日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)絆が瑕(きず)に為る前に

早いもので、今年も八月になりました。
来週の三題を片付けたら、ぼちぼちユー録の続きに掛かろうかなと思っています。

まだまだ暑さは続くようですが、経験的に夏が終わった後の季節(秋→冬→年越し)の早さ
は妙に加速がつくような気がするんですよねぇ……。
まだまだ創り足りないのになぁ。まだまだ全然成長できてないのになぁ_(:3 」∠)_

先月の連載更新後から今日までの近況ですが、三題をこなしつつ、同時に積んでいた小説や
PCゲームを消化していました(まぁ言うほど数は無いんですけども)。
……いいものですね。モノであれヒトであれ「他」に触れるというのは。
日頃、我欲を屁理屈で捏ね回している自分にはいい薬です。意識的に外部からのインプット
を加えなければ、やはり自分という人間は視界狭窄に陥りそうな気がします。

尤も世の中には本当に“色んな意見”があって、それこそ一々気にしていたら身がもたず、
実際それらがために壊れていく人々も少なくない。
だから別に自分の「我」を遠慮するこたぁないんだ──他者の要請を後追いした創作など、
結局は「それ以上」を資するものには成りえない──と思う。でも一方で、そう決めた自分
がまた何処かで誰かを傷付けるなら、結局同じ構図ではないか……? とも思う。

ぐるり回って世界は繋がる輪っかのよう。言うなれば「お互い様」?
酸いも甘いも。……やはりそう、奇麗なままにはいかないんだなぁ(´・ω・`)


『週刊誌の作り方を知ってるかい?』
『強きをけなし弱きをわらう。勝者のアラさがしで庶民の嫉妬心をやわらげ、敗者の弱点を
 ついて大衆にささやかな優越感を与える。これが日本人の快感原則に一番合うんだな』
『卑しい国民だ』
(機動警察パトレイバー より)

既に大きく報道されご存知かと思いますが、山口県のとある集落で住民五人が殺害・放火さ
れるという事件が起きました。犯人である同集落の男性は事件のあと付近の山に潜伏してい
たようですが、後日警察によって発見・逮捕されました。報道でも、両者の間には以前より
トラブルがあったらしく……。

とまぁ、仰々しい前置きはさておいて。
僕は実の所、その犯人確保のテレビニュースが流れている──正確にはインタビューを受け
た住民が『捕まって安心した』とテンプレに、さも自分達が無辜の善人であるかのような振
る舞いをしていることに、久しぶりに吐き気を催す邪悪を感じたんですよね……。
何故かというのも、既にこれもまた出回っている情報なのですが、どうやらこの犯人男性は
以前からこの集落の住民達より村八分&苛めを受けていたそうなのです。ですからこの事件
に関しては、テンプレな「何か危ない人が暴れました」的なものではなく……。
(男性への同情があまり)ネット上で詳らかにされている情報には少なからず誇張があるも
やもしれませんが、僕個人、この事件は集落住民らも言ってしまえば自業自得だなと思って
いたりします。勿論、殺人は殺人であって、男性には然るべき司法の処置に服して貰いたい
とも思っていますが……。

今回の雑記は、いや今回もやはり、少なからず私怨が雑じることをお許しください。
思うのです。嗚呼、横溝正史的なムラは今も残っているんだなぁと。
僕自身、関西のとある田舎町出身なので共通する部分があるのですが、やはり田舎というの
は閉鎖的なのです。……いや「足りない」と表現すべきなのでしょうかね。
交通や買い物といった設備(インフラ)は勿論ですが、何よりも“娯楽”なのです。
日々の糧となり愉しみとなる──捌け口となる気軽・身近な存在が、田舎と呼ばれる地域に
は総じて不足していると、僕は経験的に知っているつもりです。

だから……自然と必然と田舎の人々にとってのそれは「他人」になりがちです。
やれ何処そこの誰々さんはがめついとか、誰それさんの息子さん○○大学なんですってー、
とか。僕の感性からすると、何でそこまで全くの他人に関心を向けられるんだろう?と長く
不思議で堪らなかったのですが。
とにかく知りたがるですよね。その癖、こちらが聞かれると警戒心を胸に掻き抱いて笑顔を
取り繕う……(これもまた、幼い頃の僕にヒトへの不信を築かせた一因であったりします)

「集落が発展していないという環境」
   ↓
「(好き嫌いに関わらず)他人と協力しなければ成り立たない日常」
   ↓
「だからその他人、他家が気になる(尚の事、恵まれた相手が気に入らない)」
   ↓
「いわゆる田舎的な粘着質の人間関係(どかすか上がり込む。お節介)」
   ↓
「新代の感性を持つ者達=若者はそれが嫌で(後は主に金銭的な理由で)出ていく」
   ↓
「人=需要が少ないことにより、益々集落が発展しない」
   ↓
(以下繰り返し)

悪循環、なのですよね。
満たされない環境だから余計に低俗な(敢えてこの言い方をします)捌け口で解消しようと
する。それを嫌って満たされぬ環境に逃げる若者だっていように、その貧困さに自覚のない
・反省のない住民というのは得てしてそうした「出奔者」にさえ攻撃的になる。そして益々
限られた者達だけで「閉じて」しまい、悪しきセカイを何度も何度も塗り固めていく……。
しばしばメディアでは「孤独死」が取り上げられます。
そこには縁(よすが)を無くした故に死んだんだ、とでもいうような表現がされています。
しかし……当時もそうでしたが、僕はこの手の報道には酷く不満だったのを覚えています。
ムラ社会を捨てたのは、他ならぬ自分達ではなかったのか? あの粘着質な──そこに残る
限り確実に続くその要らぬ距離感を嫌って、より恵まれたくて、都市という新たなセカイを
造り出してきたのではないのか? 僕から言わせれば、件の男性が「出戻り」の方であると
いう情報を加えるにせよ、彼はその「縁が有るが故に」狂わなければならなかったのです。
だから……僕は吐き気を催す邪悪を、久しぶりにみたのでしょう。
一度「自由」を選んだ、その責任を放棄して過去に戻ることを美化しようとする試みに。
いくら殺された者が出たからとはいえ、絆を謳いながら簡単に切り捨てる、その態度に。

……とはいえ、残念ながらこれらはもう単に「田舎」だけの問題ではなくなってきています。
今までの雑記などで僕は何度も話してきました。──怨憎です。
ネットの普及も相まって、今では街たるかの如何に関わらず、人は昔よりもずっと簡単にそ
うした黒い吐露を駆使することができるようになりました。
「○○さんって私嫌いなのよね」と誰かが零せば、「○○はけしからん奴だ」と徐々に明確
で執拗な敵意となって練り上がり、時に集落の同胞を、時に全く別の地に住む他人を、時に
公人(に準ずる人物)にさえもその口撃を向けていくさま。

──これだから、博愛的に謳われる「絆」なんてのは信用ならない。
むしろもっと確かにあるのは「柵(しがらみ)」の方じゃないのか……?

ずっと捻くれていた一昔も、今ですらも、そんなさまを観る度に僕もまた、そんな怨嗟を零
さずにはいられなくなります。実際こうして文面に叩き付けています。
……その一滴を“散布”しさえしなければ、各々の中で浄水することを怠らなかったら、僕
らの世界はもっと和やかなであったのではないか──? そんな、きっと現実的ではないの
だろう夢想もまた、過ぎります。

「絆」という漢字の語源は「犬や馬などの動物を繋ぎ止めておく綱(ひきつな)」から来て
いると言われています。そこから転じ、離れがたくしている結びつきを意味するように、人
と人の間についても言うようになったそうです。
つまり(元より各漢字の成り立ちは、古代であるが故に結構えぐいのですが)「絆」という
言葉それ自体には元々そうポジティブな意味などなかったのです。もっと現実的で事務的で
あったのです。

長くなりましたが、僕は「組織(集団)の為の人」は人を殺しにかかるもの(になるの)だ
と信じています。手段と目的が逆転してしまっているのです。組織(集団)は人々をより良
く生かす為に生まれた──「人の為の組織(集団)」である訳で、それ自体の維持に汲々と
し始めれば、概してそれらはもう斜陽なのです。出来れば棄ててしまって欲しい程に。

……それでもやはり、僕らは一人では生きられない。
だから結ぶ。「半」端な己の「糸」を絡み合える誰かを求めて、集まる。
お互いに足りないものを、真摯に補い合える関係というのが、素敵と謳われる「絆」なので
はないでしょうか。

貴方は誰と糸を結んでいますか? 何を求めて結んでいますか?
貴方達はその糸を如何結んでいますか?
堅結び──中々解けない、場合によっては互いに傷付かねば(切らねば)分けることすらで
きないようなものですか?
それとも蝶々結び──好きに緩められるし、解けるし、結び直すことのできるものですか?

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  1. 2013/08/02(金) 20:30:00|
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止します。

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