日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(短編)水に流せば

 ドアが開いた瞬間、強い日差しと纏わりつくような熱気が襲ってきたかのように思えた。
 和泉は街の駅から電車を乗り継ぎ、途中でローカルの古びたバスに乗り換え、出発からほ
ぼ半日の時間を費やしてその場所に降り立っていた。
「ふぅ……」
 ガタの来たエンジンを吹かせながら、のろのろと去ってゆく路線バス。
 その姿をちらと見送ってから、彼は木板でできた粗末な停留所の前でキャリーバックを下
ろすとのんびりと辺りを見渡してみる。
 延々と広がる田園風景。憎らしいぐらいに強い夏の日差しと青い空。周囲にはここ数年で
すっかり見慣れてしまっていたコンクリートジャングルは一棟も見当たらない。ただ在るの
は無駄に広く、深い緑をした山々の稜線──田舎の風景だった。
(……相変わらずだな。ここは)
 だが、それも和泉にとってはむしろ懐かしさを伴う光景だった。
 何故ならこの何も無い小さな田舎町こそが、彼の故郷だから。
 暫しそんな懐かしさと共に、過ぎた時間を思って内心若干の気鬱さを抱えると、和泉は再
びキャリーバッグの柄を握り直し、一人ザリザリと人気の無い畦道の中を歩き出していく。
「おかえりなさい、和泉。暑かったでしょ? はい、お茶」
「ああ……。ありがと」
 実家に着くと、ほんわかとした笑顔で母が出迎えてくれた。
 部屋に上がる前に、気を利かせて淹れてくれていた冷たい麦茶で喉を潤し先ずは一服。
 使い込まれた我が家の台所。そのテーブルを挟んで和泉は母と向き合うように座る格好と
なった。
 都会での自室とは違う、純和風の古びた一軒屋。
 田舎では別段珍しくもないのだろうが、こうして懐かしい我が家を見遣ると改めて自分は
帰って来たのだなと思える。
「それで。今回はどれくらいこっちに居るつもりなの?」
「予定では十日間。週明けまでだよ。……まぁ、会社の方の都合でそれよりも早く呼び出さ
れちゃう可能性はあるけど」
 帰省する旨の連絡はしたが、そういえばあの時は日数までは詰めていなかったっけ。
「……そう。あんたも大変ねぇ」
 和泉は何の気なしに答え、麦茶に口をつけていたが、その自身の返答に母が静かに寂しげ
な表情(かお)を垣間見せたのを見逃さなかった。
(ごめんな……。母さん)
 自分の意志で街に出て行った身ではある。
 だが、こうして自身の身を案じてくれる存在がいる事に、和泉は密かに感謝の念と申し訳
なさを覚える。
「──和泉か?」
 そうしていると、ふと玄関の方からこちらに向かって足音と聞き慣れた声が聞こえた。
「ああ。ただいま……親父」
「ん……」
 振り向いてみると、そこには少々近寄り難い寡黙な雰囲気の男性が一人。
 和泉の父だった。だいぶ使い込まれた麦藁帽子を被り、土汚れの点在する作業着姿をして
いる。大方外で農作業でもしてきたのだろう。
 母が先と同じように麦茶を淹れて差し出すと、父はコクと小さく頷いて受け取り、くいと
飲み干していた。
「……今、帰った所か」
「そう。親父も、田んぼの方に?」
「ああ……。草刈だ」
 帰省する事は母を通して聞いていたらしく、父は簡単に受け答えをすると隣の居間でもそ
もそと着ていた作業着を脱ぎ始める。
 母が歩み寄り「洗っちゃうわね?」とそれを手に取ると、父も「あぁ」と短く答える。
 何だかホッとする。この二人は変わらない。……だがそれでも、時の流れは確実に二人を
年老いさせていた。
 世話焼きな姿は昔のままだが、何だか以前より小さくなったような母。
 厳格な面持ちは昔のままだが、何だか以前よりもやつれた感のある父。
 自分が何かした訳ではない。しかし和泉はフッと自身の心の中に一抹の罪悪感が影を差す
ように思えてならなかった。
「……ま、疲れたろう。今夜はしっかり羽を休めておけ」
「そうね~。ふふっ……今夜は久しぶりにご馳走を作らなくなっちゃ」
「……あんまり気を張らなくたっていいよ。普段通りで充分なんだからさ」
 できればもっと長く、元気でいて欲しいと思う。
 和泉は決して口にできない心配や願いを抱きながらも静かに苦笑し、肩越しにそんな両親
に応えてみせる。
 ──その夜、和泉は久しぶりに両親と晩酌を交わし、アパート暮らしでのそれよりもずっ
とゆったりとした風呂を満喫すると、早めの床に就いたのだった。

 その翌朝からの数日間は同郷の友人やかつての恩師などへの挨拶回りで過ぎていった。
 地元に根付いて暮らしている者、新たに家族を持つに至った者、自分と同じように都会へ
と出てその後の動向を掴めなかった者。或いは……既に亡くなっていた者。
 事前に分かる範囲では連絡を取っていた。
 だがそれでも、自身の足で一人一人を確認する度にもう昔の頃ではない、あの頃には戻れ
ないのだなと今更ながらに再認識させられる。
 そして何よりも。もう取り戻す事も叶わない過去が、此処には在る。
「…………」
 一通りの挨拶回りを終え、一度家に戻ってからシャワーを浴びて身を清めるようにして。
 和泉は一人町の一角にあるとあるため池の畔へと足を運んでいた。
 申し訳程度の柵。それも歳月の経過で随分と痛んでしまっているように見える。
 忘却されているらしいその様子に静かに顔をしかめてから、和泉は用意してきた弔い花の
花束をそっと柵の傍らへと置き、手を合わせた。
 ──それは、まだ自分達が幼い頃の話。
 和泉にはよく一緒に遊ぶ仲間達がいた。だがあの日、その内の一人であった女の子・恵が
水浴びに来ていたこのため池で溺れてしまったのである。
 その時、間近にいた和泉は彼女を助けようとした。
 だが所詮は当時の自分も子供だった。結局ミイラ取りがミイラになるような格好で共に溺
れてしまい、報せを受けた大人達によって救い出されるという顛末。
 そして……そのまま、恵は帰らぬ人になってしまった。
 あの事故を切欠に、にわかに騒がしく、剣呑になった周囲の空気と次第にバラバラになっ
ていった仲間達。
 もしかしたら、学校を出た後すぐに都会へ出て行った自分は……逃げ出したかったのかも
しれない。辛い思い出の詰まった、この場所から。
(あれから、もう十年になるんだな……)
 和泉はそっと薄く目を開いて眼前に広がる濁った水面を見つめた。
 あの頃は湖のように広く感じたものなのに、改めてみると何とちっぽけなのだろう。
 こんなちっぽけな水の入れ物の中で、あの子は死んだのか……。
 そう思うと、和泉はやるせなかった。
「……やっぱり此処にいたんだ」
 そんな時だった。
 ふと背後から届いた声。和泉が振り返ると、そこには暑さ除けの幅の広い帽子を被った女
性が一人、自分を見下ろすようにして立っていた。
「…………。もしかして、ケイか?」
 一瞬誰か分からなかった。
 だがそれも束の間、和泉の脳裏に電気が奔ったように喉の奥からその名が出てくる。
 コクリと小さく頷いた女性・ケイ。いや──啓子。恵の実の姉だ。
 日差しは夏の暑さの筈なのに、和泉の感覚は突然冷水を浴びせられたような背筋の凍る思
いだった。
 それも無理からぬ事だった。何せあの日以来、どうにも気まずくて彼女一家とは随分と長
い間疎遠気味になっていたのだから。
「……どうして」
「帰ってきてるとは聞いてたから。家にはいなかったし、だとしたら多分ここだろうって」
「……。そっか……」
 気まずさが強くなる和泉とは対照的に、啓子の口調は淡々としたものだった。
 数拍の間を置いて、彼女がそっと隣に屈み込んでくる。静かに花束の前で手を合わせて黙
祷を捧げると、彼女はぼんやりとため池の水面を見遣りながら言った。
「帰省なのよね? どれくらい居るつもりなの?」
「あと四日くらい……かな。週明けまで、メグの十回忌が終わるまでは居ようと思ってる」
「そう……」
 それが、ある意味今回の帰省の一番の目的でもあった。
 なのにその当家に顔を出せずにいたなんて……。和泉は啓子に答えつつも、内心臆病風に
吹かれている自身を哂った。
「……ねぇ、イズミ」
 それからどれだけの沈黙が二人の間に降りていたのだろう。
 その静かな気まずさを破ったのは、啓子の方だった。
「もし良ければ、今夜家でご飯食べていかない?」
「え? でも……」
「いいのよ。どうせ私が顔を出さなきゃ、あんた家まで足運べなかったんでしょ?」
「……。面目ない……」
 お見通しだった。伊達に昔馴染みではない洞察力だ。
 和泉はバツが悪そうに苦笑しながらも、あの頃と変わっていない風景を見たようで内心少
し嬉しかった。やがて帽子の下に表情を隠し、おもむろに啓子は立ち上がる。
「じゃあ、日が沈んだ位に家に来てよ。……あの子だって、きっとあんたが帰ってくるって
聞けば喜んでくれるだろうから。忘れんじゃないわよ?」
「……ああ。楽しみにしておくよ」
 フッと口元に僅かに弧を描いて。
 啓子は和泉の返答を踵を返した背中で受け取ると、その場を後にして行ったのだった。

 そして、その夜。
「いらっしゃ~い」
「久しぶりだね。和泉くん」
 抜け切らない緊張感で啓子と恵の──木原家を訪れた和泉を出迎えてくれたのは、二人の
両親たる木原夫妻だった。
 二人に案内され、先ず自ら足を運んだのは……仏壇のある和室。
 和泉は線香を焚き静かに鈴を鳴らし、恵の位牌に暫し黙として手を合わせた。
「……ありがとうね。和泉ちゃん」
 そっと瞑っていた目を開いて正座のまま身を返す。
 すると、後ろで自分を見守ってくれていた夫妻がそう静かに頭を下げてくる。
「いいえ……。本当なら帰って来てすぐにでもメグに手を合わせに来るべきだったんです。
なのに、自分は……」
 思わず泣き出しそうになる、締め付けられる思いを堪えて紡ぐその言葉は本心だった。
 ケイの言う通り、自分は臆病に負けて木原家の敷居を跨げなかった。彼女の計らいがなけ
ればこうして来訪せずに法事の日を迎えてしまっていただろう。なのに、
「いいんだよ。君の所為じゃないんだ。……君の所為じゃ」
「そうよ。恵だってきっと、和泉ちゃん達の幸せを願っている筈だもの」
 どうして二人はこうも赦してくれるのだろう。
「……ありがとう、ございます」
 だから和泉はただただ、深く頭を下げてその厚意を感謝する他なかった。
「ところで……。その、ケイは?」
「ああ。あの子なら台所だよ」
「ふふっ。ビックリしたわよ。帰ってきたと思ったら『イズミを晩御飯に呼んだから今夜は
自分で作る』だなんて」
 その為にぎこちなくそう話題を変えてみたのだが、二人から返って来たのは思いもよらぬ
事実だった。
(ケイが、料理……?)
 昔はもっと男勝りで負けん気の強いイメージだったのだが。
 それも時間の流れで変わって行った一端なのか、もしかして彼女なりに自分の事を赦して
くれるという振る舞いなのか。
 夫妻が何処か嬉しそうに笑っているのを見ながら、和泉はぼんやりとそんな事を思う。
「お父さん、お母さん、イズミ」
 そうしていると当の啓子がエプロン姿で顔を見せた。
「準備できたよ。食べよう?」
「ああ。ではいただこうか」「ささ、和泉ちゃん。どうぞ」
「あ、はい……」
 見る限りはやはり淡々とした口調にように見える。
 和泉は内心彼女の意図──もしかしたら元から他意など無いのかもしれない──が掴み取
れないまま、夫妻に促されるようにしてキッチンへと足を運んでいく。
 
 ──結論から言うと、彼女料理は普通に上手かった。
「そう……。街の方も何かと大変なのねぇ」
「そうですね。でも何処でも大なり小なり似たようなものですよ。自分だってそれが分かっ
てて一人暮らししているようなもんですし」
 キッチンのテーブルを囲んだ晩餐。
 野菜と魚を中心とした料理に舌鼓を打ちながら、和泉は暫し夫妻と談笑を交えていた。
 と……いうよりは、むしろ二人が色々と向こうでの暮らしぶりなどを聞いてくるという形
に近い。和泉は時折近所起きた強盗や火災などを記憶から呼び起こしながら、結構自分は大
変な生活をしているのだなぁと再認識させられる。
「……」
 だがしかし。和泉は話に華を咲かせながらも気になっていた。
 夫妻に比べて相対的なだけなのかもしれないが、どうにも啓子の口数が少ない気がする。
 一応二人に話を振られれば受け答えはしているが、何だかじっと様子を窺われているかの
ような感覚を覚えてしまう。小さな、違和感。
「……イズミ」
「うん?」
「料理は、美味しい?」
「ああ。美味いよ。ケイがこんなに料理できるなんて知らなかった」
「それはそうよ。何時までも私だって子供じゃないんだから」
「はは……。それもそうだ」
 途中ではたと感想を求められはした。正直に答えていた。
 だが、と和泉は思う。
(もしかして、ケイは思い出してるんじゃ……?)
 あの日以来減った筈の一人分の席。だが今は自分がその席に座り四人になっている。
 それにもう三日もすればメグの十周忌になる。だから否応なく意識してしまうのだろう。
(……呼んでくれたのはケイからだったけど、やっぱりは遠慮した方がよかったのかな)
 脳裏にちらつく、幼い恵の笑顔で駆けてゆく姿。
「……そう。私達だけが大人になっていくの」
「ケ、イ……?」
 だが次の瞬間、ふと小さく呟いた啓子の声に和泉は思わず目を見開いていた。
 遠慮という後悔と、もっと取り返しのつかない後悔。
(……? あれ? なんだか眠──)
 だけど、気付いた時にはもう既に全ては始まっていて──。

(────んぅ……?)
 それからどれだけの時間が過ぎたのか。
 和泉がそこで意識が途絶えたらしいと分かったのは、その後身を責める寒さに目を覚まし
てからだった。
(此処は……?)
 目を開いてみて広がっていたのは、一面の黒。曇り気味の夜空だった。
 そして何よりも……。
「……ッ!?」
 自分の両手足が、縛られていた。
 和泉は半ば反射的に叫ぼうとしたが、声を出すこともままならない。口に纏わりつく粘着
質。どうやらこれは……ガムテープらしい。
「おはよう。いえ、こんばんはかしら」
 そして更に和泉は目を疑った。
 縛られ口を塞がれた自分の前に座っていたのは──他ならぬ啓子だったから。
 和泉は「何故?」と問おうとしたが、身動きも言葉を紡ぐ事も最早できない。
 カポンと何かの音がした。これは……水音?
 何かしらの障害物に囲まれているらしく、周囲の状況が掴めない和泉にまるで代わるよう
に、啓子が言った。
「此処、何処だか分かる? ……ボートの上よ。それも私達と、恵にとって切っても切れな
い関係の場所」
 それを聞いて和泉はこれでもかと言わんばかりに目を見開いていた。
 そうか。ここはあの池──メグが溺れ死んだあのため池。
 そしてこの状況。もしかして……いや、もしかしなくても。和泉は満足に動けないながら
も、身を捩って啓子を見上げた。
 冷たく、徹底的な憎悪の眼が自分を射抜いている。
「そうよ。あんたを眠らせて此処に連れてきたの。……安心して。お父さんもお母さんも同
じように家でぐっすり眠ってるから」
 つまりはこういう事か。料理を振る舞ったのも、自分をここに拘束して来る為。大方睡眠
薬の類を料理に盛ったのだろう。
 そこまでするという事は、つまり──。
「……ねぇイズミ。どうしてなの? どうして、あんただけが助かったの?」
「ッ……!?」
 啓子は答えも出来ぬ相手に淡々と訊ねていた。
 しかしその眼は既に正気を失っている。心許ない月明かりの闇の中に同化してしまうかの
ように、彼女を覆っているのはただ和泉への憎しみだけ……。
「私はね、ずっと待ってたのよ? この時を。なのにあんたってば、中々帰って来てくれな
いんだもの……」
 再びカポンと水音がした。啓子がゆっくりと立ち上がったのだ。
 そして足元に手が伸びる。和泉が目を遣ったそこには……自分の両足首に巻かれている錘
が二つ。自分を確実に水底へと沈める為の枷が二つ。
「でもそれも今夜で終わり。十年……長かったわねぇ。これであんたも、罪を償えるのよ」
 和泉はふるふると必死に首を横に振っていた。
 自分じゃない。メグを殺したのは、自分じゃない。
 確かにあの日助けられなかったのは自分だ……。だけど、だからといってこんな事……。
「今更命乞い? ……赦すもんですか。あんたはあの子が死んでから十年間、のうのうと生
きてきたの。あの子が生きたかった筈の……十年をっ!!」
 憎悪に満ちた声が叫ばれた。同時に和泉の身体がぐわんと傾く。
 予め彼の下に敷いてあった木板が、梃子の要領で和泉を遠慮なく水へと落としたのだ。
 大きな水飛沫が上がる。
 最後の瞬間まで、和泉は目を見開いて啓子に訴え掛けていた。
『お、俺の所為じゃない! こんな事をしたって、メグが喜ぶ訳ないだろ……っ!』
 だがそんな思いは言葉になることはなく、和泉は水底へと沈んでいった。もがく事すら許
されず、ただ重力の法則に任せて水の中に溺れていく。
 それは──あの日の恵と同じ。
「…………」
 周りには人っ子一人いなかった。
 ため池は夜闇ですっかり周囲から見えない死角と化し、ただその中央付近に小振りのボー
トが一隻、音もなく佇んでいるだけ。
「……ふぅ」
 啓子は暫くボートの上に立ったまま、和泉の沈んでいった暗い水面を見つめていた。
 冷たく見下ろした両の眼。だがその奥底には長年秘めてきた憎悪とその復讐を果たしたと
いう達成感が同居する。
「……恵」
 啓子はフッと狂気を口元に描いて、一人ごちた。
「これでやっと、あなたの下へイズミ(あいつ)を送ってやれるわ。だから……安心して眠
って頂戴ね? フフ、フフフ……」
                                      (了) 

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  1. 2011/07/17(日) 01:00:00|
  2. 水に流せば
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(短編)轍の先

 気付いた時には私はそこにいた。
 先ず目についたのは足元からずっと遥か前方へと延びているらしい二本の溝跡──轍だ。
 いや、よく見てみると私はただこの轍の上に乗っかった状態で立っているらしかった。背
中越しに後ろを見遣ってみも、同じく轍が延びているらしいのが見える。
 らしい──という表現をしているが、現状これが精一杯だった。
 何故なら、周囲は何か靄の掛かったような鈍い白色の光に包まれていたから。
 私は此処が何処なのか目を凝らしてみるが、やはり結局今視界に映っている周囲以外はこ
の鈍い白が覆い隠してしまっているかのようだ。
(……ここは、何処だ……?)
 焦りがあっていい筈なのに、何故か思考力は目の前同様靄が掛かっているかのようにぼん
やりとしていた。そしてややあって気付く。身体が……妙に重苦しく感じるのだ。
(何故、こんな所に……?)
 そもそも私は何をしていたのだったか。
 記憶を辿ろうとするが、やはり鈍い靄の掛かった感覚がそれを阻害する。
 参ったな……。私は心持ち空──と表現すべきなのかさえも判然としないが──を見上げ
つつ、深く静かにため息をついた。
「おじさん」
 そんな時だった。
 ふと傍らから聞こえた声。ハッとなって視線を落とすと、そこには一人の幼い少年が私を
見上げるようにして立っている。
 何時の間に? 脳裏に当然の疑問が過ぎったが、それを覆い隠すように少年は言う。
「どうして立ち止まってるの?」
「どうしてって……」
 ごくそれが当たり前かのような口振り。クスッと微笑み小首を傾げている。
 だが前髪が長いからなのか、それとももっと別の“何か”があるのか、その表情は何故か
直接目にする事はできなかった。
「ほら、行こうよ。皆が待ってるよ」
「……? あぁ……」
 くいと私の袖を引いて。少々急かすように少年は小走りになる。
 確かに、このまま立ち尽くしていても仕方はないが……。
 突然の事態が次々とやって来て混乱はそう簡単に収まってくれそうにはなかったが、半ば
彼に催促されるようにして、結局私はのろのろとその後を追う事にしたのだった。

 相変わらず轍は延々と続いていた。
 いや、厳密に言えば黙々と歩いている中でその溝が時折まるで枝分かれのように横道に逸
れて延びているようだった。
 しかしその先はやはり鈍い白が掛かって見通せず、私はそれらへ足を進めようという気に
はなれなかった。
「こっちだよ。おじさん」
 それに、全くもって誰なのかすら分からないが、この状況下で案内人のような存在がいる
のならその後をついて行く方が無難ではないかと考えたからだ。……たとえ、それが年端の
いかない子供のようであっても。
(……ん?)
 そうして暫く二人で歩いていると、遠くから複数の声が聞こえた。
 他に誰かいるのか? 目を凝らしてみると、轍の分かれ目の一つの上に立つように数名の
少年少女達がワイワイと話し込んでいた。
 身振り手振りで何やら談笑を。その子を囲むようにして他の子供たちも笑い、喋り、或い
は傍らの仲間達と会話に華を咲かせている。
 だが──それよりも気になったのは、その輪の外側でぽつねんとしている一人の少年。
 一応周りと歩調を合わせて受け答えをしているようだったが、遠くから傍目で観察してみ
る限り、彼は何処か他の子供達と距離を取っているように……いや、溝ができているかのよ
うに思えた。
(何なんだ……?)
 疑問、というよりは妙に懐かしいような。だけど伝染するような寂寥感。
 ここは何処なのか、やはり分かりはしない。だがそれでも意識は視線の先の彼らに、その
少年の方へと向いている自分がいるのにはたと気付かされる。
 ゆっくりと進めていく私達の歩。
 その歩はやがてこの子供達の輪の横を通り過ぎる形になる。
 私は通り過ぎながらも、彼ら──いやこの外側の少年から中々視線が外れない。ザッザッ
と砂地気味の地面を踏みしめる音が妙に新鮮に、意識の遠巻きに聞こえるような気がする。
「……」
「気になるの、おじさん?」
「ん? まぁそりゃあな。此処が何処かも分からないし、あの子達が誰なのかも分からない
し……。何より君こそ誰なのか分からない」
 何となくだが、ちゃんと答えてくれる事はないだろう。私の勘はそう告げいている。
 だが私の数歩前を歩くこの少年は──くすりと笑っていた。
「分からないって……。おじさん、自分の意思でここに来たんじゃない」
「……え?」
 私の遠回しな当て付けに対して、さも可笑しいと言わんばかりに。

 次に他人(ひと)の姿を見かけたのは、それからまたどれだけ歩いてからだったろうか。
 少年は笑ってああ言ったが、結局再び特に何かを答えてくれる事もなく歩き出していた。
私は仕方なく背後で遠退いていく子供達の輪を時折振り返りつつも、とぼとぼと延々続く轍
の上を歩いていたのだが……。
「~~♪」
 今度は、子供ではなかった。
 視線の先の人ごみを形成するのは──学生辺りの年齢かと思われる──青少年。同じくそ
の輪の中心に居たのはフォークギターを片手に歌を披露している数名の若者だった。
(……。懐かしいな)
 何故こんな所に? 疑問は後をついて回っているままだったが、私は思わず昔を思い出し
て微笑ましい気持ちになった。
 自分も、学生時代は友人らとバンドを組んで路上パフォーマンスをしていたっけ。
 あの頃は楽しかった。夢や希望を抱いて、その先にある光を信じて疑わなかった“若さ”
があったように思う。……そう。今の私には、最早持ち合わせていない眩しさが。
「──ッ!?」
 そんな追憶と現在(いま)。
 二つの映像が脳裏を過ぎった瞬間、私の全身に突如として形容しがたい悪寒が奔った。
(何、だ……??)
 膝が急に戦慄いていた。
 私は思わず立ち止まり、震える両膝を押さえて顔を引き攣らせた。
 何かが……おかしい。
 いや、そもそもこんな場所にいるという事自体が異常なのだ。
 ぼんやりと、周囲を覆い隠す鈍色のように霞んでいた意識が少しずつ解けてゆけるような
気がする。
 大きく息をつく。幾重にも枝分かれした轍道。遠巻きに聞こえる演奏の音と歌声。
 私は暫く肩で息をしながら、何とか呼吸を整えた。
 やはりおかしい。此処は、何処なんだ──?
 バッと顔を上げる。状況に流されてしまっていたが、私を案内するかのようなあの子なら
きっと何か知っている筈だ。
 そう思い、数歩先を行っている彼を見遣った……のだが。
「…………」
「……ぇっ?」
 何故か、彼はもう“少年”ではなくなっていた。
 確かに顔立ちはあの少年だろう。だがその背格好は何時の間にか“青年”のそれへと変貌
を遂げていたのだ。
 驚きで、思わず目が丸くなる。
 そんな私を、深い紺のジャケットに身を包んだこの少年──もとい青年は何処か冷たい眼
でじっと見つめている。
「……思い出してきたみたいだね。でも、あんたに引き返す選択肢は……無いんだよ?」
 背中越しに、力を込めた眼差しを投げ掛けて。
 先を行く彼は、再びゆっくりと歩き出し始める。

 もう、疑問を一先ず置く事などできなかった。
 かといって視界の晴れない鈍色の枝分かれへと一人向かう気概までは持てなかった。だか
ら結局はこの青年の後についていく形になってしまっている。
「おい。一体君は何者なんだ? ここは何処なんだ?」
 歩きながら問い掛ける。焦りもあったのだろう。少々口調も荒くなっていた。
「……そんなに焦るなって。俺は案内人。ここはあんたの辿った道だ」
 ふぅと青年は前を向いたまま、面倒臭そうに応じた。
 だが私のそれは、きっと彼にとっては“不都合な焦り”だったのだと思う。あくまで彼は
冷静さを装っていたが、私も含めお互いがピリピリとしているらしい事は、流石に私であっ
ても勘付ける。
「私の通った……道? 何だ、それは」
「ああもう。焦るなってのに……。本当は分かってるんじゃないのか? ほら、そろそろ次
の“道”が見えてくるぜ」
「……?」
 問い詰め、はぐらかされ。
 私はこの場から逃げ出そうかと思い始めていた。
 だがその決断を阻害するかのように、青年はふと背中越しに私を見遣ると、ついと顎で行
く先に見えてきた人影を示してくる。
「────ッ!?」
 今度は追憶などではなかった。
 既に当初よりもずっと多岐に枝分かれをした轍の「幹」に当たる、私達が進んでいた先に
確かにその光景はあった。
 見慣れたオフィス。見慣れたスーツ姿の同僚達。そして……上司に日課のように怒鳴りつ
けられている、他ならぬ私自身の姿。
(これは……)
 呆然と立ち止まる。そしてやっと私は理解した。
 青年が言っていた“私の辿った道”。それはつまりは私の人生の縮図とでも言うべきなの
だろうか。だとすれば、もしかして此処は……。
「気付いたみたいだね」
 ハッとして振り返る。
 先ほどよりではないものの、驚いた。
 青年は、今度は真っ黒なスーツに身を包んでいた男性に姿を変えていた。
 最初に私を導こうとしたにこやかな子供の姿は、もう何処にも無い。彼はスッと眼を細め
てから片手を広げてみせ、言った。
「到着だ。君の……君の望んだ終着駅がこの先にある」
 示された視線の先。そこだけは鈍い白の靄が薄れ、代わりに幅広の川らしき流れが横断し
ているのが見える。その畔には小船が一層。私を乗せるつもりなのか、既にそこには船頭ら
しき男が乗り込んでこちらをじっと見つめているのが確認できる。
「私の、望んだ……」
 そうだ。私は、望んでここに来た。
 もうあんな虐げられ、搾り取られるだけの日々は嫌だと──会社の屋上から身を投げた。
 間違いない。此処は……現実ではない。死に向かう道程だったのだと。
「……さぁ。逝こう(ゆこう)」
 黒スーツの彼は、そっと私に手を差し伸べてきた。
 至近距離。真っ黒な私を取り込むかのような両の瞳。
 そうだ……。何を迷う事がある。やっと、解放されるんだ。
「……ああ」
 私は、言われるがままにその手を伸ばして──。
『お父さんっ!』
「!?」
 ちょうど、その時だった。
 不意に脳天に響くような声がした。
 聞き覚えがある。これは……娘の?
『あなたっ、行っちゃ駄目っ!』
 続いて重なるのは、またも聞き覚えのある……妻の声。
「…………」
 彼に伸ばしかけた手が止まっていた。
 何故だろう? 私は何故こんな……。
「チッ」
 だが混線する思考を揺り戻したのは、他ならぬ黒スーツの彼の舌打ちだった。
「……邪魔が入ってきたな。スマートじゃないのは俺の流儀に反するのだが……仕方ない」
 続いてパチンと鳴らされる指。
 するとまるで彼の影から這い出るように、全身真っ黒な“人影”達が姿を現す。
 私は、直感として理解した。
 彼らは、力づくで私を連れて行こうとしている。あの川の──おそらく所謂「三途の川」
の向こう側へ。
「くぅ……っ!!」
 次の瞬間、私は彼らに背を向けて走り出していた。
 此処にいちゃ、いけない。そんな衝動が妻と娘の声で呼び起こされたかのように。
「逃がすな! 追え!」
 黒スーツの男の叫びで影達が一斉に迫ってくる。
 先程まで彼と二人で歩いていた轍を──おそらく所謂「走馬灯」の中を逆走する。
 だがおかしかった。逃げようとしている筈なのに、まわりの靄は益々濃くなっているよう
な気がした。
 いや……気がするのではない。間違いなく濃くなっている。それも鈍い白から全てを閉ざ
す深い黒へと徐々に変化しながら。
(拙い……。このままじゃ……)
 包囲網だった。私を襲うのは焦りと恐怖と、後悔の念だった。
 どうしてこんな事を。私は一体何て事を……。
『あなた……!』
 だが、一抹の光が見える。
 白が侵食されてゆく靄の一角から、自分に向かって手が伸びていたのだ。
 響いてきたその声。見慣れた懐かしさ。そして薬指に嵌められた小さな指輪。
 間違いない。妻が伸ばした手。
 私は殆ど反射的に、本能的にその手を取って──。

(────むぅ……?)
 光が、差し込んできた。
 それはあの場所のような鈍色の照明ではなく、間違いない太陽の光で。
「あ、あなたっ!」「お父さんっ!」
 ぼんやりと目を開いて、次の瞬間視界に飛び込んでくる二人の──妻と娘の姿。
 此処が病院のベッドの上であると気付くのに、私はたっぷり十数秒の時間を要した。
(……そうか。私は、戻って来れたのか)
 じわじわと実感が込み上げてくる、帰還した自分という事実。
 それに従って身体中に漂う重さ──身を投げた故に負った全身の負傷も、ようやく私の意
識に訴え掛けてくるようだった。
「うぅ……。やっと目を覚ましてくれたよぉ……」
「良かった。本当に、良かった……」
 ベッドに齧り付くように、妻と娘が泣き腫らしている。
 生還の喜び半分、そして思い余って身を投げた私への憤りや説教がもう半分。
 傍に控えていた医師らが若干引いているのもお構い無しに、二人は矢継ぎ早に私を責めた
り、泣いたり、かと思えばまた責めたり。
「……。すまなかった」
 多くを語って言い訳にしたくもなかった。
 だから私はただそれだけを口にして頭を下げる。
 何とか、戻って来れたのだな……。
 私はその安堵や安堵、そして心配を掛けてしまった家族への申し訳なさで、暫し頭の中が
混乱したままの状態が続いていた。
 でもこれだけは……今なら確かに言えると思えた。
「…………。ただいま」
 もう私は──『道』を間違ってはならないのだと。
                                      (了)

  1. 2011/07/17(日) 01:00:00|
  2. 轍の先
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(短編)二十年後の遺言

 妻が──死んだ。癌だった。
 僕がそれに気付いたのは妻が家の中で昏倒していたのを見つけた時だった。
 急いで救急車を呼び、その時に関しては一命を取り留めた。だが、搬送先の医師から告げ
られた話は僕を絶望させるのに充分過ぎた。
『申し訳ありませんが……。奥さんの病状はかなり進んでいます。一年持てばいい方だと思
われます』
 実質の余命宣告だった。
 更に医師は、僕に躊躇しながらももう一つの事実を話して聞かせてくれた。
 それは……妻が長い間、癌と独りで闘っていたというものだった。
 彼女曰く「夫に心配を掛けたくない」からだったらしい。それを聞いて僕は渦巻く感情と
と共に自分を殴り殺したい衝動に駆られたものだ。
 何故、頼ってくれなかったのだ? 確かに僕はお世辞にも売れない画家で、この事実を知
れば間違いなく創作活動に集中できなかったとは思う。だが僕も妻子を養う責任感は持ち合
わせているつもりだ。もしもっと早く妻の一大事を知りえていれば……全てを擲ってでも共
に闘病生活を送ってもいいと、きっと腹を括っていたに違いない。
『──私はね、サトちゃんが嬉しそうに絵を描いている姿が好きなの』
 でも……そんな決意を伝えても、妻はきっとやんわりと断わっていただろうと思う。
 学生時代に付き合うようになって以来、自分の画力を自問し、自分達の生計に悩むその度
に彼女が口癖のように僕に投げ掛けてくれていた言葉だ。
 まるで自分の事のように嬉しそうに。あの優しい微笑みに、僕はどれだけ救われてきたの
だろう……。
 だからこそ、こうして君を喪ってしまうとその穴は表現し切れない程に大きくて──。

「パパ~?」
 あどけない幼子の声に、僕は我に返った。
 気付いて振り向いてみれば、ちょこんと一人娘の愛子が僕の袖をくいくいと引っ張ってい
た。すっかり遠くなってしまった追憶の世界から、意識が認め切れない現実に引き戻されて
しまったかのようだった。
「? どうしたんだい、愛子?」
「リンリンが鳴ってるよ?」
「リン……? ああ、電話か」
 確かに愛美の指差す電話台の上で、子機が電気的な点滅と共に鳴っていた。
 電話の着信にすら気付かず僕はぼんやりとしてしまっていたらしい。
 僕は重い気分を引き摺ったまま立ち上がると、そっと急かしてくる子機を取る。
『おう。やっと出たな。俺だよ俺』
「……ヨータか」
 電話の相手は、古くからの付き合いの友人達の一人・ヨータだった。
 相変わらずの人好きのする明るい声色。だがそれもここ暫くは気を遣ってくれているらし
く、多少のトーンが落とされているかのように思われる。
『とりあえず、改めてお悔やみ申し上げますだ。……少しは落ち着いたか?』
「……あぁ」
 僕はか細く頷いたが、十中八九彼には嘘だとバレていただろう。
 先日、四十五日の法要を済ませたばかりだった。ヨータ達も同じかつての仲間として葬儀
を含めて出席してくれている。
『そっか。そりゃ良かった。……まぁ、慣れろなんては言わねぇけどさ。あんまり沈んでば
かりいちゃあ、マナミの奴も落ち着いて眠れねぇぜ? ただでさえ、お前には昔っから甘々
だったしな』
 僕は小さく曖昧な首肯を返すしかできなかった。
 少し突っ込み過ぎと周りには映るのかもしれない。だがヨータも僕らの事を心配してこう
して連絡を取ってくれているのだろう。そう思うと怒りなど起きようもない。静かに沸いて
くるのは、彼らへの申し訳なさと今も続く稀有な友情への感謝だった。
『……まぁ、それでだ。お前、今度の同窓会どうする?』
「同窓会……?」
 だが今日の本題は単に慰めてくれただけではなかったらしい。
 少し慣れの薄いぎこちなさを残しながら、ヨータが口にしたそのフレーズを反復していた
自分。そういえば、そんな通知の封筒が来ていたような……無いような。
 僕がそう記憶を辿っていると、電話の向こうのヨータは苦笑を見せたように言う。
「やっぱり忘れてたか。まぁ無理もねーよな……。あんまり無理すんな? 今回俺、幹事の
一人だから一応確認だけはしとかねぇといけねぇからさ……」
「あぁ……。ありがとう」
 まだあの時も、僕は妻の病気に気付いてさえいなかった。
「いいっての。そんな改まって。でも……できれば、個人的にもお前には来て欲しいな。ボ
ス達も全員出席の予定になってるしさ。マナミは、何時だって──きっと今だってお前の傍
で笑ってるんじゃねぇかってと思うんだよ」
「……。そうかも、しれないな……」
 彼女自身も僕の事を思って敢えて表に出ないように努めていたのだと、今になればやっと
想像する事はできるのだが。
 ────同窓会かぁ。ねぇサトちゃん、一緒に行こうね? 絶対だよ……?
(ッ……!?)
 フッと、脳裏に映像(ビジョン)が過ぎった。
 そうだった。あの日、彼女は封筒をポストから持って来て僕に笑い掛けて……。
『サトシ?』
「……パパぁ、どうしたのぉ?」
 電撃を受けたように電話台の前で硬直した僕。
 そんな様を、電話の向こうのヨータと先程からずっと傍でテクテクしていた愛子が怪訝と
心配の声で解きほぐしてくれた。
「ああ……大丈夫。何でもないよ。うん、ヨータ。分かったよ……僕も出席する」
「お。そうか。分かった。……楽しみにしてるよ」
「こっちこそ。皆に宜しく」
 だから僕は彼の掛けてくれたその言葉に思わずフッと小さな笑みを零すと、出席の意向を
伝えていた。
 あくまで飾り過ぎぬ、何時もの仲間としてのやり取りの後。
「パパ、どーそーかいってなーに?」
「うん? そうだね。昔のお友達がいっぱい集まる所……かな」
 電話を切り、僕は自分をきょとんと見上げてくる一人娘の前にそっと屈み込むと、そう答
えながらその妻譲りの髪を撫でててやりながら呟く。
(そうだな……。愛美も、きっと皆に会いたいだろうし……)
 気付けば、心の中の荒波が少しだけ穏やかになっているような気がした。

「──じゃあ、お利口さんにしてるんだぞ?」
 そして、同窓会当日。
 一緒に軽い昼食を済ませてから、僕は何時もの保育所に愛子を預けていた。
 思えばこれも、以前は愛美のやっていた事だったのだ。喪失感がまたチクリと胸を刺す。
「うんっ。いってらっしゃ~い」
「……それはどっちかというと僕の台詞だと思うんだけどな」
「ふふっ……。愛子ちゃん、何時も元気でいい子ですから」
 お気に入りの保育士の女性に手を取って貰ってご機嫌な愛子の言葉、苦笑する僕と微笑ん
で褒めてくれている(と思う)彼女と。
 僕は何処かで安堵している自分がいるのに気付いていた。
 もう少しこの子が大きかったら──母親が死んだという事を理解できる年齢であったのな
ら、一体僕達はどうなっていたかと。
 無邪気は無知なのかもしれない。でもこの子の場合、それはただ「父親が哀しそうだから
励まさないと」という半ば反射的な強がりから来ているのではないかと時折勘繰ってしまう
という方が正確ではないだろうか。何せ性分も外見も、この子は母親譲りなのだから……。
「では……宜しくお願いします」
「はい。お気をつけて」
 僕は保育士らに会釈を残すと、その場を後にする。
 
 その足で電車を乗り継いで駅前繁華街へ。
 会場に指定された居酒屋チェーン店の中は休日の夕暮れという時間帯もあって中々の賑わ
いを見せていた。以前届いた封筒を懐から取り出して改めて書面を確認すると、貸切になっ
ている大部屋へと向かう。
「お? 来た来た、おーいサトシ~」
 畳敷きの室内には既に多くの同窓生らがいた。
 僕が靴を備え付けの下駄箱にしまいながらその光景を眺めていると、聞き覚えのある複数
の声が耳に届いてくる。
「……やあ。皆、揃ってるか」
 向けた視線の先、複数置かれたテーブルの一つを仲間達が囲っていた。
 のんびり屋の巨漢・タンバ。
 内気だが頭脳は随一・トモ。
 皆のムードメーカーたるヨータに、愛美とは親友の間柄でもあったジュジュ。
 そして……僕達を何時も引っ張ってくれていた頼れる兄貴分・ボス。
「おうよ。悪ぃな。先に頂いているぜ」
「それは構わないよ。じゃあ、僕も混ざろうかな」
 食事というよりも晩酌をという方が正確な卓上の模様。
 僕はできるだけ愛美の事を顔に出さないように、再びそのかつての──いや葬式にだって
きちんと顔を出してくれた、今でも大切な仲間達の輪の中に混ざっていく。
「じゃあ、改めて。乾杯~♪」
『乾杯~!』
 カツンと互いにグラスを合わせて。酒が進む。肴が進む。
 あの頃はただ馬鹿騒ぎをしてはしゃぎ回るだけの子供だった僕らも、今では酒を肴を片手
に語らう事のできる歳になった。
 時の流れは、僕らの都合などお構いなしに流れていく。
「よう、伏見。久しぶり」
「ああ……。久しぶり」
「ねぇねぇ、まなみんは来ていないの? 久しぶりに会えると思ったんだけどなぁ……」
「そうだぜ~。何せ俺達のマドンナ・愛美ちゃんを娶った旦那様だからよ~」
「…………」
 お構いなしに、流れていく。
 皆に祝福され──半分はやっかみもあったと思うが──幸せだった日々も、その中心にい
た彼女を喪っていったこの一年近い日々も、時はただ無情に淡々と刻んでいく。
「はいはい。やっかみはその辺りにしときなさいな」
「マナミは都合が合わなかったんだ。だから代わりって言っても何だけど、こうしてサトシ
が来てるんだよ。……だよね、サトシ?」
「あ、ああ……そうだよ。すまないな」
 愛美の事は、ボス達ごく数名にしかまだ報せていない。
 皆に伝えるのが辛かった。いや、多分僕は怖かったのだろう。
 ──何で、何でこんなに早く……。あんたが傍に居たんじゃないの!?
 チクリと胸を刺すあの時の記憶。
 葬儀の折、期せずして二人きりになったジュジュが感極まって漏らしたあの涙の声。
「……ふぅ。とりあえず撒いたわね」
「うん。大丈夫、サトシ? やっぱり……呼んだのはしんどかったかな?」
「いや……。そんな事はないよ。ありがとう……」
 ジュジュとトモが、何も知らない他の同級生をそれとなく言い包めて遠ざけ、フォローし
てくれていた。二人とも僕に振り向いて心底気を遣ってくれているように声を掛けて来てく
れている。だが僕は、あの日の彼女の涙の訴えやら何やらが記憶から呼び起こされ、きっと
返礼も曖昧になってしまっていたに違いない。
 その後も暫く、僕ら六人は──いや愛美を含めて七人は互いに酒を酌み交わし、語らいを
続けた。見かけ通りにもりもりと食べるタンバ。面子の中ではあまり酒に強くないトモは若
干酔いに負けそうになって顔を赤くして。ジュジュとヨータはケタケタと笑い合いながら半
分変な高揚の中で飲み比べを続け、そんな面々を僕とボスは静かにちびちびとやりながら見
遣っている。
「……今日はありがとうね、ボス」
「ふん。礼を言われる事は何もしていないぞ?」
 仲間達の力なのか、それとも酒の勢いがあってなのか、僕の心は嬉々としていた。愛美の
事を忘れた訳じゃない。でももし、先日ヨータが言っていたようにあいつも僕と一緒にこの
場を頼んでくれているのなら……僕は来て良かったと思う。
「……むしろ、これからなんだがな」
「ぇ──?」
 その時ボスが何か言ったようだったが、周りの賑やかさに呑まれて僕にはよく聞こえなか
った。それでも彼はフッと僅かに口元に笑みを残し、ちらと改めて皆を見遣る。
 すると、それまで他の同級生らと同じように飲み食いを楽しんでいた仲間達が何か申し合
わせたかのように立ち上がった。
「悪い。俺達先に帰るわ」
「え? もうかよ。二次会とかもあるんだぜ?」
「まぁそうなんだろうけどよ。ちょいと野暮用があってな……後は任せた」
 少し怪訝を見せた同級生達だったが、かといってそれ以上突っ込んでくる事は無かった。
 ヨータは他の幹事役の面々に後を託すと、タンバやトモ、ジュジュと共にこちらに並び立
つ。ボスも、頭に疑問符を浮かべている僕をひょいと脇を抱えて立ち上がらせると、飲み干
したグラスをテーブルの上に置いた。
「よし。じゃあ、行こうか」
「……? 行くって? 二次会でもないのに何処へ?」
 どうやら分かっていないのは僕だけだったようだ。ボス達は確認するように互いに顔を見
合わせる。何が嬉しいのか、ジュジュが皆を代表して周りに聞こえないようなひそひそ声で
僕の耳元に顔を近づけると言った。
「あたし達の小学校。覚えてない? 今年でちょうど二十年目なんだよ?」

 そう言われて、その懐かしい場所にやって来て、やっと思い出した。
 そうだった……。僕らはあの日、卒業間近の頃この小学校(ぼこう)の中庭にタイムカプ
セルを埋めたのだった。
 二十年後、皆が大人になったら一緒に開けようねと──。
「ふっせ、ほいせっ」
「ふんふんふふん~♪」
 同窓会の会場を後にした僕達は、一路懐かしの母校へと足を運んでいた。
 流石に建て替えなどで当時とはすっかり見た目は変わってしまっていたが、一度はかつて
何年も通い詰めた場所。実際にこうしてその地面を踏みしめると昔を思い出す。
 ジュジュと僕、トモが見守る中、ヨータ達三人が中庭の一角──確かにあの日埋めたタイ
ムカプセルの場所を掘っている。
 傍の外灯もちゃんと灯っているし、用具も来た時には準備されていた。おそらくは事前に
皆で学校側に許可を取り、今日という日に備えていたのだろう。
(……ちゃんと皆は覚えていたのに、僕は……)
 薄情だなと思い、思わず苦笑してしまう。
 ずっと、仲間達は僕の思っていた以上に交わりを鈍らせていなかったのか。
 愛美の事もそうだ。僕は、大切な人の事すら──。
「む? 堅い……。此処だな。タンバ」
「オッケー。ほ~りゃぁっ!!」
 そうしていると、どうやら埋めた場所にヒットしたらしい。ボスの合図でタンバの膂力が
スコップ越しに炸裂する。
 ごっそりと削られ持ち上げられた盛り土。そこには確かに……古びた金属の大きな缶が、
僕達のタイムカプセルが姿を見せていた。
「お~。それだよそれ、懐かしいなぁ」
「大分劣化が進んでいるようだね。中身は大丈夫だろうとは思うけど……」
 ジュジュとトモと一緒に盛り土の前へ。
 かつての七人──悔しいが一人抜けた六人がぐるりと輪になって古びたタイプカプセルを
囲んでいる。
「……じゃあ、開けるぞ?」
 ボスが皆に確認するように言った。
 こくりと頷く僕達。ギチギチと。やや錆びの音を纏い、僕らのタイプカプセルはあの日の
約束通り二十年ぶりに解封される。
 蓋が開いた瞬間、六人の歓声が重なった。
 中から出てきたのは幾分ボロくなってしまった手紙や、当時のそれぞれの“宝物”の数々
など。大人になった今では実際は何の価値も無いのかもしれない。だけど、ただ役に立つか
どうかが全ての意味を決めるのではないと、僕は思う。……そこに込められた思い入れは、
きっとそれらを輝かせる。
「ほら、これ。マナミの分」
「サトシが検めてくれ。お前じゃなきゃ、駄目なんだ」」
 すると、ヨータとボスが中に残っていた便箋入りのビニール袋を僕に差し出してきた。
「……うん」 
 受け取って、そっと封を解く。
 そうか。皆が今日此処に連れてきたのも、ヨータが同窓会の出席を直接訊ねて来たのも、
全部この為だったんだ。
 辛くないと言えば嘘になる。だけど……確かにこれを他の見知らぬ誰かに蹂躙されるのは
もっと嫌だと思った。
「……」
 時の流れで劣化こそしていたが、愛美の書いた手紙は確かにこの手の中にあった。
 あの頃から品行方正ないい娘だった彼女。その性格は二十年前の便箋に『未来の私へ』と
書かれた文字にも現れている。
『こんにちは。お久しぶりです。二十年後の私は、今どうしていますか? ……サトちゃん
とは上手くいってるのかな? ちゃんとこの気持ちを、伝えられたのかな?──』
 その文面を読む内に、僕はハッとした。
(これって……遠回しにラブレター、じゃないか)
 サトちゃんという呼ばれ方は今も昔も変わらない。仮に僕以外にその呼び方をする誰かが
その後できていない限り──少なくとも僕の記憶には無い──これは間違いなく、僕の事を
言っているのだと分かる。
(…………愛美は、あの頃からずっと……?)
 突き上げてくるものがあった。
 自惚れだと哂われてもいい。確かに此処には、少なくともあの頃の愛美には秘めた想いが
あったのだ。……正直写生ばかりしてあまり友人のいなかった僕を、そんな僕を仲間に引き
入れてくれたボス達の輪の中で、彼女はずっと慕ってくれていたというのか。
 恥ずかしさで身体中が火照る。いやそれ以上に強い後悔が僕を襲うようにも思えた。
 もっと、もっと早く気付いてやれていたら。もっと早く受け入れてやれていれば。学生時
代に「離れ離れは嫌だ」と泣きついて来たあの時よりも早く、彼女の思いに気付いてやれて
いれば……僕は、もっと長く彼女との日々を過ごせていたのではないか。
 もしかしたら、病でこんなにも早く逝ってしまう事もなかったのではないか──。
「……サトシ」
 ぐっとトーンの落ちたジュジュの声色。
 その呟きにハッと我に返って、僕はようやく気が付いたのだった。
 自分が、ボロボロと涙を零している事に。
「……ありがとね。マナミの為に、泣いてくれてるんだよね?」
 フッと笑ってそう言うジュジュ。だがそんな彼女も今にも泣きそうだった。
 僕は、何も言葉を返せなかった。涙でぼやけた視界をゴシゴシと上着の袖で拭い、彼女の
瞳の奥に溜めた涙を見て、ようやく僕は赦されたのかもしれないと思えた。
「これで、マナミも安心かな」
「……そうだね」「へへっ。だな」
「うん。マナミ、きっと天国で俺たちを見守ってくれてる。いや……ずっと今もサトシの傍
に居るのかも」
 他の仲間達も満足したかのように笑う。
 それがまるで愛美からの贈り物であるかのように思えて、
「…………ありがとう。本当にありがとう、皆」
 僕はくしゃくしゃになっていたであろう顔で、皆に深々と頭を下げる。
 ──ちょうど、そんな時だった。
(ん……?)
 パサリと便箋を握っていた手に何か別の感触がする。再び微笑ましく語り合う皆の視線を
ちらと確認してから、僕は改めて便箋の中を覗き込んでみる。
(……もう一枚、手紙?)
 そこには、先程とは別の手紙が収められていた。

「あ。パパ~♪」
「ふふ……お待たせ。帰ろっか、愛子」
 日もすっかり落ちて、僕は皆と別れて保育所に愛子を迎えに行っていた。
 室内で黙々と積み木を積んで遊んでいた愛子が、僕の姿を認めて嬉々として駆けて胸に飛
び込んでくる。僕はそんな一人娘の姿をたっぷりと愛でてやると、居残ってくれていた保育
士さん達に愛子と共に別れを告げて改めて帰宅の路に就く。
「きょうはおともだちいっぱいだった~?」
「うん。一杯いたね」
「ママも?」
「……そうだね。居てくれたかも、しれない」
 無邪気な質問に思わず苦笑していた。
 だが、そうした事で内心に暗雲を立ち込ませるのは……もうよそうと思う。
『──サトちゃん、そして愛子へ。貴方達がこの手紙を読んでいる頃、多分私はもうお星様
になっていると思います』
 二枚目の手紙は、明らかに一枚目よりも新しかった。
 そして文面に目を通して僕は確信をする。愛美は……何時の時期にこれを仕込んだかは分
からないが、少なくとも自身の病の重さを知った時にこっそりタイムカプセルの中にこの二
枚目の手紙を入れ直したのだと。
『サトちゃん……ずっと黙っていてごめんなさい。でも貴方にはずっと笑っていて欲しかっ
たから。私は貴方の描く絵が好きだったから。その絵を曇らせる原因を、自分で作ってしま
う事が怖かった……。身勝手かもしれないけど、許して下さい』
 許すも何も、謝らなければいけなければ僕の方だ。
 君の気持ちにも、病にもずっと気付いてやれずに残された時間をただ魂を削るように過ご
すしかなかったというのに……。
『私は、そう遠くない先に逝きます。だけど私は幸せでした。貴方と出会えて、想いを受け
止めて貰えて……。生まれ変わってもまた貴方達と出会いたい。家族になりたい。だから私
がいなくなっても落ち込まないで? 私をそうしてくれたように、サトちゃん……貴方の絵
には人を温かい気持ちにしてくれる力があるから。だから、その手から描く絵でもっと沢山
の人達を幸せにしてあげて下さい』
 買い被り過ぎだよ。今だってしがない絵描きだ。
 でも……嬉しかった。君は居なくなってしまったのに、まるでそっと背中に寄り添ってく
れているかのような──。
『サトちゃん、愛子。私は……貴方達を、ずっと愛しています──』
 きっと、愛美は自分が逝ってしまった後の僕らを案じていたのだろう。
 だからこんな手の込んだ事をしてみせた。という事は、今回のタイムカプセルの解封も彼
女がボス達にこっそり頼んでいた事なのかもしれない。
 直接言ってくれればいいのにな。
 だけど……これで良かったんだと、僕には思えた。
 それは声にした言葉は目に見えず消えてしまうけれど、文字に込めた想いはもっと長く残
しておけるからなのかもしれない。
 遺言なんて言い方はちょっと湿っぽいけれど、事実僕の中の哀しみの荒地は随分と綺麗に
して貰えた気がする。……他ならぬ、愛美自身によって。
「愛子」
「? なぁに、パパ?」
 手を繋いだ愛娘の体温を感じる。
 それは夜風の冷たさとの対比だけではないのだろう。ここに命の温もりが在る。
 失くさせるものか。彼女が残してくれた全てを、僕は守り抜く。
「……今度、絵を描こうか。ママと愛子の、二人の」
「ほんとう!?」
 妻が死んでから止まっていた絵筆。
 だけどもうそろそろ取り直してもいいんじゃないかな。愛子が自分と母というフレーズに
か、それとも僕が絵描き(しごと)を再開する事にか、嬉々として目を輝かせたのを横目に
見て、僕はクスッと苦笑いを零す。
「ああ……本当だよ。僕の、最高の絵にするよ。してみせる」
 愛子の握る手の温もりが強くなった。キャッキャッと喜ぶ無邪気な声が心地よい。
(そうさ。僕だって、残さなくっちゃね……)
 愛美……。君の姿をキャンバスに残すよ。
 君達への愛しさの記憶が、僕の中から風化してしまわない内に。
                                      (了)

  1. 2011/07/17(日) 01:00:00|
  2. 二十年後の遺言
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自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止します。

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