日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-〔5〕

 それは、日も沈み辺りが暗くなってゆく時間帯だった。
「よいっ……しょ」
 アウルベルツ商業区の奥にある倉庫群。
 ぽつねんと照明の灯ったその一角で、とある二人の若者が不承不承といった様子で商品の
詰まったダンボール箱をひたすらリレーし、山のように積み上げていた。
「ったく。何で俺達がこんな地味な仕事を……」
 それはアルスがこの街に来た初日、ミアに手を上げようとした新米冒険者の二人だった。
 細身のキザな方が下で箱を引き寄せ、脚立の上に乗った小柄だが強気な顔つきの相棒へと
渡す。倉庫の中に積み上げられたダンボール箱の山にまた一つ箱を加えながら、小柄な方は
足元の相棒に向かって言った。
「仕方ねぇだろ。この前の一件でボスにクランの仕事干されちまったし」
「そうだけどよぉ。何が悲しくてこんな地味な事やらなくちゃいけねぇんだよ……」
「嫌なのは俺も同じだっての。でもこんなのでも依頼を受けなきゃ飯も食えねぇんだ。ボス
からの処分が解けるまでの辛抱だって。ほら、次」
 ミアに手を上げた一件を咎められ、二人は所属クランの団長・バラクからクランの一員と
しての遂行メンバーから外されていた。
 一時的な処分とはいえ、基本的に冒険者は依頼をこなさないと食い扶持は無い。
 よって、二人は不本意ながらも自分達でも受けられる──便利屋の裏方仕事を受けざるを
得なかったのだった。
 まだ若く、冒険者という肩書に一種の万能感を抱いている彼らにとってこれは屈辱であっ
たに違いない。
 そしてそうした思い上がりを戒める事もバラクなり処分の意図であったのだが、彼ら自身
は十中八九そうした思いには気付いてすらいないらしい。
「はぁ。ボスも頭堅いよなぁ……」
 そうして二人が渋々と、黙々とダンボール箱の山を高く大きくする作業に勤しんでいた、
ちょうどそんな最中だった。
「……?」
 フッと背後から風が通り抜けたような気がした。
 しかしただの吹き荒びとは思えなかった。何といえばいいのか、自然に吹いたというより
も“悪寒を伴う”ような、嫌な感じの一瞬の空気の蠢き。
 細身の方は、そんな自分でも形容しがたい妙な違和感を背中いっぱいに受けて、思わず背
後を、開け放ちになっていた倉庫の入口の方を振り返っていた。
「ん? どうかしたか?」
「……なぁ、さっき誰か通らなかったか?」
「は? 誰って?」
 脚立の上の小柄の方は、相棒の言葉に隠すことなく眉根を上げて怪訝を見せていた。
 ここは表通りに店を構える商人達の倉庫がひしめている区画だ。誰か来るとすればそうし
た店の関係者か、取引のある業者くらいなものだろう。
 しかし……今はすっかり日も暮れて店はあらかた閉まっている。そうした者達が顔を出し
てくるとは考えにくかった。
「気のせいじゃねぇの? 風の音とかと間違えたんじゃねぇか?」
 だからこそ彼はそう不安げに入口の方を見遣っている相棒に言った。
 よしてくれよ。こんな地味な作業に加えて、盗人の取り締まりまでしろってのか? そこ
まで報酬に加えてくれるならいざ知らず……厄介な事この上ない。
「そうかなぁ?」
「……そうだって。そうに決まってる」
 ただでさえ、最近は物騒だ。それにどうにもツキも悪い。
 自分達は別にそんなおっかない連中とドンパチする為に冒険者になったんじゃない。この
業界で金と名誉を──ドカンと一発を当てる為にこの業界に飛び込んだのから。
「ほら、寝惚けた事言ってないでさっさと終わらせようぜ」
「お、おう。そうだな……」
 そして二人は互いに不吉な考えを振り払うように、再び作業に戻り始めた。
 テロだろうが、保守だの開拓だのという諍いだろうが、俺達には関係ない。
 そうさ。俺達には……関係ない。
『──……』 
 そんな二人の後方の倉庫の外を、一つまた一つと不審な影が音もなく駆け抜けてゆくのに
気付く事もなく。


 Tale-5.金色の追跡者

「……んぅ?」
 瞼の裏に陽の光が差し込んできた。眠りの海の中に沈み込んでいた身体がおもむろに引き
揚げられるような錯覚を覚える。
 アルスは、ぼんやりと寝惚け眼のまま天井を見ていた。
 相応の年季の入ったクランの宿舎。そこには点々と広がったシミがこちらを窺うように静
止しているかのように見える。
「アルス……?」
 そうしていると、フッと視界を遮って覗き込んでくるエトナの顔が映った。
 ふわふわと浮かび、緑色のオーラを漂わせた中に見せる不安げな顔。
 語る事はしなかったが、やはり相棒もあの事が気になっているのだろう。もしかしたら自
分が眠っている内に魘されでもしていたのかもしれない。
「……おはよう。エトナ」
 だからアルスは努め、フッと微笑んでいた。そしてもそりと身体を起こして目を擦ってま
だ纏わりつく眠気を宥める。
 兄と共有している二段ベッドの上。
 寝間着姿のまま、トンと梯子を降りて下を覗いてみると、そこにジークの姿はなかった。
「兄さん、もう起きてるみたいだね」
「うん。もしかしたらアレかなぁ?」
 言って、ふよふよと壁をすり抜け(精霊なのでこういう芸当もできる)一人廊下へと出て
ゆくエトナ。その後ろ姿を一瞥して、アルスは着替えと身支度を始めた。
 寝間着を畳んで衣装ケースの中に。次いでクローゼットから普段の服とローブを取り出し
て羽織る。机の横に引っ掛けておいた鞄の中の教材諸々を確認して準備完了。
「やっぱりそうだったよ~。ジーク、朝練してる」
「そっか。じゃあ僕らもご飯食べに行こうか」
 そして廊下から外の様子を確認していたらしいエトナが再び壁をすり抜けて戻ってくるの
を待って、アルスは穏やかに言った。
 
 廊下の途中の手洗い場で洗顔、歯磨き、そしてトイレを済まして宿舎を出る。
 そして朝食を摂る為に酒場へ続く渡り廊下を歩いていると、その姿が目に入った。
「二九八六、二九八七、二九八八……」
 宿舎と酒場の裏手に挟まれる敷地に設けられた中庭兼運動場。
 その一角で、ジークが軽装の姿で一人朝稽古に勤しんでいた。
 ぶつぶつと回数を呟きながら両手で何度も素振りしているのは、長い棍棒とその先に取り
付けられた巨大な錘。
 大きさはアルス一人分を軽く越えていた。おそらくはダンベル上げの錘部分ではないかと
思われる。そんな巨大な錘を取り付けた棍棒を、ジークは剣に見立て、上下の動きは勿論、
横薙ぎや袈裟懸け、片手ずつの素振りなどを順繰りに繰り返している。
「朝から精が出るね」
 アルスはそんな兄を少し遠巻きから見つめていたが、進行方向上にいた事もあってそっと
近付いていくとそう声を掛けていた。
「二九九九、三千──ん? あぁ、お前らか」
 最後に振り下ろしを一発。ガコンと重量感満載の金属音を響かせて、ジークは額に汗を流
しつつ振り返った。どしりと、地面に訓練用の錘が降ろされる。
 アルスとエトナは、相変わらずながらこの(相棒の)兄の身体能力に目を見張っていた。
 ガシガシと首筋に引っ掛けていたタオルで汗を拭って、ジークは言う。
「ま、定期的にやっとかないと身体が鈍るからな」
「……鈍ってたらそんなでっかい物なんか持てないと思うけどねぇ」
「あはは……」
「別にこれくらい普通だぞ? 力だけで言えば副団長……ミアにも俺、敵わねぇままだし」
『えっ!?』
 あくまでジークは冒険者基準で自身の力量を見ていた。
 ダンさんはともかく、ミアさんが? アルスはむしろその事実に驚いていたが、何せあの
父娘は獣人族だ。潜在的な身体能力の高さは折り紙つきである。
 アルスは改めて自分のような一般市民(学生)と兄ら冒険者達の、住む世界の違いに内心
圧倒されてしまっていた。
「そりゃあ種族としての身体の作りが違うのは分かってるけどな。だからって鍛錬をサボる
理由にはならねぇよ。努力すりゃあ、種族の差なんてものはきっと縮められる」
「……そう、だね」
 しかしその言葉に、アルスはフッと表情を曇らせていた。見れば、エトナも同様だった。
 だがジークは一瞬その変化に僅かに眉根を寄せていただけで、この場で突っ込んで訊ねる
事はしなかった。
 ぐるりと肩を回したり、手首を曲げ伸ばししたりと運動後のストレッチを挟みながら、苦
笑が混じったため息をついて続ける。
「それにいつも剣を振れる仕事ってわけじゃねぇからなぁ。この前だってシフォンと受けた
のが『飼い犬が迷子になったから探してくれ』っていうのでさ……。結局シフォンが精霊に
聞き込みをして解決したから俺の出番はなし。丸っきり魔導が使えないってのも不便なもん
だよなぁ。こういうケースに出くわすとさ」
「……」「うん……」
「そういうわけだから、日頃から鍛えておかねぇと。せめて皆の足を引っ張らない程度には
力をキープしとかなくっちゃな」
 そして再び軽々と錘付きの棍棒を拾い上げ、ジークはひょいと半身を返す。
 見れば、弟は少し俯き加減で立っているように見えた。
 だがそれよりも、
「……っと悪ぃ。まだ朝飯食ってないよな? 学院に遅れない内にさっさと食っちまえよ。
俺はコイツを片付けて、シャワー浴びて来てから食うからよ」
 ジークは自身の愚痴を聞かせてしまった事を失態だったかもしれないと思っていた。
「う、うん……」
 コクリと頷いたアルス。
 ジークはそれを見て小さく笑み、中庭の奥の方にある用具倉庫の方へと歩いていった。
 言葉少なげに宙に浮かんでいるエトナ。
 アルスも暫しの間、その場でじっと黙してそんな兄の後ろ姿を見送る。
「……。ご飯、食べよっと」
 そしてややあって、改めてアルスは鞄を片手に、ローブを翻して渡り廊下を歩いていく。

「おはようございます」
 酒場に顔を出してきたアルスは、このクランに下宿を始めて以来の、いつもの穏やかな微
笑を湛えているように見えた。
「おう。おはようさん」
「今日も学校、頑張れよ」
 最初こそ冒険者という、一般には荒くれ者の集まりと認識されている中に混じって暮らす
事に不安がない訳ではなかったが、自分が仲間(ジーク)の肉親だと知らされていた彼らの
気安い態度はそんな不安などすぐに吹き飛ばしてくれていた。
 考えてみれば不思議ではないのだろう。
 何よりもお互いの結束が、即ち戦時における軍団としての立ち回りに影響するのだから。
「おはよう、アルス君。すぐに用意するから適当に座っていてくれ」
「はい。お願いします」
 アルスはすっかり打ち解けた団員らと挨拶を交わしながら、カウンターの中からそう言っ
てくるハロルドに頷き会釈をすると、近場のテーブル席に着いた。
 店内のテーブル席には他にも団員らが疎らに座っており、カウンター席ではダンとミア、
中で調理や給仕をこなすハロルドとレナとが時折談笑を交えている様子が見て取れる。
「よぅ。アルス」
「今日はどんな授業受けるんだ?」
 そうして席で待っていると、近場の団員が数人近寄ってきた。空いた他の席に座り直して
同じテーブルに着く。団員らの中には魔導を扱う者もおり、学院に通っている自分に対して
興味を持つ者も少なくないのだ。
 アルスは「え~っとですね……」と懐からメモを取り出して確認しつつ答える。
「今日は一限目に魔導史概論、二限目に魔導操作論、四限と五限が解析魔導論ですね」
「……何言ってるかさっぱり分かんねぇ」
「あはは。そりゃお前は魔導使えないもんな。なぁアルス、教材ってどんなのなんだ?」
「教材、ですか……?」
 アルスを中心に団員らがワイワイと喋っている。
 その気安さの中で、アルスは鞄の中から今日使う教材を取り出すと、この団員(記憶が正
しければ魔導を使える人の筈だ)に手渡す。
「は~い、おまちどうさま」
「あ。どうも……」
 ちょうどそんな時、レナが出来上がった朝食を持って来てくれた。
 自分達の様子を優しく見守る彼女からそのトレイを受け取ると、アルスはカウンターの方
に戻っていくその背に小さく頭を下げてから早速朝食を摂り始める。
「うーん。やっぱ学院の専門書は違うなぁ。改めて奥深いって思うよ」
「学院というか一応市販なんですが……。でも魔導、使えるんですよね? 読んだ事ないん
ですか?」
「ないって訳じゃないがな。俺の場合、学校で体系立って学んだってクチじゃねぇからさ。
そもそもアカデミーに入って基礎基本からみっちり学ぶ連中自体、限られてくるんだよな」
「……そう、ですね」
 もきゅとパンを齧って咀嚼し、小さく首肯。
 確かに魔導を教わる、その一点に関して言えば必ずしもアカデミーのような公の機関に通
わなければならないという事はない。むしろ学院自体が各地に数があるとはいえ、総じて狭
き門なのだ。彼の言うように、半ば独学(ないし他の魔導師に教えを請う)で修得する事も
珍しくはないのだろう。
 実際、自分もアカデミーに入る前はリュカという在野の師に就いて学んでいた一人だった
のだから。気持ち少し速めに朝食を口にしていきながら、アルスはぼんやりと思う。
 自分はそんな狭き門をくぐった──他の受験生の不合格を足場にして、学院生という今の
身分を得たのだ。
 だからこそ“中途半端な学び”は自身にも、彼らにも申し訳が立たない……。
「お~い、お前ら。あんまりアルスにまとわり付くなよ~?」
 するとカウンター席から、ダンがゆたりとした様子で面々にそう声を掛けていた。
 言われて「へ~い」と同じくゆたりとした声色で離れていく団員達。アルスは返された教
材を再び鞄の中にしまうと、黙々と残りの朝食を片付ける。
「……」
 そんな彼を、エトナは先刻から何故かじっと不安げな眼差しで見下ろしていて。
「──ごちそうさまでした」
「はい。お粗末さま」
 暫くして、朝食を平らげたアルスはトレイに載せた食器をカウンターに返却していた。
 洗い物の手を一旦止め、ハロルドがそれを微笑と共に受け取ると、すぐに他の食器と同様
に洗い桶の中に投入されていく。
「アルス君」
 その時だった。振り向くとカウンターからレナとミアが出てきてこちらを見ていた。
「ほらほら。ミアちゃん」
「……。アルス、これ」
「? これは……」
 そしてミアがレナに促されるようにしておずおずと差し出してきたのは、弁当包み。
 アルスは受け取る手が中途に止まり、思わず訊いてしまう。
 その後ろでは、ダンがカウンター席に着いたまま無言の怪訝──いや驚愕を見せている。
「今日のお昼ご飯。アルス……いつも学食で食べてるみたいだったから。たまには、どうか
なと思って」
「ミアちゃんが作ったんだよ? ミアちゃんの、手作り弁当~」
「……ッ!? レ、レナ。言っちゃ駄目……」 
「何で? 本当の事じゃない。食べて貰いたいんでしょ? せっかく朝早くから頑張ったん
だもの。手伝った私としても報われて欲しいし」
「~~ッ……」
 どうやらミアが作ってくれた弁当らしい。
 何故自分にという問いは無粋だと思いしなかった。仲間の厚意はありがたく受け取るもの
だろう。
「……そうですか。ありがとうございます。お昼、楽しみにしますね」
「ぅ、うん……」
 アルスは弁当包みを受け取ると努めてそう言って笑った。
 その言葉にミアは真っ赤になって俯いている。するとエトナがそんなやり取りを宙から見
下ろしつつ口を挟んでくる。
「アルス~? あんまりもたもたしてると遅れるよ~?」
「え。あ、もうこんな時間か……」
 何処か拗ねたようなその口調に現実に引き戻され、アルスは懐中時計を取り出して時刻を
確認した。確かにそろそろ出た方がいい頃合だ。
「それじゃあ、そろそろ行ってきます。お弁当ありがとうございます」
 鞄に大事に弁当包みをしまって、アルスはミアやレナ、団員らに挨拶して外に向けて足を
踏み出した。
 行ってらっしゃい。
 皆の、団員らの声が重なってアルスを送り出してくれる。
 何処か不意に影の差した表情。だがそれも一瞬だった。
 次の瞬間にはいつもの穏やかな微笑を見せると、とてとてと小走りでエトナと共に学院に
向けて出発していく。
「べ、弁当……? ミアの、手料理? お、俺だって食わせて貰った事、ないのに……」
「はいはい。ご愁傷様」
 そんな中でダンだけは、ぶつぶつとそんな事を言いながらぐってりとして気落ちしている
ようだった。だがそんな戦友(とも)をハロルドはむしろ面白可笑しく見遣っている。
「……」
「あ。ジークさん、おはようございます」
「あぁ……おはよう」
 すると何時の間にか、ジークが中庭側の戸口に立っていた。
 その存在に逸早く気付いたレナがふんわりと笑って挨拶するが、ジークは何処か声色が静
かなようにも見えた。シャワーを浴びてまだ湿っている髪が結ばれずに垂れている。
(……気のせいか?)
 何の気なしに、何時もの調子で。
 朝の支度時に戻っていく団員達の中にあって。
(アルスもエトナも、何だかいつもより元気がなかったような……)
 この兄だけは、一抹の違和感と共に一人、そんな怪訝を思う。

 時を前後して。イセルナ達はギルドにいた。
 何時ものように次の、或いはクランの当面の依頼の目星をつける為の吟味作業。
 随行してきた団員らは各々に依頼書(やそのデータベース)に目を通し、冒険者として自
分達の力量などと照らし合わせて思案を重ねる。
 その中にはシフォンやリンファも混じっており、窓口で職員や馴染みの同業者らと何やら
話し込んでいる姿も見えた。
「……どうかした、ブルート?」
 そして当のイセルナは、ギルドの二階バルコニーの傍にいた。
 眼下では柵で守られた吹き抜けが一階の皆の様子を切り取っており、がやがやと荒削りな
がらも活気のある様子が見て取れる。
 イセルナは、そんな階下にじっと目を遣っている相棒にゆったりと声を掛けていた。
「いや……。少しぼんやりとしていただけだ」
「そう? 貴方がそんな風にするなんて珍しいわね」
 ブルートは手すり部分に乗っかって。
 イセルナは手すりに軽く寄り掛かって。
 暫し二人は、ゆっくりとした時間の経過の中に身を任せる。
「随分と遠くまで来たものだ」
 やがて、ぽつりと先にブルートが口を開く。
「同じ国内じゃない。まぁアトス連邦朝自体、世界有数の領土の広さだから仕方ないけど」
「そういう意味じゃない。……気持ち的な距離だ」
 言って、イセルナが静かに小首を傾げて自分を見るのを認めて、ブルートはぽつぽつと続
ける。その眼差しは怜悧だが冷淡ではなく、感慨深さを湛えている。
「始めは、我ら二人だけの旅路だった。しかしダンと出会い、その後シフォン、ハロルド、
リンファと戦友(とも)が増えていった。何より今では我らは多くの団員を抱えるクランの
長にまで上り詰めた」
「そこまで大層なものじゃないわよ。皆が、力を貸してくれているおかげ」
「……謙虚だな。それが汝の美徳でもあるが……」
 ブルートはふと身体を起こして手すりの上で半身を返すと、視線をギルドの外──アウル
ベルツの街並みへと移していた。
 建ち並ぶ家屋。その隙間、通りの道から点々とし、時に大きなうねりと化している人々。
 遥か遠くの自然まで覆わんとするようなその街の広がりに、ブルートは静かに目を細めて
静かにごちる。
「長く生きてきた我だが、汝らヒトの邁進ぶりには驚かされるばかりだ。精霊(われら)で
はもっと緩慢に過ごすであろう時間を世界の開拓に注ぎ込み、日々進歩しようとしている。
我らには中々真似のできぬ精神だ」
「……それは、ヒトに対する当てつけなのかしら?」
「いや。個人的には本当にそう思っているさ。だが実際はそういう反発も多いのだろう?」
「もしかして……この前バラクと飲んだ時の話を言っているの?」
「……。あぁ」
 ややあってイセルナも手すりに預けていた身を起こし、ブルートと共に背後の窓際へと移
動した。二人の眼下に広がるアウルベルツの景色──ヒトによる開拓という営みの一部。
 再度そんな街並みを見つめつつ、ブルートは言う。
「……。精霊(どうほう)達がざわついている」
「えっ?」
 それは只事ではない。魔導を扱う者の一人として、イセルナもその事はよく分かっている
つもりだった。すぐに精神を集中させ、精霊達の気配を、声を探る。
「あまり慌てずとも良い。我ですら小規模に聞こえる程度だ。汝であっても、ヒトの身では
中々気付けぬだろう」
「……そう」
 慰みのつもりなのか。ブルートは街を見下ろしたままそう言う。
 静かに呟き、一度彼を横目で見遣ってから再びその視線に合わせるイセルナ。
「……我個人の意見では、世界を開拓すること自体に異を唱える気はない。むしろ心配なの
は、ヒト同士がその是非を巡って諍いを拡げてしまう事だ。ヒトは自分達の思っている以上
に世界に影響を及ぼす。その自覚に乏しいことの方が我としては心配だ。……尤も、こんな
考え方も汝らと旅路を共にしてきて感化されてしまっている故なのかもしれぬがな」
 ブルートは珍しく笑っているように見えた。
 しかしその言葉の文言通りに、彼の纏う雰囲気は心配の色を濃くしている。
「……精霊達がざわついているのも、何かその諍いがあるからじゃないかってこと?」
「或いは、起きようとしているからざわめいているか……だな」
「? それは……」
 一体どういう──?
 何処か含んだその言い方に、今度こそイセルナは眉根を上げて彼に向き直ろうとする。
「あ、いたいた。団長~」
「依頼書いくつか見繕ってきました。目通しお願いします」
 だがちょうどそんな時、階下から団員らが駆け寄ってくるのが見えた。
 目の前までやって来て差し出される、目星をつけた複数枚の依頼書。
「……ええ。分かったわ」
 結局、その意図を聞き出す間を逃してしまいながら。
 イセルナは団長としての自分に意識を切り替えて、差し出されたそれらを受け取った。


「──このように、被造人(オートマタ)と機人(キジン)は共に人に奉仕する場面が多い
ですが、その成り立ちは大きく違っているわけです」
 すり鉢状の講義室に、若手の教員の丁寧な声色がマイクを通して響く。
 二時限目・魔導操作論の講義だった。大雑把に要約するならば魔導における各種制御理論
を扱うものである。
 今日の講義テーマは被造人(オートマタ)──魔導によって創られた使い魔についてだ。
「見た目が生物的か機械的かという点が最も目立つ所ですが、その歴史や本質が大きく違う
のも分かりましたね? 端的に言うならばオートマタは魔導によって創り出された生命体で
あり、キジンは機巧技術が生んだ生命体と表現すると分かり易いでしょう」
 ここでも、両者の成り立ちは魔導と機巧技術という二大技術体系から遡る事ができる。
 魔導の歴史は少なくとも人の文明が確認されている最古代から続いており、オートマタも
その頃から徐々に術者(創造者)に奉仕する使い魔・従者であったようだ。
 これに対し、キジン達は少し成り立ちが違っている。
 第一にその誕生は「大帝国」時代の前後──“魔導開放”よりも更に数千年の後である。
 そして何より金属生命体という特性故、発明主である帝国によって「戦争兵器」として長
らく戦いに従事させられてきた歴史を持っている。
 だが……彼らもオートマタと同じく心を、自我を持つ者が少なくなかった。
 帝国が圧政に反旗を翻した人々との戦いに末に滅びた後に、世界の復興の最前線──時に
人の身では危険な場所で積極的に奮闘したのもそういった兵器としての自分達という過去へ
の贖罪故だったのかもしれない。
「創られたから──。それは彼らにとってとても大きな存在理由なのです。オートマタが術
者の従者として侍るのも、キジン達が殺してきた筈の人々に報いようと団結し、今日世界の
一員として認められたのも、その存在を許されたいが為ではないかと思いませんか? 勿論
個々の自我が何を思っているかの差異はあります。そういった忠義だけでなはく、金銭的な
契約関係という打算もあるかもしれません」
 長々と。多くの板書を残した黒板を背中にその教師は続けていた。
 半円状に広がる席に埋まっている学生達をざっと眺めながら。
「……ですが、皆さんには是非とも覚えておいて欲しい。彼らが『たとえ使い魔であっても
彼らには私達と同じく心がある』のです。我々魔導師は人的要素に依って立って術を行使す
る存在です。くれぐれも、自身に奢る事なきように。精霊と同様、貴方達がオートマタと触
れ合い、或いは自身で創り出す時、決して一つの自我と向き合うという責任感を安易に捉え
ないことです。……よろしいですね?」
 はい──。生徒達の重なった返事が響いた。
 教師はよろしいと満足気に深く頷いて微笑む。
 すると、そのタイミングに合わせたかのように、講義室に校舎内にチャイムが鳴り響き始
めた。二時限目終了を告げる合図だった。教師は教卓の上の教材・資料を引き寄せてまとめ
ながら言う。
「……それでは今回はここまです。次回からは、具体的な構築式について勉強しましょう」
 そして彼は立ち去って行った。ガラリと扉を開けて姿が見えなくなるとざわっと緊張の糸
が緩み、生徒達はリラックスした様子を見せ始める。
「……」
 そんな中で、アルスはぼうっと座ったままだった。
 目の前に広げられたノート。そこにはしっかり板書の内容が丁寧に書き留められている。
 それでも、アルス当人は何処か上の空のようだった。
(自我と向き合う……責任感)
 小さく息を吐く。それは半ばため息に近かった。
 やはり……胸の内がざわざわと動揺し続けている。少しの言葉であっても、はたとあの時
に放たれた“条件”と重なって思えてしまう気がしてならなかった。
 それは間違いなく──逡巡だった。
 気持ちは、決まっている。だけどそれを言い出せば……目指すものが遠くに失われてしま
うのではないかという懸念が過ぎり、決断できてないでいた。
(アルス……)
 続々と講義室を出て行く生徒らの中で、まだ座って思案顔なままのアルス。
 宙に漂うエトナはそんな彼に掛ける言葉も見つけられらず、ただ心苦しく見るしかない。
「お~い。アルス~!」
 ちょうど、そんな時だった。
 エトナが聞こえてきた声にハッと我に返り、視線を移してみると、そこ──眼下の講義室
の入口には見慣れた人影が二つ。
「アルス。アルスってば」
「……ぇっ?」
「ほらほら。迎えが来てるよ?」
「へ? むか、え……?」
 それでもぼうっとしていた相棒を揺すって気付かせる。エトナは努めて、彼のその悶々と
した思考を一時でもいいから遠ざけたかった。
 アルスがようやく我に返って、エトナが再び向けた視線に自身もそれに従う。
「やあ。大丈夫かな、アルス君?」
「やっほ~。飯にしようぜ~」
 そこには開きっ放しの扉に背を預けて軽く手を上げてくるルイスと、屈託なく笑いながら
そう誘いの言葉を投げて寄越してくるフィデロの姿があった。

 そして講義の後の昼休み。
 アルスは顔を出してくれたルイス・フィデロの二人と共に食堂へやって来ていた。
 予めテーブル席を確保し、二人が献立を選んで精算してくるのを待っていた。
「……」
 食堂内を見渡せば、先輩や同学年も皆が昼休みという束の間の休息を楽しんでいるように
見えた。入学から一月と経っていないにも拘わらず、既に方々で新たなグループが形成され
ているようだ。
 食事を共にし、談笑を交わす彼ら。
 そんな姿をぼんやりと眺めているとアルスはつい思ってしまう。
 彼らは、どうして魔導を学ぼうと思ったのだろう……。
「よっ。何ぼ~っとしてんだ?」
「お待たせ。食べよっか」
 だがそうした思考は、ややあって戻ってきた二人によって一旦意識の隅に追いやられた。
 ガッツリな肉食系メニューとサラダやパン類中心の草食系メニュー。
 互いの性格の違いを体現したかのような献立をトレイに載せた二人は、そうアルスに声を
掛けてきつつ、そのまま対面するように席に着いた。
 アルスも、鞄の中から今朝受け取った弁当包みを取り出し、そっとテーブルの上に置く。
「にしても……何でまた今日は弁当なわけ?」
「さぁ。何でだろ……? ミアさ──下宿先の人が朝起きたら作ってくれていたから」
「ふぅん……。どれ、拝見してもいいかな?」
「ど、どうぞ」
 ルイスとフィデロがやけに興味深そうに見守ってくる中、アルスは弁当を開けた。
 そこには詰められた俵型のおにぎりが半分、残りが種々のおかずで占められた献立の姿。
 二人の「おぉっ」と何故か嬉しそうな声。アルスも(失礼ながら)予想していたものより
もずっと繊細に作られたそれらを見て暫し言葉が出ずにいた。
 兄がアマゾネス──東方の民の血を受けているから自分もそうだろうと、わざわざ米料理
を用意してくれたのだろうか?
 血筋はそうでも、生まれも育ちもサンフェルノ村なアルスには嬉しいやら驚いたやらだ。 
「これ……本気(ガチ)だよな」
「下宿先の人だっけ? これを作ったのってもしかして、女の人じゃない?」
「うん、そうけど……。兄さんの冒険者仲間で、猫の獣人さん」
 出会ってから今日までの語らいの中で、二人には自分や兄の事、下宿先の冒険者クランの
事もある程度話してある。
「ほほう? 年上のお姉さんかぁ。華奢な見た目しておいて……結構やるなぁ。お前も」
「? 何のこと?」
「はは。何ってそりゃあ」
「……フィデロ」
 するとやっぱり何故か面白そうに笑ったフィデロを、ルイスがぴしゃりと一言そう呼ぶだ
けで止めていた。数拍、二人の間に視線が交わり、妙な硬直時間が出来る。
「あまりからかわないでやりなよ。多分、アルス君は自覚無いだろうし」
「……。みたいだな」
「だよねぇ。罪深いよね、アルスは」
「えっ……? 何……?」
 二人は何事かを悟ったように居住いを正し、一足先に昼食に手をつけ始めた。
 頭に疑問符を浮かべてアルスはきょとんとしていたが、傍らで浮かんでいたエトナもまた
何かを察したように、そして嘆息をつくように呟いている。
 それから暫くは三人(エトナを含めて四人)での会食となった。
 巷の話題から、どの講義の教師が分かり易いやら面白いやら。
 会話のネタは主に──というよりほぼ大方がフィデロから発せられ、アルスやエトナが反
応を見せて二言三言を返すと、そこにルイスが冷静な分析や意見を挟むという構図が続く。
 しかし、アルス達はアカデミーの生徒だ。
 そんな話題の中に学業のそれが現れるのは、決して珍しい事ではなかったのである。
「……そういや。アルスって所属ラボは決めたのか?」
 言い出したのは、同じくフィデロだった。
 もぐもぐと骨付き肉を齧りながら、少なくとも本人は何の気もなしに振った話題であった
のだろう。
「う、ううん。まだだよ……」
 だが、問われた対するアルスは明らかに表情を暗くしていた。
 齧りかけのおにぎりを持つ手を止めたまま、努めて微笑む表情がぎこちない。
 フィデロは「そっかぁ」と気付いていなかったようだったが、一方のルイスはアルスと、
そして同じく心苦しそうに顔をしかめているエトナを一瞥して、無言のままに何かがあると
悟ったらしい。
「俺は、前言ってた通り魔導工学だ。マグダレン先生のラボにしたんだ。もう事務局に届出
も出したんだぜ」
「……。僕は」
「ま、フィデロは元々何をしたいかはっきりしていたからね。僕だってまださ。焦ることは
ないよ。学期の途中で変更は効くといっても、僕らの魔導師人生を大きく左右する可能性の
高い選択だからね。じっくり選んで損は無いさ。まだ一次締切りまで日もあるんだし」
「うん……」
 もきゅっと。アルスはおにぎりの残りを口に運んでいた。
「むしろフィデロは早く決め過ぎてる感があるよね」
「悪いかよ? 魔導具職人(もくてき)がはっきりしているって言ったのはお前じゃんか」
「うん。でも、マグダレン先生って結構スパルタだって聞いたんだけどね。大丈夫?」
「……マジで?」
「ああ。まぁ、頑張りなよ」
 友からそんな事実を聞かされ、サーッと顔色が青くなるフィデロ。
 そんな彼の肩をポンと叩きルイスは微笑を浮かべていた。いや静かに面白がっていた。
「聞いてねぇよ!? いや、でもあのスキンヘッドな風貌だったしなぁ……」
 うんうんと唸りつつもしかし食事の手を止めないフィデロと、そんな彼をやはり弄って楽
しんでいるようなルイス。
 だがアルスは、そんな話題の逸れに内心安堵していた。
 あのままでは何処に決めようとしていたか、話さなくてはならなくなったかもしれない。
 迷っている自分を知られてしまったかもしれない。
 怖かった。せっかくこの学院でできた“友人すら”も、自分の突き通す夢の為に失ってし
まうのではないか? そんな疑心が胸の奥底から湧いてきて怖かった。
「……」
 今はまだ、誰かに話せる状態じゃない……。
 アルスはすっかり味を感じる余裕を失って、ぎこちなく口の中へ昼食を放り込んでいく。

「──それで、本当に解放するんだな?」
 戸惑い。恐れ。疑問。
 そうした負の感情は往々にして凝縮し、連鎖する。
「アア。ソレガ我々ノ目的ダカラナ」
 青き鳥が訝しみ、若き魔導師の卵が悩むその街の片隅、人目に付かないとある暗がりの中
で、彼らは剣呑なる契約を結ぼうとしていた。
 一方は、まだ歳若い青年らしき人影。
 もう一方は、暗がりに溶けるような黒衣に身を包んだ集団だった。
「……分かった。だがお前達も、必ず守れ」
「分カッテイル」
「成立ダナ。デハ早速向カッテ貰オウ」
「……ああ」
 信頼のなき牽制の眼差し。そのやり取りを残して。
 青年は首に巻いたロングスカーフを翻しながら、その暗がりの中を後にしたのだった。


 散発的な剣戟の音が、街の一角で響いていた。
 ジークはリンファ、そして数名の団員らと共に大通りに居を構えるとある武器屋へとやっ
て来ていた。厳密に言えば、その裏手にある空き地だった。
 雑草を大まかに刈り取ったそのスペースには、店の軒下を中心に在庫らしき武具の詰まっ
たコンテナ箱が積まれ、その上から厚手の麻布が被されている。
「じゃあ、次はここの分をお願いします」
 今回ジーク達が受けたのは、開発中の武具サンプルの試運用。
 市民も護身用にと武器を買ってゆく事がないわけではないが、やはり主要な顧客はジーク
らのように戦いを生業とする冒険者の類、或いは守備隊などの職業兵士で占められている。
 だからこそ、そんな層に属するジーク達に実際に使い心地などを確かめて貰いたい。それ
がこの類の依頼が要請する内容であった。
 少々気安めな「うぃ~ッス」という重なる返事と共に。
 店の従業員に促され、ジーク達はこの日何箱目になるかの武具を受け取っていた。
 剣を、槍を、斧を、弓を。
 団員らは自分の得意とする得物を選び取ると、素振りをしてみたり軽く組み稽古をとって
みたりしてこれら武具の感触を確認し始める。
「うーん。ちょっと耐久が弱いかなぁ。野盗ぐらいならまだしも、魔獣みたいな硬い相手だ
と刀身がもたないような」
「こっちは逆に重量を詰め過ぎだね。相応の膂力があれば何ともないんだろうけど、これ量
産型でしょ? ニーズと品質が噛み合ってない感じがするねぇ」
 そしていくら平の団員とはいえ、彼らはやはり冒険者(プロ)だった。
 何度か実践的に扱ってみて、率直な意見を述べる。
 中には辛口の評価も少なくなかったのだが、そもそもこれは冒険者の眼を欲しての依頼に
他ならない。無闇に反発するのは正直あまり意味を成さない。
「ふむふむ……。なるほど……」
 頼んだ側の店の人間らはあくまで謙虚にそれらの指摘を受け止め、メモを走らせていた。
「──ふっ!」
 そんな中で、ジークもまた両手に一本ずつ、二刀流の形で剣を振るってみていた。
 普段使っている愛刀らとは全く感触の違う重量感。もっと言えば……軽過ぎると思った。
 それだけ日頃の鍛錬が現れていると言えるのだが、力を追い求める事に関してストイック
なジークの頭の中にはそんな思考はなかった。
 むしろ自身の愛刀達に“助けられてきた”事実を改めて知らされたようで、まだまだ修行
が足りないとさえ思っていた。
 水平に薙ぎ払ってからもう片方で二撃目を。
 すぐさま手を返して切り上げて、軽く跳躍して身体をぐるりと捻りながら二剣を回転させ
ると、着地の瞬間に突きを放つ。
「うん。中々様になってきたものだ」
 すると、側方からゆたりとリンファが近付いて声を掛けてきた。
 その手にはジークのそれよりも更に大きなサンプルの長剣が一本。
「どうだい? 少し手合わせしてみないか?」
 その言葉に、他の団員らが一斉に二人に視線を遣っていた。
「おぉ? リンさんとジークが手合わせか?」
「久しぶりじゃねぇか? 二人が直接剣を交えるのって」
 それまでのプロの戦士としての眼は何処に行ったのやら。
 団員らはクランの実力者同士の手合わせと聞く否や、わらわらと二人の周りに集まって早
くも野次馬よろしく眺め始める。
「……見世物じゃねぇっての。まぁいいや。じゃあお言葉に甘えて……お願いします」
「ああ。では、いざ尋常に──」
 ジークはそんな皆の変化ぶりに渋い顔をしたが、彼女の誘いを断わる気はなかった。
 自ずと互いに間合いを取って立ち、二刀と長剣の剣士二人が向かい合う。
 はたと周囲の喧騒が遠退き、辺りが静かな緊張に包まれていく。 
「──勝負!」
 そして、ジークがタイミングを図って放ったその一言が合図だった。
 ほぼ同時に地面を蹴った二人。
 先に剣を振ったのはジークだった。次の瞬間、ぶつかる金属音が二撃、三撃と重なる。
 初撃のすぐ後にもう片方の斬撃が飛んだのだが、リンファはその連撃を予め予想していた
かのようにわざと後出しにした長剣の刀身を軽く一振りするだけで、それらを軽々と受け流
していた。
「ふむ。相変わらず……真っ直ぐ過ぎる」
 受け流し、僅かに弾かれ開いた互いの間。
 その隙にねじ込むように、リンファはフッと笑いながら身を捻り強烈な薙ぎを叩き込んで
くる。ジークは咄嗟に二剣で防御するが、威力に押し負け更に弾かれていた。
「こん、のぉ……!」
 だが押し出される圧力を両脚で踏ん張って、再び地面を蹴る。
 射出されるような速さ。錬氣だった。
 初撃とはパワーもスピードも段違いになったその攻撃。だがリンファも同じくマナを込め
て、今度はその二剣同時の一撃を真正面から受け止めて辺りの空気を震わせる。
『おぉ……』
 団員らは、そして依頼主である店の人間達も、息を呑んでその模様を見守っていた。
 目の前では目まぐるしく何度も攻守を入れ替え、ジークとリンファが幾度となく切り結ん
でいる。
 互いに剣戟を放っては防がれ、かわされ、いなされる。それでも間髪を入れず次の一手を
打ってゆく。まるで複雑なアクロバットを見ているようだった。
 そんな目で追うのもやっとの剣士同士の実戦さながらの手合わせを、一同は視線を行った
り来たりさせながらハラハラと見守る。
 状況が動いたのは、そんな打ち合いがどれだけ続いた頃だっただろうか。
 何度目ともなく間合いを取り直した二人。構えられる二剣と長剣。
 ジークは若干肩で息をし始めていたが、対するリンファはまだ悠然としていた。
 剣戟は長く続いていた。ジークもリンファも、ただ無闇に打ち合っていては埒が明かない
事にはとっくに気が付いていた。
 そろそろ、決め手を──。
『……!』
 二人が同時にそう思い、再び地面を蹴ったのは何も偶然ではなかったのだろう。
 それまで以上に凝縮され、集中される互いの錬氣の剣。
 先ずリンファが長剣のリーチで先手を打っていた。中段からの、振り下ろし。
 だがジークはその一撃を左手の刀身で押さえていなし、身を右に跳ばしていた。
 いなした剣ともう片方で彼女の剣を捉え直し、弾き出そうとする。同時に飛ばした身を捻
って身体ごと回転し、中空からの二剣を浴びせようとする。
 しかしリンファも弾かれたままでは終わらなかった。
 弾かれようとした瞬間、すぐにジークの動きを察知し、逆にその弾かれた反動を利用して
自身もまた身を反転させていたのだ。
 必然二人は中空で回転しながら、互いの斬撃を相手に放たんとする格好になる。
 息を呑む団員、店の者達。だが……。
「なっ……!?」「ッ!?」
 その互いの渾身の一撃も、結果的には共に失敗に終わっていた。
 振り下ろされた二剣と斜め下からの斬り上げ。
 その両者がぶつかった瞬間、お互いの剣がその限界を超えて砕けてしまったのである。
 二人は少なからず驚きながら、距離を置いて着地していた。サッとそれぞれの握っていた
得物の状況を確認する。
 ジークの二剣は共に刀身の途中からボキリと折れて砕けて。
 リンファの長剣は刀身全体に渡って大きく刃こぼれを起こしていた。
「……引き、分け?」
 暫しの間を空けて、団員の一人がそうポツリと言った。
 そうだ。決着はつかなかった。
 ややあってその言葉に、他の団員達も店の者達も、驚きのような感嘆のような諸々が入り
混じった息と声色を漏らし始める。
「……やれやれ。これは参ったね」
 リンファは笑っていた。
 すっかり使い物にならなくなってしまった長剣に目を落とし、小さく一息をつく。
「大したものだ。腕を上げたね、ジーク」
「……何言ってるんすか。俺の負けですよ。剣もこっちの方が明らかに壊れてるし、何より
リンさんは本気の半分も出してないじゃないですか」
 だが一方でジークは不満げだった。
 それは剣の破損具合から見た負けらしい事へのそれではなく、剣を交える中で彼女が自身
の本当の力を出し切らずに戦っていた事に対する悔しさに類する感情だった。
「……バレていたか。でも、ジークは今でも充分過ぎるくらいの強さだと私は思うよ?」
「世辞なんて、要らないです……」
「……。そうか」
 リンファにとっては目を掛けている後輩を痛めつける趣味などないからという本音だった
のだが、それでも彼はまだまだストイックに強さを求めようとしているらしい。
(やれやれ……。力に拘り過ぎている根っこは、中々治ってくれそうにないな……)
 内心でそんな事を思い、密かにため息。
 若干むくれ顔になってしまったこの同族の青年に、リンファは特段の反論はせず、ただ苦
笑の中にも微笑ましさを漏らす。
「……さて。見世物はこの辺りでいいだろう。皆、少し遅くなったが昼食にしようか」
『うい~ッス!』
 そして彼女はジークや団員ら面々に振り返ると、天頂を少し過ぎた陽を一度見上げてから
そう皆に提案した。

「おぉ~っ。美味そうじゃん」
「確か今日はレナちゃんのお手製だったっけ?」
「く~っ、今日こっちに回っておいてよかったぁ……」
 一度服の汚れを軽く払い落とし、壊れてしまった剣の処分を店のスタッフに託してから、
ジーク達は軒下の日陰に集まって遅まきの昼休みを取ることとなった。
「……大袈裟な。ハロルドさんやレナの飯なら普段から食ってるだろ?」
「バッカ。そーいう事じゃねぇよ」
「お前はいいよお前は。普段からレナちゃんとも仲いいし、ミアちゃんとだって……」
「? そりゃあクランの仲間だし。皆も普通に話ぐらいするだろ」
 面々の前に広げられたのはサンドウィッチの詰め合わせ。今朝レナが出発前のジーク達に
と手渡してくれたバスケットだった。
 種々の具材をたっぷり使ったボリュームのある見た目。
 身体が資本の自分達をしっかり気遣ってくれている証だった。ある者は味に期待し、また
ある者は女の子の手料理という事実に感涙しかける。
 だがジークだけは淡々としたもので、そんな仲間達に疑問符を浮かべつつ、真っ先に一つ
手に取り頬張り出す。
「だ~か~ら。そういう意味じゃねぇって」
「あ~もう止めとけ。コイツ、剣術馬鹿だから自覚ねぇんだよ……」
「……何だか気になる言い方だな、おい。まぁいいけど……」
 そしてそんなジークの反応に、嫉妬やら嘆息やらの声・表情を漏らす面々。
 いまいちピンと来ず、何だか馬鹿にされているような気もしたが、一々気にしていてはこ
のむさ苦しい集団の中では埒が明かない事も分かっている。
 ジークは少々喧しい仲間達の雑談の中に身を置いて、暫し皆と共に一つまた一つとサンド
ウィッチを手に取って胃袋に放り込んでいった。
(ん……。美味い)
 野菜にマスタードと卵、薄焼きの肉など手が込んでいる。
 流石に日々、ハロルドさんと一緒に皆の胃袋を預かっているだけの事はある。
 丁寧な味付けに舌鼓を打ちながら、ジークはぼんやりとカウンターの中で笑う彼女の姿を
記憶の中から思い起こしていた。
「……うむ。美味い」
 ふと視線を映してみる。
 当然ながら、この輪の中にはリンファもいた。
 女性なのだがむしろ凛としてカッコイイという表現が似合う彼女。
 しかしこうして静かにちみちみとパンを齧っている姿は……何だか不思議な感じがする。
「うん? どうした?」
「あ、いえ……。リンさんはパンで大丈夫なんスか? 米料理の方がよかったんじゃ……」
「はは。気遣いありがとう。大丈夫だ。確かに私は東方の出だが、北方(こっち)に移って
からそれなりに長いしね。まぁ確かにパンより白米の方が好きだが……」
 フッと笑ってもぐもぐと咀嚼をするリンファ。
 思えば、彼女は自分がクランに来て以来ずっと親切にしてくれているような気がする。
 元々面倒見の良い性格という面もあるが、おそらくは女傑族(どうぞく)としての仲間意
識が働いている為なのだろう。
 ジークは一度茶を啜って口の中のパンを流し込んでから言う。
「それにしても良かったんですかね? サンプル品といっても武器壊しちゃいましたけど」
「どうかな。でも壊してしまったものは仕方ないさ。それに……もしあのまま耐久性を見過
ごされて店頭に出てしまっていたら、実戦の最中で誰かの命を脅かしていたかもしれない。
その事を思えば、今壊れてよかったとも言える」
「……そうッスね」
 少し身に詰まされる気がした。
 自分はただあの時、彼女に一矢報いる事に集中していたが、当の彼女はあくまでこれが依
頼の中の“日常”である事を忘れていなかったのである。
(やっぱ、まだまだ俺じゃリンさん達には届かないんだなぁ……)
 性分とはいえ、ジークは内心手合わせの中でそんな狭い見方だった自分を恥じていた。
「そういやジーク。剣といえばさ」
 だがそうしていると、ふと彼女とのやり取りを耳に挟んでいたのか、団員の一人が口の中
の薄焼き肉のサンドウィッチを飲み込んでから話しかけて来た。
「お前の剣……いや刀って他じゃあまり見ないよな」
「あ。それは俺も思ってた」
「俺も。そういえばその関係の話、あんまり聞いた事ない気がするなぁ」
「う~ん? 別にそんな大したもんじゃねぇぞ?」
 言われて、ジークは傍らに置いていたその当の一品──いや六刀に手を伸ばしながらあま
り気が進まないといった感じで答えていた。
「……」
 ピクリと。リンファが無言のままジーク達を見遣っていたが、面々は気付かない。
「正直俺もこの刀が何処から来たとかは知らねぇんだよ。まだ村で修行してた時に母さんが
よかった使ってくれって言ってくれた物だからさ」
「ジークの、お袋さんが?」
「え? お前のカーチャンって俺らと同業者なのか?」
「違ぇよ。母さんは村で診療所やってる魔導医だ。刀自体は父さんが昔使ってた物らしい。
母さんからはそう聞いてる」
「……そっか」
 淡々としたジークの返答。
 だが団員らは思わず口篭り、気まずく押し黙ってしまっていた。
 アルスがミアらに語ったほどではないにせよ、彼らもまたジークが魔獣の被害によって父
を失った過去については断片的に聞いていたからだ。
「すまねぇ……。親父さんの形見だったとはな」
「……気にすんなって。魔獣にどうこうされたってのは別に珍しい話じゃねぇだろ?」
 言葉ではあっさりと許容しているかのように見えたが、その声色はやはり少なからず沈ん
でしまっていたように思えた。
 拙い事を聞いてしまった……。
 団員らはそれぞれにサンドウィッチを齧りながらも、互いに目を遣り、バツが悪そうに黙
る込んでしまう。
「……だが、私達は前に進む他ないんだ。それが喪われた者達への生き残った者なりの供養
でもある。違うか?」
 そんな皆に、奮起するように静かに声を掛けたのはそれまで黙っていたリンファだった。
 数秒ぽかんとする面々。だがその言葉の光に触れ、ややあって皆は、そしてジークもコク
リと首肯を示していた。
 頷き返し、僅かに口元に笑みを浮かべるリンファ。
「さぁ。食べて一服したら昼間の続きだ。まだ試運用すべきサンプルは残っているぞ?」
『……うッス!!』
 そして元気を取り戻して応える仲間達を見渡して、今度こそ彼女は微笑む。

 その後、昼の休憩を挟んでジーク達は残りのサンプル試運用を消化していった。
 しかし武器屋一軒分丸々を十数人でこなしたという事もあり、全ての試運用が終わり一同
が帰宅の路に就いたのは、日も傾き街が少しずつ暗さの中に埋まっていく時分だった。
「ん~……結構、地味に疲れたな」
「まぁいいんじゃね? こういう類の依頼でなきゃ、便利屋畑で思う存分武器を振るえない
だろしさ」
「だよなぁ。俺ジークとリンさんの手合わせ見てて、もっと鍛錬しないとって思ったもん」
 街の中心部からは離れた、河川敷沿いの道。
 リンファを先頭に、ジーク達団員らはわらわらとして帰路を行っていた。
 昼間は人々の営みで賑わっていた街も、この時間になると随分と落ち着きを得て徐々に夜
の静寂に備えているかのようだ。
 緩んだ集団の空気。
 だが、それらを一瞬怪訝に変えたのは……他ならぬリンファだった。
「皆。すまないが先に帰っておいてくれないか?」
「へ? 何でです?」
「……私はジークと、アルス君を迎えに行ってから帰るよ。そんなに大人数で向かうもので
もないだろう?」
「まぁ、そうッスけど」
 団員らは、少々迷っていた。いきなりの事だったからなのだろう。
「……じゃあ俺達は先に戻ってますね」
「大丈夫でしょうけど、お気をつけて~」
 それでも相手はクランのリーダー格の一人と自分達の団員の斬り込み役だ。
 そう並の盗人などでは手負いにさせる事もすらもできまい。少し間を置いたものの、彼ら
は結局承諾し、一足先に集団を作って去っていった。
 その後ろ姿を、リンファは静かな笑みと共に手を振って見送っている。
(迎え? 俺は聞いてねぇぞ?)
 だが一人残ったジークは怪訝で眉根を上げていた。
 入学式の前後ならまだしも、今はもうあいつは一人(正確にはエトナも一緒だが)で登下
校をしている。それを今日突然自分の事前通知もなく迎えにいくのは不自然だ。
 何よりも……。この道は学院とは全然違う方向にある。
(リンさん、一体何を考えてるんだ……?)
 深まった怪訝。
 ジークは、こちらへ身を動かしかけた彼女に問い詰めようとした。のだが……。
「──さて。そろそろ隠れんぼは終わりにしないか?」
 振り返る事なく、肩越しに後ろをジークの方を見遣りながらリンファが放ったその一言は
彼をその場で硬直させることになった。
「リン、さん……?」
 戸惑い。だが少なくともその言葉は自分に向けられているものではない。
 ジークは彼女がじっと向けている視線の先──自身の背後にぽつねんと点在する並木道に
ゆっくりと目を遣ってみる。
「こっちに来てからずっと私達を見ていたようだが、何が目的だい?」
 リンファは薄暗い闇の中に問うた。
 しかし、その相手とやらも様子を窺っているのか、返事はなかった。
「……そこにいるのは分かっている。ジーク達はごまかせていたようだが、そんなに綺麗に
マナを抑え込んでいては逆に不自然だぞ?」
「えっ? それって」
「いや、錬氣法じゃない。あれはあくまでマナを配分し直す為の制御術だ。……少なくとも
昼間からずっと私達をつけている君は、錬氣以外にも相応のマナの制御術を心得ている人物
という事になる。違うかな?」
 言うと、リンファはスッと目を細めた。
 静かに手が腰に下がった長太刀に添えられる。
 落ちつつある陽の光が、僅かに抜いた刀をキラリと音もなく一瞬光らせた。
「……出てこないつもりか。なら、その並木ごと君を斬り伏せてしまうが、いいのかい?」
 彼女の眼は本気だった。
 ザワッと込めてみせた錬氣のマナが身体中から滾り始める。
(リンさん……? な、何て殺気だよ……)
 いつも落ち着いている筈の彼女が、静かにだが間違いなく殺気を込めて怒っている……。
 ジークは自分達を尾行して(つけて)きた誰かよりも、傍らのこの同族の先輩女剣士の底
力の方がよほど恐ろしく思えた。
 気休めかもしれないが、ジークも遅れてようやく身構え、腰の刀達を抜き放てるように両
手を添え握る。
「……」
 すると、ようやく相手が動きを見せた。
 ガサリと音がする。二人の背後にあった並木の一つから、薄闇に紛れて人影が姿を現す。
「お前は……?」
「訊いても意味はないと思うぞ。こんな状況で正直に答えるとは思えない」
 二人は身構えた。ジークは問うが、当人の反応よりも早くリンファはそれを遮り、既に太
刀を半ば抜きかけようとしている状態だった。
 無言のままの人影。
 だがやがて空の星明りの光がゆっくりと動くと、その姿が露わになる。
「…………」
 そこに立っていたのは。
 長いスカーフを首に巻いた、一人の金髪の青年だった。

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  2. ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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