日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)軋む歯車、ぢっと顰める

連載(ユー録)第Ⅲ部のプロット作成が終了しました。こんにちは、長月です。

日付を見れば、ちょうどⅡ部最終の二十五章をUPしてから二週間というタイミング。
いい感じなのかな? 既にプロット紙面の時点で分量は膨れているのですが、それでもいざ
ガッツリと取り組めば──紙媒体にしろ電子データ(テキスト)にしろ形にできるものなん
だなぁと、正直ほふほふと達成感を覚えていたりします。……まぁ実際にテキストに起こす
これからが“本番”ではあるのですけどもf(=_=;)

歳月は容赦なく過ぎて往きますが、それでも少なくとも、物書きとしての自分は一応は力を
付けられているのかもしれないとちょっぴり自惚れをのたまってみたり。
『だったら新作創ろうぜ!』『創作!( ゚∀゚)o彡゜創作!( ゚∀゚)o彡゜』
そうはしゃぐ、自分達のキャパを無視しがちな脳内会議の面々を宥めつつ。

晴れて拙作連載の執筆──七月より再開予定ですφ(・△・)<ファイト!!


繰り返すことになりますが、第Ⅱ部完結から二週間が経ちました。十四日です。
その間、僕は週末・週明けに週刊三題に掛かっていたり、はたと意を決してユー録の設定資
料集の編纂作業を始めたり、そしてこの第Ⅲ部のプロット作成に勤しんでいたりと相も変わ
らぬ創作中毒ぶりを発揮していました(ライターズ・ハイ……的な?)
しかし……この二週間は間違いなく自分以外の、もっと大小の周囲のセカイを少なからず変
えてしまっているのだと、作業の合間合間やこうして一段落ついてから見渡してみるに思わ
されてなりません。

拙作の作中でも意識・指摘があることなのですが、今の時代は“善悪が曖昧”なんだなぁと
常々感じます。とはいえ、それは単に善も悪も「無くなった」のではなくて、善とされる者
の内にも悪があり、悪とされる者の中にも善があるといった「観点の複雑化」が故の感慨で
あるのだと思います。

政治では、租税の引き上げを断行する者と、兎に角反発し公約違反だと叫ぶ者。
経済では、財政という「全」を律せよと口酸っぱい“外”国と、それよりも暮らしをまとも
にしろと叫ぶ“内”なる「個」達からの突き上げ。
そして民俗でも、とかく誰それが○○だから“悪”だとはたと火の手が上がり、一時の火勢
の如くその他大勢が諸々の攻撃を以って攻め立てる。とかく“敵”を作って果てがありよう
もない浄化(クレンズ)──いや怨嗟をぶつけようと眼をぎらつかせる茶飯事。

一見すると、ああなんだ。やっぱり世の中ってのは飽きもせず善悪を分けたがるんだなぁと
思ってしまいますが、ネットを始めとした各所から個々の声、事情を収集してみる中でそれ
はあくまで表面的な観点──むしろ“喧伝者”の思う壺なのだと、僕は思わされます。
先も言いましたが、複雑化しているのです。
たとえば税金の引き上げも、これからの国の財政を考えれば増やす他ない(勿論削れる所を
削って、何よりも邦人の出生率を高められれば根本は治しうると思うのですが、内外の眼は
もうそんな“悠長”な堪忍を持っておられないようですからね……)という観点もあれば、
これ以上生活を苦しめるのは許さない(そして結局税収入的にもマイナス効果だという分析
を応援にして)という反発の声も根強く叫ばれている。
──要するに各人が己の拠り立つ眼から、もっとバッサリ言えば『自分達の利益』になるが
故にそう主張して互いに譲らない。それらが表面的に(施す者自体もまた己が利を前提に)
善悪で色分けされている……。ただそれだけのことではないかと、僕は考えるのですよね。

少し前、ご存知「放言」で知られる石原都知事のそれについて、毎日.jpが彼をよく知る御仁
へのインタビューを通じて紐解くという記事があったのを読みました。
ツイッタでもその当日言及させて貰ったのですが、記事曰く、石原氏からすれば現代の人々
は自分の生計を維持することに拘泥する「ちまちました我欲」の「やせた民族」だと言うの
です。そして──これは僕なりの解釈ですが──そんな人々にもっと“広く”生きて貰おう
と五輪招致などを持ち込んだのに、彼ら都民(国民)はまるで見向きもしない。縮こまった
セカイで生きることを嗜め、叱咤激励しているのに付いて来やしない……。そんな人々への
石原氏なりの憤りや己が老境の焦りだと云うのです。

この記事を読んだ時、僕は「何だまた老○が喚いてるのか」とはスッと思えませんでした。
(記事の真偽は一旦置くにしても)理由はやはり彼という人の内側・事情を“知った”から
ではなかったのか。そう日を置いて、今こうして雑記の為に筆を取っている僕は思います。
ただ……哀しかった。
老人という「過去の生き物」の嘆息だと切り捨てていても、よかったのかもしれない。
だけど僕らも、若い世代も何時かは同じように歳を取って老人と為る。
その未来で、果たして僕らはかつての彼らを老○として哂えるのだろうか? 錆付いた知性
や感性──過ぎ去りし日々の記憶に囚われた情熱を、その個人の“悪”として切り捨てる事
ができるのだろうか?
確かに彼が成さんとする事の方向性はあさってだし、今日の人々が“一致団結”をして国に
“引っ張られる”ことを良しとしない気風があるという事実に気付けない不徳さはあろうか
と思う。でもそんな個人主義(自己責任論)も──或いは震災などを契機に揺り戻したかの
ような絆の喧伝も、過去から今日へと時代を繋いできた彼ら「過去の生き物」が居てくれた
からこそではないのかと。
違う……。そんな世代だの思想だのといったもので“隔てる”だけで善いわけがない。
僕はどうしても、あの記事から今日まで、思考の水面下で濃く立ち込める靄の中に目を凝ら
してきたように思えてならないのです。

まだまだ、いやきっとこれからも“未完成”な思考だとは思います。
それでもこの胸の内の中で消え失せてしまわない内に文字にしたかった。その過程で想いを
より確かなものに沈着させたい。よければ貴方にその試行を許して欲しいのです。

──即ち『歯車(パーツ)』的にではなく『色相(グラデーション)』なイメージで以って
個人が社会が捉えていくべきなのではないか? そう僕は考え始めています。

表向きとはいえ、無数の世の事象に対して(自分の利益がために)要らぬ出っ張りを叫んで
みたり、或いは必要な所で引っ込んでしまったり。
そうすることで『歯車』の態で作用する場合、全であり個である彼らは互いに噛み合う術を
失ってしまう。そんな状態が彼方此方で起これば、必然世の中という全の機構は軋むばかり
になってしまう訳で……。
○○は△△だ。そう固定されたセカイは仮にその通りになれば理想的な働きをします。
ですが、人間とは良くも悪くも“自分勝手”です。そんな「枠に嵌めた歯車」に皆が皆為る
筈がないのです。
そうした性の奔放さを御す術を持たない(持ちえない)ままで、そんな「枠に嵌める」前提
のイメージで以って全体を形成するというのは、どだい無理があるのではないでしょうか?

一方で、ではセカイを『色相』として捉え実行できればと夢想すると、如何でしょう?
僕はやれ保守だ革新だ、やれ個人の尊重だ絆の再興だと何かで統一することを強いることは
しません。できませんし、したくありません。既に言及してきたように、今や人々の持つ眼
は様々なのです(たとえその見解が“喧伝”や“誘導”されたものであっても)。
そこにはおそらくもう、全く同じ歯車(パーツ)は存在することは難しくなっているのでは
ないかと思うのです。いや、昔から色々考えていた人間はいたと仰るかもしれませんが、昔
と今ではそれを良くも悪くも“発信”する手段で溢れている──その違いがある分、同じで
あることの困難さは増しているのではと考えます。上辺ではなく、その深層において。
だからこそ、色相(グラデーション)を僕はイメージしました。
色んな“色合い”が順繰りに混ざり合って図式化され、そこに個々人が選び選ばれ収まって
ゆくイメージ。そこには少なくとも固定化された枠はありません。ただ彼らを色相として知
覚できた時にのみ、グラデーションの“全体”が見えるというだけ──。

誰何が“善”で誰何が“悪”か。
だけどもう、その「線引き」に拘泥しなくてもいいのではありませんか?
Aの是とする価値観はBには醜悪かもしれないし、Cにとっては全くの無関心や対岸の火事
であるかもしれません。ベクトルはただX軸とY軸だけでは測り切れない筈だと、僕は強く
思ってなりません。
物語世界でも、現実世界でも、ややもすれば“敵”がはっきりしないと人は苛立ちます。
しかし一方で“敵”にもそうなった事情があると「知る」ことができれば、また眼は変わっ
てくるのも事実な筈です。
それは単に“どんでん返し”的な技巧としてだけではなく、凝り固まった己を解体・再構築
できる絶好のチャンス(それを活かすも殺すも“個人の自由”とはいえ……)でもあるとは
捉えられませんか? 歯車ではなく、色相のイメージで。

自分の描く物語でしばしば登場する“強い君主”も然り。
現実の増税にひた走り、身内をも切り離そうとしているこの国の首長も然り。
僕にはまるで、彼らが『何をしようが賛成も反対もある。一々全部に耳を傾けてられるか』
と眉間に眉を寄せているかのように思えるのです。
……そうじゃない。少なくとも、僕という人間が描く理想像は。
どうしてそこで「敵」か否かを分けようとするのか。突き放して枠を固めたがるのか。
個々に事情があると分かっているのならば、知っているのならば、とことんその“私利”と
向き合って説得する──いやらしく言い換えるなら利で買収する(つる)方がまだマシな
「誠」なのではありませんか?
そうやって強かに“数の暴力”を積み上げてゆくのが民主主義……なのでしょう?

誰何が“善”で誰何が“悪”かを決めることは、少なくとも大元の目的じゃあない。
ただ僕らは、もっと真に安寧なる日々を取り戻したいだけなんだ──。

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  1. 2012/06/28(木) 00:00:00|
  2. 【雑記帳】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<(雑記)閉じてしまう性(さが)だから | ホーム | (案内)とある創庵の品目紹介>>

コメント

いつにも増して読み応えのある雑記でした。

『歯車的でなく、色相を呈して』
すごく響いてくる言葉です。

長月さんは時折、自身の思想を『現実味のない理想論、綺麗ごと』のと言うことがありますが、現実がいかに変えがたい凝り固まったものであるとしても、しかし理想論を語ることが出来なくなれば人間の進化は止まってしまうのではないかと思っています。
具体的な指針が無くとも、理想を口に出来る人間が居るというだけで、どこかほっとした気分にさせられます。

またしても漠然とした言葉になってしましますが、人間は『言論、話し合い』を獲得したものの、それを有用出来ているかといえばまた別の話というか。もう少し発展的なやり方が存在するのかもしれない、と今回の雑記を見て思いました。
  1. 2012/06/28(木) 01:45:26 |
  2. URL |
  3. 究理 #-
  4. [ 編集 ]

レスポンスありがとうございます。
今回はいつも以上に思考(試行)実験的なものだったのですが、何か思う所の一助に
なってくれたのならばこれ幸いですm(_ _)m

>理想を語れる人がいないと先に進めない。ほっとする云々
少なくとも、究理さんにはそう好意的な印象に映ったようですね(安堵の息)
確かにその通りで、僕も「所詮は理想論(哂)」と謂うもう一人の自分が出てくる度に
そうして宥めすかし、反論の武装としている自覚があります。
ただそれでも、往々にして言霊が現実というものに侵奪・駆逐されてしまうさまを見ると
やはり理想論は思考の箱庭以下のものでしかないのかなぁ?と弱気になってしまうこと
はしばしばで……f(=_=;)
かといって自分が実行者(改革者)になる訳にもいかず、元より為れる筈もなく;

「批評ってのは小物の仕事だよ(大物ならむしろ先方から頼まれる?)」とはとある学者さん
の弁ですが、究理さんの仰るように“有用な言葉の遣い方”への希求にも……果ては見えませんね。
(勿論それは単に「相手を丸め込む詐術」という類ではなくて、真心で納得させられるような)
  1. 2012/06/28(木) 10:18:46 |
  2. URL |
  3. 長月 #oOZ748FU
  4. [ 編集 ]

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Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

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