日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-Ⅷ〔110〕

「──アルス・レノヴィンが?」
『うむ』
 煉獄深層域、監視塔内部。
 西棟の死神衆・獄吏達もただでさえ好んでは近寄らないその一角、人目のつかない物陰に
潜みつつ、死神総長アララギはとある人物から通信を受けていた。掌の光球越しに、ハザン
及びシゼル──同じ“結社”に属し、率いる盟友達から、外界に関する近況を聞かされる。
『ユヴァン殿の見立てでは、あの者達も“撰ばれ”つつあるようだ。先刻ティラウド殿とオ
ディウスが、用心の為加勢に向かった』
 曰く、レノヴィン兄弟の片割れ・アルスが、何の因果か神界(アスガルド)に迷い込んだ
のだという。
 深淵層(こちら)に向かっていた筈なのに? 何故天上層へ? 何故彼だけが?
 アララギは訝しんだが、ハザンからもたらされた情報を基に合点がゆく。
 “虚穴(うろあな)”だ。奴らブルートバードは、鬼ヶ領郊外のそこからこちら側へと侵
入し、魂(ストリーム)の暴風雨の中を進んで来た。状況からして、奴らの持つ聖浄器に惹
かれ、引き摺り込まれたのだろう。そしてアルス・レノヴィンはその時、兄・ジークの得物
でもあるこれらの一つ、護皇六華を預かっていたという。
『そちらも、確実に始末を。障害は早急に取り除かねばならない』
「……分かっている」
 弟が“撰ばれ”つつあるのなら、兄もその可能性は十分にある。ハザン達がわざわざ釘を
刺すように連絡を寄越してきたのはその為だ。アララギは努めて淡々と簡潔に、やや苛立ち
を宿して答えたが、それでも内心現状では“足りない”と感じていた。
 生来の気難しさ故なのか、或いは直感の類か。
 当初はなるべく内々に始末しようとしたのに邪魔が入り、加えてブルートバードの侵入を
許しつつある。第五層・六層の魔獣(しゅうじん)達を解き放ち、念押しの一手を打ちはし
たものの……。
『アララギ総長! 応答してください!』
『こちら煉獄第四層! 脱獄です! ジーク・レノヴィンとアズサ・スメラギが共謀して、
囚人達を……!』
 ちょうどそんな時だった。ふと通信機の向こうから部下達──西棟死神衆からのSOSが
響き、ザザザッと時折ノイズを含みながら現場の混乱が伝えられた。
 静かに目を見開き、アララギがじっと黙っている。光球越しのハザンやシゼルも、これら
声は聞こえていたとはいえ、一旦口を閉じざるを得ない。彼との繋がりがバレてしまわない
ように、通信の向こうで息を潜める。
 そうして暫く応答せずに黙り込んでいると、死神達の声や物音が途絶えた。返事がないと
諦め、向こうから切ったようだ。
『おい。一体どういうことだ?』
『今、脱獄と……』
「……ああ。どうやらまた、しぶとく抵抗を始めたらしい」
 先ほどよりも険しい、驚いたかのような声色になるハザンとシゼル。
 やはり私自らが手を下すしかないのか……? アララギは更に顰めっ面を重ねて眉間の皺
を深くしつつ、絞り出すように二人に答えていた。ギリッと静かに拳を握り締める。
 忌々しい。死んだのだから、さっさと諦めて死んで(きえて)しまえばいいものを。尤も
実際は使徒(ジーヴァ)に殺された訳だが。
 邪魔をするな。“摂理”を知り、成り行きから“結社”の一員として、大命成就の時を今
までずっと待ち続けていたのに……。
『た、大変ではないか!』
『ユヴァン様にも報せます。すぐに対処を』
「……分かっている」
 言われずとも。慌てる光球越しの二人に、アララギは応じた。出来ればその瞬間(とき)
が来るまで正体を晒したくはなかったが……ここまで状況が拗れては致し方が無い。全ては
あの兄弟の所為だ。分不相応に抗うからだ。
 しかしルキのように、“結社”側の兵をこちらに持ってくるのは宜しくない。直接動く前
にバレる可能性があるからだ。尤も、クロムが私の存在に気付いていれば同じ事だが。どち
らにしても、早々に事を終わらせる必要性が増した。
『──ッ?!』
 だが事態は、彼らが次の対応に動くよりも早く、容赦なく進んでいたのだった。まるで連
鎖するように次々と、歯車は加速度を上げて回り始めていた。
 直後、獄内を昇って、何か膨大なエネルギーが吹き上がってゆく感触。足元から大きく揺
さ振られる衝撃。
 その場に居たアララギは勿論、光球越しにハザンやシゼル、摂理宮内にもその異変は時間
差で伝わる。周囲で吹き昇る奔流、輝く魂(ストリーム)達の様子に、アララギは唖然とし
ていた。眉間に皺、怒りを伴い、彼はその表情を歪める。
「まさか……」
 視える者には視える。聞こえる者には聞こえる。
 遥か頭上へと一目散に向かう、魂達の叫び。それはアララギが抱いていた嫌な予感が、最
悪の形で的中した瞬間でもあった。


 Tale-110.変革者達と反転する魂

「よい、しょっと……」
 ヒロシゲ以下、南棟死神隊を撃破した後の外壁上通路。
 イセルナやダン、グノーシュ他ジーク救出班の面々は、伸びて気を失った彼(彼女?)ら
を一通り縛り終えると、誰からともなくやれやれと嘆息をついた。
 《雷》の一撃で黒焦げになって白目を剥いたままの隊士達は勿論の事、従うべき主が気絶
してしまった少女型のキンシー達も、何処かぼんやりと糸が切れたように動かなくなってし
まっている。抵抗しないのなら好都合だが、おそらく中には誰かしらの魂が入れられたまま
の筈だ。そう考えると複雑だった。実際同じように“造られた”存在であるマルタなどは、
彼女らの姿を哀しそうに眺めていた。隣を通る主・サフレも、下手に言葉を掛けられない。
「もうっ。本当、無茶するんだから」
「……ごめん」
 一方でレナは仲間達を、特にヒロシゲの《形》を止める為に身を挺したステラの治療に当
たっていた。聖魔導の優しい金色の光をそっとかざされながら、彼女はばつが悪そうに苦笑
いを零す。自身の《月》が一緒に吸い込んだ、余分な蝋状のオーラも、この親友によって少
しずつ中和されてゆくことだろう。
「しっかし……。思ったよりも時間が掛かっちまったなあ。すまん。俺達があっさり、あい
つのデロデロに呑まれちまった所為で……」
「気にすんな。手綱を引いてたお前が、一番逃げ難いのは仕方なかったろ?」
「結果的に、彼らをこうして退ける事が出来たからね。今はとにかく前に進むことだけを考
えよう」
 これで邪魔な奴らは“掃除”し終えた。
 再び集まり直す面々の中で、グノーシュはそう陳謝したが、ダンやシフォンといった仲間
達は努めて水に流す。迷惑を掛けたと理解しているのか、彼の雷獣型の持ち霊・ジヴォルフ
らもしゅんと耳を伏せていたが、シフォンがそう付け加えながらそっと彼らの頭を撫でてや
っている。クレアもこれに加わり、数拍静かに呼吸を整えてからグノーシュが向き直った。
「ああ。足止めされた事には変わりないんだがな……。リュカさん、ジークはどうだ? ま
だ大丈夫そうかい?」
 仲間達が取り急ぎ出発し直そうとする少し向こうで、天瞳珠(ゼクスフィア)を胸元に握
ったリュカはじっと千里眼を発動させていた。閉じた瞼の裏、脳裏に現れる“煉獄”周辺の
様子を、リアルタイムで窺ってくれている。
「……拙いですね。大きな円塔の天辺──入り口だと思うんですけど、そこに空いている穴
の周りに、死神達がどんどん集まって来ています。多分、封鎖しようとしているんじゃない
でしょうか? かなり数がいますね。複数の隊が徒党を組んでいるような……そんな感じ」
「チッ。マジか」
「また待ち伏せをされてるってこと?」
「ううん。確かにぐるりと周りを囲んではいるけれど……皆“煉獄”の中を見ているわね。
少なくともこちらを睨んでいる様子じゃないわ」
 治療を済ませたステラが、レナと一緒に合流してきて訊ねてくる。リュカは少し確定して
答えるのに迷ったようだが、ややあってふるふると首を横に振ると言った。ダン達もめいめ
いに彼女の周りに近付き、手で庇を作るなどして、遠巻き見える巨大な円塔状の構造物──
目的地と思しき“煉獄”の様子に目を凝らす。
「……?? どういうことですか?」
「向こうの事情が今どうなっているのかは分からないが、そんな布陣をしているということ
は、誰かを逃がさないように見張っていると考えるのが自然だな。誰かが内部で事件を──
ジークが脱獄をしようとしているのかもしれない」
 頭に疑問符を浮かべるマルタの隣で、サフレがじっと口元に手を当てて推測を述べる。
 レナやステラ、ダンなど仲間達の表情(かお)がぱぁっと華やいだ。あくまで状況を基に
した仮説ではあるが、可能性はある。「あいつもタダでは転ばないか……」一抹の驚き、そ
して安堵。ジークも頑張っている。自分達も諦めてはいけない。
「どちらにしろ、その混乱に乗って動かない手はねえな。そうなると、ただ真正面から乗り
込んでくのはベストじゃないか……」
「そうですね。どのみち死神達(かれら)がああして待ち構えている以上、あの子が出て来
るのをアシストした方が良いと思います。中からすれば、退路を塞がれている訳ですから」
 ああ……。ダン以下仲間達は大きく力強く頷いた。その蓋をされつつある状態を、何とか
こじ開けてやる必要がある。一旦作戦を立て直さなければならない。
「イセルナ」
「ええ、分かってるわ。今レジーナさん達に連絡を取ってる」
 故に一同は、先ず分散した他の面々との合流を果たすことにした。足止め役に回ってくれ
たクロム達も心配だったし、何より“煉獄”の入り口を固める死神衆と相対するのなら、戦
力を結集しておく必要がある。
 ダンが声を掛けるよりも逸早く、イセルナは自身の携行端末からルフグラン号のレジーナ
らに導話しようとしていた。肩にはブルートが留まり、リュカと同じく“煉獄”方面の様子
を見つめている。
 世界層の壁を通ろうとすれば阻まれてしまうが、同じ冥界(アビス)の中ならば回線──
魔流(ストリーム)も届くだろう。難しいなら一旦転送リングで船内に戻ってもいい。
 皆で集まり直すか? その上である程度、布陣が見える場所まで迫ってみるか……?

 一方その頃。クロムやヒムロ以下三隊長、元十六番隊の残党と団員達の目の前には、金色
の炎が迫っていた。機動長オシヒトの放った《金》の斬撃が、彼らを呑み込もうとする。
「防御(ガード)しろ!」
 しかしこの絶体絶命のピンチを、他でもないアマギが救った。彼は《金》の炎が迫る直前
に自ら《鋭》のオーラによる触手達、その刃の腹で、他の面々を側方に吹き飛ばしたのだ。
 それは半ば自己犠牲の一手でこそあったのだが……クロムは逸早く、この触手達の為さん
とする所を理解。寸前で彼の片腕を掴んで引っ張り、そのまま吹き飛ばされてゆく自身と共
にこれを救出する。
 側方。即ち魂魄楼の四方を囲む外壁上、その南東(かど)から南(したがわ)へと追い遣
られつつあった一行の左手には、ちょうど楼内の街並みが在ったのだ。《鋭》の触手達が薙
ぎ払うように吹き飛ばしたその先、市中の建物や箱などに落下して、クロム達は盛大に転が
った。幸いにもこれらがクッションとなり、叩き付けられて即死という事態だけは避けられ
たようだ。
「……楼内(した)に落ちたか」
 《金》の炎が止んだ後に姿が見えなくなったことから、オシヒトは当たりを見渡し、市中
に逃れたクロム達を目で追った。「痛でで……」立ち昇る大量の埃、突然の出来事にざわつ
く楼民達。騒ぎを聞きつけた彼らが驚き、駆け寄ろうとする。或いは警戒の為に巡回してい
た死神らが、これに交ざって動き出そうとしている。
「拙いな……」
「ああ。このままじゃあ人目に付き過ぎる。とにかく此処から離れないと……」
 ただでさえ冥界(アビス)自体への侵入と、ルフグラン号で強引に乗り付けた騒ぎ・轟音
で、人々の神経はピリピリしている。一連の“犯人”たる自分達の姿を目の当たりにして、
少なくとも友好的に迎えてくれるとは思えない。
 クロムやテンシン、ガラドルフ、或いはヒムロ以下三隊長や十六番隊の残党達、団員達。
 先の戦いや落下で、少なからずダメージを負った身体を引き摺りながらも、面々は急いで
その場から離れた。周囲の物陰に隠れて息を潜め、探し回る楼内の人々や死神達の様子を窺
いつつ、ボロボロに乱れた呼吸を整える。
「……すみません、アマギさん。俺達が不甲斐ないばかりに……」
「気にするな。機動長の斬撃(あれ)から逃げられたのは、単純に運が良かっただけだ。間
違いなく次はない。私も、クロム殿に助けられなければ消滅して(しんで)いた」
 ヒムロやシズル、十六番隊の残党達がそう詫びていた。状況的に彼の機転がなければ一網
打尽になっていたとはいえ、アマギ自身が一番危険だったことは理解していたのだろう。傷
や埃で汚れた装束を何度か払いながら、面々は立ち上がった。クロムら団員側も、同じく頭
上を見上げて現状を確認している。
 案の定、外壁上には増援の死神達がわらわらと集まり、こちらを追おうと忙しなく移動を
始めている。あまり長居はしていられない。
 市中の人々を盾にするような真似は、正直気が進まないが……この人ごみ、遮蔽物を利用
しない手はないだろう。今は逃げることに専念しなければ。
「……クロム殿」
 更にそうして動き出そうとする最中、ヒムロとシズル、アマギ、三隊長が何故か立ち止ま
ったままこちらを見つめて言った。クロムや団員達、十六番隊の残党らが、ふいっと頭に疑
問符を浮かべて振り返る。
「一旦ここで分かれましょう。俺達は別行動を取ります」
「? それは構わないが、何処へ……?」
「この事態を打開する為です。いくら楼内に紛れられるとはいえ、この人数でうろつき続け
るのは得策ではない。散開した方がよい。ならばその間に我々は──本部へと向かう」
 一瞬眉根を寄せたクロム達に、アマギが言葉を継いで答える。ヒロムとシズル、残る二人
の隊長格も、その意見に同意するようだった。
 曰く、オシヒトが聞く耳を持たず、状況が四面楚歌である以上、現在判っている情報と件
の疑惑──総長アララギの策謀と彼が“結社”の大幹部であることを、もう一人の総長であ
るヒミコに報せてはどうか? と。こちらとしても、組織を裏切る形になったことへの弁明
が果たせるし、何より疑惑の真偽について確認が取れる。
「貴方達は……先に行った皆と、合流して?」
「煉獄ですね」
「それなら俺達が案内します!」
 シズルのやはり訥々とした口調と、元十六番隊の面々が意気込んで寄越す返事。きゅっと
唇を結んだものの、クロムは「うむ……」と小さく頷くしかなかった。現状、それが最善の
動きだろう。こちらにも負傷者が多い。これ以上まとまって動くのは危険だ。
「テンシン、ガラドルフ。アスレイや皆を連れて、一旦ルフグラン号に戻れ。さっきオシヒ
トは、逃げた三人に再び船を追うよう指示していた。伝えに戻って、守ってくれ。負傷者の
手当も必要だろう」
「あ、ああ。それはいいが……」
「お前さん達は、大丈夫かの?」
「問題ない。道案内は話の通り、彼らがしてくれる。一旦人数を分散させる為にも、私達は
イセルナ達と合流しに行こうと思う」
 事実手負いの仲間達も多く、足手まといになりかねないとはいえ、テンシンやガラドルフ
を始めとした団員らの表情は浮かなかった。《金》の初撃をもろに庇ったアスレイは尚も二
人の肩を借りてぐったりとしているし、こうしている間にも市中の包囲網は狭まっている。
迷っている時間はなかった。
「……分かった」
 それらを振り払うように唇を噛み、そしてルフグラン号のレジーナ達を守る為、彼らは転
送リングで次々に帰還していった。しんとにわかに静まる中、対比するように楼内の人々や
死神達のやり取り、足音が耳に響く。互いに頷き合い、クロムと残党達、ヒムロらは改めて
二手に分かれて駆け出した。西と北、煉獄と魂魄楼の中枢・北棟の一角を目指してそれぞれ
に目的の進路を取る。

「奴らが逃げたぞーッ!!」
「追え、追え~!!」
「至急楼民達に避難指示を! 内門も閉じるよう伝えろ!」
 そして一連の逃走劇、外壁通路上の現場では、駆け付けた死神達が半ば揉みくちゃになり
ながら追撃を始めていた。内部へ降りる階段へと殺到していた。クロムらに倒された同胞達
を救護班が搬送し、或いは双眼鏡で市中に逃れた筈の面々の行方を追う。
「──」
 ただオシヒトはそんな部下達の中にあっても、じっと変わらず一人立ち続けていた。
「しかし信じられません。例の十六番隊の連中はともかく、アマギ隊長やヒムロ隊長、シズ
ル隊長まで……」
「あの三人は確か、今回の討伐隊の要だった筈でしょう? どうして裏切りなんか……」
「……楼内に落ちた以上、奴らにもう逃げ場はない。楼内の守護は北棟隊の仕事。アララギ
が私に頼んできたのは、奴らの船の確保だ」
 し、しかし──! にも拘らず当の彼が、早々に現場から引き上げようとするのを、現場
の死神達は慌てて止めようとした。何とか留まって貰おうとした。
「事態はもう、各棟毎と言っていられる場合ではありませんよ!?」
「機動長という大戦力なしには……」
「……私に楼内の者達を、焼き殺せと?」
 だがそうゆっくり、ピシャリと指摘されたオシヒトの言葉に、彼らは一斉にぐうの音も出
ず押し黙った。
 言わんとする所はすぐに解った。確かに《金》の能力(ちから)は絶大だが、一旦市街戦
になれば周囲の者達を巻き込みかねない。ただでさえ広範囲を攻撃できるのに加え、浄化の
力も備えているのだ。自分達幽冥種(ホロゥ)──死者には、取り返しのつかない被害に繋
がる可能性が高い。
「そ、そういう心算では……」
「……破壊された結界の復旧を急げ。内門はなるべく侵入側、南東から順次閉鎖するよう伝
えろ。楼民の避難と追撃を、兵らの数で分断しなければ、奴らの盾にされかねないぞ?」
『ははっ!!』
 蒼褪める部下達の反応もそこそこに、オシヒトはそれでも去り際にそう、より細かい指示
を足してフォローする。状況自体はしっかりと観ていたのだ。自分という戦力が加勢しよう
がしまいが、追撃は少なからず楼民を巻き込む。その上で彼らの安全を最優先に立ち回らな
ければならない。

『オシヒト機動長! 聞いてください! アララギ総長は、あの“結社”の最高幹部の一人
かもしれないんです!』
『もしかしたら、我々は騙されているのかもしれないのです! とにかく真偽を確かめない
ことには、私達も戦うに戦えない!』

 慌てて了承、敬礼する部下達に、オシヒトは肩越しにちらっと見遣る事さえしなかった。
 代わりに現在進行形で彼の脳裏を過ぎっていたのは、裏切りの隊長格・ヒムロらが矢継ぎ
早に口にしていた、そんな言葉の数々であって──。

 どうか“ご自愛”ください。
 魂魄楼中枢、本部内のとある執務室。キリシマやヒバリ、ヤマダ以下アララギ側近の隊長
格らに捕らわれ、ヒミコ及び部下の閻魔達は軟禁されていた。青白く帯電する細剣や短刀、
牙と大口を持つ鎖鉄球(モーニングスター)。彼らに武力で脅され、ヒミコ達は恐怖と焦燥
に震えている。
「どうして……?」
 裏切られた。目の前の光景よりも、彼女の脳裏に繰り返し繰り返し刻まれていたのは、そ
んなワンフレーズだった。
 一連の異変とそれらに対する、アララギ達の不自然に早く強引な対応。
 黒幕はやはり彼らだったのだ。気付いた時には……遅かった。
「貴女が悪いのですよ。折角我々が内々に片付けようとしていたのに、しゃしゃり出て来る
ものだから」
 半ば魘(うな)されるように呟くヒミコの問い掛けに、キリシマは答えた。あくまで平時
の紳士的な態度は崩さず、さも彼女の側に非があるかのように言う。自分達は正しい行いを
している──言外にそう信じて疑わないような言い草だ。
 ヒミコは自らが徐々に摩耗してゆく中、そんな彼らの言動から少しでも、この事態を打開
する手掛かりはないかと神経を尖らせていた。ヒバリとヤマダ、ないし配下の死神達が、憎
悪や侮蔑にも似た眼差しを向けてきている。反応の端々から推測するに、どうやら彼らは始
めからジーク・レノヴィンの死を知り、これを早く“始末”しようとしていたらしい。
(だけど、何故? 一体何のメリットが……?)
 ヒミコには解らなかった。彼女にとって死とは誰にも等しく訪れるものであり、魂そのも
のに貴賤は無いと考えていた。少なくとも自分達にはその権限も、資格も与えられてはいな
いのだから。仮に自身のそんな信条が、結果的にジーク・レノヴィンとその仲間達による今
回の襲撃騒ぎ──前代未聞の事態を招いたのだとしても。
「……分かりません。確かに彼は生前、良くも悪くも世界を掻き回した人物なのかもしれま
せんが、その魂について、恣意的な処置を下すべきではありません。私達閻魔衆及び死神衆
の使命は、彼らを再び魔流(ストリーム)に還す準備をすることです。穢れを祓うことこそ
しても、その正邪を断じることではないのではありませんか? アララギだって、ずっとそ
んな“秩序”を守って──」
「貴女に何が解るの!!」
 それこそ、自分よりもずっとずっと長く。何千年にも渡って。
 しかしヒミコがそう、もう一人の総長を例に挙げた次の瞬間、烈火の如く怒り狂った人物
がいた。目の前の隊長格の一人、ヒバリである。
「貴女に何が解るっていうのよ!? あの方の苦しみを、あの方の歳月を……ッ!!」
 あまりにも突然で、予想外の声量だった。完全に不意を衝かれた格好で、ヒミコが唖然と
言葉を奪い取られている。「まあまあ……」ヤマダや配下の死神達が、おっかなびっくりと
面倒臭げの間で煩わされていた。何とか激昂する彼女を宥め、場を収めようとする。
 対して面々のリーダー格でもあるキリシマは、もう慣れたという様子だった。やはり淡々
と、紳士然とした態度は崩さず、前のめりになる彼女を片手で制して言う。
「……落ち着き給えよ。彼女らは元より見通しが甘いんだ。何も分かっちゃいない」
 内輪揉めと言うよりは、更にダシにして腐すような。
 血管を浮き立たせるヒバリを下げつつ、キリシマらはあくまでこちらを逃がす心算は無い
らしい。しゃしゃり出るからいけない──この部屋に自分達を閉じ込めたのも、要するに時
間稼ぎの意味合いが強いのだろう。
「貴女達にはもう暫く、このまま大人しくして貰います」
「あの者達を……ジーク・レノヴィンと、その仲間達を葬り去るまではね」
 不用意に仲間を怒らせ、まだ話し合いが通じるとさえ思い込んでいた。
 その点を“間違っている”と改めて正すかのように、彼は剣先に青白い雷光を蓄えながら
告げる。

「──聞いたか? 次の大裁定、延期になったらしいぞ?」
「えっ。そうなのか? まぁ仕方ないよなあ、こんな非常時だし……」
「少し前に北棟の隊長達が、閻魔長を訪ねたってのも聞いたな。今も再開やら何やら、これ
からの対応について話し合ってるみたいだぜ?」
 部屋の外。廊下を行き交う下っ端の閻魔達は、そう誰からともなく聞いた話をお互いに伝
え合っていた。言わずもがな、予めアララギ一派が広めた虚偽の説明である。
 だが怪しむ者は、現状も合わさって殆どおらず、或いはそれぞれの仕事で忙しい。まさか
当のヒミコらが部屋の向こうで捕らわれているとは思いもせず、一組また一組と近くを通り
過ぎては、その足音が再三次第に遠退いてゆく。
(……ッ! ううっ……!!)
 喉元に突きつけられた剣先、後ろ手に縛られた手足。
 ヒミコは幾人かの部下達と共に、失意の中で捕らわれの身となっていた。
 じっと油断なく監視し、時が過ぎるのを待っているキリシマ達と殺風景な室内。何よりア
ララギに──長年の相方に裏切られたと知り、受け入れざるを得ないショックと、無力な自
身への嘆きに苛まれていた。次第に憔悴を深め、静かに涙を零していた。
(誰か……助けて……)
 一体何がいけなかったのか? 何が間違っていたのか?
 今更自問(と)うても詮無いとはいえ、尚も彼女が求めるのは、他力本願のそれだった。


 時を前後し、地上層・顕界(ミドガルド)。大都(バベルロート)を中心とした回線上。
 トナン皇国女皇・シノの呼び掛けにより、非公式ではありながら、統務院各国の王や議員
達が映像越しに顔を揃えた。議題は言わずもがな──ジーク達の現状が、世間にバレてしま
ったことについてである。
『……さて。一体どうしたものか』
『例の雑誌社も、余計な事をしてくれましたね』
『そもそも情報の出所は何処なんだ? 裏切り者がいるのか? よもや我々を陥れる為に、
記者に掴ませたのではなかろうな?』
 巷が呑まれる混乱と、そこからこちらへと向けられる批判の矛先。
 タイミングとしては大よそ最悪と言って良かった。まるで何者かが、意図して件の記事を
書かせたかのように。
『まあ大方……“結社”だろうよ。奴らは半分見捨ててたが、グノアの処刑にぶつけてきた
ってのも、そういう事だろ?』
 特に四盟主が一人、ファルケンはぶすっと不機嫌面を隠さない。ここぞと思って切った自
らの手札(カード)が、結果的には効果薄となってしまったのだから。
「……やはり領民の皆さんに、きちんと話すべきではないでしょうか? 既に教団は先日、
会見を開いていましたし……」
『どうかしらね。素直に謝っても、このままだんまりを貫いても、叩かれるのは目に見えて
いるでしょう?』
 そして堪らず発言するシノの“誠意”に、懐疑的な反応を示したのは、四盟主ロゼの相談
役でもある“七星”の一人・ロミリアだった。他の王や議員達の顰めっ面を、画面越しに観
てはいたものの、その声色はやや穏やか目である。小さく嘆息をつきながら、彼女は故郷の
友人も引き合いに出しながら続けた。
『ミザリーも話してたわ。首領(ドン)が物凄く怒ってたって』
 妖魔族(ディモート)の一大拠点・常夜殿の主にして、地底層の各門閥(ファミリー)を
束ねる万魔連合(グリモワール)が四魔長の一人。
 加えてその実質的な当目である、“首領(ドン)”ウル・ラポーネもまた、今回の騒動に
ついてお冠とは。曰く、ブルートバードの面々が鬼ヶ領郊外の“虚穴(うろあな)”を通ろ
うとした際、同族長であるセキエイをボコボコに打ちのめしたというのだ。
『“鬼長”を……? おいおい、聞いてないぞ』
『あ、あいつらめ。問題をさらっと増やすなよ……』
 当時の詳しい状況を聞く限り、どうやらセキエイ個人の事情も絡んでいたようだ。半分は
その辺りでばつが悪く、当人らもしっかりと報告を上げずにいたのだろう。
 王や議員達は改めて頭を抱えた。もしかしなくとも、これは地底層(あちら)との外交案
件ではないのか? 裁量を与えているのだから、その分経過を上げてくれねば困るのに。
『……まあ、その辺は大丈夫よ。彼も納得してああなったみたいだし』
『それなら良いのだが……。それで? 我々としてはどうするべきかな? 流石に教団だけ
に良い格好をさせておくも、長い目で見れば不利になるぞ?』
 そっちはそっちで、内々に済ませておくわ──。ミザリーのやや肩を竦めた結びに、ウォ
ルターが続けた。問題なのは現状、自分達が統務院として未だ何の声明も出していないとい
う点である。
『そりゃあそうだがなあ……。あいつらと俺達じゃあ、勝手が違うだろ』
『彼女らはあくまで民間、半公的。一方で私達は名実共に世界政府──公的機関ですしね』
『然様。我々としては、今回の報道をすんなり認める訳にはいかんのだよ。ジーク皇子蘇生
の試みは、この世界において“ルール違反”であることに変わりはない。我々統務院が秩序
を司る、その象徴的存在である以上、真正面から是認する訳にはいかぬ』
 クリシェンヌ教団のそれは、要するに保身である。公式に声明を出して人々に自制を呼び
掛け、それでいて自分達の、宗教者としての立場を何とか繕おうとした結果だ。組織として
の本音は声明の文言通りではなく、ただでさえ聖教典(エルヴィレーナ)絡みで低下してい
る求心力の下支えに他ならない。
「……」
 そんな四盟主筆頭にして恩人、ハウゼンの言葉にシノは押し黙っていた。理屈も王として
の立場も解るし、自分が無理を言って相談を持ち掛けたことも承知はしている。
『すまぬな、シノ女皇。あくまで我々としては“ブルートバードによる独断”という体裁を
取らざるを得ない。どちらにせよ、監督責任という形での突き上げは免れぬが……』
「いえ……」
 そしてか細く、シノは応える。
『すまないな。私達もハウゼン王の意見に賛成だ』
『どちらにしても、現実問題として、彼らという対“結社”の急先鋒を失うのは拙い』
 しかし政治(それ)は政治(それ)として、あの子達があんまりじゃあないか……。
『……実の息子の生死に関わるのだ。心中の辛さは察するに余りある。ただどうか、お主一
人で突っ走らないで欲しい。その痛み、誠を尽くすという信条は解ってはおるが、世の中に
はそれらを意に介さぬ輩も少なくないのでな』
「……。はい」
 とはいえ、我が子を失ったという境遇それ自体は、かのハウゼンとて同じなのだ。その上
でこの老練の王は、彼女に向かって忠告──懇願とも取れるような発言をする。
 シノはぐっと言葉を呑み込んで、聞き入れるしかなかった。彼の言い方は暗に、他人の痛
みや誠意というものが通じない者達が存在する──存在するが故に、その悪意から身を守る
為に、自らも非情にならざるを得ないという現実を突きつけているかのようだった。
『エイルフィード。ブルートバードの現状は?』
『フォンテイン候。そちらにも適宜連絡は行っているのだろう?』
『少なくとも冥界(アビス)には到達、その中枢である魂魄楼に乗り込む所までは分かって
おりますが……。それから先の状況については……』
『何分特殊な環境ゆえ、通信網も限定的になります。世界を隔てる魔力(マナ)の壁も、通
常以上に分厚いと聞きます』
 そうして彼らからの戒めを懸命に咀嚼する中、議論は次の段階に進んでいた。
 では具体的に自分達はどのような対応を採れば良いか──? ハウゼンはセドに、ウォル
ターはサウルに、それぞれ個人的パイプを持つ臣下・同胞に訊ねている。
 現状、まだジークの魂を救出したという報告は来ていない。ちょうどその取り戻す為の闘
いが正念場を迎えている頃だろうか? 正直もどかしいが、彼らを信じて待つしかない。
『しかしクロムの話では、四十九日以内に取り戻せなければ、魂自体が消滅してしまうのだ
ろう? もう結構経つぞ?』
『あくまで平均でという話だろう? もしかしたら、もっと早いかもしれん』
『最悪を想定するのは必要ではありますが……。彼女らの前ですよ?』
 あーでもない、こーでもない。次第に王や議員達は、めいめいに憶測を広げ始める。中に
は当のシノや傍らでそっと寄り添うコーダス、近衛のサジや主治医のナダといった面々を気
遣う者もいたが、どちらにせよ回線越しにばっちり聞こえている。余分に気を揉んでしまう
ことには変わらない。
『まさか、こっちからも人を遣るって訳にはいかねえしなあ。結局知ってる奴らで口裏を合
わせてゆくしかねえのか……』
『そうだな。こちらとしても、現在事実確認に奔走している、という体を取らざるを得ない
だろう。ディノグラード家にも、改めて要請しておいた方が良さそうだ』
「……」
 結局決められるのは、如何に状況を糊塗するかという点に収束する。
 シノは内心、夫らと共に眉尻を下げてこれを観ていることしか出来なかった。ことセドに
関しては、自身の娘──シンシアやお付きの二人などが、半ば反対を振り切って現地に飛ん
で行ったというのに。許されるなら、自分もすぐにでも飛んで行きたい。消えてしまう前に
息子に会いたい。抱き締めたい。
『しかし、死者の世界など前代未聞で……』
『先日まで以上に、彼らが協力してくださるでしょうか?』
 あーでもない、こーでもない。
 半分は事実として認めながらも、統務院としては尚、蘇生試行(そんなはなし)を大っぴ
らに明かすのは難しかった。

「ゼクセム……様?」
 一度は“撰ばれ”て覚醒したアルスも、その先達であるルキには結局届かなかった。
 だが光線(レーザー)を片腕に掠めて膝を突き、絶体絶命のピンチに陥っていたその時、
再び手負いの最高神・ゼクセムが立ち上がった。自身が彼にそうされたように、両手を大き
く広げて、二人をルキ達から庇おうとする。
「……一体何の心算だ? もう、死に体の爺でしかないお前に」
 当然ながら、ルキ達は怪訝の眼差しを向けている。ただそれは警戒心というよりも、侮蔑
のそれと言って良かった。
 しかし彼らのそんな決め付け、油断が、次の瞬間対応を遅らせたのである。
「解っておるさ。もうお前に勝てる“神”などいないのだろう」
 信仰という鎧を貫かれ、その身をもって経験したにも拘らず、ゼクセムは言う。ルキの言
葉の通り深手を負いながらも、彼は苦しげ且つ不敵に笑った。
「ゼクセム・レイフォードの名において命じる! 我が眷属達よ、時間を稼げ!」
『!?』
 はたしてそれは、彼の最期の悪足掻き。
 付与型《命》の色装──最高神としての名をもって、いわゆる言霊的な作用を周囲に及ぼ
す、彼の能力だ。魔流(ストリーム)が弾け、一旦力を失って倒れていた天使(エンゼル)
達や配下の神々が、ギンッとその力を受けて強制的に動かされる。「ゼ、ゼクセム様!?」
「止め──」眼光を開いてルキ達に飛び掛かってゆく尖兵らに交じり、彼らも本来戦えると
は限らない我が身を挺して殺到した。
「チッ!」
「小細工を……!」
 とはいえ、ルキやティラウド、オディウスにとっては“雑兵”である事に変わりはない。
 数で一挙に囲まれると邪魔でこそあったが、三人はすぐにこれを千切っては投げ、千切っ
ては投げし始めた。個々の兵力で見ても、黒衣のオートマタ兵や狂化霊装(ヴェルセーク)
達の側にやや分がある。迫る相手側の数を、彼らは拮抗から耐えて押し返し、すぐにこれを
打ち崩し出していた。
「あれって……色装?」
「ゼクゼム様。一体、何を……?」
「じっとしていなさい。早くしないと、部下達がもたない」
 だが当の本人は、そんな事など百も承知だった。それでも尚、自他を捨て石にしてでも彼
は、アルスとエトナに遺そうとしたのである。
 何を──。言ってゼクセムは、二人の方に向き直っていた。つい先程まで相対して立ち塞
がっていた、ルキ達に背を向ける格好で、その手をザッとアルスの頭にかざしたのである。
「……ゼクセム・レイフォードの名において命じる。この者、アルス・レノヴィンに、我が
第九級管理者権限(マネージオーソリティ・レベルナイン)を与えよ!」
『?! ッ!?!?』
 直後起こったのは、アルスを包み始める数式。幾つもの帯状の光。
 そうして続けて発された最高神(かれ)の言葉に、敵味方を問わず場の神々が激しい衝撃
を受けていた。驚愕の表情で、一斉に振り返っていた。
 それは即ち、彼ら“神”が“神”たる所以。この世界を創り出し、管理・支配し続ける者
としての絶対権。
 その最上級の権能を彼は託したのだった。只々過去の後悔からその後の人生を捧げ、届か
ない力を求めようと必死に生きてきた、一人の儚い被造物(しょうねん)に。
「き……貴様ァァァァーッ!!」
 ようやく相手の意図する所を理解して、叛逆の神・ルキが今までにないほど強い怒りと憎
しみを込めて叫んだ。《光》の一閃で纏わつく天使(エンゼル)達を粉微塵にし、同じく目
を見開いていたティラウドやオディウスらを差し置いて、ずんっと前のめりになる。
「──」
 ゼクセムは自嘲(わら)っていた。
 自分が何をしたのか、これから如何なるのかを知り、諦めにも似て全てを受け容れたかの
ように。

 ***

 かつて科学を究めんとし、されど結果的に“閉界(エンドロォル)”によって滅びゆく元
の世界から、私達は自らが創り出したこの世界に逃れて来た。信仰という生存システムが故
の側面こそあれ、気付けば我々はすっかり「保身」のままにこの世界に君臨してきた。途方
もない歳月を過ごしてきた。
 しかし……そんな中でもこの少年は、守ろうとした。創世の意味や“神”と呼ばれる我々
の正体、世界の真実を知っても尚、私を見捨てようとはしなかった。何よりそんな行動に数
多の魂達が応えるという、本物の“奇跡”を私達は目撃したのだ。
 ……火が灯ったような気がした。再び私の中で、科学者としての──いや、人としての尊
厳が蘇ったような気がした。我々は“神”などではなく、彼の叫んだように、同じく別世界
に生きたヒトなのだと。

“もう、充分だ”

 私達を物理的というより何より、精神的に越える命が現れた。そんな命を、我々は創り出
せたのだと。かつて一人の科学者であった、私の本懐はとうに果たされていたのだ。ずっと
ずっと、自らが大仰に君臨していたその足元に、脈々と受け継がれていたのだから……。

『終わりです。もういい加減止めましょうよ。所長(チーフ)』

 実際の所、これはただの諦観に過ぎぬのやもしれない。これまで築き上げてきた地位と力
を捨てるというのは、確かにルキの言葉と同じで少々癪だが……構わない。他に方法は無い
のだ。もうじき私は消滅する(きえる)だろう。ならばせめて、遺してから逝こうと思う。
 アルス・レノヴィン。君に託そう。
 君になら任せられる。アイリスの友である君になら、我々を超えた君になら──。

 ***

「こんのォォォォォーッ!!」
 管理者権限(マネージオーソリティ)の付与が完了したその直後、目にも留まらぬ速さで
距離を詰めてきたルキが、その《光》の剣でゼクセムを背後から斬り付けた。振り返り切る
隙も与えず、文字通り袈裟懸けに真っ二つ。かつて最高神と呼ばれていた男の身体は、上下
に分かたれて吹き飛んだ。
『──ッ!?』
「うっ……あああああああああああーッ!!」
 しかし反撃は同じく、間髪与えずに襲い掛かった。目の前で彼の身体が、破けた袋のよう
に散ってゆくのを目に焼き付けて、アルスが殆ど激情のままに叫ぶ。『ガァッ?!』先刻覚
醒した碧い輝きの瞳に加え、全身にぐるぐると巻かれ回転し続ける数式の羅列。ルキやティ
ラウド、オディウス。配下の“結社”の兵達は一瞬にして、激しく吹き飛ばされるように背
後中空の壁に叩き付けられた。
「ぐぅぅ……ッ!?」
「何だぁ、このデタラメな力は……?! おい、ルキ! 何とかしろ! その為のハザンと
のタッグだろうが!」
「……無理だ。あいつには今、所長(チーフ)と同じ管理者レベルが与えられている。神対
神ならば、信仰の差で俺が勝るが、あいつは生身の身体だ。尚且つ“撰ばれ”もした。何よ
りこの神都(パルティノー)の中では、管理者権限は最も力を発揮する。今この場で、あい
つに太刀打ち出来る術はない……」
 はあ!? ミシミシとその重鎧ごと押し潰されそうになりながら、オディウスが半ばブチ
切れた様子でこの“神”を見た。ティラウドも眉間に皺を寄せ、全身をオーラで防御しなが
ら、辛うじてこの上位者の圧(プレッシャー)に耐えている。
(クソッ……!)
 そして他ならぬルキ自身も、あからさまに歯噛みをしていた。倒すべき最高神(あいて)
はもう、あそこで真っ二つになって倒れているのに。自分達がその頂点にすげ替わり、大命
成就後の世界を復興する筈だったのに。
 まさかあの所長(チーフ)が、自己犠牲なんてものに走るだなんて……。
 ずっと保身の塊だったような男が、今や寧ろ安堵したかのように眠っている。その消えゆ
く器(からだ)の傍らで、奴の力を受け継いだレノヴィンの片割れが叫んでいる。
 それだけあの少年が、あの兄弟が、他人を革(か)えてしまう程の何かを持っているとい
うのか? 尚も自分達の前に立ちはだかろうというのか……?
「……撤退だ」
 故に直後、ルキは憎々しげに呟いた。ティラウドとオディウス共々、転移する間際まで、
この目覚めさせてはならない人物を睨んでいた。
 最高神(ゼクセム)は葬りこそしたものの、結局あの片割れの“覚醒”は防げなかった。
またしても……。
「っ、待て!」
 黒い靄と共に空間転移し出す彼らを、アルスとエトナは追おうとしたが、ちょうど辛うじ
て動けた狂化霊装(ヴェルセーク)が一体、最後の力を振り絞って二人に襲い掛かった。咄
嗟に二人はこれに注意を逸らされ、大きく跳んで回避。樹の触手でもって核を貫いてすぐさ
ま機能を停止させたが──その時は既に、ルキ達や配下の兵らの姿は無くなっていた。残っ
ていたのは、こちらとの戦いで破壊された者達ばかりである。一瞬の隙を突いて、こちらの
拘束から逃げられてしまった。
『アルス~ッ!!』
「おい、二人とも、無事かっ!?」
 そこへハロルドやリカルド、ミア、何故かシンシア以下学院の友人達も交じった一団が駆
け付けて来たのは、ちょうどそんな時だった。
 襲って来る敵を片っ端から倒しながら、この広大な神都(パルティノー)内の最深部、自
分達の居場所を探し当てたのだろう。皆は一様に、すっかりボロボロになっていた。にも拘
らず、見知った“仲間”達の姿をようやく目の当たりにし、アルスは次の瞬間半ば無意識に
涙を零して安堵していた。
「皆……」
 頬を張られたように驚いた表情から、フッと糸が切れたように緩むそれへ。
 アルス! 次の瞬間、相棒(エトナ)が慌てて掴んで支えようとするも叶わず、彼はその
場で力尽きて立ち眩み。両の瞳も元に黒色に戻って崩れ落ちる。


 煉獄第三層・青柱の間。マーロウやアズサ、脱獄囚達、及びフーゴ・サヤ隊の面々は奇跡
を見ていた。突如として床下をぶち抜き、現れた魔獣達の群れを、他ならぬジークがあっと
いう間に大人しくさせてしまったからである。
「──」
 そっと巨大な異形らに寄り添い、頬に涙さえ伝わせているジーク。その瞳はいつの間にか
澄んだ紅(あか)色に輝き始め、全身を膨大で異質なオーラが包んでいるようにも視える。
 マーロウ達はじっと、静かに息を呑んでいた。とうに狂気に呑まれて久しい筈の深層域の
魔獣(しゅうじん)達が、まるで彼の心を理解しているかのように身を寄せている。何処か
酷く安堵したように目を瞑っていた。
「……あれ?」
 だがそんな当人が、ふと次の瞬間には我に返っていた。瞳の色もオーラ量も、普段の彼の
それに戻り、目の前ですっかり大人しくなった魔獣達にぱちくちと目を瞬いている。
「な、何なんだ? 俺は一体……? おかしいな。何で俺、泣いて……??」
 ジーク? ようやく遠巻きのマーロウ達も、彼の下へ恐る恐る向かう事が出来た。おっか
なびっくりに近付き、すぐ目の前に佇む魔獣達を警戒するが、こちらは先程大人しくなった
状態から変わらないようである。
「だ、大丈夫か? ジーク?」
「あ、兄(あん)ちゃん。一体どうしちまったんだよ?」
「正直、一時はもう駄目かと思ったが……」
「……? 俺が何かしたのか? 確かにこれだけデカい魔獣達がうんともすんとも言わない
ってのは、妙だと思ったんだけど……」
 ゴシゴシと、服の袖で涙を拭いながら。
 ジークはそう、自身も随分戸惑っている様子で答えた。『えっ?』マーロウや脱獄囚、居
合わせた死神達が、誰からともなく息ピッタリに声を揃える。当の魔獣達も、泣いている彼
を見て気遣っているのだろうか? 寧ろより心配するように寄り添ったまま、ゆったり右に
左にと首を動かして覗き込んで来ている。
「憶えて……ないのか?」
「おいおい。それはこっちの台詞だぜ」
「一体、どんなトリックを使ったんだよ?」
「……分からねえ。気が付いたらこんな状況になってた。うーん……? そういやさっきか
ら、妙に耳鳴りがしている気もするが……」
 脱獄仲間達の矢継ぎ早な問いに、当のジーク自身も困惑している。異変が起こった自らに
意識を集中させ、辛うじて答えたのはそんな一言。片手を耳に当てて、そうだと言い切れる
ような言い切れないような、そんな曖昧な感触程度しか返せない。
「ただ……何か哀しかった。つーか、この大穴はそもそも何なんだ?」
 うん? すると今度首を大きく捻ったのは、フーゴやサヤ隊、先刻まで激しく敵対してい
た死神達の方だった。互いに顔を見合わせ、返答に困って丸投げするように、次の瞬間一歩
前に出てきたフーゴとサヤの両隊長に道を譲る。
「そもそもも何も、お前達の仕業じゃないのかよ?」
「おそらくは……第五層以下の囚人達でしょう。強い穢れで魔獣化し、実質浄化プロセスが
間に合わない者達です」
 だが勿論の事、ジーク達脱獄メンバーに心当たりはない。今度はこちらが大きく首を捻っ
てアピールする番だった。即座に否定し、マーロウも交じって弁明する。
「俺達じゃねえよ。大体俺やこいつらは、四層からこっちに上がって来たんだぜ? マーロ
ウさんを助ける為にな。真逆の方向なのに何でそんな事をする必要がある? こんな大穴だ
って空けられないだろうし……」
「……。それもそうか」
 結局ジーク達の側も、死神達の側も、互いに大きな疑問符を浮かべるしかなかった。
 これは一体どういうことだろう? 脱獄の時間稼ぎの為、下層の囚人達を解き放ったとい
う訳ではなさそうだ。少なくともどちらかが嘘をついていない限り、これは第三者による犯
行とみる他ない。
(何よりこいつらに、そこまで陰険な所はなさそうだしなあ……)
 内心ではフーゴもサヤも、あまり信じたくはなかった。事実魔獣達が押し寄せ、敵味方問
わず崩壊に巻き込まれようとした先の瞬間、彼らは自分達を含めて助けようとした。ジーク
・レノヴィンがあのような“奇跡”を起こしたからこそ良かったものの、こちらを見捨てて
さっさと逃げていれば、少なくとも味方の多くは助かった筈だ。こちらの混乱に乗じ、更に
出口に近い階層まで到達していた可能性だってある。
「……よく分からないけど。でかしたわ、ジーク」
 しかし、そんな両者の拮抗もとい一時休戦も、直後アズサがジーク達に向かって進み出て
きたことで打ち止めとなった。フッとこちらに視線を向け、まだ頭に少し疑問符が残ってい
た面々を余所に、彼女は魔獣達を見上げて言う。
「これだけの魔獣を従えられたなら、先の脱出にとって大きなプラスになるわ。ただでさえ
私達には兵力が足りない。完全に計算外だったけれど──嬉しい誤算ね」
「……そうだな」
 駒にとするには正直気が進まないが、現実問題彼女の言う通りなのだろう。ジークは一瞬
その顔を顰めたが、此処で無理に事を荒立てない方向を選んだ。
 自分でもよく分からないが、たとえこちらに害意を向けてこなくなっても、彼らは間違い
なく魔獣なのである。一旦“煉獄”の外に出てしまえば、魂魄楼の人々によって退治されて
しまう可能性は限りなく高い。文字通り彼らを活かせるのは、最早今この瞬間でしかあり得
ないのだから。
「お、おうよ! そうだったな……。俺達、脱獄中だった」
「よっしゃ! だったら次の階に進もうぜ?」
「さっき姐さんから聞いたよ。今度は隊長さんの副官達を助けなきゃいけないんだろ?」
 ちょっ、ちょっと待──!
 そうなると当然、フーゴやサヤ達も立ち塞がらざるを得ない。にわかにジーク達が脱獄を
再開し始めるのを見て、彼ら西棟の死神隊も我に返り始めた。あちこちに転がっていた得物
を拾い上げ、引き攣った表情が殺気に替わってゆき、再び敵対味方という構造が組み上がろ
うとする。
「──おいおい、何だあ? 何がどうなってやがる?」
 ちょうど、そんな時だったのだ。一時の和解じみた空気がひび割れ出す次の瞬間、ガシッ
と目の前の大穴の淵を掴む手が現れた。……デカい。物理的にも状況的にも、まさに地の底
から這い出てくるような、一方で何処か気だるい声色を響かせながら、その主がジークや死
神達の前に姿を見せる。ズシンと。魔獣達ほどではないが、少なくとも常人のそれではない
巨体が、場の面々を見下ろした。
「うーん……? 例の坊主と魔獣(しゅうじん)達と……。フーゴ、サヤ。お前ら何ぼさっ
としてやがる。俺が居なきゃあ、脱獄者一人捕まえられんのか?」
 西棟一番隊隊長、煉獄長こと“百獣”のドモン。
 フーゴやサヤ以下、獄内の死神達の上司たる大男、その人である。

 災いが去った直後の、神都(パルティノー)最深部。
 アルスとエトナは、ハロルド以下自身救出の為のチームと再会・合流を果たしていた。何
故かシンシアやお付きの二人、ルイスにフィデロといった友人達も交じっていたが……おそ
らく心配して来てくれたのだろう。自分の事を棚に上げておいて何だが、正直無茶はしない
で欲しかった。
 どうして此処に? 一体何があったっていうの?
 積もる話は色々とあるが、先ずは──。
「……よく、やった」
 他の神格種(ヘヴンズ)達が大挙して囲むその中に、かつての最高神・ゼクセムの変わり
果てた姿はあった。ルキの光剣によって真っ二つにされ、斜めに上半身と下半身に分かれて
転がっていた身体。最初に撃ち抜かれた時から光子(ち)は溢れ出ていたが、アルスがルキ
達を追い払っている間に、下半身は完全に消滅してしまったようである。残る上半身も胸元
と二の腕辺りまで霧散が進み、最早彼の“死”は避けられなかった。
「そんな事は……。僕達は結局、貴方を守れませんでした」
 誰? この爺さん?
 ゼクセム様だよ。
 えっ? それって……神の王様の?
 辿り着いたや否や、既に消滅しそうになっているこの一柱の名を聞き、フィデロやルイス
達が驚愕に目を見開いている。無理もないだろう。ハロルドやリンファなどは、周囲の様子
から、大よその状況を把握しつつあったが──同じく動揺の色を隠せない。人工塔群の外で
起きていた異変は、やはり内部(こちら)と繋がっていたのだ。
 一方でアルスとエトナは、神々に交じり、この最高神の臨終に立ち会っていた。彼より向
けられた言葉は称賛だったが、当の本人はふるふると首を横に振るばかりだった。頼みもし
ないのに涙が溢れ、目の前の現実に打ちひしがれる。何か自身に途轍もない力が流れ込んで
いたような気もするが、結果として守れなければ何の意味も無い。
「……ふふ。おかしな男だ。ルキ達が割り込んで来る前は、あれほど君を怒らせていた相手
だろうに……」
 それでも対するゼクセムは、自嘲(わら)う。
 アルスやエトナ、配下の神格種(ヘヴンズ)達やハロルドらに囲まれながら、彼はぽつぽ
つと懺悔し始めた。これまでの閉鎖的・保守的な自分と、神という立場。降臨し、使い潰す
側なのだという意識。所詮は結果論かもしれないが、ルキ達が謀反を起こした遠因もそれら
に在るだろう、と。
「君が言った通り、我々も元は一介のヒトに過ぎんかったのだよ。当たり前の事だったのに
な。あまりに長い歳月を過ごした所為で、すっかり忘れてしまっていた」
『……』
 ただそんな言葉を受け取るアルス達と、神格種(ヘヴンズ)らの間では、根本的に違う所
があった。当事者か否か? 勿論それもあるが、素直に彼の遺志に対し、耳を傾けていたか
否かである。
 自らの“死”を悟り、ゼクセムは残された僅かな時間を全てそこに懸けた。震える手で自
分を抱き上げようとするアルスに、彼はフッと力無い笑みさえ浮かべて。
「私は……もうじき消える。後事を託そう。我々を超えた君に、この世界を守って欲しい」
「そ、そんな──!」
「消えないでください! 貴方がいなくなったら、我々はどうすればいいんですか!?」
「貴方は最高神だ、我々の王なんです!」
「器だ、器だ! 魂を移し替えればまだ間に合う! 誰か早く、代わりの身体を……!」
 純粋な哀しみと焦り。双方の悲鳴がこだまする。
 しかしゼクセムは、もう自らの滅びに抗おうとする意思は無かった。いよいよ首から下ま
で光子に還ってゆく身体を見つめながら、彼は今際の際に言い残す。
「……アルス・レノヴィン」
「!? は、はい!」
「私が消えたら、ある場所に向かうと良い。君に与えた管理者レベルがあれば、そこへ続く
セキュリティも全て通過出来よう。あの男のように、横紙破りではなく、正規の手順でもっ
てな……」
 殆ど反射的に、大きな声でしてしまった返事。
 だが最初アルスは、彼に告げられたその意味を理解出来なかった。掠れゆく声音で伝え切
り、そっと目を閉じてゆくゼクセムを視界に映しながらも、堪らず助けを求めるようにして
周囲の神々らを見遣る。
「ゼクセム……様?」
「本気、なのですか……?」
 そしてどうやら彼らは、この自分達の長が言わんとする所に心当たりがあるようだった。
遥か高くの天井を誰からともなく仰ぎ、まるで神都(ここ)ではない何処かを脳裏に思い浮
かべて、見つめているかのような。
「……上?」
「まさか。此処より上位の世界ということは……」
 エトナとカルヴィン、精霊である二人が仲間達の中で逸早く勘付く。アルスやハロルド、
リカルドなど学のある面々もこれに続き、静かに目を見開いている。「……うむ」最期の最
期、自らが完全に消滅し切る寸前、ゼクセムは消え入る声と共に告げたのだった。
「──“霊界(エデン)”。全ての魂達が、生まれ出づる始源の地。精霊族の始祖が眠る、
この世界の“聖域”……じゃよ──」

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  1. 2019/11/04(月) 18:00:00|
  2. ユーヴァンス叙事詩録-Renovin's Chronicle-
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長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止します。

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