日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(企画)週刊三題「サボと僕」

──これから毎週、小説を書こうぜ?

毎週一回、ツイッタの「診断メーカー」で出たお題で小説を書いてみるという
自己鍛錬、 それがこの『週刊三題』であります。
さてさて。紡がれる文章は良分か悪文か、或いは怪文か?
とある物書きの拙文晒し、此処に在り。

【今週のお題:音楽、サボテン、主従】


 その日、雅道はある出会いを果たした。
 引越しの搬入が済んで、程なくしての出来事だった。仕事の都合から、以前のアパートを
引き払い、より近場なアパートへと移る引越し作業。段ボール箱しこたまの荷物は業者に部
屋の中まで運んで貰ったので、後は細々としたものを整理するだけでいい。
「ふぅ……」
 持ち込んだ家具以外はがらんとした新居内、部屋の隅に寄せられたダンボール箱の山。
 ぐっと背伸びをした後、雅道は何となくベランダに出ていた。周囲の市街地が眼下に映る
以外は変哲もない、ごく普通の眺めだ。
「……?」
 そんな中でふと気付く。お隣さんに近い壁(隔て板)の際に、ちょこんと小さな植木鉢が
一つ置かれていたのだ。
 ぱちくり。目を瞬きながら近付き、腰を下ろす。
 カリッカリになってしまっていたが、見てみるにそれはサボテンであるらしかった。
(前の人が忘れていったんだろうか……?)
 暫しこれを見つめて雅道は思う。だが前の住人の情報など知る由もなく、仮に分かったと
しても届けてあげるような義理も何もあるまない。
「……コップ。いや、計量カップ、何処だったけ……」
 何となくだった。思えば別にゴミとして捨ててもよかった筈なのに、雅道はこの時何を思
ったのかこのサボテンを助けようと──それこそ漠然と思ったのである。
 のそりと起き上がって踵を返し、部屋の中に戻ってダンボールの中の荷物を探る。
 計量カップ(もくてきのしな)は程なくして見つかった。それを片手に、先刻使えるよう
になったばかりの蛇口を捻ってなみなみと水を注ぐ。
 やることは決まっていた。後は、零さないように気持ち忍び足になりつつベランダへと戻
っていき、カリッカリのこのサボテンに埋まっている土に、たっぷりとこれを掛けてやる。
『──っき』
「き?」
『キタぁぁぁぁぁ──ッ!!』
「ッ!? ……!?」
 だから、驚かない訳はなかった。
 たっぷりと注いだ水が染み込んで数拍、そこに在ったのは、
『……ふぁ~、生き返ったあ。よう、ありがとな! 助かったぜ!』
 そうやけに人間臭く喋る、目と口と両手のついたサボテンで。


『おかえりー』
「ただいま。水、足りてる?」
『おう、大丈夫だよ。この通りピンピンしてらぁ』
 それからというもの、この物言うサボテンと雅道の奇妙な同居が始まった。
 曰く、彼(?)の名前はサボというらしい。
 棘が体毛のように生えたその身体、顔と思しき部分には丸二つと矩形が一つ、それらは陰
が出来るほどに凹んでおり、妙に味のある表情を作っている。
 最初こそ驚いたものだが、三日もすれば雅道も慣れっこになった。
 確かに妙ちくりん、奇想天外ではある。だけど……街に来てからずっと一人で黙々と日々
の稼ぎに勤しんでいた彼にとって、サボは良き話し相手となってくれた。家族同然になって
いった。
 ……まぁ尤も、むしろ喋り過ぎて鬱陶しい時も、なくはなかったのだが。

『サボはさ、何で喋れるの? もしかしてそういう種類だったりするの?』
『俺に聞くなよ。気付いたら俺だったんだ。……それとも何か? サボテンが喋っちゃいけ
ねぇ決まりでもあんのか?』
『いや。ないと……思うけど……』

 訊いてみたいことはそれこそ、出会ったその時から、塵埃のようにどさりとあった。
 何故サボテンが人語を理解し操れるのか? そんなファンタジーなことがあり得るのか?
 この事を前の住人は知っていたのだろうか? もしや知っていて、気味が悪いともでも思
ったから敢えて置き去りにしていったんじゃないのか?
 自分は……あの時水をやって“助けよう”などと思わず、さっさと捨ててしまえばよかっ
たのではないか?
 だが、実際にはそうはしていない。できそうにない。
 なまじ相手はもう復活を果たし、こうすっかり他愛の無いお喋りを交わすほどになってい
る訳で。いわばヒトみたいなものだ。そんな彼を簡単にモノとして捨ててしまえるほど、自
分は冷徹な人間ではない。
『どうしたよ? また職場でいびられたか?』
「……そうじゃないよ。そりゃあ疲れない訳はないんだろうけどさ」
 くねんくねん。緑の身体を左右に揺らすように動かし、サボが言う。
 雅道は苦笑(わら)った。傍からみれば奇怪に映る光景なのだろうが、これがいざ面と向
かって過ごしていると不思議なもので、妙に愛嬌があるように感じられる。
 鞄をベッドの上に置き、雅道は大きく人心地をついた。時間帯は日没。今日も今日とて後
は夕食を摂り、風呂に入って寝るだけ──いつもの日常である。
(あれ、確かちゃんと持って来てた筈だけど……)
 バイトの帰り道に、コンビニで買ってきた大盛りサンドウィッチを夕食代わりに平らげな
がら、ぼうっと雅道は記憶を辿った。
 くねんくねん。収納棚の上の方を見上げるその視線に、サボも一緒になって倣う。
「んしょっと……。あ、あったあった」
 彼が見上げる視線を背に受け、足踏み台を使いながら棚の中を弄ること暫し。
 雅道は思っていたそれを見つけることができた。落さないように、慎重に荷物の中から引
っ張り出し、床に降りてそのケースの蓋に手を掛ける。
『おっ? これって』
「うん。ギター。久しぶりに弾こうかなって」
 サンドウィッチの包装ゴミを捨てるやら、ベランダに置きっ放しだった洗濯物を取り込む
やらしてしっかり外の窓を閉めると、雅道は改めてそれを手に取った。
 素朴な木造の、フォークギター。
 あぐらを組んだ格好で構える。ケースに入っていたので埃や痛みは心配なさそうだ。
『マサミチにそんな趣味があったとはな。それもエレキじゃなくフォークとはね』
「父さんのお下がりなんだよ。中学生くらいだったかな? 周りが音楽をやり始めてさ。僕
もってせがんだら、一本譲ってくれたんだ」
『なーるほど。世代を感じるねえ』
「それはよく言われた。でも、僕はエレキよりこっちの音(ほう)が好きだな」
 くすっと笑い、されど次の瞬間には目を細めて真剣な表情になる。
 仕事に就いて以来、のんびりと弾く機会はめっきり減った筈だ。なのにいざこうして手に
取ってみると身体が馴染んでくるのが分かる。上手い下手じゃない。雅道は気分と感覚が導
くまま、流れるようにその弦を弾いていく。
『……ほう?』
 くねん、くねん、くねくね。サボがゆたりと身体を揺らしてリズムを取りながら、そんな
雅道の演奏を暫し聴いていた。
 穏やかな時間が流れる。終いには雅道自身、好きな歌のフレーズをも口ずさみ始めた。
『へえ。思ったより上手いじゃねぇか』
「……そうかな? 恥ずかしいな」
 ポロン。最後に弾いた音の余韻が消えるのを待って、サボが言った。そこでようやく雅道
も気分が乗り過ぎていた自分に気付き、ばつが悪そうに苦笑いを零している。
 完全に同居人だった。
 心がそこにある限り、姿形など問うことすら忘れていた。
『でも、まだまだ技術は磨けるぜ。よければ俺が色々教えてやろうか? 前の人間のことは
一度枯れかけて一緒に何処かにいっちまったみたいだけど、それ以外なら思い出せそうな気
がする。何つーかこう、ソウルが疼くものがあるんだよ』
「へ、へえ」
 彼に音楽の造詣があるとは思いもしなかった。確かにいつも何かにつけて全身でリズムは
取っているけれど。
 だがそれよりも雅道は気になった、興味深く思った。
 ソウルが疼く。随分と人間臭い台詞を吐くじゃないか。いやそれより、自分のギターなん
かで彼が欠けていた記憶や心を取り戻せるなら……嬉しいなと思った。
「じゃあ、お願いしようかな。よろしく、サボ師匠」
『師匠か……。はは、そりゃいいねえ。よし、俺の覚えてる限りのことを教えてやる。一緒
にソウルを鳴らそうぜ!』
 くねんくねん。
 相変わらず表情は窪んだ丸二つの眼と矩形の口だが、彼はとても嬉しそうにみえた。


 毎日ではないが、それからは暇を見つけては雅道とサボはセッションをして過ごした。
 尤も演奏するのは専ら雅道のギターであって、サボはくねくね踊っているだけだったが。
 それでも知識面では、サボは存外に詳しかった。
 おそらく前の住人も音楽を、自分以上に嗜んでいたのだろう。或いはストリートで弾くよ
うなこともやっていたのかもしれない。
 流石に枯れかけていた間の記憶、情報はなかったが、それでもこちらがタイムリーな音楽
事情を持ってきてやると、相棒(サボ)は瞬く間にそれを吸収・昇華した。楽しくてしょう
がないといったさまが容易に見て取れた。それだけで、雅道も何だか楽しかった。
 ポロン、ポロリン。その夜もまた別の夜も、アパートの片隅でセッションが続く。

 ──だから最初、雅道の脳裏に過ぎったのは「拙い」「調子に乗り過ぎた」であった。
 何だか外が騒がしい。サボもそれに気付いたようで、二人はセッションを止めて、互いに
顔を見合わせるとべランドの方へと進んでいく目を向ける。
『あっ』
 いた。何だろうと雅道がベランダに出て外を、眼下を見下ろしてみると、そこにはいつの
間にか見知らぬ人達が集まってこちらを見上げていたのだ。
 声が重なる。何だ、この人達?
 だがそんな雅道の疑問符も束の間のことだった。階下の道端から、この集団の一人がこち
らに向かって話しかけてくる。
「あのー。今夜はもうおしまいなんですか?」
「? おしまい?」
「はい。貴方、時々弾き語りしてるじゃないですか」
「私たち、それを聴く為にこうして集まってるんですよー」
「え……」
 雅道は殆ど言葉にならないような声で、そう喉を詰まらせていた。
 目が驚愕でまん丸になる。一方で階下の集団──どうやら本当に自分の為のギャラリーら
しい──は期待の眼差しでこちらを見上げている。
 つまり外に今までずっと、外に漏れていた訳か。
 苦情が先に来なくて良かった……などと呑気なことを言っている場合ではない。雅道は手
に握ったままのギターを握り締めて、恥じた。
(参ったな……。そういうつもりはなかったのに……)
 予想の遥か斜め上の反響と、それを素直に喜べない、染み付いた小市民な根性と。
『──うん?』
 更に数奇なるものは重なる。ベランダから見下ろし立ち尽くしていた雅道の耳にも、ふと
玄関のチャイムが鳴らされるのが聞こえたのだ。
 部屋の片隅にいるサボもくねん? と身体を向けてその方向を見ている。
 雅道はにわかに緊張した。まさか……いや多分、苦情が来たんじゃないか?
 すみません。今夜はこれでお開きにさせてください──。迷惑だから来ないで、とまでは
強く言い出せず、それでも辛うじてそれだけは告げてギャラリーな人々には解散して貰い、
心なし不安そうなに見送るサボの寄越してくる視線を背に受けながら、雅道は急ぎ玄関の方
へと向かう。
「どうもこんばんは。夜分すみません。須藤雅道さんのお宅で、間違いありませんか?」
 扉の向こうに立っていたのは、恰幅の良いスーツ姿の男性だった。
 おべんちゃらか? いつものようにチェーンロックだけは外さずに半開きなだけにして、
雅道は少なからず警戒体勢のままで応じる。
「……ええ、自分ですが。新聞はウェブ版を取ってるので必要ないですよ。商品を買うにも
そう懐に余裕がある訳じゃないですし、宗教なら心配して貰わなくても結構です」
「いえいえ。そういうのではなく……。私、こういう者と申します」
 敢えて追い返すような口振りをしてみせたが、相手はそんなもの慣れっこのようで、次の
タイミングにはそう言って一枚、半ドア越しから紙切れを差し出してきた。
 受け取ってしまう。名刺だった。
 そこに印刷された文言を読んでみるに“サンシャインミュージック・梶広司”──。
「……えーっと?」
「噂はかねがねお聞きしています。先程も聴かせてもらいましたよ。いやあ、いい音色だ。
ホッとする、だけども心の奥がじんわり熱くなっていくメロディです」
 名刺の通りであれば梶と名乗るこの男が、そう言ってべた褒めをしてくる。
 言わずもがな、サボとのセッションのことだろう。彼もあのギャラリーの中にいたのか。
まさか、とは思うが……。
「単刀直入に申し上げます。須藤さん、貴方プロデビューしてみませんか? 勿論色々心配
はあるでしょうし、過不足ある部分もあります。そこは我々も最大限バックアップ致します
ので──」
「ちょ、ちょっと待ってください。で、デビュー!? 僕が? 冗談でしょう?」
「冗談でわざわざお宅までお邪魔はしませんよ。こちらは至極本気の、ビジネスとして今回
お話を持ち込ませていただいたのです。どうでしょう? 考えてみてくださいませんか」
 ぎゅっ。思わずチェーンロックを握った手に力が入る。
 嬉しさ? いや戸惑いだ。こんなこと、おいそれとある訳が──。
「……確かにいきなり答えろというのは酷でしたね。すみません。今回は先ずご挨拶に、と
いうことで。また伺わせていただきます。何かありましたらその名刺の番号に連絡を……」
 そんな内心はとうに想定内、お見通しだったのか、梶はフッと静かに笑みを浮かるとそう
言った。被っていた唾広帽子を軽く持ち上げて挨拶とし、そのまま悠々とした足取りで部屋
の前を後にしていってしまう。
『マ、マサミチ』
 サボも狼狽えていた。部屋の中からおずおずとこちらに声を掛けようとしている。
「……」
 嗚呼、何でこんなに……。
 後ろ手に扉を閉め、雅道はその場で大きくため息をついていた。


「──お疲れさまでした~」
 搬入作業が終わり、雅道は玄関先で業者のお兄さん達を見送った。
 振り返ってドアを閉める、鍵を閉める。
 見つめた先にはがらんどうの、持ち込んだ家具だけがセッティングされた部屋。片隅に寄
せられた、細々とした私物を詰め込んだ段ボール箱の山。
 そしてちょこんとその傍でこちらを見ている、物言うサボテン・サボ。
「ふぅ……」
 人心地をつき、雅道はぐっと背を伸ばすストレッチをしながら部屋の中へと進んだ。
 こん。三方を囲む白い壁を叩いてみる。分厚そうだ。前のアパートは合板だけだったっぽ
いので感触からして違う。防音を施した部屋──此処ならもうあんな事にはなるまい。
『なぁ、マサミチ』
 なのに対するサボは曇り顔だ。尤も表情は相変わらずのデフォルメで、それと分かるのは
他ならぬ声色がそんな気色を帯びているからなのだが。
『……本当に、これで良かったのか?』
「うん。良かったんだよ、これで」
 これでもう何度目のやり取りになるか。だが雅道は、彼の心情が解っているからこそ、嫌
な顔一つせずに答えていた。
 段ボールの中の荷物の整理を始めている。
 肩越しに振り向いたその表情は穏やかで優しく、何処か清々しい。
 ──持ちかけられたデビュー話は、丁重に断った。あの夜の後、何度もサボと話し合い、
自分の気持ちと向き合って決めたことだ。思い立ったが云々、後腐れになるのは面倒だとそ
の翌日には名刺の連絡先、梶の携帯に電話を入れ、その旨を伝えたのだった。
 プロになるつもりはない。
 だけど一度混雑した関係は、その返答だけで消えてなくなる筈もなく。
 結局雅道は、そう多くはない貯金をやりくりして資金を溜めた今日この日、サボと出会っ
たあそことはまた別のアパートに移り住むことにしたのである。
 セッション、自分達ののんびりとした一時が、周囲に迷惑になりかねない。
 直接誰それから文句をぶつけられた訳ではなかった。だがそれも、いずれは時間の問題に
なったであろう。
 騒音にしろ、あんなギャラリーが事ある毎にアパートの傍に集まられる事にしろ。
 ならばと思い切って地縁をリセットし、尚且つ音楽を楽しんでも迷惑にならない防音な造
りの此処を選んだのである。
「そりゃあ、プロデビューした方が今よりもたくさん稼げたかもしれないけどね。でもああ
いう仕事って極端でしょ? 売れなきゃとことん貧乏だもの。それを思えば、たとえ見習い
期間中でもレストランの従業員をやっていた方がよっぽど普通(あんてい)じゃない?」
『そういうもんかね。お前って変わってるよなぁ』
「……そうかな?」
 包んでいた新聞紙から食器を取り出し、棚の中に収めていく。サボはそれをちらちらと目
で追ってそう呟いていたが、雅道は苦笑の態をみせるだけで憤ることもしない。
『そうだよ。俺は滅多にお前以外の人間と会わない──あってもお前がダチを呼んで来る時
くらいだけど、何つーかがっつかないなってのは思うぜ? ラッキーだろうが。ビッグにな
れる話が向こうからやって来たんだぞ』
「うん。そう、それなんだよ」
『? それって何さ』
 そういえばそこはまだ打ち明けて(はなして)いなかったっけか。
 雅道はゆっくりとはなったが、作業の手を止めることはなく続ける。
「ラッキーってこと。運が良かったなーって。思い返してみればさ、僕ってこれまで結構な
割合で“なりゆきに任せて”きたんだよなあって。進学も親の面子と意向だったし、今の職
場も、キャンパスで仲良くなった先輩が誘ってくれたのが切欠なんだ」
『……』
「だからあの話が来た後、思ったんだ。このままじゃ僕は、また流される。相対的に観れば
ラッキーなんだから受ければいいじゃないかって思われるかもしれないけど、何というか、
そうやって美味しい話がある度に飛びついていちゃ、それまでに僕に良くしてくれた人達を
“上書き保存”するみたいじゃない。それって、本当に正しいことなのかなぁって……」
 くねくねと身体を揺らしていたサボが、止まっていた。それだけこちらの話を聞いて思う
所があったのだろう。
 雅道はフッと笑った。
 彼に微笑むように、そして何処かで、こんな小市民な自分をこっそり哂うように。
「だから、そんな気持ちもあって、断ったんだ。後悔はしてない。ちゃんと自分で考えて決
められるんだって、分かったから」
『……そっか。だったらいい。お前の人生だ、お前自身が決めることだもんな』
 うん。雅道は笑う。尤も直後「やっぱお前はヘンテコだよなぁ……」とサボが心地良い苦
笑いを零すのが聞こえたのだが。
「──」
 新居での生活が始まる。
 だけど結局、雅道は気恥ずかしくて最後のワンフレーズを続けられなかった。

“大体、歌手になって大勢の前で歌うよりも、僕はサボ(きみ)と面白可笑しく暮らしてい
ける方が幸せだと思うんだよ”
                                      (了)

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  1. 2014/06/16(月) 00:00:00|
  2. 週刊三題
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自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
します。

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