日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)書籍は何処へゆく

暫くぶりに本屋巡りをしてきました。こんにちは、長月です。
やっぱり本屋ってのはいいですね。ずらりと並んだ活字の山。そこにおもむろに手を伸ばし
てパッと開いてみる。或いは色んなネーミングの作品、絵が並ぶそれらを眺めているだけで
も色々と刺激されるものがあります。何というか、興奮します。
結局財布の中が心許ないので、最近の出版状況を見て回っただけだったのですが……;
また時間を作って出向くことにしよう。そう思いました。


という訳で、今回は本屋と出版を巡る雑感を一つザッとしたためていこうかと思います。
今回暫くぶりに本屋を梯子し、観て回って思ったのは、何より映像化(アニメも当然含む)
されたりメディアに取り上げられた作品の(陳列的数量な)強さでした。
商売上、アニメやドラマの原作になったりして話題になった作品が大量に陳列されるのは当
然のことだとは思うのですが、正直言ってその分他のそうではない書籍が何処となく押し遣
られてしまっているように見えたのがちょっぴりやるせなかったですね。
かといってこうした傾向は、今に始まった事ではないのでしょう。
売れ筋は売れるが、そういったニーズの無いもの(教材などは別として)は日陰者になって
しまいがち──皆さんも多少は耳にした事のあるであろう本屋の事情です。
本屋巡りを楽しむ一人として、僕はむしろそういうこっそりと潜んでいる掘り出し物を見つ
けるのが地味に面白かったりする(そして周りより安い事も少なくない)のですが……。

活字離れ、というフレーズが叫ばれて割合久しい昨今。
僕を含めた文字書きさんは多くいれど、果たしてその供給に対して、僕ら読者はどれだけ応
えられているのだろうか? 実際問題供給過多・一極偏重になっていないだろうか……?
勿論、強いられて読んでも面白くないのは分かっています。
だけど一つの大きな流れの中に減ってきたとされる読者層(とミーハーな新参層?)がドッ
と流れ込んでいく──そしてその他の書籍には皆目もくれない──という構図は、どうも僕
には“本来の読書”だとは思えないのですよね……。
古臭いとは重々承知ではありますが、そもそも本と読者というのはもっと互いに自分の意思
で辿り着くものだと思っています。そこには確かに当たり外れはありますが、そうした出会
いと時に運任せな蓄積を楽しむのが──そもそも長いスパンの中でのインプットというのが
──読書という行為なのだと思うのです。
なのでそんな古風な頭でいる所為か、話題の○○だから飛びついておこうという感じで手に
取る姿というのは未だに「う~ん……?」と首をひねる事が多々あります。
分かってはいるつもりです。書店も商売なのですから売れるものは売って利益にしたいと考
えるのは当然でしょうし(僕自身もどんなものかと目を通してみる事はしますしね)。
一言で纏めれば、読書──書籍の世界というものが、今ではすっかりビジネス色に染まって
いるのだなぁという感慨……とでも言うべきなのでしょうかね。
売れなくてもそこにあるだけで何だかワクワクする。そんな一種の“緩い余裕”よりも如何
に売るかという経営戦略的な色合いが前面に出ているかのような……。

そうした流れは「電子書籍」に於いても然りです。
そもそも書籍の世界にも電子化の波がやって来たのは、たた単純にこういう技術ができまし
たよというだけでなく、新しい媒体としての出版というビジネスモデルが一緒にやって来た
という側面もあるのではないでしょうか。即ち如何に(活字離れな昨今の人々に)本を売る
かという商売目的の下に。
ただこういったデジタルデバイスの導入という段階になると、どうしても既存の出版業界は
ややもすると対立軸として見てしまいがちです(テレビvsネットのようなイメージですね)
勿論、上手くor試行錯誤として取り込もうとしている業界の方達もいるのでしょうけど。
でも僕は、比較的こういう流れには無理に抵抗はしないつもりでいます。
それは自分がネットを多用する一人であるからというのではなく、むしろこうした技術を上
手く利用していけば、現状「埋もれて」いる「やがて消え去ってしまう」本達を後世に残し
ていく事ができるのでは?と考えるからです。
ただ単にアナクロvsデジタルという構図は……不毛だと思うのです。
どちらにも長短はある。お互いに補い合えばいい。製本はどんなに保存しても何れは時の流
れと共に劣化しまいますし、デジタルだけでもデータが飛んでしまえば御釈迦です。
歴史的価値のある文書などでは流石に問題が違うかもしれませんが、そこに刻まれたものを
留めてゆくという目的に於いては、デジタル化との併用は決して「邪道」ではないと思うの
です。紙だ否電子だと対立している間に多くの人々の残した文章が埋没し、消えていってし
まうのであれば、僕ならそれがたとえ製本という形でなくともバックアップしない手は無い
と思うのです。
データがきちんと整備されていれば、実物の本が好きだというのなら、その人々のニーズに
応じて再び製本し直せばいい(そもそも今現在の現実、手原稿ってどれだけあるのやら)。
紙媒体である事に拘り過ぎて誰にも手に取られず、静かに消え去ってしまうよりもその方が
本達にとっても“生き残る”事ができますし、手に取られる確率があれば多少なりとも報わ
れる筈ですから……。

とはいっても、かく言う自分も実物としての本の方が好きな口ではあります。
(僕自身も物書きをする時はすっかりデジタルの側で作業してしまっていますし……)
紙媒体だけでは限界がある。だけどデータという触れられぬ電子記号の羅列の中に閉じ込め
られただけの存在にもなって欲しくはない──。一介の物書きとしての、ゆらゆら定まり切
らない親心?みたいなものなのでしょうかね(苦笑)
ただこれから書籍の世界がどうなっていこうとも、やっぱり形あるものとしての本は残って
いって欲しいなぁとは思います。何一つ残らずに電子(データ)の海の中……というのも寂
しい気がしますから……。積み上げた本の山というのも、また乙なものなのですよ^^

季節は夏真っ盛り。そしてその先は読書の秋。
暑い昼間は涼しい場所でのんびりと、穏やかな環境の下でじっくりと。
貴方も“自分の意思”で出会った活字達と、知層を重ねる出会いをしてみませんか?

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  1. 2011/07/26(火) 23:00:00|
  2. 【雑記帳】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<(雑記)言いたい事も…… | ホーム | (雑記)闇は人で。光も人で。>>

コメント

おはようございます。


上記、一件反論ありです。

ミーハー層や新参層がドラマやアニメの影響で本を買う様子を"「本来の読書」ではない"とされていますが、やはり彼らのしてることは間違いなく読書であり、"読書"は我々読書家のみで独占するべき言葉ではないと考えます。
無意味に排他的であるべきではないです。

また、ドラマやアニメは本と対立するばかりのものではなく、本という媒体に興味をひかせるきっかけとなっている面もあるでしょう。

枝葉の話になりますが、最近の1クール限りの深夜アニメ等は、尺の都合で原作の序盤しかアニメ化できず、幸か不幸か原作への呼び水となっていると思います。
その結果、たとえ一部であっても多くの人の目に触れる本が生まれるというのは、悪いことではないと考えます。
みんな仲良く枯れるよりは、せめて一部でも盛り上がって欲しいものです。

誰しも最初は新参、その中から新しい読書仲間が生まれるのを楽しみ待ちましょう。


・・・さてと。
金ないならブックワンいってみ。
最近、50円コーナーができたぞー。
  1. 2011/07/27(水) 06:58:37 |
  2. URL |
  3. 大垣 #kqamdlew
  4. [ 編集 ]

>大垣
おぉう? レスポンスが来てるΣ(・д・)
そうですね……確かにああいう書き方は排他的だと取られても仕方ないのかもしれません。
多分、僕個人がそういった層に怪訝を抱いているのでしょう。
(どうせ逸り廃りに飛びついてるだけじゃないの?とか、そういった釣られた読者に対する、自身との
 妙な一方的な距離感とでもいうべきもの? 奇麗事だよ高慢だよと哂われるであろう感覚でしょうが……)

でも本にとっての報いとは、どんな動機であれ「手に取って貰える事」である筈で……。
そこに手前勝手な線引きをしてしまうのは確かに排他的なのだろうなぁと、レスを頂いて
自戒をしている所です(区別化ヨクナイ
うーん……。どうにも性格が悪いのは中々治らないようで;
ご指摘、ありがとうございます。

──あと、ブックワンにも行きましたよ(本屋を梯子したので)
ただえいやと買い求めるまでに至らなかったってだけです。
  1. 2011/07/27(水) 20:23:35 |
  2. URL |
  3. 長月 #oOZ748FU
  4. [ 編集 ]

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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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