日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)喰われるセカイを見つめて

三月になりましたね。こんにちは、長月です。
先日、畦道を歩いているといつの間にかあちこちに若葉の緑が顔を覗かせていて、大寒波だ
の何だのと言っても春の足音は確実に近付いているのだなぁと感じました。

既に今月に入ってから三題二本と短歌、落書き記事を一つ(新分類として)更新しています。
……そろそろ、長編の方の執筆も始めないと日数が減ってくるんですよねぇ。なまじ今月は
少し遠出の予定があるので(気持ちの切り替え的に)尚更にφ(=_=;)
また、次の更新を以って『死に損いデッドレス』は完結──もとい「第一巻完」的に一先ず
の〆を迎える予定です。これまでの章も含めプロットは一通り組んでありますし、なるたけ
良いピリオドを打てるといいのですが……。
(というか、いい加減長編を同時併行するのはしんどいのでして_(:3 」∠)_ キャパタリナス)

あれだけ寒い寒いと炬燵にもぐっていたのに、また一つ季節が巡ろうとしています。
一体、自分はどれだけ変われたのでしょう?
或いは──どれだけ変わらずにいられたのでしょう?


既にご存知の方も多いと思いますが、変わるといえばTPP(環太平洋連携協定)にとうとう
日本が参加しそうな勢いなんですよね。
確か、選挙公約の中には慎重姿勢である旨が記してあった気がするのですが……(憤
まぁ今やマニフェストなど所詮は詐欺フェスト、と揶揄されるくらいではあるとはいえ。

マスコミの日々の報道では、農業業界が反発している、という報じられていますが、TPPの
本質はあくまで“他国が張っている障壁の撤廃”なんですよね(※ここ重要)
これには農産物やら車などの財商品は勿論、医療制度や文化法制などといったサービス商品
に対する開放・改革を迫る内容でもあるのです。
反TPP──という表現は如何にも「異分子」扱いで癪なんですが──の主張は既にあちこち
で展開されているので詳しい事はそれら専門家の方々に委ねるとしますが、それでも僕個人
としての憂いがなくなった訳ではありません。
一つに、いざ医療にも障壁撤廃──その実、アメリカナイズの食指が及べば今までのような
国民皆保険が解体(民間保険会社の台頭)され、自分のような病気持ちの負担が跳ね上がる
可能性がありますし、いち創作人としても米国的な著作権の非親告罪化・表現規制の厳格化
などによって、いい意味でも悪い意味でも“奔放”な表現の豊かさが損われる事態も危惧さ
れます。
そして何よりも……僕が不信感を抱くのは、何も今回だけに限らぬ政治模様とはいえ、こう
した多方面に個々に及ぶ物事こうも説明不足とごり押しで決められているように感じられて
ならないという点であって……。

もしかしなくても裏側で政治的な駆け引きがあるのでしょう。Aの為にBを切る、といった
判断の応酬も少なからず成されているのだと想像します。
しかし、だからこそ、なのですよね。
素人考えを承知で綴るつもりで筆を執っていますが、そもそも何故そこまで国の境目を飛び
越え払い除けてまで経済(ひいてはそれを梃子に政治的)版図を維持・拡大しなければなら
ないのでしょう? 某中華な国の海洋進出などには非難を浴びせる一方で、他国を覆う差異
の壁をぶち壊してまで自分達の商品を注ぎ込もうとする行為はまるで棚に上げるかのよう。
“侵入”という意味で、僕にはどちらも同じ根っこを持っている(手段が違うだけである)
気がしてならないのです。
勿論、開放・改革の全てが悪いというのは極論なのでしょう。
ネット上で交流のあるとある方も『身内に輸入をやっている人がいるから正直複雑』という
声も聞きました(僕の“アベノミクス=国内の金回り加速策、なのに、TPPで輸入品が流れ
込んできたらお金が外国に出ちゃわない?”といった発言に対して)。

何かをすれば(しなければ)得られる何かと、失う何かがある──結局はそんななぁなぁで
この不安を凡庸な素人の詮無いものだと哂うしかないのか……。
だけども、僕にはずっと違和感があります。
それが資本主義だと言えばそれまでではあるのですが、販路の為に世界のあちこちへと飛び
出していき、グローバル経済だの自由貿易だのという錦の御旗の下にセカイ達を喰い潰して
いくかのような……そんな巨大な暗がりへの恐怖や怪訝。
学生の頃、僕は「世界経済はその内、全ての地域を食い潰してしまうんではなかろうか」と
いう疑問を同じゼミの面子に投げかけたことがあります。
返ってきた反応は──冷笑でした。
曰く「そんなの当分先のことだ」とか「それまでに販路は新しく掘り起こされるよ」という
ある種の楽観論が殆どを占めていました。
でも、その時の如何ともし難い腑に落ちない感触は、今でも記憶に残っています。
……杞憂なのでしょうか? 彼らの言う通り、セカイはこれからも“成長”に邁進し続けら
れるのでしょうか?
僕は、どうにもそうは思えません。
TPPという話が出てきたのだって、そもそも「中々儲からないからてめぇの所もっと開けろ」
を実現させしむのが目的なようにみえますし、だとすれば世界経済はそれだけ(売る側から
してみれば)飽和状態にあるのだということの裏返しになるのではないでしょうか。

……どうせ嫌儲だのネガティブ論者だのと哂われるんだろうなあ。
だけど、少なくとも今のご時世をポジティブに肯定する気にはなれないと思うのですよ。
経済だけじゃない(というより、経済が引き金になっている例も多いですが)。政治にしろ
文化にしろ、どうにもきな臭い風潮がぷんぷんとする。
“真面目に”働いても儲からない、生活がよくならない。
でも“小賢しく”稼いでる人間や特権的な領域に登り詰めてぬくぬくとしている人間はいる。
だからこそ、妬ましい。羨ましい。何故自分ばかりこうもしんどい目に遭わねばならぬ?
と、そんな私怨が蓄積された末、いざ何か社会の抱える問題が露呈した時、往々にして人々
はそうした黒いエネルギーを件の「悪者」へと無遠慮にぶつけ始める。……その行為自体も
また「悪」たる素地をふんだんに持っているであろうことに、気付かず認めようとせず。

時折僕が口にする、カネモウケは嫌いだ、というのはこういうことなのです。
それは即ち、誠と義をかなぐり捨ててでも利益を求めて跋扈し、世界を人々を貪っていく事
がどだい多くの人々を荒ませる──諍いや怨憎を増やす大きな元凶ではなかろうかと考える
ということなのです。
先日、取っている地元紙でとある若手のノンフィクション作家さんがインタビューに答えて
こう語っていました。
『だらだらと延命策を打たないで、いっそ一度破綻させてしまった方がいいと思うんです。
そうでもしないと、後から生まれてくる者が苦しむばかりなんですよ』
“前向きなネガティブ”──紙面ではこの方をそう表現していました。
ご自身も長く派遣労働の決して良好とはいえない労働環境を経験してきたが故の、今という
社会のシステムが抱える決定的な綻び、それを一から正そうともしない世界への絶望。記事
を読んでいるに、僕はそんな彼なりの強烈な憂いをみた気がします。

「開く」ことは必要です。己を高めんとする限り、閉じ篭もった自己完結を続けるよりは。
でもそれもやはり程度もの、ケースバイケースではあって、開かれた中へ悪意を投げ込んで
くる者までをヘラヘラと迎え入れるのは間違いなく愚策である筈なのです。

僕はどちらかというと、その思想はネガティブな部類だと思います。
世界はそう公正明大ではなく、いつかはどうしようもなく壊れて消えていくものだと思う。
でもだからこそ、それまでは泥臭く抗い、高潔に生きようとする──或いはそうはお世辞に
も為れず、己の腐食を知りながら煩悶する姿に、僕はヒトの豊かさと愛おしさをみる──。
……なんて言い方をすると、随分と上から目線だなと思われるのでしょうけど。

小奇麗に閉じていたって、いいじゃないか。
何事も程度物であって、領分たるものを蹴り飛ばしてまで求めるのはどうにもみっともない。
どうか。どうか。
そう徒に、目先の利益(いま)という為だけにセカイを食い潰さないで欲しいと願うのです。

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  1. 2013/03/07(木) 12:00:00|
  2. 【雑記帳】
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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