日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)利益のカタチ、ヒトの価値

五月になりましたね。世間的には大型連休の最中なのでしょうか。
ただこのGWを「Golden Week」が「Golden Working」になっているぜ(泣哂)的な文言を
方々で見かけたりするので、手放しで喜べないというか……。こんにちは、長月です。

先日、以前より当頁やツイッタで言及していたように、鍛錬用三題噺『週刊三題』をなろう
さんにUPし始めました。先ず第一弾は四月分をまとめて。次回以降は連載(ユー録)と同様
に此処でのUPと併行して週ごとのUPにしようと思っています。
サブ機という環境でも、テキストは書ける(ネット常用者故に正直不便さはありますが)
もりもりそわそわ。とかくそれが拙作でも、コンスタントに書くという創作習慣は是非とも
続けていきたいなぁと思う次第ですφ(=_=)


さて、今回はまたもや理想論を吐き出しますよ。
既に各種報道でご存知の事かと思いますが、先日関越道にて防音壁に高速バスが突っ込むと
いう痛ましい事故が起きました。
この雑記をしたためている現在も、そしてこれから暫くの報道合戦という面でも、居眠りを
してしまったという運転手や安全管理への配慮を怠ったとされる運行会社──或いはそんな
厳しい勤務環境を強いる業界全体への批判が高まってゆくことでしょう。

ですが僕は少なからず違和感というか、げんなりする気分でこれらの報道を見ていました。
彼らは総じて曰く「利益優先で人命を軽んじた。けしからん!」と罵声を浴びせています。
勿論、この事故を起こした運転手個人やその管理責任者たる運行会社が法の裁きを受ける事
になろう点に異存はありません。法治国家としての、けじめなのですから。
ただ……それだけで終わらせていいものか。そう僕は思うのです。
言い方は悪いかもしれませんが、古くより悲惨な事故・事件は後を絶ちません。
その度に、巻き込まれた関係者の悲痛やその周りの雑多な人々は泣き叫び、或いは喚き散ら
しては原因となった“不適切”を魔女狩りの如く掘り起こして来ては責め立てる──かと思
えば、やがて人々(特に当事者以外の周り雑多)はほとぼりが冷めるとすぐにそんな怒声も
何処かへ捨て遣ってしまったようになりを潜め、再びせこせこと個々の日常に戻ってゆく。

──違う。誰かが何かが失われることは、お前達の“ガス抜き”の為にあるんじゃない。

持ち上げては、落とす。また別の何かを持ち上げては、落とす。
それは最早世の常、世間様の常套手段とはいえ、どうにも僕はそこにさもしさを見てしまう
のですよね……。
真に成すべきは“不適切を責め立てること”では決してなく“何故を後世に活かすこと”で
はないのでしょうか?
どうにも僕には、世間(ヒト)というものの反応の様が断続的に起きる事件・事故に対し、
あまりにも学習していないように思えてならないのです。いや、眼を向けてる方向性が違う
のではないかという怪訝とでもいいましょうか。

フォーカスを、今回の事故に絞り直しましょう。
つまりは(僕自身にとっての)強い違和感なのです。
「利益優先で人命を軽んじた。けしからん!」という彼らの言葉。
では果たして僕らは、実際生活においてその批判をできるだけの言動を備えているのかと。
利益──金銭を優先して人命を軽んずる。それは何も、彼ら運行会社だけの話ではない筈だ
と言いたいのです。
実際、多くの人々が日々その金銭という価値媒体を蓄積する(お金を稼ぐ)為に、自身を削
ったり、或いは使っている者や同僚などを消耗させたりしている現実がある。実際にその中
で心身を病み、ドロップアウト──場合によっては自殺してしまう人まで出続けている。
そんな今日の現実があるというのに、こういった事故の報道だけに対しワァッと批判の矛先
を引っさげてゆく。こうした世間の人々の反応というのは、どうにも矛盾に満ちているよう
に思えてならないのです。そうは思いませんか?
(だから僕は、結局これらの本質が“ガス抜き”だと言ったのです)

尤も、あくまで「他人事」であるからこそ、人々は外野からガス抜き的に批判をぶつける事
ができるに過ぎないのだという解釈もできます。或いは参加もせず、自身の生計に邁進する
だけで手一杯な方も大勢いるでしょう。
……だからこそ、やっぱりおかしいと僕は考えてならない。
ここまで人を(心理的にも肉体的にも)蝕む社会は、根本がもうそぐわなくなっているので
はないか。そう考えてしまいます。
そもそもに、利益が「カネ」でなければならない。唯一の価値媒体であるという強制性に、
昨今の僕はどうしようもなく抵抗感を覚えています。
──はいはい。所謂“嫌儲”お疲れ様。
そう一蹴してしまえばお終いかもしれません。
でも只一つの利益(カネ)を得る為なら、人命も何もかなぐり捨てたって構わない──そんn
な価値観が蔓延っていることが“正しい”とは、僕には到底思えないのです。
──いや、事故を起こした連中を罰すればいいだけの話だろうに。極端だよ。
確かにこの言い分は大まか過ぎるのかもしれません。
○○があるからこのジャンルは全廃すべきだ!みたいな言い方に近いロジックなのかもしれ
ません(実際、そういう言い口で緩々とした娯楽文化が殺されてようとしている昨今です)

だけど、僕はそこへ帰着はしません。する訳にはいかないのです。
あくまで僕が願うのは「多様が許されていること」で。
今日の社会のシステムを作っている“金銭的利益が唯一の価値指標”たる状態を、もっと緩
やかな存在体にできないものかと、僕は今回の事故報道を見聞きしながらぼんやり考えてい
たのでした。
一体、何故「利益」は「只一つの形でなければならない」ようになったのでしょう。
もっと緩やかに、自由な価値のやり取りが併行されていてもいいんじゃないかと、僕は漠然
とながら考えてしまうのですよね。
これは岡田斗司夫氏(大阪芸大客員教授・著述家)の弁の受け売りになりますが、
『例えばお米が欲しい時、わざわざお金を払わなくても、作っている人に頼んで手伝いなり
の条件が出されればそれに応じるなりして、直接受け取れば目的の物は手に入る』のです。
また『お金という手段で財・サービスを得るというのは、目的への到達プロセスを考えると
遠回りな手段ではないか?』と。
僕なりに、思うのです。
何事もにも当て嵌まりかねませんが、何かにおいて“これしかない”というのは人を狭めて
しまうと思うのです(まぁ多過ぎても困りものとはいえ……。それでも選択肢があるという
だけそれは「豊か」ではないか)。
今日の経済システムもきっとそう。金銭というものが「唯一」として得る事を強いられるか
らこそ、人間は良き倫理をかなぐり捨ててでもその合目的さ──往々にして保身──に走っ
てしまうのではないかと。
根本の部分を問い掛けるとすれば、そう思えてならないのですよね。

もっと色々在っていいのに……。つくづく僕はそう思うのです。
人によって利益となるもの(優先順位)は違う筈。それをカネだけで一括りにしようという
十把一絡げなシステム自体が、どだい無茶をやっているのではないのか……?
創作だってそうです。作り手それぞれに色んなセカイがある。
それを「売れる売れない」で以って無遠慮にザクザク切ってゆくのは、やはり寂し過ぎる。
セカイを否定されることは、彼の者がざっくり否定されることにも関わります。
優先順位をつける必要性は物事によってもありましょうが、果たしてそれを遍く世のもの全
て(勿論、人間という存在自体も含む)に適用すべきもなのか。
人間の価値が、全てカネだけで変換できるなど……僕には到底受け入れ難い。

もし一切意味が無い、価値が無いとセカイに断じられたら──。
もう彼は、この世界からいなくなるしか、ないじゃないですか。

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  1. 2012/05/03(木) 16:00:00|
  2. 【雑記帳】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<(企画)週刊三題「道草を喰うひと」 | ホーム | (企画)週刊三題「硝子の檻」>>

コメント

拝読いたしました。


私も、長月さんほどロジカルに考えているわけではありませんが、金銭第一みたいな考え方がもっと緩やかにならないかなー、というのは常々考えています。

日本人は保守的ですし、もはや国家、国民に根付いた価値観が、そう易々と覆ったり方向性が変わったりできないというのも重々承知ですが。


バスの件ですが、どうも京都・祇園の事故を契機に交通事故に関する報道が増えているなあという印象です。

かといって、『これを契機に交通安全全般に問題を提起しよう』というよりは、『これに便乗してもっと視聴率をとってやろう』という思惑の方が強く透けて見えたりしますが。

悲しいことの多い世の中だなあとおもいます。

  1. 2012/05/04(金) 01:11:35 |
  2. URL |
  3. 鳩里 #-
  4. [ 編集 ]

ロジカル、ですかね? 僕自身、論理的というよりは屁理屈を並べてるのではないかという
自嘲ばかりがこちらを窺っている気がしてならないのですけれどf(=▽=;) それでも何かしら
思うことの切欠になれれば報われる……のかな。

鳩里さんの仰る通り、実際に金銭第一的な価値観がそう簡単にひっくり返るとは思えません。
(なので文中にも理想論だと、自分で言って自分で哂っている有り様です)
ただ「この世の中はエコノミックなサバイバルゲームだ」とか「口で何を言おうが変わらないんだよ」
といった辛気臭いベクトルへの達観・諦観が、僕にはどうしても厭だというだけで……。

(カネを少なからぬ根本の理由として)幾度となく人・物が失われる。或いは脅かされる。
そうした悲惨すらも、多重な周りの人間は自分達の「利益」に繋げていこうと憚らない。
不謹慎だと喚いたら何もできやしないとはいえ、こんな世の中はやっぱりおかしいよって思います。
  1. 2012/05/04(金) 13:08:14 |
  2. URL |
  3. 長月 #oOZ748FU
  4. [ 編集 ]

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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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