日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)レディ・ルーン-Bonds of RU'MALE-〔5〕

 光の在る所に闇は在り、そして光が強ければ闇もまた深くなる。
 それはこの星峰という街も例外ではなかった。
 十六年前の“血の遭遇”以降、政府の権力が介入する特区として開発とルーメルの囲い込
みが続く星峰市。それは彼女達のオーバーテクノロジーを背景にしたこの国のV字復活劇の
縮図であるとも言える。
 だがその一方で、忘れられた場所も存在する。
 開発を拒み続けた、或いは開発の初期段階で見通しが甘かった事で次第に放置されるよう
になった、今ではすっかり不気味な廃ビル群と化した中心街より遠く離れた郊外の一角。
 そんなある種のゴーストタウンとなっている廃ビルの一室に、彼らは潜んでいた。
『…………』
 元々は何かのオフィスだったのだろう。室内には多数の事務机や古くなった型のパソコン
などが埃を被りながら点々と放置され、最早主もなく鎮座している。
 それら過去の遺物の傍らに、彼らは腰掛け、或いは身を預けてじっと押し黙っている。
 ──その面々は間違いなく二度に渡り妃翠を、そして陽を狙った紋女狩り(ハンター)の
一団に他ならかなかった。
 しかし、彼らの表情は一様に沈痛の気色のようだった。
 事務机に両足を乗せて沈黙したままのリーダー格の男を筆頭に、メンバー全員が重苦しい
雰囲気の中で雑談を交わす事もなく、ただただ廃墟の中に漂う時間に身を任せている。
「……これはこれは。随分とブルーなようで」
 そうしていると、ふと足音が近付いて来た。
 ややあって申し訳程度のノックの後、ガタの来つつある扉を開けて姿を見せたのは一人の
スーツ姿の男だった。
 簡単に形容するならば、何処ぞのセールスマン風。
 ハンター達を始めアウトローな雰囲気の漂うこの場にあって、彼の風体は明らかな場違い
のようにも思える。
「ああ。何だ、あんたか」
 しかしハンター達にとってはどうやら顔見知りの人物であったらしい。
 事務机の上で脚を放り出して座ったまま、リーダー格の男は姿を見せたこの男をちらりと
見遣ると、そう気だるく呟く。
「で、何の用だよ? わざわざ俺達を哂いにでも来たのか」
「そんな性悪なつもりはないのですが。……この前の一件、聞かせて貰いました。どうやら
思いもよらぬ邪魔者が入ったようで」
「……まぁな。確かにあいつの所為でこちとら大損害だ」
 苦々しい失敗の記憶を思い起こして、リーダー格の男は不機嫌に表情を歪ませた。
「手間取っちまったおかげでサツも、特保も来ちまった。俺達は何とか逃げ切ったが、それ
でも仲間の半分近くが捕まっちまったよ……」
「……ふむ。私どもの事を吐かれては困るのですがね」
「心配すんな。俺達だってあんたらディーラーあっての商売だ。どいつもそう簡単に口を割
るようなタマじゃねえさ。……まぁ、相手は政府の狗どもだ。拷問の一つ二つ、もうやって
いるのかもしれねぇけどよ」
 しかしその言葉も後半は徐々にトーンダウンしているように思えた。
 ふてぶてしいような格好こそ崩していなかったが、彼は内心気を揉んでいるのだろう。
 スーツ姿の男は、被った幅広に若干表情を隠しながら言った。
「では紋女(しょうひん)を卸せる状態には無い、と……?」
「当たり前だろ。戦力自体が半減しちまってるからな。それにこの前の失敗で特保の警戒も
強まってるようだし……ほとぼりが冷めるまでは引っ込んでいた方がいい」
「かもしれませんが。しかし、あまり悠長に居られても私どもとしても困るのですよ。それ
でも卸して頂けないというのなら……上が現在の契約関係を考え直す可能性もあります」
 リーダー格の男、そして他の生き残ったメンバー達が一斉にこの男を睨み付けるように見
遣った。それでも彼はフッと口元に弧を描いて余裕の様子をみせる。
「西岡さん」
 そして彼はリーダー格の男・西岡に改めて向き直り近付くと、手にしていた鞄の中から何
かを取り出し、ポンとそれを机上に投げて寄越した。
「……これは?」
「リストですよ。この街に潜伏しているルーメルのね。尤も、私どもも全てを網羅している
訳ではないのですが」
 西岡はぎろりと彼を一瞥し、そのやや分厚いカタログ状の冊子に手を伸ばすと頁を捲り始
めた。確かに見る限り、中には少なからぬルーメルの情報がまとめられている。
(こんな物持ってるなら始めから見せろっての。この前は自前で下調べしたんだぞ……)
 情報にざっくりと目を通しながら西岡は思ったが、すぐにそれも意味が薄いと思った。
 こいつらはあくまでルーメルという商品を欲しがっているだけ……。自分達ハンター自体
は態のいい使い捨ての駒程度にしか思っていない。
「……それで? 俺達にまた仕事をしろって言いたいのか?」
「ええ。理解が早くて助かります」
「そりゃあ下調べの手間はこれで省けるだろうがよ……。だがさっきも言った通り、こっち
は戦力も大幅に落ちてるんだ。そんな状態じゃあ前みたいな策は取れねぇぞ」
 言い訳ではなく、仲間を助け切れなかった自責として。西岡は言った。
 だがスーツ姿の男はそれすら意に介さなかったようだった。再びフッと口元に弧を描いて
静かに笑うと、彼はゆったりと紡ぐ。
「ならば別の方法を取ればいいのですよ。少ない人数であっても確実に標的を無力化できる
方法を、ね……」


 STORY-5「狩人、其ノ影」

 ボクが本を読み漁るようになったのは、一体何時ごろの事だっただろう。
 物心ついた頃には本に手を伸ばしていたような気もするけど、記憶が曖昧だ。少なくとも
今の家に来た時にはそんな状態だったと思う。
 人間の一生、その時間は限られている。だから生身の出会いというものは実はそんな貴重
な時間を消費しつつ行われるものなのではないかと、ボクは思っている。
 でも……ボクはもっと人間が知りたいと思った。
 彼は、彼女は何を考えているのだろう? どうすれば人間というのものを理解できるのだ
ろうか? その為には生身の接触だけでは少々効率が悪いとさえ思う。
 だからなのだろう。ボクが本を読み漁るようになったのは。
 本は面白い。娯楽を提供するというよりも、ボクにとっては見も知らない誰かの考えや姿
を窺う事のできる格好の情報源になる。随時足を運んで会いに行かなくても、多少の金銭と
そこに積まれている状況さえあれば、より効率的に多くの人間の情報を得られる。
 ボクは時間さえあれば手当たり次第色んな本を読んだ。読み漁った。
 だから、そんな自分が図書委員になったのはある意味で自然な成り行きだった──。

 ボクが彼と初めて出会ったのは、この学園に入学して未だ間もない頃だった。
 その日の放課後、年度最初の図書委員会の会議。その場所となる空き会議室には、ボクを
含めた複数の他の生徒(委員)達が集まりつつあった。
(……ざわざわと、五月蝿い……)
 周りでは彼らが幾つかのグループに分かれて雑談し、雑多な音を響かせている。
 ボクは正直あまりいい気分ではなかった。
 確かにまだ通知のあった時刻までは余裕はあるが、かといってそんな時間の浪費を漫然と
繰り返している彼らをボクは理解できなかった。
 お前達の時間は有限だというのに。何故そんなに……。
 ボクは持ってきていた古典文学の文庫版(第七巻目)に目を落としつつも、そんな事を思
いながら一抹の気鬱さを覚える。
「──お、お邪魔します…」
 そんな鬱陶しいざわつきの中にどれだけ居ただろうか。
 もう五分ほどで会議が始まろうという頃になって、会議室のドアを遠慮がちに開く声がし
たのだった。
 そこからおっかなびっくりで顔を覗かせていたのは、一人の男子生徒。
 体格は小柄で、何となく頼りなさげ。制服の校章の刺繍がボクと同じ色をしていたから同
学年だ。彼は一瞬ザッと一斉に向けられ、そして逸らされた一同の視線に心持ちたじろぎつ
つも、辺りを見回しながらゆっくりとこちらに近付いて来る。
「え~っと……。君も一年A組の委員さん?」
「……うん」
 部屋の各机にはクラス番号を記した紙切れがセロテープで貼り付けられている。
 それを確認しながら歩いていた彼は、ちょうどボクの座っていたクラス番号で立ち止まる
と訊ねてきた。
 という事は彼が、ボクのクラスの委員のもう一方の片割れだったか。
 正直言うとこの時はまだ自分のクラスの面々すら認識していなかったので、当然の如く彼
の事も分からなかったのだが、状況からおそらくそうなのだろうとボクは頷いていた。
「そっか。え~と、僕は真崎陽。君は……」
「水上凪」
「あ、うん。水上……ね。よ、よろしく」
「……ん」
 苦笑する位なら下手に馴れ馴れしてこなくてもいいのに。
 ボクは思ったが、別にそこで張り合う必要性も感じなかった。だからだた最低限の返事だ
けを返して、さっさと読書に意識を戻す事にする。
「……」
 だが何となく横目で確認してみると、真崎は苦笑いを見せてそっとボクの隣席に座ってい
た。それでも遠慮という言葉は知っているようで、心持ちボクから椅子を離しているのが分
かった。そわそわと。緊張しているのかそれとも単に落ち着きのない性格なのか、真崎は辺
りに時折目を遣りながら会議が始まるのを待っているように見えた。
「あ、ははは……」
 それでも──彼はボクとはたと目が会うと、その度に柔らかい苦笑いを返してくる。
(…………何だか、変な奴)
 別に癪ではなかったが、不思議な感じだった。
 そして、そうボクの彼への第一印象が固まりつつあった時には、
「皆揃っていますね? それではこれから委員会を始めます」
 顧問の教諭が入室して来て、ようやく会議が始まろうとしていた。

 それからというもの、ボクは何かと真崎と一緒に仕事をする事が多くなっていった。
 言葉も、お互い普通に交わせるようになっていた。
 元々同じクラスだから──そして二年に進級した今でもまた同じクラス、継続して図書委
員をしているという共通点もあるのだろう。
 何よりも、そうした中で彼が“悪い人間”じゃないと分かった、その安堵のような感情が
ボクの中に在ったのが大きかった……からなのかもしれない。
「……次」
「あ、うん。はい」 
 その日は委員会の顧問・小野寺にヘルプを頼まれ、書庫整理を手伝っていた。
 急な欠員だという事で真崎も快諾してくれたようだった。
 別にボクだけに押し付けてもおかしくないのに……妙に律儀な奴だ。満面の微笑みで答え
られると、ボクも反応に困るし……。
 ともかく、何時ものように役割分担。キャスター付きの机の上に溜りに溜まった返却本や
ら何やらを真崎に取り出していって貰い、それを脚立の上のボクが受け取って整理していく
という形。どちらからというわけでもなく、気付けばこんな役回りになっていた。ただボク
個人の感想だけど、真崎は表立って出るよりもサポート役を務める方が合っていると思う。
 実際、ボクはそんな彼のお陰で随分委員の仕事を覚える事ができたのだから。
(……?)
 ふと目を遣ってみると、何故か真崎は手を止めて自分の掌を見下ろしていた。
 何故だろう? そんな真崎の横顔を見ていると……自分まで辛いような気持ちになる。
「……真崎」
「えっ?」
 だがボクはできるだけそんな“違和感”を考えないようにした。
 真崎は、委員仲間だ。深入りすることなんてない。
「ご、ごめん。次の本は……」
 促して次の蔵書を受け取ろうとする。
 だが、真崎の様子が変だ。何だか頬を赤くして俯き始めている。
「……何?」
「あ、いや。な、何でもないよ……っ」
「そう……」
 目を逸らしてそんな事を言われても説得力なんてない。
 でもまぁ、一々問い詰めるのも面倒だった。作業に集中する事にする。本を収納し直して
は整理し、次を真崎から受け取りまた収納して……繰り返される作業。でもボクはそれが苦
痛だとは思わない。確かに読書する時間が削られてしまうのは惜しいのかもしれないが、こ
うして本に触れている時間も本心を言うと楽しかったりする。
(……何だろうな)
 だけど、ちらちらと。おろおろと。
 真崎の顔がまた赤くなっていた。前々から思っていたけど、嘘が下手なタイプだと思う。
 嫌でも気になる。ハッとして視線を逸らしたり、俯いてみたり。
 作業を続けながらボクはちょっと思考を回してみた。真崎の反応からして、多分ボクを見
て何か思う所でもあるのかもしれない。だとすれば……今の位置関係?
(……ああ。もしかして下着か……)
 確かに真崎の居る位置からでは、ボクの制服のスカートの中が見えるのか。
「……真崎」
「は、はいっ!?」
「……ボクは別に見えても気にしない。減るものでもない」
「え゛」
 サーッと面白いように顔を引き攣らせた真崎。図星だったみたいだ。
 ボクから気まずそうに視線を逸らしながら、彼は苦笑いを浮かべている。
 別に気にしないって言ったのに……。ボクは彼にそんなに意識されているのだろうか?
 一冊、二冊、三冊。本を受け取っては整理しながらボクは気付けばぼんやりと真崎や自分
について考え事をしてしまっていた。
 ボクを“ちゃんとした人間扱い”してくれる真崎。なのにボクはあまりに人間を知らない
ように思える。知識はあると思ってはいるのだけれど、何だろう……。こういう皆にとって
の常識というものには、ボクは割合疎いように思う。
「真崎。……下着を見られるというのは、そんなに恥ずかしいもの?」
 だからなのか、ボクは暫くの間の後にそう訊ねていた。
「えっ?」
 ちょっぴり間抜けな真崎の反応。だけど、ボクはそれよりもこんな質問をしてしまった自
分自身を恥じていた。彼ならまだ他の人間に比べれば信用はあったからなのかもしれない。
だがこんな事(じょうしき)を訊いて、変に思われないだろうか……? だけど一度口にし
てしまってはもう後には退けない。
「どう……なの?」
「え。う、うん……」
 真崎には悪いが、やっぱり戸惑っているらしかった。
 表情こそ普段を保ったが、内心は漠然とした不安な思いがしていた。
 不思議だった。どうしてボクは真崎相手になるとこうも感情が揺らいでしまうのだろう。
一体、何時からこんなに弱いボクになったのだろう……。
「そ、そりゃあ恥ずかしいんじゃないのかな、普通は? そ、そもそも見られて恥ずかしい
から隠してるって部分も、あるだろうし……」
「そう……」
 戸惑いながらもちゃんと答えてくれた真崎。ボクはそれでもちゃんとお礼も言えずに黙り
込んでしまっていた。またフツッと、彼に変に思われないかという不安がボクの中を蹂躙し
ていくような心地になる。
「……やっぱり、ボクは変だと思う?」
「へ?」
 そして暫くしてから、ボクはまた訊ねていた。自分もちょっと驚くくらいに。
「さっきので、真崎はボクの事、おかしいと思ったと思うから……」
 じっと真崎を見る。自分でも自分がおかしいという意識はあったが、止められなかった。
 何故なのかはボクにも分からない。だけど、真崎は何処となく相手を解してくれるような
優しい感じがする。それは知り合って暫くしてから気付いていた事だ。
 思って、恥ずかしくなった。気を紛らわす為にも、もう一度作業に戻ろうとする。
 それでも……堰を切ったように不安が止まらない。
「……それは」
「いい。ボクも自覚はあるから」
 何処か他人事みたいに、暗い方から明るい方へと流れようとするその流れ。そのベクトル
に呑まれようとする自分自身を意識の中で眺めながら思った。
 真崎になら──話してもいい、のかな……?
「…………ボクには、分からない事が沢山ある」
「分からない……事?」
 たっぷりと間を空けて、気持ちの揺らぎを何とか落ち着けるように本棚の並びを何度も確
認しながらボクは口を開いていた。
 きょとんとする真崎。だけど、次の瞬間には彼はスッと真剣な表情(かお)になってボク
を見つめ返してくれていた。気恥ずかしかったけど、それだけ嬉しいなって思った。
「人というものが……ボクには分からない。……どれだけ人の書いた本を読んでも、あちこ
ちから漏れるみたいに分からない事ばかりが出てくる。どれだけ知っても……きりが無い」
 本の背表紙を撫でる。
 答えがあるのだと信じていたのに。なのに、疑問ばかりが連なっていく。多分それがきっ
と満たされない気持ちの正体でもあったんだと思う。
「……もしかして水上は、きりが無いからクラスの皆とも話さないの?」
 だけど真崎は。
「そうかも、しれない」
「……。駄目だよ、そんなの」
「?」
 少しだけぐっと言葉を込めたようにしてから、言ったのだ。
「駄目……?」
「うん。駄目っていうかさ……本来の姿じゃ、ないんじゃないかな?」
 本来の姿じゃ、ない……?
「その……水上にとって人と付き合うって事は何なのかなって。僕はさ、誰かと付き合いを
するって事は、その人を知りたいと思うからするんだと思うんだ。……まぁ仕事上で知り合
いになるっていうような形もあるだろうけど。それでも、誰かに近づこうとするって事はそ
の誰かを知りたいと思うからって事でしょ? だから水上の『分からないから関わらない』
っていう姿勢は……目的と手段が逆になってるんじゃないかなって」
「……」
 ドンと、胸の奥を打つような衝撃が走ったような気がした。
 誰かを知りたいから、関わる……。人間そのものを知りたいからじゃなくて、その誰かを
知りたいから関わる……?
「……水上はもっと色んな人と触れ合うべきだよ。確かに本は面白いよ? 僕も本が好きだ
からって理由で図書委員になった訳だし、それでもって水上とも知り合えてる訳だし……。
でもそれだけじゃきっと駄目なんだと思う。目の前の本を手に取るみたいに目の前の人達と
手を取り合う事だって、きっと……」
 ぐらぐらと揺れているボクの前で、真崎はぽつぽつと語っていた。
 だけど何がいけなかったのだろう? 不意に恥ずかしそうに苦笑して声色が落ちる。
 疑問に思う。痒い所に手が届かないように、何かがボクの記憶の中に引っ掛かる。
「……正直さ、傍から見て心配だったんだ。水上はいつも独りぼっちで静かにしてたから」
 今度は別の意味でドキッとした。
 心配だった? ボクを? 何で君はボクなんかにそんなに気を掛ける……?
「それを周りも水上自身も変だって思うんなら、今からだって遅くない、友達を作ろうよ?
誰かを知りたいと思うなら、先ずは自分の事も知って貰わなくっちゃ。まぁ分からないから
怖いっていうのは……僕も分からなくはないけど。でも、だからといって何もかも知ってい
る事が常にいい事だとは、僕には思えないかな……」
 自分の中の不安なんて吹き飛びそうだった。
 何時ものなら皆、ボクの事を“変人”だって避けていたのに、真崎は真っ直ぐに接してく
れていた。それに加えてフッと見せる哀しい眼。
 そしてボクは……以前小耳に挟んでいた、彼についてのとある事情を思い出す。
「ちょっとずつでいいんだよ。お互いに、ちょっとずつでさ……。全部を知らなきゃいけな
いなんて事もない。知り過ぎが逆に劇薬になっちゃう事だって、あるしね……」
 そうだった。
 真崎は──あの日に、実の父親を亡くしているのだ……。
「そ、その……。折角こうして図書委員で面識もあるんだしさ。よければ水上もさ、先ずは
皆で一緒にお昼を食べるとか……そういう事から始めたらどうかな? 僕だけじゃなくて翔
や憲人、翼に藍川や東田もいるからさ。少なくとも会話に困る事はないと、思うよ……?」
 なのに真崎は笑っていた。それは苦笑いに近く、最初の勢いも削がれていたけれど。
 だけど、何故だか……何となくだが、ボクはホッとしていた。いや、厳密には妙な安堵感
を覚えていたのかもしれない。
 柔らかいような、温かいような。それが……真崎という人間?
「……えっと。ご、ごめんね? その、急に説教みたいな事言っちゃって……」
 ボクが次から次へと思考──断片的な思考を過ぎらせ、静かな館内に他の委員の作業する
物音が遠くに聞こえてくる中で、真崎はやっぱり苦笑していた。
 とりあえず笑うのが癖になっているのかもしれない。
 だけど、それが嫌味に思えないのは……真崎だからなのかな。
「でもやっぱりさ、心配なんだよ。水上ってよく独りでいる所を見かけるから……。余計な
お世話かもしれないけど、水上自身がそれを気に病んでるっていうなら……もっと他人と関
わっていった方がいいと思う。きっと……その方が楽しいよ?」
 そう言って微笑み掛けてくる真崎。
 温かみ。だけど、ボクはそこでようやくハッとなった。
(……ボクは、何をこんなに心許しているんだろう)
 恥の意識、罪の意識。気付けばボクは真崎から視線を逸らすと代わりのように本棚の方を
見遣っていた。それでも、真崎の言葉が脳裏に響いている。
「……人を知りたければ、自分を知らせる……」
 ボクは呟いていた。それが真崎の答えたものだった。
「……やっぱり、難しい」
 だけど、それはきっと難しい。ボクらにとってそれを不用意に行えば──。
「きっと後悔する。ボクの事を知ったら……不幸になる」
「えっ?」
 ボク自身だけじゃない。そうやって“立ち入り過ぎた”他の誰かも巻き込んでしまう。
 真崎は驚いているようだった。無理もない。世界の憎悪をその身で体験した事のない一介
の民間人には到底想像などできるものではないんだ。……たとえ、彼が遺族の一人でも。
「だから真崎も……ボクにじゃなく、他の誰かに優しくなった方がいい……」
 だからボクは言った。忠告のように、いや……多分きっとボク自身の為に。
 真崎、君はいい人間だ。今までの付き合いでそれは確かだと思う。
 だからこそ、ボクは君を巻き込みたくないと思えた。不思議なものだ。今まで一人一人を
そんなにつぶさに見て弾き除けるような真似はした覚えなどなかったのに。
「水、上……?」
 案の定、真崎は動揺している。すまない、真崎。
 ここまで話をして自分から切り離してしまって申し訳ないと思う。ボクも勝手な真似をし
てしまったと思う。だけど。
「──お~い、そっちはどうだ? 捗ってるか?」
「あ、はい…。このテーブルの上の分が済めば一通り整理終わりますけど」
「そうか。じゃあそれが終わった後でいいから、こっちにも手伝いに来てくれ」
「はい。分かりました……」
 駄目なんだ。ボクは君みたいには……なれない。なっちゃ、いけない。
「……次」
「あ。う、うん……」
 無理やりにでも書庫整理の作業に戻って、もう話を終わらせよう。そう思った。
 だってボクと君は……“違う”存在なんだから。


 それなのに──ボクの中には漠然とした靄のような巣食っていた。
 多分それは後悔の念だった。あれでいいんだと言い聞かせても、真崎を突き放してしまっ
た自分を責める気持ちも一方で燻っていたんだと思う。
「……」
 だからそんな態度を取った当日一杯もあまり眠れずに、ボクは眠気と断片的に顔をみせて
くる後悔を淡々と捌きながら教室に向かうべく階段を上っていた。
「──おわっ!?」「!」
 ちょうどそんな時だった。目の前に、突然誰かが飛び込んで──いや小走りで駆け下りて
来た。ボク自身ぼうっとしていた事もあったのだが、向こうも直前までこちらに気付いてい
なかったらしい。
「ご、ごめん……って、あ。水上……」
 側壁の防火扉に勢い余ってぶつかりそうになったその男子生徒──真崎は、言いながら相
手がボクだと気付くと、思い出したかのように気まずそうな表情を漏らしていた。
「え、えっと。お、おはよう……」
「……うん」
 分かり易い奴だ。だけどそれが何を考えているのか推測し易いというメリットもあった。
 そして同時に、それが分かる事でボクの中の後悔が余計に頭をもたげてくる。
「み、水上。その……」
「……先に行く」
 そんなにうろたえないでくれ。ボクだってそれを隠すので手一杯なのに……。
 だからボクは逃げるようにその場を離れた。
 取り残されて立ち尽くしている真崎の気配を背中で感じながらも、ボクは振り返る事がで
きなかったのだ。

 だけど……その後もボクは気付く度に真崎の様子を窺ってしまっていた。
 自分で突き放しておいて身勝手だとは思う。あれ以来お互い話し掛け辛くなったのも、他
ならぬボクの所為だ。
 でも、そんなボクの後悔の類を掻き消してしまう程の変化が、真崎に起き始めていた。
 始めはちょっとした違和感だったように思う。
 少し浮かれたような、それでいて時折フッと影が差すように、何かを考え込むように神妙
な表情(かお)になる。
 少なくとも、ボクの事だとは思えなかった。
 ボクの所為で辛い思いをさせてしまっているのならまだ分かる。だが、時折それとは逆の
感情が漏れているように見えた。それはどう説明すればいいのだろう。
 ……多分この数日の内にもっと別の、何か嬉々や憂鬱の混じった事情ができたのだろう。
「は~い。それじゃあ、ここまでね……」
 それは図書館での一件から二週間ほどが経った頃だっただろうか。
 休日明けの四時限目。終業のチャイムを聞き、大分お年を召した社会科の教諭がよなよな
と教材をまとめ始めると、クラスはざわっと昼休みの空気へと変わっていった。
「……」
 それでも、ボクの不安が晴れる事はなかった。
 元々一人で食事を摂っている、からではない。もっと別の事がその日、朝からずっとボク
の胸の中で引っ掛かってならなかったのだ。
「ふぃ~、終わったぁ。陽、憲人、飯にしようぜ」
「うん」「……ああ」
 その原因は、真崎だった。
 数日前までは時折影が差すように不安そうだった彼。だが今日になってその気配は見られ
なかった。
 いや、それ以上に増したのは……ボクが知識としてしか知らない筈の別な違和感だった。
 横目の視線を戻し、教材をしまい、ポケットから財布を取り出しながら思う。 
 もしボクのこの感覚が間違っていなければ、ごく最近に真崎は──。
「水上」
 近付いて来た気配と掛けられた声にハッとなる。
 その動揺を悟られないようにそっと目を遣ってみると、そこには真崎が控えめな微笑を浮
かべて立っていた。
「ねぇ、水上も一緒にお昼食べない? その……いつも独りみたいだしさ。どうせなら皆で
食べた方が美味しいと思うんだけど……どう?」
 何事かと思ったが、そんな事だった。
 別にボクの勘繰りに気付いた訳ではないのか。ホッとしたけれど、さてどうしようかとも
思った。今までは向こうも中々そんな事を言っては来なかったし、別に一人でもいいやと思
っていた。だけど……真崎は誘ってくれている。
『水上はもっと色んな人と触れ合うべきだよ』
 あの日照れながら、だけど誠実に応えてくれた真崎の言葉が蘇る。
 これは、嬉しさなのか戸惑いなのか。いや……それよりも。
「……昼食を、買って来ないと」
 ボクはわざつく感情を振り払うように席を立った。
 財布を握り締めて、何時ものように購買へ。真崎がしゅんとしたのが肩越しに見えた。
「……先に食べてて。後で追いつく」
 だからボクは言った。でも、別に馴れ合いとかじゃなくて。そんなんじゃ……なくて。
「う、うんっ。待ってるね」
 真崎に確かめたい事が、あったから。

「水上ってお昼はいつも購買で済ませてるの? それだけじゃ足りなくない?」
「……大丈夫。ボクは食が細いから」
 それから、購買から戻って来て。
 ボクは真崎達のグループに混ざって昼食を摂る事になった。
 だが……正直、周りの視線が正直鬱陶しい。好奇の眼というか何というか。ボクが誰かと
食事を摂るのがそんなに珍しい事なのだろうか?
 まぁ、多分そう映っているのだろう。ボク自身も、こんな経験はあまり無いと思う。
 だが今日のそれも、本当は真崎から感じる“違和感”の正体を探る為なのだ。
 別にやましい思惑など無い……筈だ。
「へぇ~、そうなんだ。アンティークショップかぁ」
「……そんな大層なものじゃない。昔ながらの骨董屋……」
 隣でもきゅもきゅと弁当のおかずを頬張っては飲み込み、真崎は積極的にボクと話をしよ
うとしてきているように思えた。
 人を知りたければ、自分を知らせる──。
 別にその実践という訳でもない。ないのだが、ボクはとりあえず彼の言葉にぽつぽつと答
えながら、目的を果たす為の手段を窺っていた。
「……真崎は」
「うん?」
「真崎の家は、宿だと聞いた」
「そうだよ。母さんが民宿をやってるんだ。そんな大きい宿でもないんだけどね。だけど、
そのおかげでお弁当のおかずには困らないかな。今日のだって、今朝お客さんに出したご飯
の材料を使い回してあるから」
 そうじゃないんだよ、真崎……。ボクは、最近君の周囲に妙な女性が現れなかったかを聞
きたいんだ。
 ボクはそう言いたくなったが、ぐっと我慢する。まさか直球に聞く訳にもいかない。
「……」
 でも真崎は笑っていた。何が嬉しいのかよく分からないけど。でも、優しい目だった。
「……真崎は、料理はできた方がいいと思う?」
 すると何をとち狂ったのか、ボクはふとそんな事を聞いてしまっていた。
「そりゃあできないよりはいいとは思うけど……? まぁ、僕もあまりできないけどさ」
「…………そう」
 何を変な事を聞いているだという戒めと、何気なく応えた真崎の返事に正直しょんぼりし
てしまっていた自分自身への驚きと。ボクは二重の意味で動揺していた。
 これじゃあまるで、ボクが真崎を……。
「うーん……。だったらこの機会に習ってみればいいんじゃない? ね、翼、藍川?」
「えっ?」「ふぇっ!?」
 そんなボクの思いを知る訳もなく、真崎は今度は桐谷姉と藍川に話を振っていた。
 曰く、彼女達・自炊組にでも料理を習ってみてはどうだというもの。
 少し面を食らっていた二人だが、ややあって真崎のその提案に頷いている。
 多分だが、これは真崎がボクを自分達の輪に取り込もうという意図があっての事なのかも
しれないと思った。……どうして? ボクは確かに君を突き放した筈なのに……。
「……そういえばさ、真崎。宿で思い出したんだけど、あの件は結局どうなったの?」
「? あの件……?」
「ほらぁ、この前の休みに宿のお客さん──確か妃翠さんって言ったっけ? あのお姉さん
と一緒に変な奴らに襲われたでしょ? あたしらはあの後放置されたまんまだったしさぁ。
(……!?)
 だがそんなボクの戸惑いも、次の瞬間東田がふと切り替えた話題で立ち消えになる。
「あ、それは私も気になってた。ねぇ真崎君、あれって一体何だったの?」 
「えっ……。あ、うん、それは……」
 これだと思った。おそらく間違いない。
「……あの騒ぎは、真崎だったの?」
「まぁ……そうなるのかな。って、水上も知ってたんだ?」
「うん。新聞で読んだから」
「そ、そっか……」
 宮座町で起きた通り魔事件のニュース。それが真崎と──しかもボクの知らない、彼の知
人とが関わっているらしい。ボクは少し強引にでも彼に問い直していた。すると明らかに動
揺した反応。苦笑いで隠しているが、ボクには分かる。
 何せ公式にはまだ発表もされていない、いやおそらくされる事はないのだろうが、あの日
の騒動は“人間の仕業”だけではないのだから……。
「……むしろこちらが何だったのかと聞きたいぐらいなんだがな」
「そうそう。俺らも陽から話は聞いてるんだけどさ。結局、犯人連中とは面識なんてなかっ
たんだろ?」
 だがボクが断片的な情報を整理し切る前に、今度は藤丸と桐谷弟がまるで割って入るよう
にそう口を挟んできた。
「う、うん。そうだね……」
 真崎から事前に聞いているらしい。なるほど……そういう事か。
 ボクは敢えてその反応と状況からある仮説を思い至っていた。その間にも、十中八九事情
の奥底を知らないであろう東田と藍川は他人事よろしく嘆きのようなつぶやきをしている。
「まぁいいじゃんか。陽も無事だったんだしよ。……ところで水上」
「……?」
「お前って一年の頃から陽と委員仲間なんだよな。教えてくれよ、委員やってる時の陽って
どんな感じなんだ? つーか前に一緒に書庫整理にも出てたよな?」
「あ、それなら私も知りたいな~。ねぇねぇそこん所どうなの、凪っち?」
「どうって、別に……」
 なのに、そんな思考を邪魔するように桐谷弟達は次々にボクに話し掛けてくる。
 東田や藍川は違うようだが、彼はもっと違う魂胆があるのかもしれないと思った。何せ真
崎とは確か幼馴染だと聞いている。先の藤丸の反応に追随した所を見ても、真崎の纏う“違
和感”についてある程度知り得ている可能が高い。
(……いや、知り得ているじゃない。知っている筈だ。少なくともあいつは……)
 わいわいと少々鬱陶しい声を適当に流しつつ、視線を移してみる。
 何だか嬉しそうに、柔らかく微笑んでいる真崎にではなく……彼を挟んだ先の藤丸に。
「…………」
 藤丸はじっと、真崎の横顔を凝視していた。
 明らかに他の面々とは反応が違う。ボクはそれを確かめつつ、疑念を確信に変えた。
 確か、藤丸は祭礼官──僧侶の家系だと聞いた覚えがある。
 だとすれば……おそらく彼が真崎に抱いているであろう感覚も、ボクが真崎から感じてい
るこの“違和感”も、本質は共通したものである筈だ。
(間違いない……)
 向こうに気付かれないように真崎の影に隠れる位置を保ちながら、ボクは眉根を寄せる。
(……真崎はルーメルに関わっている。いや……もう既に、誓約者(リンカー)だ──)

 更に付け加えるなら、あの一件についても加えておくべきだろう。
 真崎達に招き入れられた日から数日、ボクは何時の間か彼らのグループの輪の中に取り込
まれているような状態だった。それまで一人で食事を摂っていたボクも、何となくあの日以
降、昼休みには真崎達に混ざるのがちょっとした習慣になりつつあったと思う。
 ──そんな最中だ。また真崎の様子がおかしくなったのは。
 その日は朝から、まさに心在らずといった様子だった。一限目、二限目と時間が経過して
も彼は変わらず何か物思いに沈んで悩んでいるような風に見えた。
 だが今回ばかりは藤丸や桐谷らも事情は知り得ていないらしかった。
 四時限目、こそこそと真崎を窺っている彼らの様子でそれは分かった。あれは真崎の様子
に戸惑っているという感じだった。もしその理由を知っているなら、あんな反応をするとは
考えにくい。
(……どうにも忙しい奴だ)
 正直な所、そう思った。だがそれもおそらくだが、ルーメル関係の何かなのだろう。
 いや……見当は既にボクの中では付いている。
 あの時の情報から考えて、もし例の騒ぎに巻き込まれたもう一人の“妃翠”という人物が
ルーメルであれば、今抱いている仮説の辻褄が合う。
 新聞にも載った騒ぎだ。奴らが──特保が何も把握していない筈は無い。
 奴らが……動いたという事なのだろう。
「痛ぅぁっ……! か、角は駄目ですって……。ていうかこれ、何か、デジャヴ……」
「それだけ口が回れば大丈夫だ。……授業が終わるまでそこで立ってろ」
 そうしていると、桐谷弟が小野寺に鉄拳制裁もとい教科書制裁を受けていた。
 地味な痛みに悶える桐谷弟に、小野寺はサラリと言い放って教壇に戻っていく。クラスの
面々は静かに笑っていたが、ボクはそれ所じゃない。
(だから、下手に優しくするのはどうかと思っていたんだ……)
 真崎が何処かのルーメルのリンカーであるらしい事は確認できた。そして今、どうやらそ
の決断で新たな問題が彼を苦しめているらしい事も推測できる。
 密かに嘆息する。真崎、だから関わらない方がいいと言ったんだ……。
 しかし同時にこうも思う。ボクは、彼にどう接すればいいのだろうと。
 別に頼まれた訳でもなんでもない。だがこのまま真崎に気付きつつも放置しておくべきな
のかどうなのか……。
(……いや。ボクは関わるべきじゃないんだ……)
 思って、振り払うように自分に言い聞かせた。
 あの日真崎を突き放したのは、紛れもなくボク自身だ。それを今更助力しようなんて真似
など……できるものか。
 それに、仮にそんな事をすれば──もっと真崎は“不幸”になる。ただでさえ──おそら
く巻き込まれた──彼の前にボクが出て行ってしまえば、更なる苦しみを与えるだけだ。
(……ちゃんと、距離を置こう)
 それが、その時間の末にボクの出した結論だった。
 やがて教室に終業のチャイムが鳴り響く。
(たとえ足を踏み入れていたとしても、ボクと真崎は……違うんだ)
 真崎。君の厚意には悪いが、ボクはもう少し距離を取らせて貰うよ……。
 ざわざわとクラスがかしかましくなる中、ボクは何時ものように購買へと向かっていた。

 そうしてボクは自分の中で結論を付けていた。
 だからこそ、あの出会いに対処し切れなかったと言えるのかもしれない。
(……!?)
 気配がした。誰かが、いる。
 それも普通の気配じゃない。これは間違いなく……あの感じと同じ。
 購買の帰りに近道して通り掛かった昇降口前の通路。ボクはハッと感覚に訴えてきたその
気配に従うように立ち止まると、靴箱の列の中をそっと覗き込んでみる。
「……?」
 そこには一人の女性がいた。
 亜麻色の長い髪、若草色のローブ。手には何故か布包み──しかも何処か見覚えのある柄
のものが一袋。年格好は自分よりも上のお姉さん。
 だが、もしこの感覚が正しければそんな見た目だけの印象など……。
「あ、いたいた。妃翠、お待た──」
 時間にすれば僅かだったかもしれない。だけど、ボク達がお互いを見遣り合っていた時間
はゆったりとそして長く感じられた。
「って水上?!」
 その妙な沈黙を破ったのは、小走りで駆けて来た真崎だった。
 こちらに向かって確かに「妃翠」と……十中八九この目の前の彼女の名を呼びかけて、す
ぐにボクもこの場にいる事に気付くと、真崎はその言葉を慌てて塞いだように見えた。
「……知り合い?」
 怪しい。少なくともさっきの反応からして初対面なんて事はないだろう。
「さっき彼女の事、妃翠って呼んでいた」
 ボクはできるだけ逃げられないように、確認もかねて訊いてみていた。
「それって、この前宮座町の騒ぎで真崎と一緒だった宿の客……」
「あ、うん。そう……だよ」
 やはり真崎はぎこちなかった。何とか誤魔化そうしているのが透けて見える。
 パズルのピースが、繋がり始めていた。
「……でも何故ここまで来てる? 客なのに」
「うぇっ……?」
 そしてそれらを組み立て出しつつ、今度は直近の疑問をぶつける。
 とはいえ、内情は予想がついている。真崎にとって、彼女は単なる「客」じゃない。
 動揺が透けて見える。真崎は少々間抜けな声を上げて──。
「えっとね? その、珠乃さん──女将さんから代わりにお弁当を届けて欲しいって頼まれ
たの。私、結構長くここに滞在しててお世話になっているから、ちょっとぐらいは頼みを聞
かないとと思って」
 だが今度は彼女、妃翠の番だった。
 にっこりと笑ってそう話される事情。なるほど、思い出した。あの布包みは真崎の弁当袋
だったか。だけど……。
「はい。陽君、どうぞ」
「あ、ありがとう……。助かっ──いや、助かりました」
「ふふっ、どういたしまして。別にそんなに改まらなくてもいいのよ? もう全くの初対面
という訳でもないんだし」
「そう……だね。あ、はは……」
 ボクの目は、誤魔化されない。
 仲良くなっただけの「客」──貴女は単にそれだけではない筈です。
 そしておそらく、向こうもボクの事について気付いている筈……。
「……陽君。ところでその子は誰?」
「あぁ、同じクラスの水上。えっと改めて紹介するね、家のお客さんで妃翠……さん」
「宜しくね。え~と……?」
「……水上凪」
「そう、ナギちゃんね? 宜しく」
「……うん」
 届け物を済ませると、彼女はボクの名前を訊いてきた。
 まだ警戒心は残っていたが、かといってイコール彼女がボクにとって不利益な相手である
と決め付けるにはまだ尚早過ぎる。下手に睨まれてしまっても困るので、正直に答えておく
事にする。
「じゃ、じゃあ僕らはそろそろ行くね? 水上はもうお昼買った? 皆待ってるよ」
「…………。分かった」
 そうしていると、真崎は心持ち──いやかなり慌てたようにボクの背後に回ってそう促し
て来た。大方、長居してボロが出るとマズいなどと考えているのだろう。
 ボクは真崎に促されるまま、踵を返してその後に付いて歩き出していた。
「またね~」
 背後から彼女の声がする。のんびりとした柔らかい声色だ。
 無闇に警戒してしまうのはよくないだろう。少なくとも今は。だけど……これでやっと今
までの違和感が、パズルのピースが嵌り切ったように思う。
(真崎は……あの女性(ひと)の誓約者(リンカー)だ──)

 あれから二・三日が経って、真崎の苦悩は落ち着いてきたように見えた。
 とはいえ、時々何かを考え込むようにしている姿は変わらなかったが。
「……」
 思って、ふるふると首を振る。
 ボクは何を深入りしているのだろう。自分でも突き放して、下手に関わらないと決めた筈
なのに。確かに……正直言って真崎が何時の間にか誓約者(リンカー)になっていたと分か
った時は、ショックだったかもしれない。
 しかしだからこそ理由ができた。もう深入りし続けてはいけない。
「え~っと、んじゃあ連絡事項はこのぐらいかねぇ……」
 今は六限目が終わった後のホームルームだ。
 教壇にはクラス担任の國定が何時ものように気だるい雰囲気のまま、メモした連絡事項を
読み上げている。
 クラスの面々も気持ち半分が放課後モードだった。
 國定もそれは織り込み済みなのか、或いは一々注意するのが面倒なのか放置してとりあえ
ずという感じで形だけホームルームを切り上げようとしているようだ。何時もの事だが。
(……この平和も、何時までの続くのだろう)
 そんなクラスを眺めながら、ボクはぼんやりとそんな事を思った。
 ボクも“一般市民”として暮らしている。できるだけ波風なく日々を過ごしたいと願い、
そしてもうあのような日々に身を任せたくないから彼らの中に溶け込むという選択をした。
 なのに──そんな日々も、もしかしたらゆっくりと脅かされているのかもしれない。
 真崎からの違和感にこんなに内心動揺していたのも、それが理由だ。
 ……いや、厳密には違う。
 やっと(半ば向こうの流れに呑まれる形だったが)それなりに親しい相手ができたのに、
その真崎当人がルーメルの世界に足を踏み入れてしまったから。
 止められたかもしれないとは思う。
 だけど、それをすれば自ずとボクの事もバレてしまう。
 そうなれば……真崎はもっと“不幸”になる。
(……ふっ)
 可笑しいものだ。以前のボクにこんな事は無かった。
 自分を守るばかりで他人の一喜一憂にまで興味や関心が向かなかった所為なのだろう。
 それも……真崎が変えてくれたのかも、しれない。当人はあまり自覚はないのだろうが、
何のかんので他人に優し過ぎるのだ。……だから彼の周りには人が集まっているのだとボク
は思う。ここ暫く、その輪の中に入れてくれているから尚の事、そう思う。
「ほ~い……。じゃあ今日はここまでな。日直」
 すると一旦思考を途切れさせるように國定が言った。
 日直の合図で形ばかりの礼。そして軽く手を振って彼が教室を後にすると、クラスは本格
的に放課後の空気に切り替わった。
「……」
 今日も、荒波を立てずに終える事ができた。
 だが果たして明日も明後日も、同じような日々が来るのだろうか。
 すぐに崩壊するとは思えない。もしかしたら何とか適度な距離を保ち続けられるのかもし
れない。だけど……真崎が一度リンカーとしてルーメルの世界に足を踏み入れてしまった以
上、いずれボクの事を知ってしまう可能性は拭えないのだ。
 その時、一体ボクはどう振る舞えばいいのだろう? 真崎との関係は……?
 思って……正直怖くなった。これが、他人を知る為に自分を知らせるという事なのか?
 ボクは弱くなったのかな……。いざとなれば真崎との縁を断ち切らないといけなくなると
いうのに。
 でも、今のボクに……果たしてそれができるのだろうか?
(…………まぁ、今考えても仕方ない事だけど……)
 一先ずは帰ろう。ボクの家へ。
 罪悪感を伴うのは事実だ。だけど何かしてしまえば、今の均衡は崩れてしまう。
 もう暫く、もう暫くだけ……今のままでいられたら。
 気付けばボクは、奥底で蠢く不安な気持ちを振り切るように教室を後にしていた──。


「B組の図書委員、いるか?」
 放課後の教室。帰り支度を済ませてはいたものの、陽はクラスメート達と長々と談笑をし
ていた。
 そこへ淡々とした口調で聞こえてきた声。振り返ってみると、そこには図書委員会の顧問
でもある教諭、小野寺が教室の入口から顔を覗かせているのが見えた。
「あ、はい……。何でしょうか?」
 級友らに断わってその場を離れ、小野寺の下へ。
 すると薄眼鏡の鏡面を夕陽に反射させながら、彼はもう一度室内を覗いてから言った。
「……もう一人はどうした? 確か、水上だったと思うが」
「はい。え~っと……」
 言われて、陽も振り返って教室の中を見渡してみた。
 だが既に席に当人の姿はなかった。鞄も見当たらない。視線を移して他に居残っている女
子達を見遣ってみたが、やはり見当たらない。……そもそも彼女の性格から言って好んで皆
と交じるような真似はしないのだろう。
「凪っちならいないよ~?」
「ホームルームが終わってすぐ出て行っちゃったみたい。図書館じゃないのかな?」
 そんな陽と小野寺のやり取りを見ていた女子集団の中心にいた二人──紗江と都が陽に向
けてそう教えてくれた。周りの女子達も何人かコクコクと頷いている。
「いや……。私も先程まで図書館にいたんだが、水上は見かけていないな。一応中をぐるっ
と回ったから間違いないだろう」
「そうですか。う~ん、じゃあもう帰っちゃったのかな……?」
 だがそれも小野寺の証言もあって違ったようだった。
 陽はぽつりと、誰にともなくそう呟く。確か彼女は特に部活に入っていると聞いた事もな
いし、自分と同じく委員の仕事が入っている訳でもない。だとすればやはり既に帰宅してし
まったと考えて差し支えないだろう。
「そうか……。なら真崎、頼みがあるんだが」
「? はい」
「これを水上の家まで届けてやってくれ。来週の会議で使う資料だ」
 すると、小野寺はそう言って小脇に挟んでいた茶封筒から冊子になったプリントを取り出
し、陽に手渡してきた。陽はそれを受け取るとざっと軽く目を通しながら答える。
「それは構いませんが……。でも僕、水上の家って知らないんですけど……?」
「なら担任に訊けばいい。クラス名簿を持っているだろう?」
「あぁ……はい、分かりました」
 そういえばそんな物があったっけと今更に思い出し、陽は控え気味に頷いていた。
 そんな彼に、小野寺は「まだ他の組の委員にも配るから」と事務的に言い残してそそくさ
とその場を後にしていってしまう。
「……。先ずは國定先生を探さないと……」
 そして暫し渡された冊子を片手に突っ立ってから、陽ははたとその場で踵を返す。

「……水上の住所?」
 運良く國定はあっさりと見つかった。
 放課後の職員室の自分のデスクで、彼は饅頭を片手に頬張りながら書類仕事をしていた。
「はい。実は……」
 相変わらずダウナーな感じの先生だなぁと思いつつも、陽は先程の冊子も見せてつつ彼に
ざっと事情を説明する。
「なるほど、委員会の会議の冊子かぁ。ん……、ちょ~っと待ってな?」
 齧りかけの饅頭の残りを一気に口に中に放り込むと、國定はのんびりとした足取りで何故
かそのまま席を立ってしまった。クラス名簿は自分のデスクには無いのだろうか?
 とはいえ、待てと言われたのでその場にいるしかない。
 学生とは違う大人達の忙しさの雑音。その妙にそわそわして落ち着かない中で暫く待って
いると、ややあって職員室の向こう、一枚分厚めの扉の隣室から國定が戻ってきた。
 行きと同じくゆたりと気だるいペース。だが今度はその手には「2‐B」のタグが下がっ
た鍵が握られていた。陽がそれを見下ろす中、彼は自分のデスクの前まで来るとひょいっと
腰を落とし、デスクの引き出しの一番下──おそらく最も容量の大きい引き出しの鍵穴にそ
の鍵を通して開け放った。
「ん~っと、クラス名簿クラス名簿っと……」
 引き出しの中にはこれまた分厚めのファイルが詰められている。
 おそらくは名簿などの重要書類を保管しているのだろう。確認するようにファイルの帯を
なぞってから、國定は一冊の事務ファイルを取り出して椅子に腰掛け直した。
「水上の家は……扇町だな。扇町三丁目」
「扇町……。繁華街の裏を抜けた先か……」
 クラス名簿を片手に調べてくれた國定の返答に、陽はぽつりと呟きながら頭の中で星峰の
地図を展開してみる。自分の家がある西本町は星峰でも西の方、対して扇町は東に位置して
いる。星峰の繁華街(宮座町など)は街の中央を東西に貫くような形だ。
(という事は、ちょうど学校(ここ)を挟んで家と真反対の方向なのか……水上ん家って)
 なので、どうやら帰りがけに寄るという形は取れそうもない。
「よし。じゃあ住所のメモと……簡単に地図書いといてやるよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
 そうしている間に國定はメモ用紙を千切り取ると、そう言いながらペンを走らせていた。
 それを暫し待ちつつ、陽は若干持たぬような間を繕うように試しに訊いてみる。
「それにしても……クラス名簿って紙台帳だったんですね。てっきりパソコンに入っている
ものだと思ってました」
「あ~、まぁそうかもなぁ。だけどよ、何でもかんでもデジタルにしときゃいいってもので
も無いんだろ。こうしてアナクロな方が外に漏れにくいって事もある。今はハッカーだの何
だのってのが普通になっちまってるからなぁ……。きな臭い世の中になっちまったもんだ」
「……そう、ですね」
 それは一理あるかもしれない。データベース化されていればハッキング等で情報をコピー
される危険があるが、紙台帳ならそれ自体を守れば大丈夫だ。さっき隣室から専用の鍵を受
け取って来たのも、教員とはいえ無闇に外部に持ち出されないようにしている策の一環なの
だろう。
「ほらよ、配達しっかりな。道に気をつけろよ」
「はい。ありがとうございます」
 ややあって陽は國定からそのメモを受け取る。
「へっ……一々畏まり過ぎだっつーの。ま、いーけどさ……」
 國定はそんな教え子に気だるい雰囲気を残した苦笑を漏らすと、静かに茶を啜っていた。
(──う~ん……。扇町三丁目、二十五の四……二十五の四……)
 そうして学校を後してから数十分後。
 陽はメモを片手に住宅街──普段は滅多に通らない街の反対側までやって来ていた。
 やや広めの道路の脇に建ち並ぶ住宅。陽の暮らす本町方面は比較的昔ながらの家屋が多い
が、こちらは繁華街とのアクセスが容易な事もあって現代風の家並みが続いているように思
える。時折散歩中の町内の人々に軽く会釈をしながら、陽は電柱などに書かれている地名と
手にしたメモの住所を照らし合わせながら凪の自宅を目指していた。
(それにしても……。頼まれごととはいえ、水上の家かぁ。何だか緊張するな……)
 歩きながらふと何度目かのそんな思考が過ぎる。
 思えば、クラスの女子の家に行くなど初めてに近いのではないだろうか。
 翼の家ならば昔から何度もお邪魔したものだが、そもそも彼女はクラスメート以前に幼馴
染であり、同時に翔の家でもあるのだから実質カウントにはならないだろう。
 もう水上は帰宅しているのだろうか……?
 陽は自分の鞄の中にしまった件の冊子を鞄の外からそっと握り締める。
「……ここか」
 そうして辺りをうろうろしている内に、陽は何とか住所通りの場所にやって来れた。
 念の為近くの電柱と、門柱に取り付けられた「水上」と彫られた石材のプレートでもう一
度確認してみる。……間違いない。ここが凪の家のようだ。
(思ってたより大きいな……)
 水上邸を見上げつつ思ったのは、先ずそんな印象だった。
 モダンな建築様式の三階建て。周りの住宅の中の一つという事もあるのかもしれないが、
特に目立った意匠がある訳ではなかった。しかし何処となく家全体に気品ある佇まいがある
ように思えた。
(確か、水上ん家って骨董屋さんだったよね。……もしかして実は結構お金持ち?)
 とはいえ、そんな事を思って突っ立ったままでいる訳にもいかない。
 暫し水上邸を見上げていた陽だったが、はたと本来の目的を思い出すと一歩前に進み出て
いった。緊張する。だがとりあえず家の人を呼ばなくては……。
 そして陽がそっと表札の下に設けられているインターフォンのスイッチを押そうとした。
 そんな時だった。
 陽がスイッチに指を伸ばしていた次の瞬間、不意に玄関のドアが開いたのだ。
 そしてそこから姿を現したのは……制服姿のままの凪。
「あ、水上ちょうど良かった。あのね──」
 これはちょっぴり助かったかも。陽は思ってそう呼び掛けようとした。
 だが、凪はそんな言葉にまるで耳を貸していなかったのである。
 次の瞬間、陽の目に映ったのは三段跳びの選手よろしく玄関ステップを跳び、更に陽の傍
らの柵をガードレールを跳び越える凪の姿だった。
「……ぇ?」
 ふわっと、一瞬スローモーションになったかのような感覚もすぐに終わる。
 しかし次の瞬間には彼女は、視界に映っていた筈の陽を一顧だにしないまま道路に着地す
ると、そのまま何処かへ猛スピードで走り去って行ってしまったのである。
「…………。あ、あれ……?」
 つまりそれは陽が無視されたような、取り残されたような形で。
 陽はぼんやりとただ凪が走り去っていた方向を見つめるしかなかった。
(何だ……?)
 正直、陽は一体何が起きたのかよく分からなかった。
 ただ確かなのは凪が何処かへ走り去って行ってしまった事と、
(……どうしたんだろう? 玄関も開けっ放しにしちゃって……)
 ゆっくりと開け放たれた余韻を残して閉まろうとする玄関扉があるだけ。
 何か急用でもできたのだろうか?
(仕方ない。プリントは家の人に渡しておくか……)
 陽はそう思い、改めて誰か家人を呼ぼうとした。
 ちょうど、その時だった。
「──陽、君……?」
「えっ……?」
 不意に背後から聞こえてきた、聞き慣れた戸惑いの声色。
 その声に陽が思わず弾かれたように振り返ると、
「どうして、此処に……」
「……」
 そこには驚いた様子で目を丸くしている妃翠と、そんな彼女の傍らで小さく眉根を上げて
いる耀金の姿があったのだった。

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  1. 2011/04/28(木) 20:30:00|
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自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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