日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-Ⅴ〔55〕

 自室のベッドで、アルスはそれこそ深く沈み込むかのように眠っていた。
 二段ベッドの下、普段は兄・ジークが寝ている場所。
 相棒たるエトナは勿論、仲間達は皆この部屋にわらわらと集まり、そんな彼の寝姿を心配
そうに見守っている。
「過労、ですね」
 医務担当の侍従がやがてそうぽつりと言い、皆に向き直った。
 その傍らには使用済みの注射器と、空になった栄養剤のパック、医術道具がいくつか。
「おそらくこれまで積み重なった心労が、今回の帰還という一区切りを切欠に限界を迎えて
しまわれたのでしょう。リンファ様とエトナさんの話を聞くに、倒れられたのはご学友との
導話の直後だったそうですし、緊張の糸がその安堵感でもって切れてしまったのではと」
「そっか……。あいつも、無理してたんだな」
「うぅ。私の馬鹿馬鹿! ずっと傍にいたのに何で気付かないのよぉ!」
 ざわめき。
 連絡を受けてリオ達と共に戻って来たジークもそう深く眉根を寄せて呟き、エトナに至っ
ては、ひた隠す相棒の内心を察し切れなかったことに彼女なりの後悔を吐き出している。
「ていうか! 何でジークは平気な訳?! 大都(バベルロート)で大変な目に遭った……
滅茶苦茶戦っていたのは同じなのにさ」
「あ~……。そりゃあまぁ、アルスと違って冒険者(プロ)だからな。鍛えてる分がある。
それに俺、接続(コネクト)使ってぶっ倒れてたからなあ。他の誰よりも長く寝てただろ?
多分回復って意味じゃ、それで賄えてたんじゃねーか?」
「むぅ……」
 ばつが悪そうに、ガシガシと後ろ髪を掻いてジーク。さりとてあながち嘘でも間違いでも
ないのはエトナも重々理解しているところであり、彼女も只々唇を結ぶしかない。
「でもまぁ、落ち着いたみたいでよかった。ぶっ倒れたって聞いた時は流石に冷や汗がだら
だらしたもんだが」
「そうね。まだ暫くは安静に、ゆっくり眠らせてあげる必要があるのでしょうけど」
 ダンとイセルナを筆頭に、団員や侍従達はここに来てようやく一息をつくことができたの
だった。アルスはまだ目を覚まさない。だが医務の侍従の話では、命に別状があるという訳
ではないとのこと。
 今はそっとしておいてあげることだ。……ここ暫くが、あまりにも煩過ぎた。
「休息が必要、ということだな。アルス様も、私達も」
 深く息をつき、リンファがごちた。場の一同も大きく首肯する。
 足を止める。さりとて彼らの纏う雰囲気は“真面目”だ。
「……」
 そんな空気を、リオは一人、少々遠巻きな位置から黙して眺めている。
「と、なると、当面の公務の予定は全てキャンセルしなければなりませんね……。皆さん、
時間はすっかり遅くなっていますが、連絡の取れる先方には至急この旨を。くれぐれも外部
には漏れることのないようにお願いします」
 はい! 次いでイヨの指示を受け、侍従達がその場から動き出した。
 日はとうに暮れている。だが状況が確定した以上、早く動くに越した事はない。
「あとは陛下とコーダス様ですね。私が直にお伝えします。きっとご心配なさるのだろうけ
れど……」
「そうだな。実の息子だ、宿から飛んでくるかもしれない。だが陛下達が動けば、それだけ
で周囲は敏感に察するだろう。できるだけ連絡の時点で、事を大きくしないよう進言するの
がベストか」
「そうかもしれんが……。時間の問題だと思うぞ? 良くも悪くも有名になっちまったから
なあ。昼間もあちこち記者が張り付いていたろーが」
「僕もダンに賛成。オブラートに包むにしても、メディア向けに多少の発表をした方が弊害
は出難くなると思う」
 イヨとリンファ、ダンやシフォン、クランの幹部達。
 早速彼女達は、今後の対応をどうするのか話し合いを始めていた。それとなく覗き込んで
いた部屋から離れつつ、廊下に出つつ。そんなさまを室内のジークやエトナ、或いはミアと
いった尚も見守ろうと留まった面子が言葉少なく見遣る。
(分かっちゃいるが、あんまりいい気はしねぇな……)
 団員達(みな)のではない。きっとこれから起こるであろう、周囲──外野の人々がみせ
るリアクションの数々にだ。
 メディアはこぞって弟のダウンを記事にするだろう。心配ですとのたまいつつ、そのどれ
だけがあいつを自分達の飯の種にすることか。
(……英雄、ねえ)
 犠牲。暗がりの向こうからの無数の眼。
 当のアルスは相変わらず深く寝入り、辺りはすっかり夜闇の色に塗り替えられている。
 ジークはぼんやりと、今日から何日かは、何処か別のソファででも寝起きしないといけな
いなぁなどと思った。


 Tale-55.団員達(かぞく)の帰還と廻る歯車(後編)

 気付いた時、僕はそこにいて、見ていた。
 決して広くない部屋の中に所狭しと本棚に本が並んでおり、それでも足りないと言わんば
かりに床のあちこちにも積み上げられている。
 見覚えがあった。これは村(サンフェルノ)の、僕の部屋だ。そしてその窓際の机で黙々
と魔導書を読み込んでいる小さな男の子は……他ならぬ幼い頃の僕自身だと知る。
 そうだ。あの頃僕は、魔導を学び始めていた。
 村の周りに広がる森とそこに住む精霊達(みんな)──何よりのちに持ち霊となってくれ
たエトナ。僕の視えていたセカイが、嘘っぱちの偽物じゃないだって分かった事もあって、
凄く嬉しかったのを覚えている。リュカ先生にも、たくさん手ほどきを受けた。
 でも……それだけじゃない。
 理由はもっと深くて大きなところ。僕たち兄弟の、忘れられない記憶。
 だから寝食すら惜しむことも珍しくなかった。少しでも、少しでも早く力を手に入れなけ
ればと自分を追い込んでいたのかもしれない。
『もう、無茶をして……』
 倒れていた。当時小さな子供でしかなかった僕はそう長くはもたずに体調を崩し、苦笑を
零す母の膝の上で撫でられるがままになっていた。
『勉強熱心なのは母さんとしてはありがたいけど……そのアルスが倒れちゃったら元も子も
ないでしょう?』
 なでりこ。温かい。穏やかに苦笑する母さんの手は、とても優しかった。
 ごめんなさい。思っていたのに中々口には出なくって、ただ頭は膝の上。そんな僕を、同
じく当時まだ幼かった兄さんがちょっとむくれた様子で覗いている。
『……ごめんなさい』
 ぽつり。絞り出すように僕は言う。
 それは無茶をして倒れたことだけじゃない。子供ながらに知っていたからだ。
 母さんはいつも優しく微笑(わら)ってくれる。だけど僕らは知っているんだ。
 忘れている訳がない。あの日、村の人達がたくさん傷付いた。
 哀しくない訳がない。あの日、父さんがいなくなった。
 きっと心の中では泣いていた筈だ。きっと毎日のように哀しんでいた筈だ。子供心にでも
二人はとても仲睦まじかった。優しい両親だった。……それを僕らが、あの日引き裂いてし
まったんだ。
(守れなかった。死なせたんだ。僕らの、僕の、せいで)
 だから学び始めた。僕はリュカ先生から魔導を、兄さんはクラウスさんから剣を。
 何処かでもう元には戻らないのだと解っていても、ただ泣き暮らすのは嫌だった。せめて
同じ悲しみを背負う誰かを、救いたい。生み出さないようにしたい。
 父さん、マーロウおじさん、自警団の皆。それが僕ら兄弟にとっての贖罪になる筈だと信
じていたから。
 マモレナカッタ。僕の我が侭で、思慮に欠けた行動で、皆……皆。
『分かっているならいいわ。ジークは強い子、貴方は賢い子。どっちも私の誇りよ。だから
貴方達には幸せになって欲しいの』
 今度は傍にいた兄さんも一緒に。母さんはふわっと僕らを抱き寄せて囁く。温かい感触が
全身を包み、意識がまたゆっくりと眠りの中に落ちていく。
『だから……今はゆっくりお休みなさい』
 弱く頷く。分かってる。だけど、多分そうすぐには変われないんだろうな。
 実際未来の僕は、迷惑を掛けてばっかりだよ。足りない力なのにしゃしゃり出て……皆を
何度も巻き込んできたんだ。
 だけどね? 取り戻せたものも、あるんだよ?
 母さん。僕らはこの前、貴女が誰よりも愛した人を──。

「母さ……」
 アルスはゆっくりと手を伸ばしていた。
 僅かな月明かりの下、誰かが自分を覗き込むような格好になっている。
 懐かしい気分だった。優しい、温かい何か……。
「ッ!?」
 しかし次の瞬間、その誰かはにわかに全身を緊張させて身じろいだようにみえた。
 ぼやっとした視界が少しずつクリアになっていく。
 全身を包んでいるのは、柔らかいタオルケットとマットレス。どうやら自分はベッドで眠
っていたらしい。
 あれ? 何で寝てるんだっけ?
 そうだ。あの時僕は急に目の前が暗くなって倒れてしまって、それで……。
「ア、アルス……?」
 はたと我に返る。傍らに居てくれたのはミアだった。
 先程こそ何故か身じろいでいた彼女だったが、気付けばもうそれはなく、おずおずっと心
配そうにこちらを覗き込んで来ている。
 アルスは二度三度目を瞬き、ようやく理解が追いついてきた。
 そうか。自分はあの後、介抱されたのか……。
「大丈夫?」
「……はい。まだだるさはありますけど、平気です。皆さんには心配を、掛けたみたいで」
「ううん、そんなこと。当然の事をしたまでだから。ちょっと待って」
 言ってミアは少しごそごそと、何やら傍らに置かれた小さな台を探っていた。
 そうして差し出されたのは蒸しタオル。アルスは受け取り、彼女に支えられながら軽く背
を起こし、ごしごしと顔を拭いた。外はもうすっかり暗くなっている。差してくる月明かり
だけがこの部屋の灯りだ。耳を澄ませば、見張りをしてくれているのか、ひそひそと団員ら
の控え目な会話が聞こえてくる。頭上を見た。相棒(エトナ)が、宙に座ったままうとうと
と舟を漕いでいる。
「喉渇いてない? 水、要る?」
「あ、ありがとうございます。貰います」
 あくまで物静かに、ミアの続いての訊ねにアルスは小さく頷いた。蒸しタオルを返し、代
わりにボトルから注がれたお冷を一つ、受け取る。ただの水の筈だ。だけどどれくらいか分
からないほど眠っていた自分にしてみれば、実に潤う気分がする。
「侍従のお医者さんの話では、過労、だって」
 それからアルスは、ミアから自分の身に何が起こったのかを聞いた。
 曰く心労の末のダウン。命の別状はなく、とにかく休養が必要とのこと。既にイヨらが当
面の公務を全てキャンセルする方向で調整に入っているという。
「そうですか……。また迷惑、掛けちゃったなぁ」
「気に病む必要はない。公務なんかより、アルスの身体の方が何万倍も大事」
 あはは。アルスはつい苦笑していた。あくまで淡々と語るミアだったが、この時ばかりは
何処かむきになっている気がしたのだ。
 ちょっとばかりの、当てつけ。
 でもそれは、それだけ彼女達が自分のことを心配してくれているからこその言い方なのだ
ろうと思う。
「そういえば……この下のベッドは兄さんのなんですけど、兄さんは?」
「それも気にしなくていい。ロビーのソファにでも寝るって、本人が言ってた」
 だから、今は遠慮しないでゆっくり休んで──。
 ずいっと、少なからず言い聞かせるように彼女は言った。
 多分予想しているのだろう。自分はまた「申し訳ない」などと言うだろう、思うだろう。
そんな事はない。そうやって気を遣ってばかりだから、倒れたんだよ……?
 アルスは苦笑するしかなかった。それなりの付き合いになったからとはいえ、自分はこう
も分かり易い訳か。
 どちらにしても、迷惑を心配を、掛けてばかりなんだな……。
「……」
 蒸しタオルと、空になったコップを受け取って、ミアはそっとアルスから離れた。
 もそもそと台にそれらを置き、しかし彼女は肩越しにこちらを窺っている。アルスはぱち
くりと目を瞬いた。頭にははて? と怪訝もとい疑問符が浮かぶ。
「ねぇ、アルス。アルスのお母さんって……どんな人?」
「え?」
 かと思えば、彼女から向けられたのはそんな質問。自分の母、他ならぬシノ・スメラギの
こと。アルスは何だろうと思った。皇国(トナン)内乱の件でも大都(むこう)でも、皆々
顔を合わせる機会は何度もあった筈だ。初対面ではなかろうに。
「……優しい人、ですよ。でも正直を言うと心配です。確かに父さんは戻って来て、もう哀
しむことはなくなったけれど、皇になった今はもっと違った形で大変さの中にあると思いま
すから」
 だからアルスは答えた。先程の記憶にあった母の顔が過ぎる。彼女が何を意図して改めて
訊ねてきたのは分からないが、お見通しである以上、特に隠し立てすることもない。
「そうだね。でも……それって“悪い”こと?」
「──えっ?」
 不意に意識の隙間を突かれた心地だった。じわっと目を丸くするアルスに、ミアは真っ直
ぐにこちらに向き合い直して、言う。
「誰かの為に頑張れるって、凄いことだと思う。それが王様を務めるってことなら、尚更。
たとえその誰かの為という言葉で、自分“だけ”を磨耗させることを正当化するものでも」
「……」
 彼女の目がじっと細められていた。そうだ。これは自分に向けられている言葉だ。
 多分、怒っているのだろう。倒れるまで疲れを溜め込んだ、自分(なかま)に対して。
「その誰かに幸せになって欲しいって思うのは分かる。でもね? きっとアルスのその相手
も、貴方に幸せになって欲しいって思ってると思う。ボク達だってそうだよ。だって、家族
同然だもん。ボクに限れば、お父さんとお母さんが上手くいかなかったし」
「ミアさん……」
 くしゃ。アルスは唇を噛み締め、泣きそうになった。
 嗚呼、僕は馬鹿だ。皆を守るんだ、幸せにするんだと思い願うばかりで、その皆が自分を
どう思ってくれているのかを忘れかけていた。
 ミアさんに至っては、多分重ねている。
 以前聞いた、ダンさんの離婚話。
 彼女は、一度交わりきれなかった人達の辛さを知っているから、尚の事自分の痛みのよう
に感じるし、もどかしく思ってくれるんだ。
「僕、は」
「いい。分かってる」
 声が震えてしまっていた。なのに彼女は、何とか応答を紡ごうとする自分の唇をそっと指
先で押さえ、黙らせてしまう。
「ちょっとボクも押し付け過ぎたかもしれない。ごめん。でも……覚えておいて。気負わな
いで。貴方は一人じゃない。ボク達が、ついてる」
 それはまるで魔法のようで、彼の全身から要らぬ力を優しく解く。
 アルスは何も言えないでいた。ぐらりと、瞳が水気を帯びて揺らいでいた。
 そっと、そのまま彼は再びベッドに寝かされる。彼女の手が温かい。母のそれと、重なっ
ているような気がした。
(……ほほう?)
 再び相棒が眠りにつく。
 そうウトウトと舟を漕いでいた筈のエトナは、そんな二人のやり取りを背中越しに聞きな
がら、さりとて邪魔をする訳でもなく、ただそっと目を閉じるのだった。


(暇だなぁ……)
 アルスが倒れた翌朝、酒場『蒼染の鳥』(バー・ブルートバード)には気だるくだらりと
席に突っ伏すジークら団員達の姿があった。
 大都での事件の前も、その後も、ハロルドによって店は営業し続けている。
 だが、事件によって確実に変わったものがあった。いや、顕著になった、と言うのが正確
だろうか。
 醸し出す雰囲気が、すっかり重くなってしまっていたのである。
 ただでさえジークとアルスが一国の皇子だと判明し、地域住民(じょうれん)達が集う和
やかな場としての此処が減速し始めていた中で、加えて大都の一件だ。クラン自体も有名に
なり、仕方ない事だとはいえ、自分達の警護の為に店内もが常時緊張した毛色を孕むように
なってしまったのである。
 そうなると、流石に来ていた人間も来辛くなる訳で。
 最早この酒場は、以前のようなフランクな憩いの場ではなくなってしまった。その遠因が
他ならぬ自分にあるがために、ジークは昨日からずっと残念で、心苦しくてならなかった。
 朝食はとうに摂り終え、テーブルの上には人数の茶。
 同席のサフレとマルタ、そしてシフォンと、ジークはそんな気鬱な一時を過ごしていた。
「……おはよう」
「ん? おう、ミアか。おはようさん」
 そんな中だった。中庭──酒場の裏口を伝い、ミアが顔を出しに来た。
 ジーク達が、周りの団員達が振り向く。その表情(かお)はとても眠そうだ。無理もない
だろう。彼女は一晩中、医務官と共に付きっきりでアルスを看病していたのだから。
「アルスはどうだ? まだ寝てるか?」
「うん……。一度起きて水を飲んだけど、また寝かせてきた。迷惑を掛けてごめんなさいっ
て顔をしてたよ。念を入れて、ボク達がついてるから気負わないでって言っておいたけど」
「ああ、助かる。あいつの事だから絶対自分を責めてるだろうなぁとは思ってたよ。分かっ
てるとは思うけど、今は存分に休ませてやってくれ」
 寝惚け眼を擦りつつ、ミアはコクリと頷いていた。ジークはやっぱりなと苦笑する。
 そんな彼を横目にシフォンやサフレが「やっぱり兄弟だねぇ」「……馬鹿につける薬なん
てそうそう無いですから」とひそひそ声で話していたが、当のジーク本人は怪訝にこちらを
見返してみただけで、マルタの苦笑いなはぐらかしの前に結局知る由もなかった。
「……お父さんは?」
「副団長なら、グノーシュさんと何人かで出掛けたよ。荷馬車の護衛だ。団長はイヨさん達
と諸々の打ち合わせ中。他の面子はまぁ……大体こんな感じでばらけてる」
「リンファも昨夜言っていたけど、僕らにも休息が必要ってことでね。大体は皆オフだよ。
まぁダンなんかは、それでも落ち着かないって言って仕事取って来ちゃったんだけど」
「幸いジーク達の、皇子護衛任務やら大都(バベルロート)での一件やらで、クランの懐に
もだいぶ余裕が出来たらしい。アルス君もああだからね、さぁすぐに本業に集中──という
のも無理な話だよ」
 言って、シフォンやサフレもジークの返答に続く。
 正直言って、気が気ではなかった。いくら命に別状はないとはいえ、あれはジーク達皆々
にも衝撃であった。皆がそれぞれに思い、何かしらの後悔を覚えた筈だ。
 脆さは、実にすぐそこまで迫っていたのだ。
 むしろアルスのダウンは、その現状を皆が共有する事ができるぎりぎりのチャンスだった
のかもしれない。
「だけどなあ……ぶっちゃけ暇だぞ? 俺も副団長達と行くって言ったのに『馬鹿野郎、お
前は休んでろ』だ。シフォンの言う通り、日銭じゃねえ。俺も俺でいたかった。でも上手く
はいかないもんだな。なまじ名が知れちまって、おちおち仕事もできやしねぇ」
 残りの茶を飲み、ジークはまたくてん、とテーブルに突っ伏した。
 セカイが変わる。人の眼が変わる。
 そんなことは、とうに予想していた未来の筈だったのに……。
「……お父さんの判断は正しい。ジークもアルスと一緒で、一度ゆっくり休むべき」
「あぁ?」
「ボクは……寝る。朝ご飯を食べたら、昼くらいまで……寝る」
「お、おう」
 なのにミアはじっとこちらを見つめた後、そう妙に言い切った。
 故にジークは沸と反抗心を抱いたものだが、次の瞬間には今にも睡魔に押し負けそうな彼
女の踵を返す足取りを「おいおい、大丈夫かよ……」と見送るしかなくて──。
「ねぇねぇ、ジーク」
「うん? どうした、お前ら」
 そんな時だった。さも彼女と入れ替わるように、フェードアウトしていく彼女を慰めるよ
うにしつつ、ステラとクレア、そしてレナがこちらのテーブル席まで近付いて来た。
「暇、なんだよね?」
「ああ。俺がっつーか、大抵の面子がだが」
「じゃあさ? じゃあさ?」
 にししとニコニコ、何となく不吉な笑いを浮かべるステラとクレア。そしてそのすぐ後ろ
で、何故かレナが頬を赤く染めておどおどとしている。
「……?」
 ジークが怪訝に片眉を上げる。
 三人娘(とそれを肩越しに見送るミア)は、次の瞬間。

 まるであの事件が嘘だったかのように、見上げる空は青々と晴れ、そして汗ばむ。
 梟響の街(アウルベルツ)郊外に延びる街道、他の町村へと続く道。ダンとグノーシュ、
そして数人の団員達は、今回の依頼主たる商人の荷馬車に同乗していた。
 依頼内容は至ってスタンダードだ。この荷馬車──商人と商品の護衛である。
 車内に空けてもらったスペースに陣取り、ダン達はゴロゴロと鳴る轍の音と、揺らされる
己の身を感じながら、この午前の一時を過ごしている。
「──いやぁ。まさか“あの”ブルートバードに護衛していただけるとは。これほど心強い
味方はおりませんな!」
 一方で対する商人(いらいぬし)はと言うと、終始上機嫌だった。こちらはもっと気楽に
済ませたいのに、事あるごとに御者席から話し掛けてくる。
 それは十中八九、自分達が大都(バベルロート)から人々を救った“英雄”であるという
認識が故のことなのだろう。だが……昨夜の一件も重なって、正直鬱陶しい。
「映像器で見ておりましたよ。何でも“結社”の魔人(メア)と一対一でやり合ったとか」
「……ああ。一応な」
 忘れる訳がない。だが決して彼のように興奮して語るようなことではない。
 グノーシュは荷の奥でじっと腕を組んで俯いており、念の為にと連れて来た団員達にも辟
易の表情(かお)が見て取れる。
 ダンは荷馬車の縁から顔と半身を出し、なりゆきのままこの商人の語り相手になってやっ
ていた。腐ってもプロだ、流石に馬の操作を誤ることはしないだろうが……あんたも自分の
仕事に集中すればどうなんだ?
「それでですね? そのブルートバードご当人だからこそ訊きたい事があるんですが」
「うん?」
「人伝に聞いた話なんですが、何でもあの戦いで、統務院が“結社”の魔人(メア)を捕ま
えたらしいんですよ。実際の所……どうなんですかね? 本当だとしたら、やっぱり処刑に
なるんでしょう?」
『……』
 だからこそ、はたと一方的な言葉達の中にそれが出てきた時、ダン達は思わず無言なまま
に内心緊張していた。
 ヒトの口に戸は立てられぬという奴か。
 確かまだ、統務院は正式な発表はしていない筈だが……。
(捕まえた……ねぇ)
 幌の中の相棒と部下達を見遣り、ダンは安易な返答を控えた。
 なるほど。やはり奴らは自らの面子の為に事実を捻じ曲げようとしているらしい。
 事実病院で(あのとき)自分は見ているのだ。統務院の兵らが、大まかな治療を済ませた
その魔人(メア)──クロムを連行していく所を。
 他に捕らえたという話は聞いていない。奴らが隠していないなら、そもそも公表前に世間
に漏れ始めている状態からして、おそらく彼のことで間違いないだろう。
「これまで散々世の中を掻き回して来たんだ。当然の報いですよ。私だって、奴らの所為で
どれだけ商売に支障をきたしてきたことか……」
 ふんむ。そう商人は、やはり一方的に語って鼻息を荒くしている。ダン達は改めて暗澹と
した心地にならざるを得なかった。
 分かっている。これが“普通”の──庶民の感覚なのだろう。
 だが実際にあの苦悩する破戒僧と出会い、刃を交え、その決意を自己犠牲的に走った反転
を知っているからこそ、一同は決してこの商人に賛同することはできなかった。
 ……恐ろしい。
 予想していなかった訳ではない。事実、結社(かれら)は世界の憎まれ役だ。
 だがそれは、彼らも同じく自分達セカイにということ。連中個々人の事情まで詳しく知っ
ている訳ではないが、その憎しみの眼は本物だった。
 なのにただ、彼らを嬉々として「処刑」すべきと言ってしまえる“普通”の感性に、ダン
達はやはり寒々しいものを感じずにはいられない。やり切れない。
「一体何処にいるんでしょうねぇ? 多分牢屋だとは思うんですが。統務院(おかみ)も特
に言及している訳ではありませんし……」
「……そうだな。むしろ俺達が知りたいくらいだよ」
 えっ? 商人が一瞬怪訝な視線を向けたが、ダンは努めて視線を逸らして無視し、はぐら
かす事にした。ガタガタ、車輪が道の轍を作りながら回り続けている。いい天気だ。まるで
気鬱になった自分達を哂うかのように。
 これ以上付き合っていたらボロが出かねん……。
 そう思い、内心理由をつけて、ダンは幌の中に戻ろうとしたのだが。
「──ッ!? マーフィさん、皆さん! ぞ、賊です!」
 突如、荷馬車が急ブレーキを掛けた。御者台の方で商人が悲鳴を上げる。
 ダンとグノーシュは互いを見合わせ、両側から車外に飛び出した。同時に団員達が馬車の
中を通って御者台に渡り、数人で商人を守るように陣取る。
「か、金を出せ……!」
「飯でもいい。ありったけ、寄越せ……!」
 行く手に立ち塞がっていたのは、見るからに身なりの悪い集団だった。
 数は十四・五人といった所か。皆汚れ痩せこけ、威圧する声も弱々しい。短剣や棍棒で武
装しているとはいえ、明らかに素人だと分かる。
「ま、マーフィさん!」
「……分かってるよ」
 それでも善良な市民様には充分な脅威だ。追い込まれた精神ほど筋道立っていない凶器は
ない。ダンとグノーシュが、戦斧と幅広剣を抜き放って構えた。御者台の団員も二・三人、
一応の加勢として得物片手に降りてくる。
(やっぱ、素直に休んでりゃよかったのかねぇ……?)
 思ったが事実が変わる訳ではない。もしかしたらこの商人が手負いになる未来だって有り
得たのだから。
 内心、小さく舌打ちをする。それはどうやら相棒も同じらしい。
 ふぅ……と一度静かに深呼吸を。得物を握り締め、胸奥に湧いた情をもぎ捨てる。
「お前ら、巡り合せが悪かったな」
 悪いがこのもやもや、お前達で晴らさせて貰うぜ──?
 次の瞬間、武器を手に、ダン達は地面を蹴る。

 その実十年余りであるのに、久々に踏んだ故郷の地の懐かしさは、ややもすると何処か遠
い異国の地であるかのような錯覚に変わってしまう。
 梟響の街(アウルベルツ)から鉄道を使い、大陸の更に山間部へ。その一角にレノヴィン
一家がその多くの時間を過ごした地・陽穏の村(サンフェルノ)がある。
 妻(シノ)に車椅子を押し貰い、土の地面を。
 一歩一歩と進むコーダスとシノ夫妻の周りには、サジやユイを始めとした近衛隊士と必要
最低限に留めた侍従らが二人を固めている。
(……本当によかったのだろうか)
 今更村に戻ること、或いは昨夜緊急に入った連絡のこと。
 ミフネ侍従長からの直々の報告曰く、昨夜急に息子(アルス)が倒れたのだという。
 医務官の診断では──過労。学院の友人達と久しぶりに話した事で、緊張の糸がプツンと
切れてしまったのだとか。すぐにベッドに寝かせ、栄養剤の投与など必要な治療を行ったの
で、命に別状があるという訳ではないそうだが……。
『こちらは大丈夫です。なので、差し出がましいとは重々承知ですが、陛下とコーダス様は
先ず帰郷を果たして来てくださいませ。今は眠っておられますが、アルス様もご自身のせい
でお二人が舞い戻って来られたと知れば、己を責めなさるでしょう。そういうお方です。養
生の為にも……先ずは。お見舞いいただくのは、戻られてからでも遅くはないかと』
 導話越しにそう諌められたのはつい昨日のこと。
 コーダス自身はまだ皇という立場に実感が持てないでいて、彼女の緊張せどひたむきな言
葉に反感など起きなかったが、妻は「イヨも随分と様になってきたわねぇ」と何処か嬉しそ
うに微笑(わら)っていたのを覚えている。
 ザリザリ。車椅子の車輪が土の上を進み、同じく近衛隊と侍従の皆が踏み締める音が妙に
耳につく。
『……』
 そしてコーダス達は、目の当たりにした。
 懐かしい村の入り口で自分達を待ってくれている、村長と村の皆の姿を。
「──おかえり、コーダス。待っていたよ」
 ふっと微笑みかける。その一方で硬さの残る気配。
 理由なら分かっている。周りの皆、トナン王族という立場……だけではない。
 全てはあの日だ。マーロウら自警団の仲間達の死と、戦いの末に魔人(メア)となってし
まったこの身体。何より“結社”に囚われ、狂化霊装(ヴェルセーク)として操られていた
日々。
 皆には既に、通信の中で全てを告白(はな)してある。
 皆で迎えに来た。追い出すつもりではないと思う。だけども、自分が辿ってきたその悪運
に、彼らが戸惑わない筈はなくて。
「──ただいま。遅く、なりました」
 深く、頭を下げる。

「皆、今帰ったよ。そしてごめん……」
 何をするにも、先ず向かいたい、向かわなければならなかったのは村の共同墓地だった。
 今回の帰郷の目的を知っていることも含め、路中皆との会話は如何せん硬さが残る。
 それでも、いざマーロウ達──あの日犠牲になった村の仲間達に手を合わせる時の心は、
皆一つだった。
 花束を供えて、香を焚く。今や木の三柱円架に刻まれ名だけになった仲間(とも)らに、
じっと静かに手を合わせて項垂れる。
 隣には妻がいた。だがコーダスはむしろ車椅子から転げ落ちてでも、彼らに土下座して謝
罪したいくらいだった。
 それでも、妻はじっと堪えている。哀しみを内に秘めて。
 ……この女性(ひと)は、自分がいなかった間も、こうやって美しかったのだろうか。
「帰って、来たんだな」
 そんな時だった。コーダス達の側方からそう絞り出すような声がした。
 振り向けば、そこには相変わらず気難しそうな表情(かお)と雰囲気のクラウスの姿。手
には白い花を布で纏めた簡易の花束が握られている。
 作務衣の袖を揺らし、クラウスはその花束をそっとマーロウ達の墓前に手向けた。
 じっと、改めて一同は鎮魂の祈りを込めて、静かに手を合わせる。
「……経緯(はなし)は、侍従長とリュカから聞いている。皇国(トナン)に渡るのだな。
留まる気は、ないか」
「はい。今シノは皇です。僕に何が出来るかは分からないけど、彼女の傍にいてやりたい」
 目を遣ることもなく、コーダスは答えた。クラウスが、村の皆が無言のまま頷いている。
車椅子の取っ手を握るシノ当人も静かな苦笑だ。
 もう決めた筈のこと。でも、やはりいざ第二の故郷とも言えるこの村に足を踏み入れ、皆
に会えば……揺れる。
「その、ありがとうございました。リュカちゃん共々、ジークとアルスの師匠になってくれ
たみたいで」
「……。本当にそう思うか?」
 だからクラウスは黙して眉根を顰めた。コーダスは苦笑(わら)った。
 ピリ……。場に、主にクラウスが放つ蒼暗い陰気が漏れる。コーダスが、シノが、サジ達
が妙を感じた。思わず視線を遣る。するとクラウスは、深く静かに己が内を吐露するように
話し始めたのだった。
「私は、時々後悔する事がある。力さえ与えなければ、あの子達はもっと違った日々を送っ
ていたのではないか? もっと傷付かなくていい、未来があったのではないか」
 尤も、私でなくとも彼らなら別の誰かに教えを請うていたのだろうが……。
 それは珍しい、クラウスの悔恨だった。
 さしもの村長達も、この吐露には驚いている。無かった訳ではなかろうが、いつも過ぎる
ほど沈着冷静な彼ですら、あの兄弟の未来に憂いを感じ続けていたのだというのが。
「かも……しれません。でもそうしないことが、僕がこの身体になったこと、奴らに操られ
てしまっていたことを──結果を変えることにはきっとならなかった」
 コーダスは自嘲するように苦笑(わら)っていた。心配そうに手を伸ばしてくる妻の手を
優しく取り、そっと握り返してやる。
 寄り添ってくれる最愛の人。だからこそ彼は一度目を瞑り、されど言い切る。
「もう後悔はしません。過去は変えられませんから。自分が選んだ、選んでくれた運命を、
その選択を尊重してくれた全ての人達の為にも、僕は投げ出さず進んでいきたいんです」
「……クラウスさんが気に病む必要はないんですよ。確かにこの人が“結社”に使われてい
た魔人(メア)であったことは、必ずしも人々に歓迎されないのでしょうけれど。私はこの
人についていきます。彼の日常を、取り戻してあげたい……」
 クラウスはじっとそんな二人を見つめている。その周りで、村人達が、サジ達がめいめい
に強く頷いていた。
「そうさ……コーダスは悪くねぇ」
「そりゃあ詳しい話を聞いた時は驚きはしたが、コーダスは命懸けで俺達を村を守ってくれ
たんだ。そんな恩人を追い払えるもんか」
「まったくだ。余所の者達は違うかもしれんが……少なくとも儂らがお前を咎める事はない
ぞ。いつでも帰って来い。顔を見せてくれ。歓迎する」
「……っ」
「村長さん、皆……」
 はらり。口を半開きにしたコーダスの目から、丸粒の涙が零れていた。
 ごめん、ありがとう──。弱くか細く、それだけを絞り出すのがやっとだった。
 良かったね……? そんな彼に、妻(シノ)は寄り添う。
 互いに手を取り合い、そして周りの部下達からも「必ずやお守りします」と、胸を張った
誓いを受ける。
「……さぁ、湿っぽい話はここまでだ。今夜は飲むぞ! 皆、宴だ!」


『だだ、大丈夫ですの?!』
 イヨから「シ、シンシア様からです」と携行端末を渡された時点で嫌な予感がしたが、案
の定応答した瞬間、大音量で聞こえてきたのはそんな彼女の第一声だった。
「こらー! いきなり大声出さないでよ! 病人だって分かってるんでしょーが!」
「あはは……。もしもし、アルスです。お陰さまで何とか。まだ何日か安静にしてください
とは言われてますが」
『そうですの……。びっくりしましたわ、急に倒れただなんて聞いて……』
 大方セドさんから聞いたんだろうな。
 アルスはベッドに敷いた背もたれマットに寄り掛かりつつ、この導話の向こうの学友に苦
笑していた。
 時刻はお昼過ぎ。アルスは相変わらず自室で養生をしている。時折団員や侍従が様子を見
に来てくれてはいたが、如何せん寝っ放しなのは退屈だったのだ。声色からして酷く心配し
てくれたようだが、内心こうして連絡を寄越してくれるのはとても嬉しい。
「セドさんから、ですかね? イヨさんがあちこち導話して手を回してくれていたので」
『ええ。今朝ですわ。お父様も心配しておりましてよ? ……無茶を、し過ぎたのです』
「……そうですね」
 分かっている。気付いた時にはこんな体たらくになっていた訳だが。
 アルスは端末を耳に当てたまま、その微笑にフッと影を差した。
 自分に療養が必要になった──その旨の発表が近日中にもメディアへ為されるらしい。
 賢明な判断だと思う。ただひた隠しにして、事が意味もなく大きくなってしまうのは自分
も本意ではない。何より皆に迷惑が掛かるからだ。
 そのため、既にイヨさんやリンファさんによって、各地の仲間や盟友には先んじて第一報
が届けられている。
 ブレア先生に学院側、約束が守れそうにないよごめんねと、フィデロ君とルイス君に。何
よりも父さんと母さんにだ。
 イヨさんの機転で、慌ててこちらに舞い戻らず、先ずは村での墓参りと帰省を済ませて来
てくださいと進言したそうだが……やはりまた一つ心配を掛けてしまったのだろう。我なが
ら情けない。
「本当に……わざわざありがとうございます」
『そ、そんな。当たり前の事……ですわ』
 故に、そう導話の向こうで彼女が照れるのも、アルスの意識には届いていない。
 改めて、何処か他人事のように繰り返す。原因は過労とのこと、栄養剤も打って貰ったし
数日も寝ていれば回復するとのこと、だからそう事を荒立てなくてもいい──貴女の皆の、
それぞれの今を優先して欲しいという思いと。
「ま、大丈夫よ。昨夜だってミアが付きっきりで看てくれていたしね。あんたはそっちでお
嬢様をやってればいいわ」
『み、ミア・マーフィが!? ど、どういう事? 付きっきりなんて羨──破廉恥な!』
「……?? 言葉の通りですよ? 夜中に一度起きたんですが、その時におしぼりと水を貰
いました。流石に今は、疲れて部屋で眠っているみたいですけど」
 そ、そうじゃなくてぇ……! 導話の向こうで、シンシアは何やらのたうち煩悶している
ようだった。アルスは一度端末から耳を離し、頭に疑問符を浮かべる。その後ろでにやにや
としたり顔をしている相棒には……気付かない。
『と、とにかく……。災難でしたわね。今はゆっくり休んでくださいませ。ああでも、確か
フィスターやヴェルホークと遊びに行くという話をしていたような……?』
「ええ。そうなんですよ。夏休みに、二人の故郷に遊びに行く予定だったんですが……僕が
こうなってしまってはお流れでしょうね」
 アルスは素直に残念そうに苦笑する。自嘲する。
 そういえばあの時、次いでリンファさんが何か二人と話していたようだったけど……?

「~♪」
 時を前後して、ジークは梟響の街(アウルベルツ)の商店街を歩いていた。
 その隣にいるのは、妙に上機嫌なレナ。手に買い物篭を提げたその横顔はほんのりと朱く
染まっている。
『ねぇねぇ、ジーク。暇、なんだよね?』
 そもそもの切欠は今朝のあの時だ。ダンにもミアにも“休め”と窘められた挙句、有名税
で安易に外出する訳にもいかない自分に、ステラ達がとある頼みごとをしてきたのが始まり
だった。
『買い物に行こうよ。アルスに美味しいもの作ってあげて、元気になって貰おうと思って』
 だから最初あまり疑わなかった。あいつに元気になって欲しいのは、兄として仲間として
自分も同じ思いだったからだ。
(……なのに)
 いざ蓋を開けてみればどうだ。
 商店街に着くとステラもクレアも、手分けして材料を買おうと言い出して何処かに行って
しまうし、にも拘らず残されたレナはほくほくと自分の隣を歩いている。
 案の定、皆の視線はあった。皇子だからの、彼女を連れているからだの、その「好奇」の
理由は色々あるのだろうけど。
 だが侍従達が何も文句を言ってこなかったという事は……近くに護衛役がいるのだろう。
 リンさんか、或いは。
 気配を探ってみれば四方に数人、妥当な数だろう。今日は大人しく目くじらを立てず、ゆ
ったりとオフを過ごした方が無難であるらしい。
「にしても……俺でよかったのか? 料理ならハロルドさんとか、もっと詳しい面子もいる
たろうに」
「それは……。皇国(トナン)の内乱の後、ジークさんと中々会えなかったから。それに加
えて大都(バベルロート)じゃ、あんな危ない目にも遭って……私……」
「……」
 だから何気なく振ったその質問の答えが返ってきて、ジークの頭の中は一瞬眩しい光を受
けたかのように真っ白になる。
「そっか……」
 はにかんだ彼女の表情。先程から上機嫌であった意味。
 自身の首筋をポリポリと掻きながら、ジークは小っ恥ずかしくなってつい視線が逸れる。
 あの旅で得たもの、失ったもの。
 それだけではなかったのだ。置いて来たもの──傍に在った筈のものも、在った。
「ごめんな、勝手な真似して。確かにお前らのことなんて、放ったらかしだった」
「そ、そんな。頭を上げてください。仕方のないことです。私の、我が侭じゃないですか」
 歩きながら、でもジーク頭を垂れて謝った。するとレナは、その性格からかつい恐縮して
しまい、結果暫く二人はお互いに謝り合う格好になる。
「……まぁあれだ。どちらにしろいい気分転換だよ。何処かに出掛けようがギルドに行こう
が、俺一人じゃ周りの眼が鬱陶し過ぎるからなぁ。お前らがついて来てくれてそれも多少な
りとは和らいでる」
「そ、そうですか?」
「ああ。もう以前みたいな暮らしは無理だろうからなぁ。なまじ有名になっちまったもんだ
からやりにくいよ。アルスが寝込──疲れるのも分かるな。あいつ、こんなプレッシャーの
中でずっと公務と学生を行ったり来たりしてたんだな」
 そうですね……。レナは握った手同士を揉み揉みし、静かに目を細めていた。
 一見、これまでと変わらないように見える街の息遣い。しかしその中には今も、隙間を縫
うようにして自分達を「特別」に見てくる者達の視線が在る。
「俺も近い将来、アルスみたいに公務に出なきゃいけなくなるのかねぇ……? 性に合う気
がまるでしねぇんだが」
 ジークは苦笑いしながらごちた。
 それはともかく、先ず自分が望むのはイヨさんに頼んでいる“アレ”だが……。
「ま、いずれ“結社”の連中もまた動き出す筈だ。そこからが正念場だな」
「……」
 だからつい内々の思考が勝り、そんな言葉が衝いて出てしまった。
 言って数拍。ハッと我に返って隣を見ると、しょんぼりとしたレナの顔。
「あああ! 悪い、悪かった! もうクランを離れたりはしねぇから! と、とにかく買い
物を済ましちまうぜ? なっ?」
 ジークは慌てて、そんな連れの彼女を宥め始める。

「……ふむふむ。いい感じね。ま、元の女子力(スペック)が高いんだからあとは押してく
度胸だけの話ではあったんだけど」
 そうした二人の様子を、ステラとクレアは遠くの物陰から観察していた。
 周りの通行人がちらちらと目を遣るが関わりもしない中、二人の少女は満足げに何度も頷
いている。
「最初の計画(よてい)とは随分違っちゃったけど、結果オーライだね。ミアもミアでばっ
ちりポイント稼いだみたいだし」
 それは言わずもがな、アルスの突然のダウンのことだ。
 当初ステラ達は別の名目をつけてジークとレナ、アルスとミアを二人きりの外出──事実
上のデートに誘導するつもりだった。
 とにかく、アピールが足りない。
 恥ずかしいと頬を染めて引け腰になるのは分からなくもないけれど、先日も言い含めたよ
うにチャンスはそう多くはないのだ。まだ(表面上)穏やかなこの一時にこそ、より親密に
なれるよう、魅力を押していくべきなのだと思う。
「それにしても……意外だったなあ。まさかリンファさん達が協力してくれるなんて」
 なので、現在順調なさまを確認してから、二人は自身らの背後を。そこには何気なく、気
配を消して待機しているリンファの姿があった。
 ステラにとっては、思わぬ計算外だった。
 てっきり警備の都合上、彼女はそう、ホイホイと皇子達(ふたり)の外出を歓迎するとは
思っていなかったのだが……。
「確かにね。でもこれでも合理的な判断のつもりだよ? 現状、リオ様が統務院に爵位の返
還を請求していない以上、ジーク様とアルス様は確実に陛下の跡目を継ぐお方だ。となれば
その伴侶も必要だろう? 何せ女傑族(アマゾネス)──女性に力がある民だからね。これ
は個人的な考えかもしれないが、もしそうだとしてお二人が誰かを選ぶのであれば、何処の
馬の骨とも知らぬ相手よりは、まだ仲間内の女性を選んでいただけた方が安心だ。少なくと
も彼女とは付き合いも長い。少々控え目過ぎるきらいはあるが、信頼できる娘(こ)だよ」
 故に二人に、リンファはそう微笑みをみせて言った。なるほど……。二人はコクコクと何
度も頷いている。
 尤も最大の問題はジーク(とアルス)当人にその気があるかどうか、だが。
「しかしステラ。いいのかい? これは恋敵(ライバル)に塩を送る行為だと思うんだが」
「ああ……そのことなら」
 すると今度はリンファがステラに訊ねてきた。想いなどとうに見透かされている、その上
で、多分同じ女性として。
 黒味がかった銀髪が揺れる。ステラは、フッと静かに自嘲(わら)っていた。
「……だって、私は魔人(メア)だから。もしジークが傍に居ていいよって言ってくれても
魔人(メア)は子供を産めない。この身体になった時、お腹の中もとうに別物になっちゃっ
てるから。リンファさんの言うように世継ぎが必要になるなら、私は不適格だよ。王妃には
なれない。だから応援するの。幸か不幸か、親友が自分と同じ人を好きになった。応援する
しか……ないじゃない」
「ステラ……」
 無理に笑っているんだと解った。故に友(クレア)は居た堪れない気持ちになった。
 しかしリンファはじっとそんな彼女を見つめている。だがややあって、彼女はフッと神妙
に結んでいたその唇と表情を解く。
「そうかそうか。まさかと思ったが、やはりステラもジーク様を好いていたのだな」
「え……?」
 ポカンとするステラ当人、及びクレア。
 だが程なくして彼女達は悟った。それは彼女なりの確認で、返ってくるであろう理由に慰
みを与える為の布石だったのだと。
「……わ、分かってて協力してくれたんじゃないんですか!?」
「うん? どうだったかな。協力するとは言ったが」
「リンファさ~ん?!」
 ばたばた。ステラがにわかに顔を真っ赤にして、リンファの身体にその両拳をぶつけ始め
ていた。当のリンファは微笑(わら)っている。ステラが涙目になっている。急な展開に、
クレアが「わわっ……! あんまり大きな声出したらバレちゃうよ~!」と二人を止めよう
とするが、ままならない。
 一方で向こうのジークとレナは、いい雰囲気で買い物(デート)を続けていた。
 顔見知りの商人と出会うと「アルスの労をねぎらって、何か美味いもんでも食わせてやり
たくてな」とのオブラートな説明。商人もその心意気に賛同し、通常よりも多めにサービス
してくれる。
「武官長」
「ああ。後は任せたよ」
 そして、ステラの反撃が一通り収まったのを見計らって、別の物陰から侍従の兵と思しき
何人かがリンファ達の前に姿をみせた。
「? 何処かに行かれるんですか?」
「ああ。ちょっと別件がね」
 交代するように部下達に尾行(げんば)を任せ、問われる声。
 リンファは去り際に答えると、そう真面目に優しく微笑んだ。

「──?」
 その時、ハロルドはとある店の中にいた。
 先日ジーク達が訪れた甘味処である。和風──トナン等の風土に近しいそれに統一された
店内では、今日もまったりと菓子を摘まみながら談笑する客達が方々の席を埋め、穏やかな
賑わいをみせている。
「どうした?」
「……。いや、何でもない」
 ハロルドはそんな店内の奥にある、宴会用の座敷席にいた。周りは木製の壁と襖で囲まれ
ており、外の物音が遠く感じられることから存外その気密性は高いらしい。
 案内された部屋は貸切状態だった。既に対座するもう一人──リオを除きこの場には他に
誰もいない。一瞬、ハロルドは遠くに感じ取った既視感に店の外の方を見遣ったが、すぐに
荒立てては元も子もないと思い直し、改めてリオの対面に着く。
「しかし珍しいな。まさかお前からコンタクトを取ってくるとは思わなかった。ハロルド・
エルリッシュ。ブルートバードの参謀役……」
 二人きりで話がある。そう突然精霊を介して伝えたというのに、当のリオは至極落ち着き
払っていた。
 ……いや、元々こういう性格か。
 眼鏡のブリッジを押さえ、ハロルドはその第一声には応えずに終わる。
 座敷部屋の中はしんと静かだった。店舗が建ち並ぶ通りの一角にあるとは思えない。
「それで? 何故俺を訪ねてきた? 一人ということはクランではなく、お前個人の懸案だ
と解釈するが」
「……」
 ハロルドは尚、無言のまま目を伏せていた。改めて深く静かに呼吸を整える。
 余分な世間話は要らない。彼も好まないだろう。ただ本題をぶつける、それだけだ。
「団員達から聞いた。昨日貴方はジーク達に“色”を臭わせる話をしたそうだね? 今のま
までは、次“結社”と戦った時、必ず大きな犠牲を払うことになる。足りないものがある。
自分はその正体を知っている……と」
 切り出した。応えなかった。大人数が座れる筈の木のテーブルには、茶の一つもない。
 暫しの沈黙が横たわっていた。リオの細めた目、ハロルドの窺う眼が交差する。
「……やはりそうか。クラン内で“使える”のは“紅猫”とお前だけのようだが、どうやら
ちゃんと“知って”いるのはお前一人だけらしい」
 ふぅ。ようやくの吐息、呼吸。言ってリオはまたこの元神官を見た。
 この場を自ら作った胆力、眼鏡の奥にある瞳。そこに見え隠れしているのは……。
「ああ、そうだ。貴方の言うそれと私の予測するそれが同じであるなら、私は予め貴方に強
く言っておかなければならない」
 そしてハロルドが応え、動いたその所作に……リオは静かに目を見開いた。
 頭を垂らされていた。両手をテーブルの上に広げて踏ん張り、彼はぐぐっとその頭をこち
らに下げて懇願してきたのである。
「──娘(レナ)には絶対に教えないでくれ。ただ、それだけの頼みだ」


『何だよ、宴やってんのか? くっそ。なら今日出なきゃ良かったじゃんかよ~』
「痺れを切らしたのは貴方でしょう? 大体、毎日のように飲んでるじゃない……」
 受話筒を耳と肩の間に抱え、イセルナは苦笑していた。
 導話の向こうでは、無事依頼主と荷馬車ごと目的の街に着き、現地で一晩の宿を取ってい
るダンの、そんな悔しそうな微笑ましい声が聞こえてくる。
 二人は暫し、何度かやり取りをしてから通話を切った。
 今日一日の進捗、何よりも道中での商人が話していたという“結社”の魔人(メア)──
十中八九クロムに対する憎悪、その萌芽が既に顕れ始めているのではないか? という点。
 酒場の受話筒を下ろし、イセルナは一人静かにため息をついていた。
 カウンター越しの向こう、貸切状態の現在。そこには車椅子に座ったアルスと、彼を囲ん
でご馳走の数々を並べてみせているジーク以下仲間達の姿がある。
「じゃあ、帰還祝いとアルスの回復を願って……乾杯!」
『乾杯~!』
 皆々お互いに合わせたグラス。今夜はクランの酒場を貸切にした宴だった。
 ジークの音頭で始まるそれ。一日遅れの帰還祝いと、倒れたアルスに早く元気になって貰
おうと皆で丹精込めた料理の数々を。
 そんな心遣いにアルスは静かにはにかんでいた。中空のエトナと、車椅子の取っ手を握る
ミアから自分の分のグラス(但し酒ではなくジュースだ)を受け取り、控え目にその輪の中
に交じる。場にはフィデロとルイスもいた。何でも昼間、リンファがわざわざ下宿先まで赴
いて招待してくれたのだという。そしてイセルナもやがてフッと頬を緩め、肩にブルートを
連れると、その中に加わっていく。
「……どう? 基本さっぱりめに仕上げたつもりだけど」
「はい。凄く美味しいです。僕の為に……。本当、ありがとうございました」
「そんな。気にしなくていいんですよ? その、私達も得るものはありましたし……」
「そうそう、仲間だからね。気兼ねして無理に食べたりもしなくていいからね? それなら
それで、私達で楽しむから」
「……ったく。導話の後にぶっ倒れてたって聞いた時はどうなるかと思ったんだぜ? まぁ
思ったよりピンピンしてて安心したよ。今日は呼んでくれてありがとな?」
 だからこそ、今宵は代替だとアルスは思っていた。
 一日遅れの帰還祝いと、自身の回復願い、そしてきっと……お流れになるであろう友人達
との夏休み。
 宴は、楽しい時間はあっという間に進んでいく。料理も皆で次々に消化し、酒場内には暫
くぶりの笑い声が満ちた。アルスは微笑む。中身が少なくなってきたグラスをくるくると弄
びながら、今はただこの一時を愛そうと思う。
「あの~……皆さん。少しよろしいでしょうか?」
 そんな時だった。気付けば皆の輪の正面にイヨが乗り出し、リンファもそれに続く格好で
寄り添おうとしている。
 兄達が「何だ?」と彼女達を見遣っていた。
 だが気のせいだろうか。ふと見れば、同じ反応であろう筈の友人二人が、不思議と神妙な
様子になっているようにもみえる。
「実はここで一つ、皆さんにお話があります。他でもない、アルス様の今後についてです」
「これは侍従衆やイセルナ達と話し合ったことなんだがな……。当面、アルス様の公務全般
をキャンセルしようと思う」
 ジーク達が互いの顔を見合わせた。だがそれは彼が倒れた時から予想はついていた筈で、
ざわめきそれ自体は程なくして皆々の中から退いていく。
「そりゃあ仕方ねえさ。俺達も分かってる。でも、別にここで言うことじゃ──」
「いえ。この場だからこそ、言わなければならないんですよ」
 珍しくあたふたとしないイヨの微笑みに、兄(ジーク)の片眉が上がった。
 その視線が、ちらりとこちらを見遣ってくる。アルスもまた、何のつもりだろうと頭に疑
問符であった。
「公務は当面キャンセル致します。ですがその代わり、アルス様にはたっぷりとご静養を取
っていただこうと考えています。そう──清峰の町(エバンス)で」
「っ!?」
 故に理解した。次の瞬間、イヨが言葉の続きを口にした時、アルスは宴の途中に彼女達が
割って入ったの理由も、フィデロとルイスがこの場に招待された理由も、理解した。
 彼女達は伝えたかったのだ。
 精一杯の、彼女達から自分へのプレゼントを……。
「イセルナさんには既にお話し済みです。フィスター君とヴェルホーク君にも先日導話し、
今日の昼間リンが直接お家に赴いて趣旨を説明して来ました」
「アルス様が二人と夏休みを過ごされる話は以前よりあったからね。ならばちょうどいいと
思ったんだ。約束も果たせる、親しくしている学友らの案内なら私達も心配は減る。なので
昼間、正式に二人に打診したんだ。二人とも、快く引き受けてくれたよ」
「──」
 揺らぐ両の目。ゆっくりと親友二人の方を見ると、アルスは彼らから満面の笑みのサムズ
アップと、静かな微笑による頷きを得た。
 ごくりと息を呑む。わさわさと、膝の上で両手を揉む。
「ま、そういう訳だ。ちょっぴりのサプライズって奴さ」
「勿論、アルス君がオッケーと言ってくれるなら、だけどね?」
 イセルナや兄、クランの仲間達。
 イヨにリンファ、侍従の皆。
 そして何より、そう言って手を伸ばしてくるかのような我が友ら。
「……うんっ、勿論だよ。ありがとう! 皆、本当にありがとう!」
 はらり、涙が伝う。兄がフィデロが相棒が、笑いながら小突いてくる。仲間達が、そんな
自分を優しく取り囲んでくれている。
「ありがとう……」
 呟くような声。
 この日の夜、アルスは久しぶりに心の底から笑えたような気がした。

スポンサーサイト



  1. 2014/09/12(金) 00:00:00|
  2. ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<(企画)週刊三題「怪物」 | ホーム | (雑記)きっと誰かのディストピア>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://higurasisouann.blog27.fc2.com/tb.php/497-55d0bf63
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止します。

訪問者累計

最新記事

最新発言

検索窓

月別履歴

07 | 2020/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

分類/索引

【案内板】 (2)
【小説:短編】 (20)
本の蟲 (1)
硝子野不動産店 (1)
夏の日の幻影 (1)
四番線の彼女 (1)
夢視の宿 (1)
線を曳く町 (1)
炬燵の神様 (1)
三者三盗噺 (1)
色眼鏡 (1)
奴らは攻城戦師 (1)
詰め替える (1)
同じ籠の狢 (1)
二十年後の遺言 (1)
轍の先 (1)
水に流せば (1)
真夜中の御二柱 (1)
いつか見た夢 (1)
神様達の初詣 (1)
白い花束 (1)
丸の代償 (1)
【小説:長編】 (205)
Amethyst League (6)
アンティーク・ノート (3)
ユウキのヒカリ (5)
NIGHT GUNNERS (5)
レディ・ルーン-Bonds of RU'MEL- (6)
ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle- (116)
死に損いのデッドレス (5)
Dear SORCERY (4)
サハラ・セレクタブル (55)
【企画処】 (510)
週刊三題 (500)
その他参加物 (10)
【資料庫】 (2)
【落書帳】 (2)
【詩歌帳】 (9)
【雑記帳】 (419)
【読書棚】 (32)
【遊戯倉】 (25)
path. (4)
decide: (3)
ユー録FW(凍結中) (17)

記事録

交友関係

このブログをリンクに追加する

(RSSリンク)

(QRコード)

QR

Tweets by long_month