日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(企画)とある画像の即興描写

【注】先日、物書き仲間さん達と練習で書いた、「一個の画像からシーンを描写してみる」練習
   の産物×2です。本文は追記部分からどうぞ↓



◆①:本棚を背にして照れる眼鏡女子

 暇を持て余して何となく図書室に来てみたら、見知った顔があった。
 クラスの女子だ。名前は……江田? 幸田? はっきりは覚えていないけど。
 少なくとも俺の中ではお堅い系というイメージで通っている。実際、風紀委員に所属して
いる筈だ。今までも何度か、ツレと一緒に説教を食らったことがある。……思い返してちょ
っとムカっとする。
 どうやら向こうはこちらに気付いていないようだ。彼女は本棚の一角に陣取り、黙々と喰
らい付くようにして本を読んでいた。
 先に言っておく。だから俺は悪くない。
 ただ何となく気になっただけだ。あの堅物が何を好きこのんで立ち読みをしているのか?
 参考書の類なら、そもそもテーブル席で堂々と開いてそうなものだし……。
「……。うん?」
「ッ?!」
 その数秒後だった。
 俺がこっそり、何となく声も掛けずに近付いてその本の中身を覗き込み、思わず怪訝の声
を漏らした直後、彼女はもの凄い速さで飛び退き、本棚との間に手にしていた本を隠してし
まったのである。
「ふ、不二君!?」
「……よ、よう」
 顔が真っ赤になっていた。いつも沈着冷静なあいつがここまで取り乱すなんて。
「な、何で」
「え? いや……何か珍しく熱心に読んでたからさ? 何なんだろうって気になって」
「~~ッ!」
 信じられない! 次の瞬間、彼女の叫びがこだましていた。
 だが当然、ここは図書室な訳で。
 視線が突き刺さる。俺達二人に、テーブルスペースの先輩・後輩・同級生らによる無言の
非難が飛んでくる。
「お、おいおい。落ち着けよ」
「こっ……これが落ち着いていられますかっ!」
 ずいっと。皆に苦笑してみせていた俺の胸元を、こいつはいきなり掴んできた。
 震えている手。眼鏡の向こうで涙目になっている存外に綺麗な瞳。
「……見たの?」
 俺はすぐには答えられなかった。だが躊躇った態度が、全てを物語っていた。

 ありゃ何だったんだ?
 裸の男と男が絡み合って──。


◆②:桜咲き誇る丘の上で(座る少女を黒猫が見てる)

「あ、おい! 待てってば!」
 優介は思わず駆け出した。黒い仔猫はこちらの都合などお構いなしに走り去っていく。
(何だよ……つれないな)
 下校中、通りすがりの空き地に、これみよがしにと鎮座していた段ボールの中の黒い仔猫。
薄汚れており不憫だなと思った優介は、後先も考えずにこの子の前までやって来ていた。
 ご主人様はどうしたんだ? やっぱり捨てられたのか?
 そう、そっと手を差し伸べようとしたのに、ひょいっと逃げられた。この伸ばした腕を伝
って道の向こうに出、茂みの中に入っていってしまったのだ。
 そこで諦めればよかったのだが、何だか悔しかった。
 何だか仔猫にすらも、世界中からもそっぽを向かれたようで、意地になっていたのだ。
 学園生活のスタート早々、躓いて──。
 初日だ、まだまだ慌てる時間じゃないと言ってしまえばそれまでだ。
 でも優介は内心、胸を締め付けられる想いだった。
 中学の頃だってそうだった。いや、もっと以前の日々も。
 自分は、自分から友達を作ろうとしなかったから……何年も何度も、いつも独りで過ごし
てきたんじゃないか。
「──っと、んん??」
 がさごそ。道ですらない茂みや路地の隙間を追いかけ、優介は気付けばはたと広い場所に
出ていた。
 坂の上……らしい。
 そこは急勾配の眼下にこの町の姿を臨む、桜咲き誇る場所だった。
(こいつは、綺麗だな……)
 思わず優介は、暫くその場に佇む。すぐそこに、さっきの黒猫がこちらの苦労も知らずに
ぺろぺろと毛づくろいをしていたにも拘わらず。
「……?」
 だから、最初は見間違いではないかとさえ思った。
 先客がいたのだ。階段を挟む石垣の縁。そこにちょこんと、一人の女の子が座っている。
 ゆっくりと。優介は自分が彼女に見惚れていることに気付いた。それだけ目の前の彼女が
今この光景と見事なまでに溶け込んでいたからだ。
 さらりと流れる髪は、淡い金。纏う制服は真新しいのか白く──偶然にも自分が着ている
それと同じ学校(もの)。
 滑らかな白だった。はらはらと風が吹く度に舞い散る花弁に、その柔肌は何一つ抵抗する
ことなく撫でられ、尚も何一つ色艶を損わない。
 見惚れていた。
 只々ぼうっと。優介はきょとんとしている黒猫と共に、石垣の向こうにいる彼女を見つめ
続ける。
「……ふふっ」
 だから、最初は哂われたと思ったのだ。いきなりやって来て、まじまじとこちらを見てく
る不審な男子学生の劣情を。
 なのに、優しかった。
 そっと肩越しに振り返る彼女は、その金糸のような長髪を靡かせて微笑(わら)いながら
そう間違いなくこちらを見つめると言ったのである。
「──おかえり、ユースケ。……随分と待たせてくれたじゃない?」


後記:①=23分、②=25分。結局設定時間もオーバーするわ、肝心の描写部分が後手後手だわ\(^q^)/
    それでも句読点や倒置法の多用(仲間さん談)といった、自分では自覚の薄かった癖が判明したりと
     実りある一時になったのではと思いますφ(・_・;)<リハビリせんとね


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  1. 2014/12/09(火) 01:30:00|
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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