日暮創庵

-当庵は長岡壱月によるごった煮創作ページ(主に小説)です-

(長編)アンティーク・ノート〔3〕

 彼らは峠の道路をひた走っていた。
 一方は、乗用車を運転する男性と女性だった。
 親しげに談笑を交わしながら、車は螺旋状にくねる夜長の峠道を滑っていく。運転席側の
男性の横目には、眼下に夜に佇み灯りを点す街の遠景が山の木々の合間から垣間見える。そ
れとは対照的に、今走る峠道は灯りがまばらで何処と無く閑散としている感じである。
「どうかした?」
「……いや、何でもないよ」
 僅かな脇見も気になったのだろうか、女性から声を掛けられ、彼は再び運転に集中する。
 再び、お互いに何とも無い会話を交わし始める。
(……うん。とりあえず、今の所は順調だな)
 彼は内心で小さく手ごたえを感じていた。
 何せ、今夜のドライブはいつもの場合とは心積もりが違うのだ。
 彼女にそれと気付かれぬように目を配りつつ、片手でそっと上着の裏ポケットを上からな
ぞってみる。四角い容器の感触が掌に伝わる。確かに今、ここに持ってきている。
(大丈夫……だよな?)
 きゅっと気を引き締める。
 ただの贈り物ではない。それは一生でも数度あるかないかの代物なのだから。
 今上っている道を抜ければ、満天の星空が広がる夜景スポットに辿り着く。彼自身、普段
からも時々星を見に訪れている場所でもあった。
 あそこなら雰囲気もいい。一世一代の大勝負をするには効果的な場所だと思う。
 助手席で笑う彼女の顔を見遣る。
 彼女は喜んでくれるだろうか? もしかしたら断わられるかもしれない……。
 だけど……それでもいい。自分の気持ちを閉じ込めるより、いっその事吐き出してしまう
方がたとえ痛手を負ったとしても後悔はしないと思うから。
 だから、今自分はここにいる。舞台へと駆け上ろうとしている。
「ほら、前見てよ前」
「あ、あぁ……」
 彼女に軽く注意を受けてばっとハンドルを握り直す。
 いけない。先の事を考え過ぎた。辿り着く前に何かあったらどうするんだ。
 今も、そしてこれからも守りたいと思う、守っていきたいと誓う女性(ひと)を乗せてい
るというのに。
 車が走る音がサァァ……と耳に響いてくる。適度な振動。ヘッドライトに照らされる夜の
峠道。少し開けた窓の隙間から入ってくるのは、昂り気味の精神を慰めるように吹き流れて
いく春先の夜風。夜の不気味さが少し和らぐかのように。
「……綺麗ね」
「……あぁ」
 ちらりと。点々と光を灯す街がより眼下に映り、遠くの景色となっている。
 二人は車に揺られて目的地を目指す。

 もう一方は、軽ワゴンに乗り込んだ若者三人連れだった。
 歳若く皆遊び慣れている感じ。彼らはいつものように夜な夜なに繰り出して遊んで回って
いた。車内に響くのは強音量のロック音楽と騒々しい彼らの話し声。荒削りな品性の談笑。
 それは今日に限った事ではなく、限られた若さの中を全力で謳歌するある意味で貴重な、
そして同時に軽薄にも取られかねない性質でもあった。
「──で、結局そいつらは別れちまったんだとよ」
「ハハッ! 何だよそれ」
「マジウケる~!」
 彼らにとっては移動中といえど、快適な一時。馬鹿騒ぎと音楽の音量、乗ってきていた気
分とが相まって、ワゴンのスピードは結構な域に達しようとしていた。
 行く道は下り坂。周りには他の車は見えない。ヘッドライトには代わり映えのしない灰色
のアスファルトの道路が淡々と続いている。
 だからワゴンは時折大きくぶれていた。螺旋状に下っていく道、そのカーブにさし当たる
度に大きく遠心力に持っていかれそうになり、車線を越えそうになる。
 だが、注意力が削がれていた彼らはその危険性をしっかりと認識していなかった。

 故に、それは必然の結果だったのかもしれない。
 何度目かの曲線。半分の楕円を描くようなカーブ。そこでついにワゴンがその車体を車線
の外側へと移してしまったのだ。
 更に瞬間、自分達に向けられたまぶしい光。
「──ッ!?」
「やべっ!」
 互いの運転手の顔がライトに照らされていた。同様に驚いた顔。この瞬間、自分の身に何
が起こったのかを直感的に察知した顔。
 だが、もう遅かった。
 その瞬間、巨大な鉄の塊同士が衝突する。
 車線をはみ出したワゴンが咄嗟に交わそうとするが、ままならない。右側を中心に激しく
車体を凹ませて、夜の闇を劈くようなブレーキ音を響かせながら下り坂を滑っていく。
「きゃぁぁっ!」
「ぐぉっ!?」
 乗用車は、ぶつかった反動でぐるりと何度も回転しながら車線の内側、峠の山肌へと吸い
込まれるようにして再びフロントを強打させる。
 二度目の衝撃。更に強い圧迫感。全身をのた打ち回る激痛。耳に残響する遠くのブレーキ
音と衝撃を物語る破壊の音が入り交ざって耳に入ってくる。
 時間にして数秒だった。だが、地獄だった。
 何事もなかったかのように再び夜の闇に静けさが戻ってくる。
 だが、確実に変わったことがある。それは二台の車が衝突したという事。その痕跡。
 遠くでは何とか止まったワゴンがブスブスと煙を上げてぐったりとしており、ワゴンに乗
っていた彼ら二人も、凹み歪みした車内で身体の激痛に身動きが取れなくなっていた。 
(……俺は、どうなった?)
 ぼんやりとした視界にまず映ったのは、眼前に迫り佇む剥き出しの山肌と、大破した愛車
の前方部分の様子。そっと額に手をやってみる。じわりと生ぬるい感触。
 それは血だった。
 頭を打って大量に溢れてきているらしい。通りで、意識が朦朧としている筈だ。
(……彼女は? 彼女はどうなったんだ?)
 ぐぐっと、激痛を堪えながら首を動かす。
 助手席には彼女が残っていた。投げ出されたりはしていない。だが、同じく全身を強く打
ってしまったらしい。エアバックでも防げなかった? それだけの衝撃だったのか?
「ん……ぐぅ……」
「!」
 傷だらけながら、彼女が苦しそうに眉間に皺を寄せて微かに身じろいだ。
 彼はその様子に少しほっとした。少なくとも見た目は自分よりは無事であるらしい。
静寂に混じってやや乱れた呼吸も聞こえてくる。
助けさえくれば……きっと助かる。
(……よかった)
 最悪の形だったかもしれない。目的は果たせていないけれども。
 だけど、彼女は守れそうだ。彼女だけでも救い出せれば……。
 意識が朦朧としている中、おもむろに、傷だらけの身体でそっと内ポケットから今日渡す
つもりだった彼女への贈り物を弄り出す。それは深く青い色をした一つの小箱。それをきゅ
っと握り締めながら彼女を見つめる。
 弱々しくも、愛しい者を見る者の瞳で。
「大丈夫、だ……。守る、から──」
 途切れた言葉。
 そこまで言いかけて、彼はすうっと重くなった瞼に抗えずにその瞳を閉じた。
 力を失い、ぽとりと彼の掌から小箱が零れ落ちる。
「…………」
 鉄屑の錆っぽい臭い。焦げ臭い臭い。血の臭い。
 静寂の闇に紛れて一つの惨劇がその夜、起こった──。

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  1. 2011/04/28(木) 20:30:00|
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(長編)アンティーク・ノート〔2〕

 歳月は少しずつ、そして確実に流れ巡っていくものだ。
この歳になって、佐和子はとみにそんな感慨を覚えてならなくなる時があった。
過ぎ去った時間の記憶。思い出いう名の過去事象。「視える」事で少しずつ孤立していった
彼の事。それを同じ力の持ち主として支えようとした幼少の日々。
 そんな彼が出征した時には、毎日不安で仕方なかった。視え過ぎる彼が、戦場などという
特殊な環境に耐えられるものなのだろうか。自分達の生活が苦しいにも拘わらずそんな心配
が常日頃のように脳裏を漂っていたものだ。
 だから、彼が何食わぬ顔をして笑顔で戻って来てくれた時はとてもほっとし、嬉しかった
のを今でもはっきりと覚えている。そして、この時から自分でも気付き始めたのだろう。
 その後の彼は、言ってしまえば以前にも増して「変人」扱いされる事になった。
 窮々とする人々とは全く違って、あの「店」を構えた事。
『助けなきゃいけないのは、人間だけじゃないと思うんだ』
 そう何の後ろめたさもなく、笑って答えた彼の笑顔を見て、私は後ろめたくも思ったもの
だった。彼は、自分のように視える事と適度な距離を置いてはいなかった。
『……ううん。それで、いいんだよ』
 思い返せば、彼はもうずっと前から自分が人々と同じ道に立てないのだという事を悟って
いたのかもしれない。共生できる道を望んでも、自分の生涯の中ではそれが叶わぬ事が。
 だから、私が自分の気持ちに正直になった時も、
『僕とはこのまま距離を置いた方がいい。僕一人では不幸ではないけれど、君まで巻き込ん
でしまったら、きっと僕は、いや君も不幸にしてしまう。それは……できないよ』
彼は悲しげな顔の中でも、そう優しく拒んだのだ。

 じっと手を見る。この歳になってすっかり皺だらけになってしまった。
彼も、見合いで決めた夫も、もう先に逝ってしまった。そして私は、今もこうして余生を
のんびりと生きている。過去を戻ることはできないが、あの時の事を思い出す度に私の人生
は果たしてこの道で良かったのだろうかと自問している事に気付かされる。
(……それでも、まだ私は幸せ者だわね)
 歳をとっても静かに暮らせる環境を整えてくれる、家族や周囲がいるというだけでも幸せ
なのだろう。それを当然のようにして威張り散らすのは老輩のすべき所ではない、そういう
風に佐和子は思っていた。
 あの時、無理をしてでも彼についていってしまったら……私は今も尚、奇人・変人として
後ろ指を指され続ける余生を送っていたのかもしれない。
 だからこそと思う。彼の先見の眼は鋭かった。私をその苦しみから事前に救ったのだ。
 だからこそと思う。もっと、彼は人々と共に生きる生き方もできた筈ではないか。
 しかし、そんな彼はもういない……。
 ずっと、彼はそんな不幸(と本人が思っていたかは不確かだが)を背負ったまま一生を終
えていったのだろうか。今となってはどうしようもない疑念でしかなくなったが。
「…………」
 ぼうっと、座り込む縁側から庭を見遣る。手入れされた庭の木々が中春の静かで温かな日
差しを受けてゆらゆらと煌いているかのようだ。本当、家の者達は勤勉だなと思う。そんな
風に指導してきたのは、紛れもなくまだ幾分若き頃の自分なのではあるが。
「──よね? じゃあ……あれは──」
「そうだ──そう、だから──」
 耳にドタドタと家の奥の方で何やら騒がしくやっている。ずっとこの家で暮らしてきて、
大方の予想はつくようになっている。何かの儀式の準備でもしているのだろう。
「お。紅葉や」
 ちょうど、用具を胸元に抱えて通り掛かった孫を呼び止めてみた。
「ん? どうしたの、おばあちゃん」
 やはり儀式か。巫女服姿。自分の若い頃を思い出すようだ。内心で微笑ましい気分になり
ながらも、ふいとこちらを見遣ってくる孫に訊いてみる。
「……今日は何かあるのかい? 儀式の準備のようだけど」
「うん。御祓いの予約が一つあるの。ほら、ちょっと前に話したでしょ? 扇町の幽霊屋敷
の件でね。うちの学園の先輩達の」
「あぁ……あれかい」
 だとすると。
「また智秋君に色々吹っ掛けたね?」
「ふ、吹っ掛けるって言い方はしないでよ~……こ、これは、世の為人の為、何よりあいつ
自身の為なんだから」
「ふふっ。そうかいそうかい」
 苦笑いで言い訳する紅葉に、佐和子は思わず微笑んでしまうのを隠せなかった。
 似ている。あの頃の自分と彼に。昔を見ているかのようだと。僅かに頬を赤く染めて視線
を逸らしている紅葉。重なるあの頃の記憶と面影と。
(…………似ている、か)
 だからこそ。
「……紅葉や」
「うん?」
 真剣な顔になって、孫に伝えたかった。
「智秋君と、仲良くね。あんたの悔いのないようにしっかりやりなさいな」
「……うん。勿論!」
 どれだけ伝わったかは、まだ彼女が若い為に未知数かもしれない。
 それでも彼女はにかっと躊躇する事なく笑っていた。
「……さ、準備中なんだろ。行っといで」
「あ、うん。そうだった。じゃあね」
 縁側の廊下を渡って角を曲がって姿を消す孫の背中を見送り、佐和子は独り静かに息をつ
いていた。そして言った傍から些か押し付けがましいかもしれないと思った。
 重ねている自分。託そうとしている自分。これは、未練……なのか。
 女々しいなと思う。それはやはり彼亡き後も続いているからなのだろうか。
「よいしょ、っと……」
 随分とガタの来た身体を支えて、のそのそと立ち上がる。
 縁側に敷いた座布団から席を立ち、背後の和室へ。現在は自室として使っている部屋でも
ある。捨てられずに残してある当時の生活用品が部屋の所々に置かれたままになっている。
 そっと手を伸ばして、佐和子は箪笥の上に乗っかっていたものを手に取った。
「…………」
 それは一枚の写真。時代を物語る白黒写真。
 写真立てに収められた、数枚のその写真。佐和子は、これまで昔を思い出す度にそうして
きたように写真に写る面々の姿を見つめていた。
 彼が戦地から戻ってきてから数年。
 日々の食事すらままならないのに……と、人々の半ば怒りや呆れを多分に含んだ視線に動
じる事なく始めた一軒の骨董品店。その店先で撮った記念写真だった。
「喜一郎……」
 真ん中で笑う、彼の姿。
 佐和子は静かにその名を呼んでいた。
 もう声を聞くことはない。できない。でもこうして話し掛ければと今でも「何だい?」と
応えてくれるような気がして。何度もこうして眺めてしまう。未練……なのだろう。
 今は昔よりも彼の望む世の中になったのだろうか。
 あの日、彼が望んだ、彼が聞かせてくれた願いを思い出しながら佐和子は今の世の中の姿
をその片隅にいる自分の身で自問してみた。
 多分、変わらない。もしかしたらもっと逆の方向に進んでいるかもしれないと思う。
 それを聞いたら、まだ生きていたら彼はどう言ったのだろう。
『すぐでなくてもいいんだ。気長に待つさ。僕は、信じたいから』
 いつか聞いた言葉を思い出す。きっと、そんな感じの事を言うのだろうと思う。
 そうは言ってもさ。あんた、自分が死んじまったら……元も子もありゃしないじゃない。
 僅かに眉根を寄せ、そう心の中で受け答えする。
 確かに貴方はいなくなってしまった。それは変わらない。
 だけど、後に続く者ならいる筈だ。いや、いて欲しいと思うのだろう。
 老いてゆく自分にできるのは、せいぜい彼らを育て、見届ける事だけなのかもしれない。
「……喜一郎」
 孫の立ち去っていった廊下の方を眺めて、誰にともなくそう呟く。
 庭の草木がさわっと風に吹かれて静かに靡いていた。ゆっくりと日差しが降り注ぐ。その
様を見ているだけでほっこりと心が温かくなる。
「あんたの意志は、ちゃんと受け継がれているよ。安心しな……」
 その声に応えるかのように、もう一度、部屋に中春の風が舞い込んできた。

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  1. 2011/04/28(木) 20:30:00|
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(長編)アンティーク・ノート〔1〕

 見上げる空は深い黒に染め上げられていた。
 黒地の上に点々と静かに瞬く星、それらから心持ち離れるように浮かぶ朧月。この日も、
住宅街は夜の静けさの中にいる。
 家々の所々に点る灯りと、何処からか聞こえる犬の遠吠え。
 それらをアクセントに、今日もやや冷たい夜風が閑静な夜の住宅街を静かなものにする。
「……よし」
 ただ一つ、
「皆。準備はいいわね?」
 そんな中、一軒の家の前に四人の男女が集まっている事を除いては。
「おう。準備オッケーだぜ」
「……あぁ」
「う、うん……」
 何処か嬉しそうに、ワクワクとした表情でミドルショートの髪をした眼鏡の少女が一同に
振り返る。それに答えるのはカメラを携えた中背の少年と長身の少年の、さっぱりとした、
寡黙なそれぞれ対照的な返事。更に彼らの傍らで不安そうに弱々しく頷く、ふわっとした長
髪の少女のか細い声。計四人の少年少女。それぞれに私服姿だが、背格好からもどうやら彼
らが学生である事が判断できる。
 彼女は昼とは全く違って見える周囲の風景にちらちらと目を遣りつつ、
「……ね、ねぇ、ヨシちゃん」
「うん?」
「ほ、本当に行くの……?」
「当たり前じゃない。何、大丈夫よシロちゃん。アタシらがついてるからさ」
「……う、うぅ。そ、そうじゃなくて」
 力の弱い抵抗の声が、目の前の幼馴染にすっぱりと受け流されてしまう様子に消沈する。
 ぎゅっと、小さく震える手が無意識に長身の少年の上着の裾を握り締めていた。
「……。芳子、別にわざわざ夜に来なくてもよかったんじゃないのか」
 幸彦はその様を横目に移しつつ、そう目の前の彼女に告げていた。しかし既に諦念がある
のだろう。その声色はさほど説得力を込めたものともいえないものだ。
「え? だって、夜じゃなきゃ心霊写真は撮れないでしょ?」
『…………』
 芳子の返答に、一同が押し黙った。
 苦笑という感情に近い。お互いに顔を見合わせてやれやれと言わんばかりの反応。それは
彼らが互いに相応に長い付き合いであるからこその反応でもあった。
「……お前、目的が真逆になっているじゃないか」
 皺を寄せた眉間に指先を当て、嘆息。
 幸彦は「何?」と小首を傾げる彼女を見遣ってやれやれと既に気疲れを感じ始めていた。
 まぁ、こうなりそうな事は予想していたのだが……。
(…………)
 ふいと、視線を持ち上げる。
 四人の目の前に建っているのは一軒の家。周りの家よりも一回りほど大きな外観。夜とは
いえ、部屋の灯りなどは一切ついておらず、不気味なほど静まり返っている。
 それも無理はなかった。
 何故なら、この家は以前より空き家になっているから。
 ──幽霊屋敷。
 そう、此処は噂されているらしい。
 何でも夜な夜な幼子のすすり声が聞こえてくるのだとか。しかし、ここは既に空き家だ。
住人はとっくにいなくなっている。だから……幽霊の仕業、という噂話がついたのだろう。
 だが、幸彦個人はそんな安易な結論の持っていき方には賛同していない。大方何かを聞き
間違った、そんな所だろうと踏んでいる。
 そもそも、この噂も日が経てばすぐに忘れる一過性のものになる筈だったのである。
「……?」
 視線をついと芳子に。
 事の始まりは、彼女にあった。
 不動産業を営む彼女の父が、現在この幽霊屋敷の管理をしている同業者とこの噂について
ぼやき、つまり風評被害について話していたのである。それ自体は話題の一つに過ぎない筈
だったのだろうが……。
『その話、本当ですか!?』
 この、このオカルト大好き娘が耳聡く聞きつけてしまったのが、自分達が今こうしている
事の切欠だったりする。彼女に振り回されるのには慣れているが、面倒なのは変わらない。
「だいたい、お前が引き受けたのは『幽霊なんて此処にはいない』事を証明する為だろう。
その本人が心霊写真を期待してどうする」
「え~、だって幽霊だよ? 怪奇現象だよ? ワクワクしない?」
「…………それはお前の場合だけだろ」
 そう脱力しつつ突っ込み、無駄だろうとは分かってはいるが冷ややかな視線を投げかけて
おく。首から提げた愛用の一眼レフをそっと撫でた。
 幽霊などいない=勿論、心霊写真が撮れる筈がない=撮れなかった=やっぱりいない。
 そうして噂を払拭したいという作戦、依頼なのだ(とはいえこの前提自体が結構に矛盾を
孕んでいるという事には、話がややこしくなるので黙っておく事にした)。
 再び、嘆息。
 確かに自分達は写真部だ。撮影となればお家芸だが……何が悲しくて心霊写真というごく
限られた嗜好のジャンルに手を出さねばならないのか。
「まぁまぁ、部長。幽霊がいるかはともかく、さっさと済ませてしまいましょうよ」
「ぬぅ。ともかくとは何さ、健(たける)君。いるよ、いるともさ!」
「へいへい。まぁ、そういう事にしとくよ」
「むぅ……」
 そもそも、彼女にこんな事を頼む方も大概である。
 いや、それは自分もそうだろうか。いくら先輩達が卒業し、部員がごそっといなくなって
廃部になりそうになったからといって、彼女らに声を掛けた自分も。思い起こせば彼女を加
えた事で余計に振り回され、まともに部としての活動ができているのかすらも怪しくなって
きているような……。
(……僕は、人選を間違ったのだろうか)
 からかい気味にやりとりされる面々を横目に、幸彦はずんと悩ましい思考がループし始め
ていくのを感じていた。三度目の、嘆息。
「お~い。ユッキー、シロちゃん。行くよ~?」
 と、若干遠くなった声に幸彦は顔を上げた。
 見ると既に芳子と健は空き家の玄関の前にまで移動していた。
「うぅ……。お、お兄ちゃん」
 噂ながら幽霊屋敷に乗り込む事に不安なのだろう。まだ握られた裾をくいと引っ張って、
困惑の表情が幸彦を見上げている。
「……。僕達も行くぞ、真白」
「え? う、うん……」
幸彦はゆっくりと歩き出した。逡巡の後、トテトテと真白もその後を追う。
(そうさ。松戸の言う通り、さっさと済ませて帰ろう……)
 そう、自分に言い聞かせながら。

 芳子が鍵の束(件の業者から事前に預かってきたものだ)を試して三本目。カチリという
金属音と共に玄関の鍵が開いた。
 そっと扉に手を掛けて半開きにして、家の中を覗き込む。
 灯りが全くなく時刻も夜だけあって中は気味悪いぐらいに闇一色だった。
「ほい。皆、これ」
「ん? あぁ」
 中に入る前に、芳子が肩に提げていた鞄から人数分の懐中電灯を取り出して配る。
 決して十二分な灯りとは言い切れないが、全くの無灯よりはマシだろう。兎も角、足元の
玄関口を照らしながら靴を脱ぎ、慎重に室内へと足を踏み入れた。
 最後尾の真白が扉を閉めた。パタン、と音がする。
 同時に一瞬、幸彦は寒気のようなものを感じた気がした。
 まだ春先だというのに。人間のいない家とはそんなに冷たく感じるものなのかと内々に思
考が過ぎった。
 一先ず廊下を突っ切っていく。芳子を先頭に、健、そして幸彦と真白と続いた。円形の灯
がゆらゆらと手元を返す度に移動し、暗い室内の様子を断片的に映す。廊下を軸に、扉で仕
切られた幾つかの部屋が連絡されている、ごくありふれた構造のようだった。
「へぇ、結構広いな」
 玄関から正面切った扉の向こう側に、リビングが広がっていた。
 前の住人がここを去る時に持ち切れなかったのだろうか、見渡してみる限り家具や調度品
の類がぽつぽつと残されたままになっている。元々、備え付けであったのかもしれない。
 暫く、周囲を照らしながら観察の間があった。
「さぁ。それじゃあ早速始めましょう」
 そう言って鞄から使い捨てカメラを取り出す芳子。
(ヨシちゃん、笑ってるよ……)
(あ、あぁ……)
 場所が場所なのに、楽しそうだった。
「適当にバラけましょうか」
「……そうだな。撮る場所を分担するとしよう」
 その場で適当に班分けを行った。芳子は二階を、健はリビングから玄関にかけて、そして
幸彦と真白はリビングから家の奥の方を担当する事になり、
「よし、じゃあ一旦解散」
『了解~』
 それぞれ懐中電灯の光と共に別行動を開始した。

 撮影、といっても特にこれといった被写体が用意されているわけでもない。
 ただ担当する範囲をぶらつきつつ、適当にカメラに収めるという単調な作業だった。
 幽霊の不存在を証明する、心霊写真(が撮れないという為)の撮影。
(なんだかなぁ……)
 カメラを構えてレンズ越しに室内を窺いつつ、幸彦はしっくり来ない感じにまたため息を
つきたくなる衝動を覚えていた。
「……お兄ちゃん」
 ふと、代わりに辺りを照らしてくれていた真白がか細く声を掛けてくる。ファインダーか
ら目を離し、ちらとやはり不安げな妹の表情に視線を移す。
「と、撮れるのかな。心霊写真」
「……いや、撮れない事が目的なんだって」
 ややこしい話である。
「まぁ、どうなっているかは持ち帰って現像してみない事には分からないけどな」
 そう言いつつも、幸彦自身はそう易々と撮れるものではないだろうと思っていた。
 そもそも心霊写真と銘打つものの中にもしっかりと現実的な説明ができる場合も多い、と
いう事を幸彦も(芳子にこうした類の事に振り回されてきた結果)知識として持っている。
「……うん」
 それに対して、真白はやはり不安な様子を隠せていない。
 生来の内気な部分があるにせよ、彼女は自分よりも幽霊などの怪異の類に対する「信心」
のようなものを持っているかのように思えた。
(そんな気の持ち様も、幽霊なんてものを見せる原因なんだろうな……)
 幽霊の正体見たり枯れ尾花、という言葉もあるくらいだ。
 そう思いながら、何度目かになるか分からない撮影。カシャっとフラッシュを焚きながら
カメラに暗い室内の様子をまた一枚と収める。
 フィルムの残数を確認して、幸彦は顔を上げた。
「まぁ、こんなものかな」
 そう、呟いたその時だった。
『……コ、チャ……?』
 耳に届いた、小さな声。
 普段なら聞き逃していたかもしれない。しかし夜中の空き家という静か過ぎる空間が、彼
に空耳だと思わせる道を足早に塞いでくる。
 無意識に、幸彦は眉間に皺を寄せていた。ゆっくりと視線を真白に移す。
「…………」
 彼女は、目を真ん丸にしてその場に立ち竦んでいた。
「お、お兄ちゃん……さっきの」
「……。お前も聞こえたのか?」
 幻聴、空耳。その可能性を彼女の声が消してくれてしまう。
(何だ……?)
 耳を済ませてみるが、闇に溶けた空間からは先程の声は聞こえてこない。
 この空き家の噂が記憶に蘇る。
 いや、だがそんな事は……。幸彦は中腰になっていた姿勢を正して背後を振り返った。
 すすり声。本当に人がいる? そんな馬鹿な。
「真白。戻るぞ」
「あ、う、うん……」
 彼女が慌ててついてくるのを確認しつつ、気持ちだけ足早にリビングへ。
「お? 部長、真白ちゃん」
 リビングには何事もないように平然とした健がいた。
「こっちは一通り終わりましたよ」
「そうか。こっちも……まぁ、済んだかな」
「……う、うん」
 しかし、二人(というよりも真白の挙動)を見て何かを悟ったのだろう、ややあって彼は
目を細めてじっと二人を見比べている。
「どうかしたんですか? まさか、撮れちゃったとかいうんじゃないでしょうね」
「いや、そうではないんだが……」
 その声は、興味と言うよりは苛立ちを若干含んでいたようにも感じられた。部長まで感化
されたんじゃないんでしょうね? という意味合いを。だが幸彦は小さく首を横に振った。
彼自身も撮れて堪るか、という気持ちがこの時もあった。
「さっき、妙な声が聞こえなかったか?」
「……声? いえ。特には」
「そう、か」
 やはり聞き間違いだったのだろうか。幸彦は自然と真白と顔を見合わせつつ、内心で小首
を傾げる。自分も松戸の含蓄のように、感化されてきているとでもいうのか。
「二階じゃないんですか。桜木が何かぶつくさと言ってたのを聞いたとかじゃ」
「……あぁ」
 なるほど、と思いつつ健がそうしているように幸彦と真白もついと天井を見上げた。
 彼女の事だ。「幽霊さん、出ておいで~」などと言いながら撮影しているかもしれない。
 ふっと気持ちが軽くなる。幸彦は意識せずに見上げた格好のまま口元を緩ませていた。
「……行ってみるか。そろそろあいつにも歯止めを掛けておかないとな」

 三人して二階の階段を上った。
 二階も一階と同じく、暗闇と静かさが支配している。幸彦達は順繰りに部屋を開けて中を
照らしてみては芳子がいないかを確認していく。
「うぉ、眩しっ」
 廊下の中頃の一室に彼女は居た。
 健が懐中電灯を向けた瞬間、そう言って手で庇を作って片目を瞑る。
「ここに居たか」
 幸彦達はそのまま部屋の中へと脚を踏み入れる。
 辺りを照らしてみて、どうやらここが子供部屋だったらしい事が分かった。一階と同様、
去る際に持ち出し切れなかったのか、子供用と見られる学習机やベッド、ぬいぐるみなどが
残されたままになっている。
 些か、残され過ぎているような気もした。
「下は一通り終わったぜ。そっちは?」
 幸彦と真白が見渡す中で、健が芳子にそう訊ねた返答だった。
「そうそう、そうなのよ! ねぇ、聞いて聞いて!」
「……。何だよ」
 健が露骨に面倒臭そうな表情をした。
 対照的に、芳子が何処か興奮した様子を見せている。幸彦は妙に健に同情したくなった。
それにどうにも嫌な予感も……。
「さっきさ、聞こえたの」
「……何、が?」
 恐る恐る聞き返している真白。その反応に芳子は、
「すすり声だよ! いや~噂は本当だったんだね。確かにこの耳で聞いたよ。ここを写して
いる最中にさ『……マコ、チャン……?』って」
 まるで好きな芸能人を間近で見たかのように興奮して答える。
 幸彦達は、お互いに顔を見合わせていた。
「……本当、なのか」
 それが本当なら、健の説が揺らぐ。幸彦は足元がぬかるむような錯覚を覚えながらため息
を吐き出すようにして短く確認する。
「本当だってば。この耳でしかと聞いたんだから!」
 ぷくっと小さく頬を膨らませる芳子。だが幸彦達はそれぞれに事が不穏な方向に向かって
いるのではないかという疑念を抱かずにはいられない。
「何かの聞き間違いだろ。ほら、空調機の音とかさ……」
「……ま、松戸先輩。こ、ここは空き家だから、そもそも動いてないと思いますけど」
「…………」
 成る丈何ともないように、健が現実を持ち込んで来ようとする。だが、真白がその試みを
やんわりと冷静に否定してしまう。彼女を見遣って固まってしまう健。幸彦は眉間の皺に指
先を当てて黙り込んだ。一番怖がっているお前が状況を悪化させてどうする……。
「だ、だったら別の家の空調──」
「だとしたら今も聞こえてきてもいいじゃない?」
「…………」
 二度目の理屈付けは芳子が妨害した。再び健が気まずそうに押し黙る。
 沈黙が辺りを支配した。唯一、芳子だけは嬉しそうである。お前、やっぱり目的が真逆に
なっているじゃないか……。幸彦は静かにため息をつく。
『……マコ、チャン?』
 その声は、突然にやって来た。
 芳子が証言したものと同じフレーズ。幸彦達の身体がビクンと硬直する。視線が互いに交
差して互いの表情の引き攣りが懐中電灯の光で部分的に見え隠れする。
 少なくとも機械音ではない。たどたどしい、確かに噂通り幼子の声のようにも聞こえる。
 声は一瞬だったが、四人が動けるようになるにはまだ少しの時間を要した。ぎこちなく幸
彦達は辺りを見渡し、見たくはないけれど声の主を探した。
「……どうなっているんだ」
 けれど誰もいない。自分達四人以外は。
 本当に噂の幽霊なのか。そんな、馬鹿な。
 再び静まり返った部屋を四人は見渡す。内三人は不安と苛立ちを、残り一人は興奮の色を
滲ませながら。夜の暗さに慣れてきた目が残されたままの部屋を見渡す。
「うぅ……どうしよう。本当にこんな事になるなんて……」
「……いいや、何かの悪戯とか聞き間違いに決まってる。いるわけないだろ、そんなもん」
 涙目になる真白を見、健の表情に苛立ちが濃くなった。
 恐怖感というよりも理不尽さが気に入らないという表情。幸彦はその点落ち着いてはいた
が、彼の気持ちが分かるような気がした。
 だがそれも、
「くそっ」
 彼がつい手近にあった箪笥をゴツと蹴ってしまうまでは。
『……チガ、ウ』
「!」
 三度、あの声。
 だが何だ。先程とは声色が違う。これは……。
『……マコチャント、チガウ!』
 刹那、ズドンッと部屋全体に走る衝撃。
 それが足元からの大きな揺れである事を理解するのにさほど多くの時間は要らなかった。
「ぐっ、何だ? 何なんだよ?」
「ひ、ひぁぁぁぁぁぁっ!?」
「おぉっ! これはもしや……もしや、ポルターガイストって奴ですかぁ!?」
「ぬぅ……っ!」
 幸彦達は咄嗟に近くの家具などに捕まり、その揺れに耐える。
 その間に思わず漏れ出す怒声、悲鳴、嬉々の声。グラグラと足元から突き上げ、左右に引
っ張り出す見えない威力。幸彦はふと、地震体験車のようだなと自分でも可笑しいくらいの
思考の冷静さに密かに嘲る。それだけ、世界が遠くに感じられる錯覚だった。
「…………」
 時間にしてさほど長くはなかっただろう。
 だが、幸彦達にはそれがとても長い時間の揺れに感じられた。暫くして突然の揺れが収ま
った後、揺れで物が散乱した後の部屋の中を四人は幾分かふらつきながら見渡した。
「……何だよ、ありゃあ。地震か?」
「ポルターガイストだよ。ポルターガイスト! 間違いないわ!」
「ひぅっ……ぽ、ポル──」
「……芳子、お前は少し黙ってろ」
 まだ興奮しているオカルト馬鹿を制止し、幸彦は注意深く周りを見渡した。
 先程の突然の揺れが嘘のように、室内は再び暗闇と静寂が戻ってきている。ただ足元に散
乱する小物などが先程の揺れが嘘ではなかった事を物語っていた。
 信じたくはないが……。此処は、おかしい。
 眉間に皺を寄せ、幸彦は三人に向き直った。仮にも部長としてここで言わなければと。
「帰るぞ。ここに残り続けるのは……よくない」
 それは自分がそれを認めるようなものだったが、これは安全を確保する、部長としての真
っ当な判断だと言い聞かせる。健が「えぇ」と先程から不機嫌に、真白もこくこくと必死に
なって首肯。「え? もう?」と唯一人の例外の反応はさくっと無視する。
 四人は散乱した部屋の片付けもそこそこに足早に階下へと向かった。
 こんな所からは一刻も早く離れたい。それが幸彦達(三人)の、それぞれに思うベクトル
こそ違えど一致した内心であっただろう。

 だが、彼らはこの時まだ気付いていなかった。
 立ち去る彼らの中、芳子の鞄の中にいつの間にか古びた人形が紛れ込んでいる事に。

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  1. 2011/04/28(木) 20:30:00|
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自己紹介

長岡壱月

Author:長岡壱月
(ながおか いつき)

創作もとい妄想を嗜む物書きもどき。書いたり描いたり考えたりφ(・_・)
しかしながら心身共々力量不足な感は否めず。人生是日々アップデート。
今日も雑多な思考の海に漂いながらも何とか生きてます。
【小説/思索/落書き/ツクール/漫画アニメ/特撮/幻想系/小説家になろう/pixiv】
(※上記はPN。物書き以外では概ね、HN「長月」を使用しています)

【注】当庵内の文章や画像等の無断転載・再加工ないし配布を禁止
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