日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(雑記)“穴の開いた靴下”論

三寒四温なここ最近ですね。
冬から春──季節の変わり目、体調の管理には皆さんくれぐれもご注意を。
こんにちは。花粉症の時期が近付き、余計に外へ出るのが億劫な長月です^q^

報告が遅れましたが、週初めに連載の十九章をUPしました。
物語も徐々に「皇国」との直接対決へと向かっていきます。バラバラになった仲間達が集ま
ったかと思えばまた離れ、それぞれの思惑の下に動いていく。
前置き(大戦の前的な意味で)……長くね? とか自分でツッコミながら書いていますが、
戦記物というのは大体そんな感じだそうなので(友人曰く)予定通り──勿論適宜プロット
に調整などは加えていますが──書き進めていけたらなと思います。

そしてそして。
拙作のなろうさんへの掲載でも、今回のUPを以って通算100部分を迎えました。
(※向こうでは一章分をシナリオ的に数分割して掲載しています)
読者さんも確実におられ、しかもブクマを付けて下さる方もおられ、自分は「こんな長々と
した物語で大丈夫かなぁ……?f(=_=;)」と内心思っていたりするのですが、こうした感触
は素直に嬉しいものです。改めて、この場を借りて謝意を申し上げますm(_ _)m

今後とも、拙作達が手に取って下さった貴方の愉しみや思索の糧になれば、これ幸いです。


さて──今回は、そのなろうさん(投稿サイト「小説家になろう」さん)についてのお話か
ら入らせて貰おうかと思っています。
既にユーザーさん方はご存知かと思いますが、本日付けでなろうさん公式にて禁止が権利者
側から明言されているコンテンツ(及び実在人物を基にした)の二次創作作品の投稿が全面
禁止となりました(詳しくはなろうさん本頁をご参照願いたく……)
つまりは、二次創作における悪質な権利侵害への公式なりの対処強化というものですね。
(僕個人に関しては元々からオリジナル創作ばかりなので、本来はこの件に関して蚊帳の外の
創作者となると思うのですが、派生的に思う所があり、今回こうして筆を取っているという
次第なのです)

そもそも、二次創作とは何か?
ざっくりと説明するならば『非公式な派生作品』とでも表現すべきなのでしょうか。
原典となる創作物(いわゆる原作)の各種要素を引っ張ってきて二次的に創作された派生作
品のことです。主に90年代頃から使われ始めた同人業界の用語、ですね(wiki参照)
ですので、基本的にこれら二次創作関係というものは“非公式なファンの遊び”という性質
を大なり小なり持っています。
原作者サイドもまた、自分の著作物を二次創作(アンソロジー)化されていることを知って
いるのですが、大抵の場合は「自分の作品世界で愉しんでくれているみたい。でもこっちに
害が無いならこのままでもいいよね」という態度であり、故にある種の“グレーゾーン”的
な許容の中で存在しえてきた世界なのだということを、先ずこれらの問題の背景として頭の
片隅に置いておく必要があります。

思うに、二次創作とは原作者とユーザー(ファン)達とのある種の信頼関係があるからこそ
成り立っているジャンルなのではないでしょうか。
原作者は原典となる作品を創り出す。
二次創作はそこから派生された多くの枝葉を伸ばす。
厳密にガチガチにみるならば、個々のレベルでも原作への著作権侵害と捉えることも可能な
ものなのです。しかし多くの権利者(原作者──というよりもこの場合、出版社など?)は
その全てを「敵」にすることはしてきませんでしたし、実際問題できません。
にも関わらず今回のようにサービス公式としての規制措置に出たのは、そうした“お互いの
良識”的な創作の愉しみを破壊するような、一部の節度を守らない輩が幅を利かせて悪影響
を振り撒いているからに他なりません。

……さて、ここで語り口を修正するとしましょう。
僕自身、別段此処で誰某の二次創作が悪質だの直せだのと言う訳ではありません。
そもそも自分は畑違いで詳しく知りませんし、こうした事態を招いた創作者(と呼ぶべきな
のかも再検討する必要がありますが)が一介の物書きの言葉で“更正”できると考えるほど
この頭は平和ボケしているつもりはありません。
ただ、侘しく思うのです。
創作を愉しむ、その「自由」さや空気を壊す自分勝手に過ぎる一部の輩がいる事実。
そして現実的に彼らを止める術が権利者の権利行使という形にならざるを得ないというこの
構図──ややもすれば“(創作の)自由さと著作権利周りとは相容れないのだ”と錯覚させ
てしまうような外見を。
かねてより僕は「規制」に傾くよりも「自由」であることを大切にしたい考えです。
ガチガチにこれしか“許さないと”一つに固めてしまうよりも、玉石混合色々あってそれが
いい。そんなセカイの方がずっと豊かだと思うのです。言わば寛容なセカイとでも言うべき
なのでしょうか。
しかし、世の中そう思い通りにはいかないようで。
どうにも現実の世の中は何かにつけて規制へのベクトルを押そうとする向きが強いようにも
思えます(実際はそれら個々の規制を「喧伝」する勢力がいるが故なのですが……)

学生時代、僕の通っていた学校の先生は度々こんなたとえ話を持ち出していました。
それが『穴の開いた靴下は駄目になる』論。
要約すると“どんなに他がちゃんとしていても、一部が駄目なら全体が駄目に見られる”と
いうような主旨です。
皆さんはこれを聞いてどんな解釈をするでしょうか?
「他人様に迷惑を掛けるな」という滅私奉公・組織優先の論理でしょうか。
「何事も節度が肝心なのだ」という倫理を説いた言葉と映るのでしょうか。
或いは、もっと違った解釈なのでしょうか。
実際の所、この先生の真意は今もはっきりとは分かりません(当時の僕がまだ若く変に納得
させられつつも、何処か違和感を覚えていたこともあり)
それでも、どの解釈で臨んだとしてもこの言い回しは言い得て妙だなと今でも思うのです。
(だからこそ未だに記憶に残っているのでしょうね……)

この言い回しを梃子に話そうとするなら、僕は今回の二次創作規制に関してこんな解釈を試
みてみようと思います。
──原作者(及び権利者)側からの禁止や許諾に関してお達しがある。
にも関わらず、今回問題とされているような輩はそれを無視して自分達の「快」だけを御旗
としてそれを破った。すなわち、二次創作が二次創作で在り得ている前提である、お互いの
仁義を破っているのです。ここで倫理的なアウトがあります。
そこで注意やら相応の処罰をして治まればいいのですが、おそらく完全に元(良好な状態)
には戻らないでしょう。
(言い方が露骨ですが)原作者側もその著作でご飯を食べている訳ですから、場合によって
は強い対応を運営側へ要請し、最悪法的手段に訴えないといけなくなるかもしれません。
ただ……僕個人はそこへ至ってしまったらもう「戻れなくなる」んだろうなと、もどかしさ
を覚えるのですよね。
勿論大半の創作者の方々は作品愛と共に二次創作を楽しんでいる。
なのに、一部の悪質な存在がこの界隈全てを陰鬱にし、自主的にも外圧的にも萎縮・規制さ
れてしまうようなことになれば、一体誰の為の対応だったのか正直分からなくなるのです。
(原作者さん側が「全て自分のカネの為」に訴えたとは、あまり考えたくないのです……)

「一部の馬鹿の所為でこんな事になった」と蔑視の眼を向けるのも、何だか違う。
そこにはやはり、権利行使をした彼らと同じ“身内”同士での対立へ消極的に関わっている
ともいえるからで。
「きな臭くなってきたから出て行くかな」と萎縮してしまうのも、何だか違う。
捻くれた考え方かもしれないけれど、そこで現状落ち度の無い自分までが退場してしまう、
そんな人々を誘発する因子となってしまえば、遠回しのその界隈を殺している一人になって
しまうと思うから。
「じゃあ問題が起きないように二次創作は全部駄目!」というのは、論外。
先も述べたように、僕個人は寛容なセカイを望んでいるから。
それは何も社会という大きなものだけではなく、創作という限定的フィールドであっても同
じこと。それこそ“穴が開いた靴下だから捨てる”──規制という鎖を十把一絡げに掛けて
しまうことには賛成できない。

僕らは「自由」でありたい。
だけど、そこに「他人を押し退けてでも自分だけが面白くあれる」自由を含めてはいけない
し、含まれていないのだと、僕は思うのです。
やっぱり結局理論論だけど──縛られるものがあるとすれば“良き倫理”であるべきだと。

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  1. 2012/03/15(木) 17:45:00|
  2. 【雑記帳】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

なろうさん(とゆーかにじファンさん)の件の規制の話、いまやっと確認してきました。
まぁあたしもなろうさん関係では二次創作は畑違いですし、それ以外でももう10年以上二次創作には関わってないので、この件に関してあれこれ言う立場でもないのですが、なんとなく規制の内容を見ていると「このまま行ったら、にじファンというサイトの存在意義自体がなくなるんじゃないか……」って気がしてしょうがありません。

そもそも権利者とファンの信頼関係を崩すような二次創作、もっといえば作品愛を伴わない二次創作って何なんでしょうね。
あたしの周囲にも、ほんの数年前までいわゆる同人誌即売会に出店側として参加していた子がいます。
同じ作品好きとして、同人誌の作成にアシスタントとして駆り出されてたから、彼女(友人は女性です)が本を作り上げる過程を間近で見ることがよくあったのですが、やっぱり作品が好きで好きでたまらなくて、だからこそ「自分でも書きたい(or描きたい)、その作品世界に関わりたい」って思って作ってるんだなってのが、未完成の制作物からでも伝わってきました。
他にも好きな作品のイラストを描いたり同人誌を作ったりしてる(orしてた)友達もいますが、誰を見てもその作品が大好きだっていうのがすごく伝わってくるので、二次創作はそういった人たちが作ってる物だとばかり思っていたのですが……。
二次創作でお金を稼ぐのがアウトっていうんなら、世に溢れる同人誌即売会こそが規制の対象になる、でもそもそもなろうさん(とゆーかにじファンさん)はそーいったこととは一切無関係のハズですし、今回の規制強化にはなんかピンとくるものがない気がします……。
  1. 2012/03/16(金) 00:22:21 |
  2. URL |
  3. あすか まな #-
  4. [ 編集 ]

コメントありがとうございます。
そうなんですよね。僕も今回の規制強化はどうにも本質を捉えていないというか、
単純に運営として被る火の粉を抑えたいという意図ばかりで、二次創作界隈への配慮
という点に欠けている印象を受けます。
哀しいなとは思いますが、今回の規制強化の件で少なからず「にじファン」から
退いてしまう作り手さんは出るんでしょうね……。

二次創作のリスクには、描き方によっては「作品が穢された」と感じる人も出ざるを得ない
(からこそ各ジャンルで棲み分けが在るのでしょうけど)という面あるでしょうし、
今回のように派生的表現の自由とその“奔放さ”への抵抗に類する問題もあるのだと思います。
私見ですが、金銭的権利関係や組織としての打算と、表現者としてどう在るのかは、分けて考えないと
状況をややこしくしてしまうのかな?と考えている最中です。
悪質とされた二次創作者も──僕の推測の域でしかありませんが──その実態はきっと(規約を読まず
守らずといった落ち度はあるにしても)悪い事をしているという自覚が前もってなかった、つまり本文中
で僕が述べている「自分が面白ければ・得をすればいい」という過大解釈、よろしくない倫理で動いたが
故の結果なのだと思います。
しかし対する原作者やその周辺は、この界隈が存在できる前提たる個々の相互信頼を破った彼らにできる
措置は実質不徹底に近い筈です(人気作なら特に)。だからこそグレーゾーン的許容という態度で今まで
続いてきた訳ですし、それが担保できないなら“大きな網”を張る(=法的手段・規制強化に訴える)
他ないのでしょう。
そんな、お互いの齟齬というか、噛み合わない解決の模索でしかないというか。
(少なくとも僕個人は)原作者側が単に「カネが侵される」から権利行使に出るというだけの理由でこうした
対処を採っているとは思いたくないんですけども……。

他人を踏み台にしてもいいというような、よろしくない倫理。
一見カネ・利権でしか語れない対抗手段という現状。
何よりもこうした「靴下に開いた穴」で以って、それみたことか!と十把一絡げに封殺してしまいかねない
ラディカルさ。危うさ。

健全な創作を自由に広く担保する為にも、もっと打つべき改善手は他にあるように思えますね……。
  1. 2012/03/16(金) 02:33:02 |
  2. URL |
  3. 長月 #oOZ748FU
  4. [ 編集 ]

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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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