台の
関係者を片っ端から殺して回っているとか。本当か? というか正気か? そんな事をした
って弟は戻って来ないし、寧ろ学校側は頑なにならざるを得ないだろう。校長や教頭からは
危ないので無闇に出歩くなと言われているが、ずっと家と学校の往復ではいい加減頭がおか
しくなってしまう。
(俺は悪くない……俺は悪くない……。あいつが死んだのは野球部(すがの)の方だ……)
 ひっく! だがそうして、ふらふらと酔いのままに遅々とした帰路を辿っていた最中のこ
とだった。ふと気付けば、ネオンの逆行を背に、誰かが自分の行く手向こうに立っていたの
である。
「……何だあ?」
 それは二人組だった。目深にフードを被った薄手のパーカーの少年と、短い刈り上げの髪
をした大柄の男。前者は両手をポケットに突っ込んで道のど真ん中に立ち、後者はそんな彼
の後ろでじっと仁王立ちのまま控えている。
 ぼうっと。最初平本は「邪魔だな」程度にしか思わず、つい立ち止まって見返していた。
しかしややあって、刹那その背筋に悪寒が走る。
 混乱したが、本能の側が理解した。
 殺気だ。自分に立ちはだかった少年が向けていたそれは、掛け値なしの苛烈なまでの殺意
だったのである。
「……お前、瀬古か」
 ごくり。平本は思わず息を呑み、問うていた。
 少年は答えない。だが代わりにフードを取って人相を露わにし、そっとその殺気に溢れた
眼光でこちらを睨み付けてくる。
 更に背後の大男が彼の前へと進み出た。するとどうだろう。この男は次の瞬間、光るデジ
タル記号の群れに包まれ、牛頭の怪物に変身したのだ。
「ひっ──!?」
 手にした戦斧。夜闇の微かな光を弾くその分厚い刃は、紛れもなく本物だった。
 平本は思わずその場で悲鳴を上げる、腰を抜かす。ずんずんとこの牛頭の怪物、タウロス
・アウターは彼に近づき、大きく斧を振り上げて──。
「ッ!?」
 その直後だった。刃を振り下ろす寸前、タウロスは自身に迫る攻撃の気配を感じ、咄嗟に
戦斧を盾のように構えてこの奇襲を防御した。
 火花を散らす銃撃。情けない悲鳴を上げて、地面を這うように逃げていく平本。
 フードの少年、瀬古勇は深く眉間に皺を刻んで睨んでいた。タウロスも、平然とした様子
でその場に立ったままで、幾つか斧の影からはみ出た部分に受けた傷もやはりあっという間
に再生される。
「そこまでだ!」「もうこれ以上はやらせない!」
「おい、あの男性の確保を!」
「ああ。分かってる!」
 手分けをして西区を探し回っていたリアナイザ隊の一班だった。全員既にそれぞれのコン
シェルを呼び出し、各種射撃系の攻撃でタウロスの凶刃を食い止めたのだった。
「皆さん!」
 そこへ、連絡を受けた睦月達や他の班の隊士達も駆けつけて来た。睦月らを中心として再
び陣形を組み直し、二人の後ろでわたわたとしている平本を救助しようとし、両者は互いに
剣呑な空気でもって向かい合う。
「もう止めてください、瀬古さん! こんな事したって弟さんは戻って来ない!」
 睦月は必死だった。これ以上惨劇を繰り返させる訳にはいかない。その一心でタウロスの
後ろに立つ勇へと呼び掛け、説得を試みようとする。
「失うことの辛さを知っているのなら、繰り返しちゃ駄目です! 何でこんなこと……」
「……」
 だが、はたしてそんな言葉は意味を成さなかったのである。
 勇は最初だんまりを貫いていた。だが弟と、憎しみの連鎖というフレーズを耳にしたその
直後、彼はくわっと目を見開いて言う。
「何で? 憎いからに決まってるだろう。何処からか嗅ぎ付けたのかは知らないが、他人の
事情の土足で上がり込んで来やがって……。偽善者が。お前のような奴らが、綺麗事ばかり
言う奴らがいるから、あいつは余計に追い詰められたんじゃないのかッ!?」
 苛烈なまでの拒絶である。その憎しみに、睦月達は思わず言葉を失った。
 ああそうだ。お前らも同罪だ──。
 言ってタウロスが再び、今度はこちらをターゲットに変えて動き出す。
 戦うしかないのか……。ぎりっと歯を噛み締め、睦月は仲間達ともにその引き金をひく。
『TRACE』『READY』
「変身!」
『OPERATE THE PANDORA』
 しかし……ちょうどそんな時だったのである。
 守護騎士(ヴァンガード)に変身し、コンシェル達を操り、睦月達はタウロスを突破して
勇と平本を押さえようとした。だがそうして一歩踏み出そうとした瞬間、頭上からバラバラ
と、突如として異形の大軍が襲い掛かってきたのだった。
「伝言、伝言」
「オ前達ハ、見込ミガアル」
「加勢スル。オ前達ハ、オ前達ノ仇(テキ)ヲ殺セ」
 人型の、だが明らかに人間ではない者達。
 蛇腹の配管を巻きつけたようなボディと、鉄板をそのままぐるりと覆った面貌。右か左に
大雑把に空いた穴からギロリと、赤い不気味な眼が覗いている。
『サーヴァント・アウター!? 何故このタイミングで……?』
 司令室(コンソール)で皆人が驚き、呟いている。
 かつて睦月がその初陣で戦ったアウター達だ。特定の召喚主が付かず、願いの授受が成さ
れなかった場合、この初期量産型の姿のままとなる。
「ぬわっ!? な、何だぁ!?」
「くっ……数が多過ぎる。これでは……」
「二人一組だ! 一組で確実に一体ずつ排除しろ!」
 このさも増援のようなアウター達の出現により、こちらの数の有利は全くのイーブン、或
いはそれ以下になった。慌てて隊士達は体勢を立て直してこれを越えようとするも、なまじ
わらわらと数が多いためにタウロスを、その向こうに転がっている平本を助けにいくことも
ままならない。
「──やれやれ、プライドも人使いが荒ぇよ。目を付けたなら自分でやりゃいいのに……」
 そんな場の様子を、近くのビルの上から見下ろす影があった。
 如何にも不良といった感じの、パンクファッションの荒々しい男。
 その横でぼ~っと突っ立ちヘラヘラと哂っている、丸々と太った巨漢。
 グリードとグラトニー。以前H&D社の生産プラントで遭遇した上級アウター達だ。
「や、止めろ! こんな事をしてどうなるか分かってんのか!?」
 敵の伏兵か。睦月達は最初思ったが、当の勇やタウロスが少なからず困惑しているのを見
てそれは厳密ではないと悟った。されどサーヴァント達に促され、二人は再び改めて平本に
狙いを定めて近付いていく。
「こ、この……ッ。兄弟揃って余計なことばか」
 だが、平本のその悪態は最後まで紡がれることはなかった。途中で、ぶんっと振り抜いた
タウロスの戦斧が彼の首から上を跳ね飛ばしたからである。
 驚愕した顔が宙を舞い、ごとんと落ちた。残された身体からは大量の血が噴き出し、その
まま糸の切れた玩具のように夜のアスファルトの上に崩れ落ちる。
『──ッ!?』
「間に、合わなかった……」
 睦月達はそんな目の前の光景に、ぎゅっと心臓が握り潰されそうな感触を覚えた。
 世界が止まりかける。目の前の色彩がぐわんとモノクロになりそうになる。
 ぬ、おォォォーッ!! そんな中で、逸早く動いたのが仁と國子だった。大盾を構えて突
進するグレートデュークと剛閃を叩き込む朧丸。二人はサーヴァント達を押し退け、叫ぶ。
「佐原、行け!」
「こいつらは私達が食い止めます!」
 そこでようやく睦月は我に返ったのだった。
 今さっきの、異形の群れの向こう側に転がった惨状。睦月は震えるように込み上がってき
た衝動に任せ、EXリアナイザを操作していた。仲間達が必死になって押さえてくれている
サーヴァント達の群れの横を駆け抜け、タウロスに迫る。
「スラッシュ!」
『WEAPON CHANGE』
『ELEMENT』
『FIRE THE LION』
 サポートコンシェルの属性を付与し、燃え盛るエネルギー剣がタウロスに向かって突き出
された。だがタウロスはこれを戦斧の腹で受け止め、流し、直後睦月と激しい剣戟を交え始
めていく。
「どうして! どうして! どうして!? 何でそんな簡単に人を殺せるんだ!?」
 睦月は義憤(いか)っていた。あの男性に面識など全くない。だが間違いなく彼はこの二
人によって殺されたのだ。自分達がすぐ近くにいながら、もう犠牲者を出さない、勇を止め
ようとしていたのにも拘わらず。
 タウロスは何も答えなかった。ただ体躯にそぐわぬ反応で次々と睦月の攻撃を捌き、寧ろ
こちらをじっと観察するだけの余力すら持ち合わせている。
「くぅっ!」
『ARMS』
『CLIP THE STAG』
 すると互いの得物を弾き合った隙を縫い、睦月は更に武装を呼び出した。左腕に橙色の光
球が吸い込まれ、巨大な鋏型のアームが装着される。
 それを、睦月はタウロスの振り下ろした刃に挟んで掴んだ。ガシリと、その得物ごと相手
の動きを封じに掛かったのである。タウロスは「むっ!?」と眉間に皺を寄せたかのように
唸り、引き抜こうとした。しかし鋏型アームの力は強く、そう簡単には離れない。
「シュート、チャージ!」
『WEAPON CHANGE』
『PUT ON THE HOLDER』
 更に睦月は武装を銃撃モードに変更、必殺の一撃をコールし、タウロスの体勢を掴み取っ
たまま腰のホルダにEXリアナイザを装填したのだ。迸る奔流と共に大量のエネルギーが蓄
積され、そして引き抜かれた瞬間、最初の炎の属性も加わった一発がゼロ距離でタウロスの
腹に直撃する。
「ぬわっ!?」
「うおっ……!?」
 それは仲間達も思わず仰け反るほどの余熱。
 力の放射が終わった時、そこには銃口を相手の胸元に押し付けた睦月と、勇を庇うように
そこから頑として動かなかったタウロスの姿があった。
 濛々と蒸気が上がっている。胸に巻いていた部分鎧は大きく風穴を空けて貫かれ、皮膚に
丸く大きな傷が出来上がっている。
 仲間達はサーヴァントらを押さえながら息を呑んでいた。やったか……? 数秒数十秒、
二人はその場からじっと動かないように見えた。
「……ぐっ! ぬ、お、オォォォッ!!」
 しかしタウロスは生きていたのである。腹の真ん中を抉られたにも拘わらず、獣の如き咆
哮を上げ、この時僅かに緩んでいた鋏型アームから戦斧を引き抜いた。
 轟。そして放たれた叫びは、まるで衝撃波のように拡散して辺りを破壊した。
 睦月は勿論、仲間達やサーヴァント達も敵味方問わず巻き添えになって転がり、強かに叩
き付けられる。夜のアスファルトの黒く暗い地面の上に睦月達は倒れていた。放たれた反撃
はちょっとそっと所ではなく、ぐったりと膝をつくのでやっとの者達もいる。
「……流石に驚いたぞ。だが私を仕留めるには力不足だったようだな」
 荒く呼吸を整えながら立ちはだかるタウロス。その胸を抉った風穴は、またしてもその自
己修復能力で塞がり始めていた。
「そんな……」
「あ、あれで死なないなんて」
「やっぱ、俺達じゃ勝てないのか……」
 その結果に絶望する隊士達。がくりと、立ち上がることもままならぬまま、ただ荒く肩で
息をするばかりだった。
「お前にしては苦戦したな。まぁいい、殺れ」
 そして勇がにべもなく言う。タウロスは再び戦斧を手にぶら下げ、ゆっくりと睦月達の方
へと歩き始めた。
 今までにない強者が近付いてくる。リアナイザ隊の面々にはどうしようもなかった。
「……やっぱり、あの手しか」
『! マ、マスター』
 しかしそんな中にあって、睦月は諦めない。焦燥、いや追い詰められ退路を失ったからこ
そその眼は血走っていて、握るEXリアナイザの操作には澱みがない。
『睦月……』
『強化、換装を?』
 皆人や香月、司令室(コンソール)側の面々もその動きに思わず息を呑んだ。
 確かに現状、あれでしかこのアウターに対抗する手段は見つからない。だがそれは彼にと
っても非常にリスクのある選択だ。そんな力に、今彼は手を伸ばそうとしている。
『LION』『TIGER』『CHEETAH』
『LEOPARD』『CAT』『JAGGER』『PUMA』
『TRACE』
 ホログラム画面上から、先ず錠前のアイコンをタップする。タップして錠が外れたそれに
変わった所で、表示枠の変わったレッドカテゴリのコンシェル達を一筆書きの要領で全て選
択していく。最後に換装のボタンを押し、睦月は一旦EXリアナイザをぶんと真横に。広げ
た左掌へとその銃口を押し付け、更なる変身を果たそうとする。
「っ……!?」
 だが、いつものようなスムーズな流れは起きなかった。
 これには覚えがある。一番最初、冴島がEXリアナイザに認証されずに弾かれていたのと
同じだ。バチバチッと赤い奔流が銃口を中心に迸っているが、肝心のそれはぴたりと掌に吸
い込まれはせず、何か見えない力が強烈に反発してきている。
「何でだよ……? 今じゃなきゃ駄目なんだ。今、今変身できなきゃ、皆……!」
 故に、それでも無理やりに押し込む。
 睦月はこの反発される力すら理不尽だと思った。必要な力なのに、使えなければいけない
のに、何故拒むんだ。
 バチバチバチッ!! そして銃口を、力ずくで掌に押し当てる。迸る赤い奔流は更に激し
く広範囲に広がり、刹那彼を渦巻く炎の中に呑み込んだのである。
「うっ、あ、アァァーッ!!」
 その光景に、敵も味方も驚愕し、目を見開いた。
 言うなれば火だるまである。ネオンの明かりすら跳ね返す、夜の闇を払うほどの赤く燃え
盛る人の形をした炎の塊。タウロスが勇が、その異常さに一歩二歩と後退っていた。仲間達
も、司令室(コンソール)の皆人達も何やら叫んでいる。しかし睦月の耳にはもう届いてい
なかった。
 ……倒すんだ。僕が、この力で。
 渦巻く大炎。その中で大きく拳を振りかぶりながら飛び出す人形(むつき)。

 半ば獣の如き叫び声のまま、彼はタウロスに向かって跳び上がり──。

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  1. 2016/03/16(水) 18:00:00|
  2. サハラ・セレクタブル
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

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