日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)足りぬからこそ、僕らは飛べる

ごそりと前回の更新から日が空きました(・ω・)ノ コンニチハ
例の如く、時の流れというのはやはり淡々で粛々といいますか、早今月も半ばです。
春らしく温かくなったり、かと思えば急に冷え込んだり。
変わりやすい時節だと言えばそれまですが、他人の心配をできた丈夫さでもありませんが、
皆さんも身体には充分お気を付けくださいませ。

先日、ユー録の三十七章をUPしました。
気付けば、どうにもすっかり執筆が短期決戦型になっております(日がごそり空いていたの
はそのためです)。速筆に越した事はないとはいえ、ライターズハイ的な要らぬ域を含めた
前のめりとその後の反動が怖い今日この頃。はたと気力が萎えるより、直接身体にクるよう
になってきたと感じるのは、やはり年波の成せる業なのでありましょうか(´=ω=`)

新年度。とあるフォロワーさん曰く、新たな行動のための季節。
……ですがその方も自分も、そういうポジティブな字句とはあまり縁がないというか、相性
が宜しくないというか。
もっともっと昔は、それこそ歳月が新たになる度に漠然とでも期待を──何か新しいことが
待っていると胸を膨らませていたのかもしれません(最早うろ覚え)
ですが哀しいかな、今となってはなまじ“現実”を方々より聞き及ぶが故に、そんな安易な
楽観視自体が難しくて、ただ「嗚呼、また一巡りするのか」と悲観的──というほど深刻で
はないのかもですが──になる瞬間の方が圧倒的に多いという自覚さえあります。

否が応でも物事の“有限”に触れてしまう昨今、我が年波。
はたしてこの先、自分にはどれだけのことができるのか……或いは、できないのかφ(=_=)


既にご存知の方も多いと思いますが、今月初め『ゼロの使い魔』などの作者として知られる
作家・ヤマグチノボルさんがお亡くなりになりました。
享年41歳。がんとの闘病の末だったそうです。
僕自身、何一つ直接的な接点もなく、片隅のアマ物書きでしかありませんが、出先から戻っ
てきてふと目に留まったこのニュースを見て一人部屋で驚いたものです。
月並みですが、哀悼の意を。向こうでもおおらかに笑っていてくださればと思います。
……そして貴方という人の生死をも思考の種にしてしまう私を、お許しください。

人はいつか死ぬ。当たり前の事の筈なのに、いざ聞き及ぶとハッとなります。
先月には銭形警部の中の人こと納谷悟朗さんが、つい先日には鉄の女ことサッチャー元英国
首相が、そして此度の報道ではヤマグチさんがと改めて死というのはすぐ傍にあるものなの
だと再認識される次第です。
逝ってしまわれた彼らが何を思って旅立っていったのか、外野の僕には知る術もありません。
それでも、こと創作──表現する人間としては「まだ表したい」という思いがあったのでは
ないかと想像し、手前勝手な同情かもしれぬとはいえ、フッと足元を薄暗い虚へと踏み外し
そうになるかのような心地になります。
過去にも未完の作品を残したまま亡くなる創り手、という例は少なからずあります。中には
むしろ死後に評価されて名が知れる……なんていうケースもありますから、一概に存命中に
“当たる”ことが全てではないにしても、です。

ここでぼやっと、僕は考えていました。
はて、創り手という人種にとっての「幸せ」とは一体何を指すのであろうか……?
プロとしてデビューを果たし、大きなヒット作によって持つ者となること?
それともラノベなどという枠(というと失礼なのでしょうが)を越えて文藝全般へと自身の
表現を開拓できる機会を得ること?

“小説を芸術性で楽しむ人間なんて希少だ。絶滅危惧種だと言ってもいい”

存命の某作家さんはそんな事を豪語していたといいます。
その方自身、出版業界「だけ」に足を置いていないこともあって業界という視界狭窄を自身
も含めて批判し、プロである以上、商品として売れるものを送り出さねば意味が無いんだと
語っていた……という印象を僕はその記事から読み取りました。

“もう一度僕に生まれたいな。すっごく幸せだったから”

されど、一方で病床のヤマグチさんは友人から「生まれ変わったら何になりたい?」という
質問にそう返したという話もあります。
こうして比較してみるに、語るものが違うから、というだけでは割り切れない何かが人間に
はあるように思うのですよね……。

結論から言うと「どちらも間違ってはいない」のでしょう。
商業作家として収益的価値を蔑ろにしないのも“正しさ”ですし、いち創作人として人間と
しての個別の幸福感に微笑む生き方もまた“良い”ものであるのだと思うのです。
ただ、僕個人が僭越ながら付け加えるとすれば、前者──今の文藝を怠慢と批判する某作家
さんの語り口はやはり「生ありき」であるかのようにも取れるのです。
“人生とは死ぬまでの暇つぶし”
“人生は何か成すには短いが、何もしないには長過ぎる”等の云いもあります。
またも嫌儲か、と思われるかもしれませんが、僕という人間はこちらの在り方の方に魅力を
感じるのですよね。
言い換えれば『有限であるからこそ愛おしい』という眼。
限界なんてないんだと思い、邁進する発展よりも、穏やかな積み上げの方が理想的だなって。

思い返せばそもそも、創作という選択肢(みち)を採ること自体が“特殊”なのです。
以前、僕は母に「何で物書きなんてことやってるの?」と訊かれたことがあります。
その時確か、僕は「気付いたらやってた。でも“満ちた足りなさ”があるからこそ書けるし
書こうと思うんだろうなあ。だから物書きってのは大抵変人なんだ(苦笑)」などと答えた
と記憶しています。
母もまた苦笑を返していました。満ち足りないの、あんた?と心底不思議がる表情で。
きっとごくごく普通の──とは言っても、彼女も彼女なりの苦節を経て現在に至っているの
ですが──パート主婦には理解に苦しむ云いだったろうなと思います。だけど、創作をやっ
ていること自体は別に隠していない(理解を示されるかは別として)僕は、そうして正直に
思う処を答えたのだと思います。

足りない。コレジャナイ。
それらが何を指すのかは作り手それぞれの感性・思索の中にあると思いますが、少なくとも
僕ら創作人が「欠乏感」に押されて何かを創り出す時、そこには負と生(決して生と負では
なく、です)が入り混じった精神が在るのだと僕は経験からして思います。
最初はただ愉しみたい快楽、或いは私怨とも言える鬱屈した思い──負なるもの。
そして前者が他人への眼差しに及んでいけばエンターティナーの精神となり、後者が単なる
私怨の吐露を乗り越え、表現・思想的に昇華させ、そんな自他の(負)醜悪なるものも含め
て愛しい……どれも世界の要素なんだと思えるようになれば、ようやく正がやってくる。負
自体がそう簡単に消えることはないとしても、徐々に同居し始める……。

それは思想面での成熟に加えた、心的余裕という面における変遷とでも言うべきなのか。
先に述べた『有限であるからこそ愛おしい』の心地、だと僕は考えています。
資本主義経済──商品価値という尺度が多くの物事を席巻するという現実。
どれだけ思っても語っても、耳を傾け、更に聞き入れてくれる者は稀だという思いの限界。
そして何よりも、寿命という人間それ自体のタイムリミット。

もしかしなくても、そんな現実を突きつけられて狼狽し、或いは憤り、怨嗟すら紡ぐ後進ら
は少なくないのではないかと思います。
だけど……僕自身、そこそこ歳を喰ってきたからか、彼らのような思いにはつい宥めようと
してしまう老婆心が働いてしまって(苦笑)
有限、言い換えれば「足りない」からこそ愛おしいのだと思えはしませんか? その足りぬ
というある種の飢餓感が僕らを創作の営みへとアシストしてくれる。だとしたら……それら
を全て恨むといった必要性は、ないんじゃないか?

時間は掛かろうものでしょう。僕個人も、未だにはたとそんな怨嗟の群れ──負の方向へと
引っ張られる瞬間は少なくありません。
だけどもそんな限界、底知れぬセカイの広さと深さ、何度生まれ変わったとしても全てを解
りえないという感慨で以って物事に触れていけるのなら、僕らはもっと優しい言葉を紡げる
のではないかと思うのです。

足りないからこそ求め、創造でき、どこまでも飛んでゆける──。
描きたいものが描けて、加えそれらが少しでも多くに認められればもっと幸いかな──?

月並みなれど、先輩方の背中を追いながら、そうゆるゆると筆を握ってみては夢想して。

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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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