日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)死に損いのデッドレス〔3〕

 少女(かのじょ)の姿が落ちていった。
 振り向き叫び、手を伸ばしても、阻む残党らにその距離すら埋めることができなかった。
「……ッ」
 殆ど無意識のままに、デトは深く眉間に皺を寄せていた。
 賊達にとってもこの事態は想定外だったようで、少なからぬ面子が思わずエリスの落ちて
いった崖の方に眼を遣っている。
「──せろ」
 だがそれは、彼らにとって決定的な隙となった。
「失せろ、この賊どもがッ!!」
 刹那の怒声と同時に視界を染めたのは、文字通り焼けるような赤。
 炎が渦巻いていた。デトを包囲しようとしていた彼らの隙間を縫うように、真っ赤な炎が
生き物のように幾重にも奔り始める。
「ひっ……!?」
「これは、輝術? まさか……そんな」
 賊達が思わず後退る。その退きを突くように、デトは一歩二歩と足を踏み出していた。
 炎は彼の掌から生み出されていた。
 明らかに自然発生的なものではないそれ。術の心得がある賊が震え声で呟くが、その表情
には驚きと畏怖が混在しているように見える。
「……」
 嗚呼、そうだ。
 何を躊躇うことがある? これまでも自分は“自分達”の為にこの力を振るってきたじゃ
ないか。今更「化け物を見せたくない」だなんて、温い……温いんだよ。
 守れなきゃ、意味が無い。
 あの娘(こ)一人を守れないようで、何が不死身の男だ──。
 バチンと炎を纏った指先を弾く。
 するとそんなデトの意思に操られるかのように、生み出された猛火は一斉に明確な攻撃と
為って賊達に襲い掛かった。
 《火炎》の輝術。
 本来は火を熾す効用だけのそれも、術者の力量次第では一発逆転の攻撃力へと変貌する。
「ぎゃあッ!?」「熱っ、焼け──」
「に、逃げろっ! 死に損い(デッドレス)の本気だ!」
 炎に巻かれ──実際に三人ほどがそのまま消し炭になって、賊達は逃げ出していた。
「今更……ッ!」
 その撤退を、炎が両者を分断したのを確認して、続いてデトは後ろへ振り向きざまにもう
一発と《火炎》を放った。
 一時はサヴル達に迫ろうとしていた伏兵達。
 しかし彼らもまた炎に巻かれ、これは敵わぬと言わんばかりに散り散りになりながら逃げ
ていく。
「……た、助かったみたいですね」
「ああ」
 暫くして、賊達の姿は完全に見えなくなった。
 ホッと胸を撫で下ろすサヴル隊と、細剣(レイピア)を鞘に戻しそっと眼鏡のブリッジを
押えているロッチ。
 だがそんな仲間達の反応もそこそこに、デトは一人真っ直ぐエリスの落ちた崖の際に立つ
とその眼下を覗き込む。
「……下は森か」
 限界線を隠す茂みを掻き分けた視線の先。そこには眼下に遠く、辺り一面に広がる森林が
映っていた。
 その様子を見て、デトは内心静かに希望を見出す。
 下が森なら地面に叩き付けられて即死、という可能性は随分と減る筈だ。……とは言って
もこの高さだ、全くの無傷で済むとも思えない。
「エリスちゃん、大丈夫ですかね?」
「上手く森がクッションになってくれていればいいんだけど……」
「……」
 やや遅れて倣うサヴル達も同じことを考えたらしい。
 しかしデトは真剣な表情を緩めない。心配そうに呟き覗き込んでる彼らを余所に、今度は
ゆっくりと後退して軽く助走を取り始める。
「デ、デトさん?」
「エリスを捜してくる。お前らは別のルートを見繕っておいてくれ」
 何をしようとしているのか、サヴル達にはすぐに分かった。
 思わず留めようとする複数の声。だがそれでもデトは止まらず、ぽつとそれだけを言い残
すと彼らの横を駆け抜ける。
「──」
 収まった炎の臭いと風を切る音、仲間達が呼ぶ声。
 それらをあっという間に背後に置いて、デトは躊躇いもなく眼下の森へと跳び出した。


 Phase-3.真実を視る眼

(……んぅ?)
 目を覚ましてすぐは意識がぼんやりとしていた。
 同じく霞んでいる、薄らと開いた視界。エリスはややあって自分がベッドに寝かされてい
ることに気付いた。
 どうやら知らぬ間に眠ってしまっていたらしい。
 あのお姉さんが手を差し伸べてくれた時に語っていた通り、崖から落ちた時の怪我はすっ
かり塞がっている。《治癒》の輝術だろうか。
 そしてずっと傍にいてくれたのだろう、枕元にはチコがちょこんと座っていた。
 ペロペロと頬を舐めてくるこの仔狐の喉元を優しくもふもふしてやり、エリスはゆっくり
と身体を起こして周囲を見渡してみる。
 麻布のカーテンが引かれていたが、ここはどうやら何処かのテントの中のようだった。
(デトさん達、どうしてるかな……? また迷惑掛けちゃったな……)
 ふぅと人心地。そして次に脳裏を掠めたのは、自分の為に動いてくれた仲間達の姿。
 今頃彼らは自分達を捜していることだろう。この辺りの地理は全くもって分からないが、
早く合流しなければ──。
『チーフ~。あの娘、起きたみたいですよー?』
 そんな時だった。ふとカーテンの向こうで誰かが喋っているのが聞こえた。
 麻布越しにもぞっと動いている人影が数人。エリスがチコがぱちくりと目を瞬いてその様
子に目を遣っていると、
「よかった。目が覚めたみたいね」
 あの時のお姉さん──リノンがサッとカーテンを開けてこちらに入ってくる。
「……は、はい。その……あ、ありがとうございました」
「ふふ、気にしないで。市民の保護も職務の内だから」
 思わず緊張して応えるエリスに彼女は静かに微笑んでいたが、当のエリスは内心それどこ
ろではなかった。
 彼女が口にしたその言葉。そこに含まれているであろうニュアンスに、はたと一つの疑念
が生まれて胸奥を揺さぶられる。
「えっと……。もしかして警備隊の方、ですか?」
 エル・レイリーでの一件もありまさかとは思ったが、エリスはそう疑問形を口にした。
 彼女は今“職務”と言った。ならば何かしらの組織に属する人間ということになる。
「うーん。軍属、という点では同じかもしれないけどねぇ」
 だが彼女は心持ち視線を逸らしただけで、
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私はリノン・パーシュ。エクナート中央輝術工房
という所の主任をしているの。ラボ自体が軍の傘下ではあるのだけど、私達自身は研究者と
言った方が厳密かしら。……貴女と、その子は?」
 すぐに僅かな苦笑を交えてそう自らを名乗ってくる。
「わ、私はエリス・ハウランといいます。この子はペットのチコです」
 彼女、リノンとその後ろで「よろしく」と笑い掛けてくる面々に会釈をしつつ、エリスは
つい名乗り返してしまっていた。
 聖教国(エクナート)──フッと過ぎる嫌な予感。
 だが成り行きに流されたこともあり、ここは下手に黙り込むのは拙いと思った。
 それに怪我をしている所を助けて貰ったのに、その親切を無碍にするのはよろしくない。
 そして何度か、両者は互いに軽くやり取りを交わした。
 怪我はどうだ? 動けるか?
 大丈夫です。それより何故、学者さんがこんな所に?
「……貴女が知る必要はないわ。夜になったらこっそり人里まで送ってあげる。ここはエク
ナート軍のキャンプの中なの」
 しかし、エリスが抱いた直感は間違っていなかった。
 それとなく彼女達、そして連峰を隔てた隣国であるエクナートの人間が何故こんな場所に
いるのかを問うと、リノンは神妙に声色を落としてそんな気遣いの返事を寄越してくる。
「軍隊……」
 やっぱりなのか……。
 エリスもまた、今度はどうかデト達と鉢合わせにならないことを内心で願い、重苦しさと
不安で顔を顰める。
「い、いいんですか? エクナート軍が入って来てるって、戻ったら私、話しちゃうかもし
れませんよ?」
 だからエリスは、所々でどもりながらも追い縋った。鎌を掛けてみていた。
「……」
 だが対するリノンに動揺した様子は無い。むしろじっとこちらを見返してくる。
 しくじったか?
 そうエリスは内心で後悔──それよりもこのままこの場を脱出して、デト達と合流・報告
した方がよかっただろうかと思ったのだが。
「……死に損い(デッドレス)って、知ってる?」
 ぽつと、たっぷりを間を置いてから、今度はリノンからそう問いが飛んだ。
 声が出ない。くあっと目を見開きエリスは固まる。
 しかしそんなこちらの反応に気付いているのかいないのか、彼女は何処か遠くを見るよう
に語り始める。
「彼はね、世界中で輝術師を殺して回っている男なの。今回出撃命令が出たのも、その彼が
同盟領(トーア)領内を縦断中だという情報が入ったからで──」
 そんな時だった。突然、外から大きな物音がしたのだ。
 エリスが思わずビクッと、ベッドの上で身体を縮こまらせる。チコも何が起きたのか全身
の五感で知ったらしく、フーッと外に向かって身構え出している。
「……」
 するとリノンは眉間に皺を寄せ、そっと外へ繋がる引き戸へ手を掛けに行った。
 半開きにされ覗いている彼女と何人かの同僚達の後ろ姿。
 そうして出来た隙間から、エリスの耳には掃射と思われる銃声や重く叩きつけられる剣戟
の音が風に乗って届いてくる。
「……驚かせてごめんなさいね。前衛部隊の連中がまた忌獣退治をやっているみたい」
「え……?」
 ややあってベッドの前まで戻ってくるリノンと掛けられた言葉。
 エリスは数拍、何故そこで謝られるのか理解が及ばずにいた。
「高慢な話よ。行軍進路に塞がってくるから排除する、だなんて。忌獣だって成り立ちが違
うだけで動物なのに。縄張りが荒らされたら怒るのは同じ筈でしょう?」
 それでも、エリスには一つの確信を持つことができた。
 少なくともこの女性(ひと)は──この人達は、自分達なりの哲学がある。
 それは、所属する軍隊(そしき)とは違っていても、簡単に折られまいとする強さ──の
ようなもの。静かに彼女達を光らせている何か。
「大体、連峰を突っ切ろうってのが無茶なんですよねぇ」
「確かに地図上じゃあ最短距離だけども、わざわざ薮蛇な真似をしてちゃなあ……」
 他の術師達が愚痴り合っているのをみるに、どうやらこの軍勢の方針はごり押しのトップ
ダウンであるらしい。
 何故か? 答えは明らかだ。
 デトさん──死に損い(デッドレス)を逸早く捕らえる為なのだろう。
 サヴルさん達の調べでは帝国(ガイウォン)軍も動いている。それをエクナート側が把握
していればこの強引な行軍にも納得がいく。
「……やっぱり、皆さんもその人と戦うんですか?」
「ええ。大人しく捕まってくれればそれに越した事はないんだけど、相手が相手だから。そ
の為にここまで軍勢を組んでやって来ている……それが本国の方針」
 気をしっかり持っていないと、胸が塞いで真っ暗になってしまう。
 エリスはおずっとリノン達に問うた。それをこの近隣が戦場になることを憂いているとで
も解釈したのか、彼女は少し躊躇いを垣間見せながらも「ごめんなさいね」と正直に答えて
くれる。
「死に損い(デッドレス)──。本当ならその不死身の怪物の謎も、じっくりねっとり調べ
たい所なんだけど……」
 だからこそ、余計に気持ちが前にのめってしまっていたのかもしれない。
「デトさんはカイブツなんかじゃないっ!」
 次の瞬間、自身の理性が気付くよりも早く、エリスは何気なく呟かれたリノンの言葉に対
してそう叫ぶような訴えを吐き出していた。
 思わず呆気に取られ、目を見開いている彼女達。ハッと我に返り慌てて口を塞ぐエリス。
「……駄目じゃない。ボロを出しちゃ」
 たっぷり数十拍の沈黙。
 だがそれを、くすっと笑って破ったのはリノンだった。
「もしかしてとは思っていたけど、やっぱり貴女はただのいち市民って訳じゃなさそうね」
 今度はまた別の意味で固まるエリス、そして他の術者達の頭上に浮かぶ怪訝。
「もっと……突っ込んだ話をしましょうか?」
 片膝を乗せられ、ギシッと小さく音を鳴らすベッド。
 何処か蠱惑的な笑みでそっと詰め寄ってきながら、彼女はそうエリスに語り掛ける。


 ガサリと踏みしめる地面は、思いの外厚みの感触を伝えていた。
 ただ草木が繁茂しているだけではない。森の中ということもあって、この辺りは落ち葉も
大量に積もっているようだ。
 これなら充分クッションになるか……。
 そんな思考を頭の片隅でしつつ、デトは一人、より枯れ色が多くなった山野の中を歩く。
 当たり前といえば当たり前なのだが、周囲に人の気配は感じられなかった。
 それでもデトは折れた樹や倒れた草むらを見つける度にそこへ近付き、じっと目を凝らし
てエリスの足取りを見つけようとする。
(一体何処に行ったんだ……?)
 ちらと頭上を見上げ、ついと片眉を上げつつ思う。
 落ちた場所は、多少の誤差はあってもこの辺りの筈だ。なのにあの子の姿は見えない。
 あちらも自分達と合流しようと動いているのだろうか?
 だとすれば怪我も動ける程度のものと推測できるが、すぐに楽観視もできない。
 ここは人里とは違うのだ。野生動物──そして忌獣も、この山中を飼い慣らされない荒々
しさで闊歩している。
 何より今は、エクナート軍が居る。
 まさか馬鹿正直に素性を打ち明けはしないにしても、実際にあの子が彼らと遭遇してしま
えば、状況はまた一つ悪くなる事は間違いない。
「──ッ」
 だが……物事というものは往々にして負から負へと流れるものだと思い知らされる。
 それから暫し歩を進めた先で、デトはついにそれを発見した。
 不意にだだっ広くなっている空間。繁茂している草木が除かれ、円状に地面が見える様子
が広がっている。
 既に人の姿は無かったが、デトはすぐに悟った。
 これは陣を張った跡だ。既に別の場所へ進んで行ったらしくテントなどの人工物はなくな
っているが、不自然に排除された枯れ色交じりの緑は静かにそしてはっきりと語っている。
(もしかしなくてもエクナート軍、だよな……)
 近隣の猟師達にしてはこの痕跡は規模が大き過ぎる。流石に一旦除去した草木までは戻せ
なかったようだが、それ以外の処理は徹底していることからもプロ──軍隊や傭兵の類であ
ることが分かる。
 念の為、デトは陣だったろうこの場を調べてみることにした。
 辺りにはゴミ一つ落ちていない。掘ったが故に土の色が少し変わっている点で辛うじて判
別できたものの、方々に設営したテントの杭痕もしっかり埋め直してある。
 戦のプロだから……といっても、一番の理由はトーア諸候──否、レイリアやガイウォン
を刺激することを避けるためだろう。サブル達の調べでは既に諸候らに外交圧力を掛け始め
ているそうだが、こうした力業が先んじて明るみに出てしまえば政治的には十中八九不利と
為るからだ。
「……」
 もう一度、デトは目を瞑って辺りを探った。
 物理的な視界を遮断し、代わりに現れるのは黒の中に浮かび上がる多種多彩な色。
 先ずは自身の奥底。即ち無数に抱える生命のゆらぎ。
 その感覚を梃子に意識を広く遠くに拡張していく。
 淡い緑色のエネルギーの群れ──周囲の木々の息遣いが最初、デトを包んでいた。
 次いで確認できたのは赤く散在している影。これはこちらを窺っている野生動物だろう。
 そしてややあって、デトは瞑ったままの目に力を込め、眉間に皺を寄せた。
 青黒く、そして今にも消え去りそうな色が視える。
 感覚の視線をそこへと向けて集中させてみる。こちらには点在した──亡骸があった。
(……。忌獣か)
 数歩そちらへ踏み込んで一旦目を開け、茂みの中を確認する。
 銃弾や剣戟を叩き込まれたのだろう、そこにはボロボロに倒された忌獣の群れが捨てられ
ていた。
 見ればここもまた、陣ほどではないが人が分け入った痕跡がある。
 デトは不快さに顔を顰めた。これはおそらく、エクナート軍が行軍に邪魔だと忌獣達もろ
とも蹂躙した跡だ。……そこまでして、急ぎ連峰を突っ切ってまで、自分を捕らえようと躍
起になっているのだろう。
 もう一度、目を瞑り生命のゆらぎを色として感じ取る。
 痕跡の方向から遠くに遠くにと延ばすと、ようやく見つけることができた。
 大人数の赤黒い色彩。間違いない、この先をエクナート軍が進んでいる。
(……ん? あれは……)
 そしてデトはその中に覚えのある感覚を見つけたのだった。
 黄色く温かな色彩。小動物のようなサイズ。
 あれは……チコか? ならその隣にいる小柄な人影は、エリスか?
「……ちっ」
 デトは思わず小さく舌打ちをして目を開いていた。
 拙いことになった。まさか本当に連中に捕まっているなんて……。
 すぐに追い掛けようかと思った。だが両脚が言う事を聞かない。
 賊程度ならまだしも、相手は軍隊──自分を屠りに来ている軍勢だ。そんな連中と真正面
からぶつかって「エリスを無事助け出すこと」が、自分にはできるのか?
 ただ自身が生き残るだけならば可能かもしれない。しかし誰かを守りながら戦うとなれば
その難易度は途端に跳ね上がる。
 自分のように“残機”を持たない彼女を、そんな死地に追い遣る訳にはいかない……。
(焦るな。あいつがボロを出してなきゃ、俺との繋がりまでは知られていない筈だ)
 足音を殺し、そっと半身を返そうとする。
 だが肩越しでは相変わらず、エリスとチコが囚われた──と思われる方向から視線が外れ
ない自分がいる。
 出し惜しんだ所為で、このざまだ。
 もう元には戻らない俺達の生命とごく平凡だった筈の少女の命……どっちが重い?
「──デトさ~ん!」
 唇を結び、後悔が打ちつける痛みを堪える。
 サヴル達が追い付き、来た道の向こうから駆けつけて来たのはちょうどそんな時で。

「……そうですか。エリスちゃんが、エクナート軍に……」
 合流したデト達は一旦山を下りることにした。
 地図上で確かめるに、現在地はトーア諸候の一人・ファージ領の北西。
 できるだけ人目につかないようにと山際の雑木林の中に身を潜め、デトはサヴルやロッチ
らに先程までの捜索で掴んだ内容を報告する。
「申し訳ありません。私どもがついていたというのに」
「……お前が謝ることじゃねぇよ。力を出し惜しんだ俺のミスだ」
 眼鏡の奥に瞳を隠して、ロッチが静かに詫びていた。
 だがデトは、見上げた視界を覆う木々と天頂を過ぎた陽を見つめたまま、そう淡々と返す
だけだった。
 誰の落ち度か、ではない。
 今自分達がすべきことはあの子を助け出すことだ。
「サブ。お前達に調べて欲しい事があるんだが」
「エクナート軍(れんちゅう)の戦力規模、ですね?」
「ああ、それもあるが……。何より今の段階で奴らにエリスの素性がバレていないかを確か
めてきて欲しいんだ。もうバレて──俺達を釣る捕虜(えさ)にされてりゃ一刻を争うし、
そうじゃないなら向こうも迷子の市民って対応をするだろう。願わくばそっちの状況であっ
て欲しいしな……。穏便に済むならそれに越した事はない」
「了解ッス。では早速──」
 見上げた視線を戻してサヴルに向き直り、デトはそう指示を飛ばした。
 持つべきは交友のある味方であろうか。
 エリスの身を案じていたのは彼もまた同じだったようで、これを二つ返事で引き受けると
すぐに部下達と共に姿を消す。
「……少々驚きました。貴方の戦闘能力なら今回の討伐軍を滅することもできましょうに」
 雑木林に差し込んでくる昼下がりの日差しさえ、何処か遠くのものに感じられた。
 サヴル達が去っていった後に流れる暫しの沈黙。
 それをそっと破るように、ロッチはその方向を眺めたまま佇むデトの背中にそう静かに声
を投げ掛ける。
「別にドンパチやるのが目的じゃねぇだろうよ。こっちの目的はエリスを故郷まで送り届け
てやることなんだ。その当人を戦闘に巻き込んでどうする?」
 ちらりと肩越しに、デトは細めた眼でロッチを見返していた。
 ……確かに、今までの自分はよからぬ企みを抱く輝術師の存在を見つけては潰してきた。
そうした経験量からしても、防衛戦より攻城戦──それも多くは潜入・奇襲という形での戦
いが大半を占めている。
 だがそうした戦い方が出来たのは、ひとえに自分以外に守るものがなかったからだ。
 どうせ自分は──何度でも死ねる。
 元より“罪人”扱いされた身で傭兵(たにん)を雇うのが難しいという事情も相まって、
ずっと自分はそれでいい、結局の所足手まといが増えるだけだと突っ撥ねていた。
「俺だって好きこのんで殺し回ってるつもりはねぇよ。研究資料を全部ぶっ壊すとか、直接
やり合わずに済むんなら多少面倒でもそっちを選ぶ」
「……」
 しかし、それでも全身を打つ虚無感が消え去る訳ではない。
 そういえばあの子にも以前、似たような気持ちを漏らしたことがあったっけ……。
 肩越しの視線を逸らして、デトは再び雑木林の向こう側を眺め始める。ロッチはそんな後
姿を、ただ光を反射する眼鏡越しに見つめている。
「そこまで……。やはりあの娘(こ)は──」
 ぽつりと、ロッチは心持ち顔を上げてからそんな呟きを漏らした。
 だが今度は振り向くこともなく、デトはただじっとその場に佇んでいる。

「──死に損い(デッドレス)を見つけただと!?」
 その頃、ファージ侯爵の屋敷では主たる侯の驚愕が室内に響き渡っていた。
「は、はい。と言っても足取りが、ですが……」
 思わずデスクから身を乗り出し迫る彼の、正装に詰め込まれた筋肉質な長身。
 そんな体躯も相まって、ビクリと半ば反射的に、報告に来たこの部下は一瞬縮こまる。
「昨夜、ユリエル領内の宿に彼とその同行者と思しき一行が宿泊していたとの報告が、先日
より遣らせていた密偵の一人から……。どうやら今朝早く登山道に入ったようです」
「登山道……? 連峰経由で人目を避ける気か……」
 眉を顰めながらそっと座り直して、ファージ侯はそう誰にともなく呟いていた。
 どうやら向こうも、自分達が捕獲に動いていることを嗅ぎ取ったらしい。
(これは、ますます拙いことになった)
 ガシガシと髪を掻いて、彼は溢れ出しそうな嘆きと怒りを必死に堪える。
 何を隠そう、既に以前から死に損い(デッドレス)出没の情報は寄せられていたのだ。
 世界各国から目の仇にされる大罪人、不死身の男──その身柄確保は今や“正義”である
ことは揺るがない。加えて今回に至っては聖教国(エクナート)に帝国(ガイウォン)とい
う、世界屈指の大国までが軍勢を動かしてきている状況がある。
 それだけを聞けば、あの男もいよいよ年貢の納め時だと思うかもしれない。
 だが違うのだ。現実の正義とはそこまで清廉なものではない。
 他の諸侯も気付いている筈だ。もし同盟領内で奴を取り逃がす失態を犯せば、あの大国ら
は自分達を責めるだろう。「大罪人を野放しにする土地」とのレッテルを世界中にばら撒く
だろう。何より……必死に独立を保ってきたこの地のパワーバランスが大きく乱される。
 実際既に、両国の外交ルートから早急なデッドレスの引渡し要請が来ている。状況によっ
ては、共同で捜索に当たる準備もあるとも付け加えられている。
 領主団連名により「我々も逮捕に尽力する」との返答は出しているが、果たしてあの不死
身の怪物を捕らえられるものなのか……?
 つまり連中は、始めからデッドレス捕獲という大義名分を以ってこの地に自分達の影響力
を残さんとの腹でやって来ているのである。
 だからこそ、一刻も早くあの男(やくびょうがみ)を何とかしなければならない──。
「……この情報、盟主には?」
「正式にはまだ届けられていません。もしそうなら、今頃山狩りになっているでしょうし。
他の諸候方も、情報の裏付けを取っておられるのではないかと思われます」
「うむ……。大方そんな所だろうな」
 大きく嘆息を砕くように深呼吸をし、侯は「如何致しましょう?」と待機していたこの部
下とそんなやり取りを交わす。
 ならまだ、状況は一段の悪化へと進む数歩前だと言える。
 隣接するユリエル領から登山道に入ったとなれば、今頃この領内にいる可能性が高い。
 功名心などではない。だが今ここで、この周辺の状況下で見逃せば、攻撃の矢面は間違い
なくこの自分に集中してしまう。
「密偵達にこの情報は外部に漏らすなと伝えろ。あと捜索に供与している兵を倍に増やす。
屋敷の傭兵どもも使うぞ」
「はっ……。すぐに」
 ようやく指示が飛び、部下の官吏は恭しく一礼をして承ると、サッと踵を返して執務室を
退出して行った。彼を基点として、屋敷内の全ての文官・武官達にその旨が伝えられる。
(まったくとんだ疫病神だよ──死に損い(デッドレス))
 暫くして、ドタドタと敷地内を兵らが出撃していく足音が聞こえる。
 その様子を、ファージ侯はデスク横の大きな窓辺から見下ろして言葉なく唸る。
『──』
 敷地を縦横に走る石畳の上を往く侯傘下の軍勢たち。
 その中には、刀や矛を引っさげた異国装束の一団が交ざっていた。


 稜線の内側へ茜色に湾曲した太陽がゆっくりと沈んでいく。
 ここエクナート聖教国とトーア同盟領の国境砦は、まるでこれから戦争が起こるとでも言
わんばかりの慌しさをみせていた。言わずもがな、デッドレス討伐の為である。
 トーア側の捜査では、彼は数名の同行者と共に連峰山中に入ったという。
 しかしそれからたっぷりと半日強が経っても、諸候らはその後の足取りを掴むことができ
ないでいた。
 故に業を煮やした──いや、これを待っていたエクナート側の討伐軍がトーア軍と合流、
共同戦線を張る運びとなったのだ。
 密偵達の調べから、彼の進路は最後に出没したユリエル領内の宿から隣のファージ領だと
推測される。よって両軍は、ファージ領内にあるこの国境砦を拠点として大規模な山狩りを
行うことにしたらしい。
「……」
 本営内に多数張られた軍のテント、煌々と焚かれた篝火、そして忙しない軍靴の足音。
 そんな兵らの気配を、エリスは身を潜めるテントの中からじっと窺っていた。
「デトさん達、大丈夫かな……?」
「キュ、ゥ~……」
 思わず漏れたのは、嘆息と憂慮。
 いくら自分達が戦場とは無縁な生活を送ってきたとはいえ、この武力の群れが纏う物々し
さは胸奥を不安で重苦しくするには十分過ぎる。
「大丈夫よ。相手は五十年近く世界から逃げ延びている男よ? そう簡単にくたばるような
タマじゃないわ。むしろ今回の作戦でどれくらいの犠牲者が出るのか、そっちの方が個人的
には心配なくらい」
 だがこざっぱりと、そう彼女に苦笑含みの慰みを掛けたのはリノンだった。
 骨組みと厚布で隔てた壁際からそっと心持ち離れ、エリスは肩にチコを乗せたままそれで
も不安そうな表情(かお)で彼女に振り向いて唇を結んでいる。
「……そんな顔しないで。貴女が信じてあげなくっちゃ」
 リノンら中央輝術工房の面々もまた、エクナート軍属の一員としてこの山狩りに加わるも
のとされていた。
「恩人、なんでしょう?」
 しかしまだ準備中ということもあり、彼女らは自分達のテントから動く気配を見せない。
 むしろエリスと共に、じっと今回の作戦を傍観しているかのようにすら取れる。
「……」
 あの時エリスは、思わず彼女達に自分がデトと繋がっていることをバラしてしまった。
 そして後悔した直後、リノンは詳しい事情説明を求めて詰め寄ってきた。
 子供ながらに分かっていた。一緒に行動していた人が、世間ではどういう眼で見られてい
るかも知らない訳ではなかった。だから必死に弁明しようと試みた。
 病床の祖母の為、行方知れずになったままの祖父を捜す旅をしていたこと。
 その最中、エル・レイリーでデトと出会ったこと。紆余曲折の中でその力の片鱗を目の当
たりにし、祖父の遥か昔の死を知ったこと。
 故にせめてその証言だけでも村に持ち帰ろうと、彼と共に故郷に戻る途中であったこと。
 ……自分には、彼が世間の評ほど“悪い人”には見えないのだということ。
『そう……。でも事実、彼は今まで多くの輝術師やその関係者達に危害を加えている、命を
奪っているのよ? それは分かっているわよね?』
『分かってます。でも……』
 努めて冷静な声色で、当然リノンは殺戮の事実を反証とした。
 違うんだ。エリスは叫びたかった。
 しかし結局もっと深い、彼へ味方する理由を、エリスは話すことができなかった。
 彼は自身を化け物と呼んでいた。不老不死、不死身の身体と為ったその過去を、あの待合
小屋の中で話してくれた。
 だからこそ、話せなかった。
 あんな辛い過去を、本人の了解もなく漏らすような真似は──きっと信義に反する。
「……どうしてなんですか?」
 訥々と、エリスはおっかなびっくりとした気色でリノンを見遣っていた。
 外では相変わらず兵らが忙しなく靴音を鳴らして準備に追われている。パチパチと篝火の
音が耳に届いてくる。
「どうしてリノンさん達は、私のことを軍の人たちに伝えようとしないんですか?」
 エリスは改めて問うていた。白状し終わった後からずっと気になっていたことをもう一度
訊ねていた。
 彼女達討伐軍にとって、間違いなく自分はこれとない“餌”である筈だ。雲隠れしたまま
のデトさんを誘き出すには人質として利用しない手はない。
 なのに……彼女とその部下の皆はそれをしなかった。
 素性を白状した後も変わらず──いや、むしろ以前にも増して──手厚く保護してくれて
いる感さえある。討伐軍の上層部にも自分の存在を伝えず、今まで匿ってくれている。
 一度目──白状した直後の時は、それとなくはぐらかされていた。
 だが今度は、リノンがちらと面々に目配せをして何やら機を窺っているように見える。
「……言ったでしょう? 夜になったら貴女を外に送ってあげるって。確かに私達は軍属で
はあるけど、かといって今の聖教国(そこく)に──世界に従順という訳じゃないのよ」
 エリスは益々訳が分からなくなった。疑問符を頭に浮かべ、同じく小首を傾げている肩の
上のチコと顔を見合わせる。
「まぁそこは事が上手くいったら追々話すわ。先ずはこの本営から離脱すること。昼間だと
人目が多くて難しかったけど、夜になって暗い今なら──山狩りで居残る兵達が減る今なら
それも不可能じゃない」
 敵意はない。そう呼び掛けるように、リノンの表情には優しさがあった。軍属の術師では
なく、最初会った時の親切なお姉さんのそれだった。
 理由は分からない。だが信じて大丈夫そうだとエリスはぼやっと思う。
「本当に……逃がしてくれるんですか?」
「ええ。元々そのつもりだったから。その代わり、と言っちゃ何なんだけど──」
 だがそんなやり取りを寸断するかのように、突如外で轟音が鳴り響いた。
「な、何?」
「もしかして山狩りが始まったのか?」
「いや、まだ予定の時刻じゃないぞ。こっちにも召集が掛かっていないし……」
 何かが大きく膨らみ爆ぜような、複数の爆音。
 エリスとチコが、リノンとその同僚達が半ば反射的に身体を強張らせ、一斉に音のした方
向に眼を遣る。
『き、緊急事態ーッ!』
 ややあって本営内に響き渡ったのは、見張り役の兵達の叫び。
『ファージ領内各地から複数の輝術行使の反応あり! 総員、厳戒態勢を取れーッ!』
「──ッ!?」
 まさか、デッドレス(デトさん)……?
 そう同じ思考が脳裏を過ぎり、エリス達は互いの顔を見合わせていた。


「また爆発だ! 今度は南南西!」
「くそっ、一体どうなってやがる……!?」
 エクナート・トーア共同軍の本営内は転げ落ちるようなパニックに陥っていた。
 最初の爆発を確かめるべく兵を遣る準備をしている中で、また別の複数の場所で新たな爆
発が起こる。それらに対応しようとしていると、また爆発が──。矢継ぎ早に起こる異常に
末端の兵らの冷静な思考力は徐々に奪われていく。
「──ん。上手いこと掻き回せてるな」
 そんな遠く離れた本営の様子を、デトは崖の上から双眼鏡で眺めていた。
 後ろにはサブルやロッチ達も控えている。夜闇に溶け、夜風に揺らぐ背後の雑木林に囲ま
れながら、デトは「さてと……」と仲間達に振り向いて言った。
「じゃあ俺は行くぜ。退路確保の方、よろしくな」
「了解ッス。お任せを」
「……。本当に一人で行かれるのですか?」
「言ったろ。お前らの安全まで面倒見れねぇぞって」
 腰に下げた剣の鞘を軽く掌で包み、デトは二人の心配の声に肩越しだけの眼を遣る。
 この一連の爆発騒ぎは、他ならぬデトの仕業だった。
 サヴルらが斥候から戻ってくるのを待って、デトは自身の身体から生命(ざんき)の一部
を彼らに手渡し、ファージ領内にばら撒くように指示をした。
 そして夜、共同軍が夜営を始めているのを確認してから、地面越しに切り離したその残機
らにコンタクト、遠隔操作の要領で《爆炎》の輝術を起こしたのである。
「サブ」
 腕に指先を食い込ませながら、デトは代表してサヴルに呼びかけた。
 ずぶぶっと指先が腕の中に食い込み、何気ない感じで取り出されたのは──半透明の赤み
がかったブヨブヨ。昼間渡したのと同じもの。
 デトの掌の収まったそれは、ややあって冷えて固まるように赤い輝石に変わり、彼はそれ
をサヴルにひょいと投げて寄越す。
「一応持っとけ。こっちの事が済んだらそいつ経由で連絡を取る」
「はい」
「……ご武運を」
 短く静かに物憂げに。サヴル達に見送られて、正面に向き直ったデトはそのままダンッと
地面を蹴って崖の下へと降りて行った。
 繁茂する木々。その枝から枝へと、曲芸の如く軽やかに飛び移りながら夜闇に隠れ、一路
デトはエリスのいるであろう本営内へと迫っていく。

『──軍の連中が気付いていない?』
『ええ。どうやら、少なくとも捕虜という様子ではなさそうですね』
 サヴル達が偵察から戻ってきた際、その報告には腑に落ちない部分がいくつかあった。
 山中で気配を探った時にエリス(とチコ)がエクナート軍の中に居ることは明らかになっ
ている。にも拘わらず、サヴル達が調べた中では彼女が捕虜になっているという情報も実際
の姿も確認できなかったのだそうだ。
 妙だなと、デトは思った。
 幸いまだ自分達との繋がりがバレていないのか? だがそれにしたって「保護した市民」
という形で扱われている、そんな情報が出ていてもおかしくない筈……。
『兵に変装してそれとなく訊いて回ったんですけどね……。誰もエリスちゃんのことを知り
ませんでした。単に些事として全軍への通達がない、という可能性もありますけど』
『……』
 つまり、どういう事だ?
 エリスとチコは確かに軍勢の中にいた。しかしその報せが組織内に伝達されていない。
『という事は、個人的にエリスを囲ってる奴がいるってことか?』
『……おそらくは。状況からして、あり得なくはないかと』
 厄介なことになったなと、デトは思った。
 確かに軍そのものに“人質”として囚われた訳ではないことには安堵した。しかしそれは
イコール彼女の安全とは限らない。むしろその個人的な確保者の如何によっては、ただ軍を
相手にする以上に面倒な事になりかねない。
 少なくとも、その相手は何かしらエリスに利用価値を見出している事になる。
 独善的な功名心か──。デトは内心焦り、ぎりっと歯を噛み締めた。
 真意は量りかねる。だがこのまま、のんびりと彼女の帰還を待つという楽観的選択はでき
なくなったと言っていいだろう。
『……サブ、ロッチ。お前らも協力してくれ。奴らの陣に潜入してみる』

 物音を殺して、デトは共同軍の本営内に忍び込んでいた。
 点々と張られたテントや置かれた物資の物陰、照明の届かない夜闇の死角。それらを隠れ
蓑に少しずつ距離を詰めながら、デトは忙しなく駆けてゆく兵らを何度となくやり過ごす。
(囮作戦は今の所上手くいってるみたいだな……)
 昼間に仕込んだブヨブヨは、この瞬間の為の布石だ。
 山狩りを前にして張り詰めた彼らに騒ぎを届ける。全ての兵を割くような真似はしないに
しても、連中は何が起こったのかを確かめに行かずにはいられない。
 その際に手薄になる警備。それが今回の作戦だった。
(とっ……)
 そうして身を潜めていると、ふと照明がこちらに向けられた。
 デトは慌てて奥へと身を隠し直し、愚かにも頭に疑問符を浮かべて近付いてくるこの歳若
い兵の接近を待ち構える。
「──ぐッ!?」
 夜の闇はそう容易く鮮明にできるものではない。
 手に持ったランタンに頼り切った彼の背後、対比された暗闇の中から、デトは音もなく両
腕を伸ばしてその口と首を覆い固めた。
 青年兵が目を丸くして抵抗しようとする。
 だが相手は死に損い(デッドレス)──常人の何万倍もの力を発揮しうる男だ。ギリギリ
と絞められる首、塞がれる呼吸。この兵士は、やがてぐらりと意識を失って崩れ落ちる。
(……ふぅ)
 片手で倒れるその身体を、もう片手で地面に落ちる前のランタンをキャッチ。
 デトは周囲に気付かれていないことを念入りに確認すると、そっとランタンの火を消し、
この兵の身体をずるずると暗い物陰の奥へと移動させた。
 気付けば、先程よりも兵の気配がスッと遠退き静かになっている気がする。
 一番耳に響くのはパチパチと燃え続ける篝火の音。いよいよ本格的に陽動に兵らが釣られ
て出ていったらしい。
 さて──これからだ。この潜入は時間との勝負に他ならない。
「……」
 デトは物陰の中でそっと目を瞑った。
 点々と、黒地の感覚の中で光っている種々の色彩。
 忙しなく遠ざかっていく赤黒い群れは確認に向かっていく兵士だろう。一方で同じ場所か
らあまり動かずにいるのは将校クラスか。
 向ける意識をもっと別の方向へ。
 軍の捕虜となっていない、通達がないとサヴルが調べてきてくれた以上、エリス──の傍
らに居るであろうチコの色はもっと過疎な所に在ると考えられるからだ。
(何処だ? 何処にいる……?)
 なのに、中々その姿が見つからない。
 焦りがじりじりと胸奥を撫で回してくる。本営内(ここ)にはもういないのか? 彼女を
秘密裏に捕らえた誰かがこの状況の意図を看破し、既に場所を移し始めているのか?
 一足遅かったか。いや、もっと感覚を拡張して──。
「……ッ!?」
 だが、そんな時だった。
 はたと感じた遠くからの殺気。デトは反射的に目を開いて振り返り、こちらに向かって飛
んでくる何かを見た。
 同時に腰の剣を抜く。素早く放たれた銀閃。叩き落した感触。
 ポトリと、地面に落ちたのは……矢。
「──この距離からでも気取れるか。流石といったところか」
 物陰の向こう、篝火に照らされた敷地内からそう自分に呼び掛ける声がした。
 一人、二人……いや、これは数十人単位の気配。
 剣を手にしたまま、デトはそっと隠れていた物陰から出る事にした。もう向こうはこちら
の存在に気付いている。隠れ続けるのは意味がないだろう。
「白髪紅眼の男……。死に損い(デッドレス)で間違いないな?」
 そこに立っていたのは、この地方ではない、異国風の装束と武装を纏う一団だった。
 後衛には弓兵もいる。先程射かけられたのは彼らか。
 デトは掛けられた言葉には一切答えず、ただじっとこの一団の中央、リーダー格と思われ
る矛を手にした中年男性とその隣に立つ女剣士を見遣る。
「我が名はカミナ・ササライ。領主ファージ侯の命により、我らササライ傭兵団がその首、
貰い受ける!」

 よりにもよってこいつらか……。デトは眉を顰めて思案を始めていた。
 あの装束には見覚えがある。東大陸諸部族の一つ、シキブの民だ。
 ここ西大陸は聖教国(エクナート)と共和国(レイリア)、同盟領(トーア)というよう
に複数の王侯貴族を中心としたパワーバランスによって成り立っている。
 だが、海を挟んだ東大陸の場合はそういった林立型の構図ではない。帝国(ガイウォン)
という世界屈指の版図を有する大国が睨みを利かせ、独立独歩な各地の諸部族を硬軟圧力を
掛け続けることで成り立っているトップダウン型──そんな土地なのだ。
 そんな環境(がいあつ)故、それとも元々の気質なのか、東大陸の人間は同族レベルでの
結束が非常に強い。長い抗争の日々を生き抜いてきた、そんな個々の民族意識が今日も彼ら
の血肉に染み付いているのだろう。
 そうした地勢の中にあって、シキブの民はとりわけ高い戦闘能力を有している。
 またの名を“傭兵民族”。
 独自に練磨した武芸により故郷の土地を守り、一方で傭兵として各地の勢力に雇われる事
で余計な争いを未然に防ぐ抑止力を確保してきたとされる者達。デト自身、各地を旅してき
た中で何度かその洗礼を受けた経験がある。
「……悪いが、お前らと遊んでる暇はねぇんだよ」
 シキブ人らしい口上だなと思ったが、元よりデトにその言葉に従うつもりはない。
 動き出す。その気配を嗅ぎ取り、弓兵らが一斉に矢を番えた。
 相手は死に損い(デッドレス)だ、そう簡単に絶命はしない筈。大方そんな心積もりか。
「──」
 デトは低く身を倒しながら駆け出していた。
 同時に頭上を掠めてゆく多数の矢。デトはその射出される方向とは逆に地面を蹴った勢い
のまま、ダンッと地面を掌で叩いて力を込める。
「なっ!?」「しまっ……!」
 次の瞬間、傭兵らの足元がボコボコと煮立つように隆起し始めた。
 乾いている筈の地面。だがまるで局地的に大水を受けた後のようにそこだけが急激にぬか
るんだかと思うと、泥と化した土が無数の触手となって彼らを縛り上げたのである。
 《泥鎖》の輝術だった。
 辛うじてかわした者もいたが、デトからの先制攻撃に多くのシキブ戦士が絡み捕られた。
得物を振るって断ち切ろうとする、その腕をも泥鎖は次々と縛っていき、頭上高く伸びたそ
れらはやがて元の土に戻りながら固まっていく。
「くっ……!」
「皆、無事か!?」
「一気に叩くんだ、術を使わせる暇を与えるな!」
「落ち着け、お前達!!」
 難を逃れた戦士らが一斉に叫び、得物を振り出そうとした。
 だがその動きをピシャリと制したのは、他ならぬ面々のリーダーたるカミナで。
「お前達はあれから皆を助けてやってくれ。ここは……私が打って出る」
 ゆっくりと、カミナが十文字型の矛を両手で握り直しながら近づいてきた。
 部下達は数拍戸惑ったものの、団長の指示に逆らう訳にもいかず泥鎖に囚われた仲間達の
救出に取り掛かり始める。
「父上。私も加勢致します」
「……無茶はするなよ」
 すると彼の隣にいた女剣士がその歩みに同調して刀を抜く。
 言われてみれば、確かに父娘(おやこ)ほどの歳の差のようだ。カミナはちらと横目を遣
りこそしたが、ただそれだけを言いつけて承諾とする。
(流石に、あれだけで全員をヤれはしなかったか……)
 デトも身を起こし、ぎゅっと剣を握る手に力を込めていた。
 出来ることなら先程の一発で行動不能になっては欲しかったが、シキブの民相手にそれは
楽観的過ぎたか。
 見た所、この二人は他の団員とは別格の強さのように感じられる。
 あくまで目的はエリスの捜索だ。正直、余計な時間は喰いたくないのだが……。
『…………』
 二対一。両者は暫し距離を置いたまま黙していた。
 だがほんの僅か、先にデトが痺れを切らして地面を蹴った次の瞬間、激突が始まる。
 初手は得物のリーチ故にカミナの矛が先んじた。空間を貫くが如く突き出される切っ先。
デトはその軌道をコンマ数秒単位で読み取り、剣の腹でガリガリッといなす。
 しかし彼の矛は十字型だ。デトの剣はすぐに横に伸びた刃と激突、そのいなす勢いが半ば
強制的に削がれる。
 それでもデトは落ち着いていた。サッと剣を引き、しゃがみ込む。その頭上をワンテンポ
遅れて振りぬかれた矛が掠めていく。だがそれだけでは終わらず、彼の矛は手元で持ち替え
られ斜めからの突き下ろしへ。それをデトはピンポイントに刀身で防御し、弾き返しながら
軽く後ろに飛ぶ。
 更に女剣士からの攻撃が、文字通り横槍ならぬ横刀で続いた。
 一気に肉薄してくる水平の跳躍と斬撃。デトがそれを半身を捻ってかわすも、彼女の銀閃
は止まらない。二撃、三撃、四撃、五撃──まさに剣舞と呼ぶにふさわしい連撃がデトのす
ぐ至近距離で描かれていく。
「出過ぎるな、アヤ! 術を撃たれるぞ!」
 かわしつつ剣でいなしつつ。この女剣士・アヤの猛攻を凌ぐ中でカミナが叫んでいた。
 ほう? 分かっているじゃないか……。
 再び突き出される矛を今度は横っ飛びと合わせていなしながら、デトはほんの僅かばかり
口角を吊り上げる。
 確かに彼女の攻撃は凄まじい。並の戦士なら防御もやっとだろう。
 だが……真っ直ぐ過ぎるのだ。本当の意味での隙とは当人が意識しない一挙手一投足──
モーションを振り抜いた後に在るものだ。
 案の定、彼の警句の通り、その隙は見えた。
 一見して鋭い斬撃。だがそれが叩き込まれる一拍手前に斜め下からの剣(くさび)を挿し
入れてやれば、彼女の攻撃はその体勢ごとぐらりと大きく崩される。
「ぬんっ!」
 崩れた体勢による至近距離。そこへデトが《衝撃》を撃ち込もうとした瞬間、カミナの矛
が間に割って入った。
 バチンッと、力同士がぶつかり相殺し合って爆ぜる音。
 デトがカミナが、互いに大きく仰け反った。両者は再び二対一の構図になる。
 今度は父娘(おやこ)同時。交互、左右、刀と矛の切っ先が執拗にデトを狙う。それでも
デトは身を捻ってかわし、剣で受け止めて弾き、巧みにその猛攻を無力化していく。
(何て男だ……。輝力(ソル)を込めた攻撃もこうも何度も容易く……)
(やっぱシキブ人(こいつら)はやり難いな……。術師でもねぇのにさっきから輝術の気配
がプンプンしやがる……)
 何十回目かの交錯の後、両者は大きく飛び退いて距離を取り直していた。
 息が荒くなり始めたアヤの隣でカミナはじわりとこめかみから汗を流して眉を顰め、デト
もぶらりと剣を下げたままこの膠着する状況に焦りを覚える。
 両者の側方で、先の泥鎖に縛られた傭兵達が仲間達に救出されようとしていた。固くなっ
た泥を刀や槍と砕き、一人一人その束縛を解いてはおずっと二人に加勢しようとする。
「……いい加減退けよ。お前らに構ってる暇はねぇっつってんだろ」
 デトは鋭い眼光で一歩、また一歩と間合いを詰め始めていた。
 ギラリと握ったその剣の刀身が篝火の明かりを弾く。アヤが団員達が、彼を凹面状の陣形
で囲み、迎え撃とうとする。
(何なんだ? これが大罪人、なのか……?)
 しかしそんな中で、カミナは矛を構えたまま内心戸惑っていた。
 気のせいかもしれない。だが妙なシンパシーがはたと胸奥を過ぎったように思う。
 戦士として、一人の父親として直感が告げている。
 この男の眼は自身ではなく、もっと別の誰かを見ているかのような──。
『……ッ!?』
 変化は、次の瞬間だった。
 遠くから向けられた殺気が多人数。気取り振り返った時には無数の銃撃が放たれていた。
 その標的はデト。彼は小さく舌打ちをすると、霞む速さで斬撃を放ちそれら銃弾をことご
とく真っ二つにしてしまう。
「くそ、時間切れか」
 見ればわらわらと、銃を構えた兵らがこちらに駆けて来るのが見えた。
 領内に仕掛けた囮をそれと確認して戻ってきたのだろう。散発的に飛んでくる銃弾を次々
と剣で斬り落としながら、デトは風向きが百八十度変わってしまったことを理解する。
「おお、加勢か!」
「こっちだー! 死に損い(デッドレス)はここにいるぞ!」
 故に傭兵達はフッと喜色を漏らした。いくら優秀な戦士らとはいえ、この不死身の男を捕
らえるには多大な犠牲が伴うだろうとの意識があったからだ。
 しかし──事態はそんな彼らの楽観を文字通り打ち砕くものだった。
 銃撃だけでは不十分と判断したのだろうか、取り囲んでくる兵らの後方から次々と荷台に
乗せられた大砲が姿を見せたのだ。
 そして時間差的に飛んでくる砲撃。
 だがそれらはデトだけでなく、それまで彼を包囲していた傭兵達すらも問答無用で巻き込
み始めたのである。
「うぁぁっ!?」
「おい、何処を狙ってる!? 俺達はファージ侯傘下の……!」
 彼らが必死に訴えだした。しかし砲撃の雨は一向に止む気配を見せない。
 その一発一発が地面を抉り、空のテントを粉砕し、傭兵達を吹き飛ばしていく。
(やっぱりそうきたか。例の如く口封じってとこか……)
 予想内とはいえ、むせるほどの爆風の中を掻い潜りながら、デトは静かに憤っていた。
 “共同軍”という態の時点で想定していたことだ。そもそも自分は知っている、分かって
いる。大国が何故ここまでして自分を“始末しなければならない”のか。
 結局、罪人というのは方便でしかない。奴らの狙いは──国情によって差異はあるが──
一義的な刑罰などではない。
 困るからだ。自分という存在がこの世界にいては、都合が悪いからだ。
 捕まえられるなら──利用できるなら御の字。だが本音は抹消──隠蔽し続けること。
 故に、死に損い(デッドレス)と生身で接した者は、同じ“処分対象”になりうる。
「くっ! 何故だ? 何故私達まで……!?」
「ファージ侯は了承済みなのか? 皆が、里で私達の帰りを待っているというのに……」
 傭兵(よそもの)とは特に駒だ。そういう考え方も少なくはない。
 爆風の中でデトはちらとカミナ達を見た。
 降り注ぐ砲撃。その直撃コースに、ハッと見上げたアヤが──。
「……?」
 思わず目を瞑ったのに、アヤは吹き飛ばされていなかった。
 おずおずと目を開けてみる。するとそこには、半透明の壁……のようなものを突き出して
自分に背を向けているデトの姿があった。
「ったく……女も混じってるんだぞ。傷モノになったらどうする」
「えっ──?」
 彼が《結界》を張って自分を庇ってくれたのだと気付くのに、数秒の時間を要した。
 いや、それよりも彼は何と言った? こんな武芸ばかりの自分を、女と──。
「おい! カミナとか言ったな? 部下どもを連れて早く逃げろ! 連中は俺を知った人間
を消す気だ。端っからてめぇら傭兵は押えの駒扱いなんだよ」
 肩越しに叫ばれ、カミナがアヤが団員達が目を丸くしていた。
 すぐには信じられなかった、つい先刻まで“敵”だった相手にそんな事を言われても信用
できなかったのだろう。
 だが現実に今、自分達は味方(と思っていた者達)から攻撃を受けている。実際にあの爆
発騒ぎで本営の警戒を任されたのは、多くが自分たち傭兵勢(どうぎょうしゃ)だ。
「……そんな、まさか。では上層部は」
「多分な。あいつらもバカばっかりじゃねぇよ。中には俺の仕掛けた時間稼ぎに気付いてた
奴もいたんだろうさ。お前らみたいにな」
 カミナが絶句し、砂埃を被ってボロボロになった娘と部下達を見遣っていた。
 少なくともデトへの戦意は喪失したらしい。いくらシキブの民でも、その忠節を反故にさ
れてまでその相手らの為に戦うほど彼らも馬鹿正直ではあるまい。
(さて……どうしたもんか)
 飛んでくる砲弾を斬り落とし、時に《結界》で庇ってやりながらデトは思案した。
 悔しいが、もう悠長にエリスを捜している余裕はなさそうだ。今はそれよりも如何にこの
場を離脱するかを考えるべきだろう。
 出来ることなら、あの傭兵達も……。敵だの味方だのと言われるだろうが、そこに拘って
死ぬのなら線引きも何も無い。別に自分は、独善的に善悪を決め付けて殺し合うことを望ん
でいる訳じゃない。
「一旦固まれ! 俺が《転移》で──」
 だがそうデトが事を起こす前に、思わぬ所から救いの手が伸ばされたのである。
 大きな輝術の気配。デトがハッと見上げると、暗がりの中から何か大きなものがこちらへ
ぐんと伸びて来るのが見えた。
 これは、水……?
 そうデトとカミナ達が認識できたのは、その巨大な何か──触手のようにうねる水の塊に
自分達が呑まれてからのことだった。
 急激に全身が引き上げられる感触があった。同時、迫っていた砲撃と兵らの怒号が一気に
遠退いていくのが分かる。
「──っだ、はっ!?」
 暫しの空中浮遊を体験させられた後、ボタボタと、デト達はずぶ濡れになった状態でよう
やく解放されていた。
 見れば共同軍の本営、その点々とした篝火が遠く眼下に見える。
 という事は、ここは連中の陣を見下ろせる崖か何かか……? そうデトが、傭兵達が少な
からず怪訝に思いながら辺りを見渡し始めていると、
「ふぅ……。一応救出成功、かしら?」
 はたと一人の女性の声がした。
 デト達が振り向き、その方向──暗がりの林の中へ目を凝らす。
「お前らは……?」
 そこにいたのは、青い輝石を嵌めた杖を握る輝術師の女性・リノン達と、
「デトさんっ!」「キュ~!」
「のわっ!? って……。え──?」
「うう……無事でよかった……。あ、あと。その、迷惑掛けてごめんなさい……」
 感極まったように飛び出し、ぎゅむとデトに抱きついてきたエリスとチコだった。

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  1. 2013/01/16(水) 18:00:00|
  2. 死に損いのデッドレス
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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